2023年10月30日〜11月5日
走行日数7日間
累計走行距離160km(142777km〜142937km)
◎道路
割と自転車道やれ歩道をお出ししたりと車両以外にも気を使ってるのを感じられて印象が良い。少なくとも私が走行した国内を横断するルートでは平坦な地形が続いたこともあって自転車における走行はかなり優しい部類に入ると思う。国土が狭いので自転車でも各主要都市には1日あればたどり着ける距離というのも有難い。私は天候と節約の関係で途中で野宿するスタイル取ったけどさ。
基本的に交通量の多い主要道路にはちゃんと側道が敷かれている関係で、ドライバーの運転が荒いことを鑑みると中途半端な大きさの道を走るより、主要幹線道路を選んで移動する方が危険が少ない国。側道が無くなるポイントもあるっちゃあるが、そういうのは交通量の少ないエリアだったりするワケで、コソボもちゃんと考えてるなと思う。なお車両は右側走行。
◎治安
どうしても紛争のイメージが強くて治安に不安を覚える国だけど、実際滞在してみて治安的な不安はほとんど感じないどころか安心感のある治安良い国という印象だ。
首都のプリシュティナですら町歩いてて嫌な雰囲気を感じることはなかったので、旅行者が適当に歩き回ったくらいじゃ、スラムや雰囲気悪い場所があったとしても迷い込むような心配はしなくて良いと思う。
田舎の人々も自転車見かけると笑顔で手を振ってくれる朗らかな雰囲気で、テントを張ることに気を遣うような感じは無かったかな。セルビア国境近くの北部に行くと、セルビア系とモンテネグロ系が混ざり合う一触即発な雰囲気を抱える場所もあると聞くが、私が通ったルートにおいては実に良い感じでした。
◎ビザ・出入国
セルビアを経由しないなら特に気にする要素はない。この点についてはセルビア総括で触れたので省略する。審査自体はざるも良いところで、やたら厳しかったセルビアとはこういう所でも反りが合わないのかと思ってしまうコソボ。旅行者的には適当な対応で入国させてくれるコソボが好きです。
理由は知らんが入国時のスタンプ押さない国なので、その事実を知っておかないと不安が募って精神的によろしくない。なお出国時には普通にスタンプ押されたため、国としての主義とかデータ管理のみで対応するみたいな理由ではないっぽいが。
◎交通事情
酷い。それまでのバルカン半島諸国におけるドライバーが可愛く思えてしまうレベルで運転が荒くなったし自分勝手な運転する輩の割合が激増した。クラックションを鳴らせば自転車は蹴散らせる存在だと思い込んでるクソが一定数おり、狭くて逃げ場もない道で後ろから永遠とクラックション鳴らされ続けた時はドライバー張り倒してやろうかと思うた。
途上国によくあるバスやトラックといった大型車両の方が無茶な運転をしてくる割合が高い国で、自転車の脇スレスレを速度落とさず抜いていくヤツも多い。モンテネグロから入国してペーヤの中心部にたどり着く前には「コソボのドライバー最悪だな!」とか思ってたので、東欧における運転マナーの境界線を引くとすればここになると思う。
個人的には側道ないけど交通量がそこそこ多い中途半端な道で1番怖い思いをしたので、道路の項でも書いたがコソボを走る場合は幹線道路か思い切りローカル道かの両極端でルート組むのが良いと思う。
◎特徴
コソボ紛争を経て2008年に独立したヨーロッパにおける1番新しい国である。ちなみに全世界では南スーダンに続いて2番目。ユーゴスラビア解体に伴う紛争でボスニア紛争がボスニア・クロアチア・セルビアの民族による対立だとすれば、コソボ紛争はアルバニア人とセルビア人との対立という見方ができる。
しかしコソボという国はセルビアにとって歴史的に重要な土地である関係上、当時国のセルビアはコソボの独立を認めていない。この辺はコソボ独立までの経緯と国によって様々な見解があるらしく、コソボを承認してる国は世界で110カ国と半数ちょい(世界の国数を196とすると)である。
余談だが、このブログは基本的に日本が承認している国は私も同様の扱いとして書いてるためコソボの総括はセルビアと分けた。アラスカを単独で総括したり小さな国は他国と合わせたりと、この辺そんなキッチリ区分けしてないんだけどね。
◎気候
秋のコソボは天気次第。晴れると日中はTシャツ1枚でも過ごせるほどに気温上がったが、太陽出てないと日中でも気温一桁まで落ち込むこともある。やたら雨の日が多かった印象だけど、調べてみるとそんな特筆して雨が多いというワケではないようなので、単に運が悪かったか。
風の印象は薄く、全体的に南から吹いてた気がするな〜という程度。平野が続く走行だったので、風の影響受けたらもっと大変な走行となったことが予想されるためこちらに関しては運が良かったのかもしれない。
◎言語
アルバニア語である。そもそもコソボの人種は大部分がアルバニア人であり、これまで訪れたバルカン半島のスラブ人とは大元から異なっている。それでユーゴスラビアを構成していたのだから、そりゃ一旦解体が始まればコソボも独立したがるのは無理もなかろうて。
英語の話者はあまり多くないものの、学校教育が影響してるのか10代の若い子とかが結構英語で話しかけてくるんだよね。体感としては田舎で半分弱くらいの割合で英語通じる印象かな。ペーヤやプリシュティナといった町ならもっと割合高いだろうし、それほど問題になることないと思われる。
◎宿(野宿)・Wi-Fi
国土が小さい関係で町を抜けても完全に人家が途切れる場所は少なくポツポツと家なり商業施設なりが点在してる印象。そうした場所の隙間を縫うようにテント張るのはもちろん出来るが、他のヨーロッパ諸国と比べて少々難易度上がったかな?
都市間の移動が1日かからない距離なので、そうした町にある安宿を経由すればテント泊を考えることなく国内大部分に自転車で移動できる。安宿の相場は最安で10€(約1600円)からと考えておけば良いかな。
なお利用した2軒の宿は共にコソボ人がオーナーではなく外国人経営の宿だった。内1軒に関ししてはバルカン半島の国でよく見られるトルコ人経営の宿であり、利用客もやたらトルコ人が多いタイプ。設備でオーブンが壊れてるのに放置されてる謎の共通点がある不思議。
基本的なサービスが悪いとは思わなかったが、どちらの宿でも同室のお客がマナー悪くて寝ているところ起こされたりしてるので少々印象が悪い。
◎動物
プリシュティナの近くに位置するベアサンクチュアリだが、ここに生息してる熊は元々コソボや近隣国の熊が捕獲されて連れて来られた経緯があるため、つまりは山中においてヒグマが生息している地域ということである。
個体数が少ないからわざわざ保護していることからそんなに出くわす確率高いと思わないが、洒落にならない身体のデカさと迫力あるので「出会う可能性がある」ということがリスクとは思う。あんまり山深い場所でテント張ろうと思わなくなるってこと。
その他に牛とヤギの姿はちょいちょい見かけた程度で他の野生動物の印象は薄い。なお犬はここでもテリトリーに入ると無茶苦茶に吠えまくって追いかけてくるので例え町中だったとしても要注意。
◎自転車店
ペーヤの町に修理店が1件あったがワイヤー1本に10€(約1600円)取ってくるボッタクリ店だったので利用していない。プリシュティナには同じような修理店でワイヤー1本3€だったし、取り扱ってる各種パーツも普通の料金だったので、コソボで自転車トラブルあった場合は首都まで移動してしまうのが正解だと思う。
他のお店も覗いてみたが、自転車本体の販売のみ行ってるショップだったのでコソボは本体販売と整備や修理との専門店とで棲み分けされてるのが普通なのかもしれない。そもそもショップの数自体も少ないし。
あと郊外で中古の自転車が大量に並んでいる中古ショップを何度か見かけたので、こういうお店が地方の自転車需要を支えているのかもしれないけど、スタッフは修理や整備できるのかな?
◎物価・食事
非常にお安く買い物できる国である。全体的にチェーン系の全国展開してるような大型店舗が減って個人系の小型商店の数がグッと増えた。軒先に生成食品を出してる八百屋みたいなお店もよく見かけるように。面白かったのがスーパーの商品は値段の隣に国旗等で生産国の表記がなされており、商品を眺めてるだけでどこの国の商品かが分かるようなっている。
レストランでもファストフードは300円しないで楽しめるタイプが出始めて、長期旅行者でも自炊じゃない外食を楽しんで懐が気にならないコソボは本当に有難い。
ただしイスラム教が強い国だからか周辺諸国と比べて酒類の値段がかなり高い。モンテネグロのテンションでビール買ったら料金1.5倍くらいになってて驚いた一幕もある。それでも日本と比較すると大変お安い価格なんだけどさ。2ℓのボトルで2€ちょい(350円くらい)のイメージかな。
何気に1€ショップの品揃えが良くて、ペーヤの町で駄目になってた消耗品を買い揃えたりしてる。私があまり大都市での散策をしないからかもしれないが、バルカン半島の国で1€ショップを見つけたのはコソボが始めて。探せばあるんだろうけどこの国ではペーヤとプリシュティナとの2回偶然ショップを見つけてるので、そうしたお店がやや多い可能性がある。
◎総括
旧ユーゴスラビアを構成していた国は(歴史的に興味あるので)全部回ると決めてたので、コソボを走ることも必然ではあったのだけど、その中でも独特の雰囲気を持ち合わせた国であったと感じる。
正直セルビアとは全く異なる雰囲気を持つコソボという国が独立をしたのは自然な成り行きの気がするし、でもそんなこと言い始めると旧ユーゴを構成する国々はどの国もそれぞれ違った良さと特徴を兼ね備えていた気がするのであり、国を1つにまとめるというのは本当に難しいことなのだろう。
とりあえず荷物満載の自転車を見かけると朗らかに挨拶してくれ、ぐいぐいコミュニケーションとってくるコソボの人たちを私は好きだし、この国を旅行した結果そうしたイメージができたことを嬉しく思っている。コソボという国のイメージが近年まで続いてた紛争しかなかった人だったので。
そうしてコソボという国を好きになると、個人的にも独立を宣言してるの国でありながら承認してない国も多い・・・という立場のコソボを応援したくなってしまうが、セルビアを訪問してかの国でも良い思い出がたくさんある身としては、なかなか意見表明が難しいとも思ってしまう。1つだけ言えるのは、どちらの国民にも旅行者に対して親切な人が居て、私は彼らと出会えたことがとても嬉しいということだ。