2023年2月2日〜2月13日
 走行日数12日間
 累計走行距離951km(125009km〜125960km)

◎道路
 かなり悪いというか、残念な造りであると言わざるを得ない。いやまぁここがヨーロッパでなければ「割と良い」くらいの評価に落ち着くかもしれないが、腐っても西欧に位置する自転車先進国としては近隣諸国と比較するとガッカリするとしか言えないレベル。
 特に都市部の自転車道は担当者が全く自転車のことを理解してないとしか思えない酷い作りをしている上に、恐らく補習費用という概念がなかったようでガッタガタにヒビ割れている道も多い。自転車道自体も段差があって危ないわ、車道に沿って走ろうとすると普通に道路脇を走るより3倍信号待ちををする作りになっていたりと酷さが目立つ。
 主要道路且つ郊外の道だと割と側道が広い道もあってそちらを走るよう選べるのだが、それに安心してると側道が無いにも関わらず交通量は多いしエスケープ出来そうな道もない最悪な道を永遠走らされることもあるため油断ならない。正直ポルトガルの道路を走るのはかなりの部分でストレスが大きかったと言える。なお車両は右側通行。
 単純に大きな山がない割にアップダウンも多い土地で、しかも九十九折を作らず急斜面の厳しい坂道が多いことも問題だと思う。結果として自転車がゆるゆる走行することになるため車両が抜ききれず渋滞を作る要因にもなってしまいそれは申し訳ないと思うし、ちゃんと側道作れよ!とも思う。

◎治安
 それほど問題となるような雰囲気の悪い場所は無かったが、町中でも明らかに貧困を感じさせる住宅の割合が増えて、それに伴い町中におけるスラムとまではいかないけれど、ボロボロの家屋が立ち並ぶエリアを見ることが多かった気がする。
 私に声をかけてくる人も昼間っから酒瓶を抱えてるオッちゃんだとか、異国から来たであろう労働者の割合が増えて、まぁそれなりに緊張することもあった。なんだかんだ人の身なりは大切。
 ただしテント張ってて不安に思うような夜は1度もなかったのも事実。そもそもの人口が少ないというのもあるが、それだけ自然の割合が多く自転車で野営するのに向いてる土地だとは感じたな。

◎ビザ・出入国
 シェンゲン協定の範囲にあるためパスポートのチェックもなく出入国が可能である。もちろん陸路に関してのことではあるけども。
 スペインとは川で国境を設定している地域が多いようで、しかし国境となる橋は高速道路しかないポイントがまま存在するため自転車はフェリーで出入国することになるポイントが割と多い。余計な船代を出したくないのであれば国境付近の道路状況は要チェックが必要だ。

◎交通事情
 お粗末な道路に比べてドライバーの運転マナーは悪くない。ほとんどクラックションを鳴らされる事はなかったし、横断歩道で待っているとキチンと停車し先へと促してくれる親切さ。
 交差点のほとんどがラウンドアバウト方式で信号機における十字路は町中ですら少ないのだが、何故か普通の道の途中に信号機が設置されており、短時間だけ赤信号になるタイプをよく見かける。別に歩行者や車両がいるワケでもなし、道路が狭くて対面車両に注意する必要もない。本当に謎のタイミングで出てくる信号機が多く、私は「スピードの出し過ぎを赤信号で抑制してるのではないか?」とか考えてたけど真相は知らん。

◎特徴
 国の特徴とはちょっと違うがリスボンからサンティアゴまでのルートはカミーノと呼ばれるキリスト教における巡礼の道として有名なルートの1つであり、この道を走行したりしなかったりした。
 機転さえ見つければ曲がり角毎にルートを示す貝殻のマークが表記されており、あまり迷う事なく進めるカミーノだが、あくまでこの道は歩行者のために作られたルートであり自転車的には未舗装路だったり走りづらい道が多くて楽しめるものではない。
 道中には巡礼者ならば割安で宿泊できる巡礼宿等の宿泊施設もあるのだが、こっちは自転車だしテント持ってて野宿主体でやってる身としては旨味も薄く、結局道自体はほとんど走る事なくサンティアゴへと向かう結果となった。本気で自転車巡礼をしたいならば、自転車用の巡礼ルートというのも存在するらしいのでスマホアプリとかからDLし調べてみるのがオススメかと。200km以上移動した者には証明書も発行されるらしいですよ。興味なくてその辺調べてないけれど。

◎気候
 一部地中海性気候に属する地域ということもあり、冬の走行は雨が多いのではないかと心配したが杞憂に終わった。一応天気の悪かった日もあるけれど、雨は極々弱い程度にしか降ってこずバス停などの雨宿りできる場所が豊富にあったことも影響して困る事はなかった。
 2月の時点でポルトガルは既に春の気候となっており、日中の気温は20度近くまで上がったし山中の夜でもペットボトルの水がガチガチに凍りつくほど気温が下がることはなかった。むしろ恒常的に吹き続ける東からの風が冷たさを帯びており、割と強風となる日もあってかえの冷たさの方が印象に残っている。
 スペイン南部も含めむしろこの地域は冬の時期の方が旅行するのに都合が良いシーズンだと思われる。夏のヨーロッパ走行で3ヶ月経過してしまい、シェンゲン協定ルールのため西アフリカで3ヶ月待ちをし冬のアンダルシア&ポルトガル走行というのは、結果論だが理想的なシーズン走行ができてオススメだと言っておく。

◎言語
 ポルトガル語ですね。言語のバンド帯としてはスペイン語と非常に近いとされており、実際半分くらいは言葉が通じるともされている。少なくとも数字に関してはスペイン語を覚えていると何とか対処できる程度には近しい言葉かな。
 英語の通用率は半分程度のイメージで、商売人は割と英語話せる人が多かった一方で、その辺の住民とかだとポルトガル語オンリーとなり意思疎通には結構苦労することあ多かった。
 これはよく話題にもなるのだが、ポルトガル語の「オブリガード(ありがとう)」という単語は日本のありがとうと同じ音程だよねと言われるらしく、私も同じこと言われたけれど。どうかな〜?あんまりそんな気はしないんだけどな。

◎宿(野宿)・Wi-Fi
 キャンプ場すら利用てない完全野宿行だったので宿に関しては知らん。都市部をちょっとでも離れればそこら中に雑木林やれ森林地帯が広がってるので、野宿のポイント探すのに困ることはまず無い。2月のこの時期でも水が凍結することはない程度の気温であるため、テント泊でも困ることは少ないどころかむしろ今の時期の方が快適に過ごせるとすら思う。ポルトガルを走るなら夏より冬だ。
 なおWi-Fiはドイツ系スーパー(ALDIとLIDL)2店舗が共にFreeWi-Fi使えず、カルフールもポルトガルには出店してない模様。
 ということでポルトガルではGalpというガソスタ、CONTINENTEというスーパー、サンタンデールという銀行の3本柱でWi-Fi使わせてもらっていた。ただしGalpは南部地域でしかFreeWi-Fi使える店舗が無かったので、例えば北部地域のGalpスタンドは別の方針が示されているとかあっても不思議ではない。
 そうした施設がなくとも割と大きめの町で中央広場とか行けば普通に市内Wi-Fi拾うことができたりもする。先進国ってのはこういう所が便利だと思うし素晴らしい。

◎動物
 たとえ人里離れた山奥とかでもヤバそうな大型動物とかは出てこない感じ。時おり農地とかで馬やヤギ、羊を飼っていたりする姿を見かけたけれど、その回数も全体的に少なかったし動物に関してのイメージが薄い。
 身近なところで犬は割と攻撃的な奴が多く、しっかり敷地内でガードされてるから良いものの自転車を見かけるなり狂ったように叫びまくるアホ犬は結構たくさんいた。1度だけ野良犬だかに追いかけられたことがあったかな。
 2月だけど森林の中でテント張ってたら室内に複数匹の蚊が入っていたことがあり、冬の時期じゃなかったらその他の虫も合わせてもっと色々面倒であったことが想像できる。やはりポルトガルを走るのならば冬だ。

◎自転車店
 自転車人気の高さを窺えたのは割と小さな町でもしっかりとしたショップがあったりサイクルカフェのお店を見かけたことが理由。そうしたショップは細かな部品まで多種多様に販売されており、一般的なトラブルであればまず問題なく解決することが可能であると思われる。
 単純に交換部品を安く買い換えたいだけならば、デカトロンの自転車コーナーでチェーンなら10€くらい安価で入手できる。ヨーロッパは本当にデカトロンが便利でもうここばかり利用してしまうなマジで。
 タイヤに関してマラソンシリーズが陳列されているのは見かけなかったので、ポルトガル似てマラソンプラスが欲しいのならば事前に情報調べて取扱店を確信してから向かう方が良い。同じ西欧でもドイツやオーストリアみたいに「どこの店舗にもシュワルベ製品が!」ということはないので。

◎物価・食事
 様々な人から「ポルトガルはスペインよりもさらにもう一回り物価安くなる」と聞いてたので、私も期待してたのだが結論から言うとポルトガルは物価安くない。隣国スペインと比較するとむしろ高い。
 割と貧困具合の強い地域を見かけたので、所謂「人件費が安い系の国」としてレストランやサービス業関連の値段は下がるのかもしれないが、普通に流通している食材や物品に関しては間違いなくスペインのが安い。強いて挙げるなら魚介関係はポルトガルの方がお買い得だったかな。あとはケーキ。
 この予想と異なるギャップのせいで、ポルトガルではなるたけ無駄遣いしないでやり過ごそうと思って動いてたし、そのため食事内容に関しては普段より更に似たメニューが続く羽目になった。
 ポルトガルらしい食べ物って何かあったかな?と思って出てくるのがエッグタルトとポルトガルワイン2種類のみであるというのは流石に残念な気持ちになる。

◎総括
 割と辛口の感想が続いたポルトガルだが、大きな要因は隣国スペインに囲まれてるが故に「スペインと比較するとイマイチ」という評価になってしまう点がある。
 道路事情さえキチンと整備すれば物価もヨーロッパ全体では安い方だし、様々な建築物は一見の価値ある荘厳な建物が多く流石はかつての覇権国家!と唸らされるものがあるのも事実。
 でも個人的には整備もしないでボコボコな石畳の道は勘弁して欲しかったし、自転車のことを全然考慮に入れていない最悪なサイクリングロードとかも多くて残念なイメージが先行してしまうのは確かにある。
 なまじサイクリスト的には最西端であるロカ岬があるので黙っていても多くの大陸縦断系サイクリストがやってくるから自転車旅行に対して環境整備しなくても良いか!などと舐められているのではないか?私はポルトガルに対してそこらへん大いに反省してもらいたい。