自転車ときどき世界1周

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 カラコルムハイウェイは全行程を走破したわけではないのだが、それでもパキスタン側における走行可能地域は大体走りきったので情報をまとめてみた。ヒマラヤ山脈周辺には自転車旅行者が憧れる3大道路というのが存在しており、その一角を担う道だし記録を残しておきたかったというのもある。なお残りの2つはラダック及びパミール高原というのが一般的な指標。
 なおこのまとめでは主に私が走行したパキスタン側における情報を取りまとめているので悪しからず。


 ◎カラコルムハイウェイ

 【基本情報】
 パキスタンの首都イスラマバード若しくはその北部に位置するアボッターバードの町から中国新彊ウイグル自治区のカシュガルまでを繋ぐ総計約1300kmの国際道路。国際道路として世界最高所にあることが有名な道だが日記にも書いたとおり真偽のほどは不明。

 名前の通りカラコルム山脈に属するエリアを抜けていく場面が多く、そのカラコルム山脈は7000mを超える高山を誇る世界でも屈指の高山エリア。ヒマラヤ山系ともぶつかっている関係で周辺道を通ってK2やナンガ・パルバットといった8000m峰の姿を望んだり拠点とされる町までアクセスできる。

 またインドとの領土問題を抱えている地域であり、数年前まではインドのようにNOCと呼ばれる入域許可証を取得しないと走行不可能な地域が存在した。現在では自転車においてこのNOC制度は廃止されているものの、依然として警察による護衛と称した車両での貼り付き、若しくはトラック等に乗せられてのピックアップを余儀なくされる区間があるし、そうでない地域においても道路上に多数の検問が設置されており事細かなチェックを実施されるといった点がある。パスポートとビザのコピーが大量に必要だという話を聞いてたので各5枚ほど準備して行ったが、実際にはパスポートを見せるだけの検問が多く、私が提出したのはビザのコピー用紙1枚のみであった。ただしこれは自転車で通行した場合の話で、復路の移動ではバス乗車前にパスポートのコピーを計5枚提出させられた上に道中でビザのコピーも1枚提出した。ビザに関しては事前連絡もなく突然の請求だったので運良く予備を保持してたから良かったものの、持ってなかったらどうなることかと肝を冷やす出来事だった。

 【治安・警察車両のピックアップ】
 パキスタン全土はともかくフンザを中心とした北部地域における治安は問題ないように感じられるのだが、チラスから西・南に延びる道路には道中で山賊が現れるらしく強盗の被害が報告されているらしい。警察はこの情報を教えてくれなかったものの、自転車による走行禁止区域がまさに同じエリアであることからトラックによるピックアップは山賊対策である可能性が高い。
 具体的な警察が介入を示してくる区間としては

 1、アボッターバード〜チラス カラコルムハイウェイ
 2、ナラン〜チラス      カガン渓谷及びバブサール峠
 3、チラス〜ギルギット    カラコルムハイウェイ
 
 といった場所が挙げられる。警察の介入にも強弱があり、2のエリアに関しては有無を言わさず車両にピックアップされてしまったが、1に関しては走行可能区間もあればピックアップを余儀なくされた区間もあるとのこと。3のエリアでも再三「車に乗っていけ」と言われたが、自走したいと突っぱねたら許可された。しかしこの区間で出会った他のサイクリストはずっと警察のバイクに張り付かれいたのを目撃しており運次第で状況が変わると思っていた方が良い。

 一応帰り道でアボッターバード〜チラス間の道も通過しているが、車内から見た限りでも「確かにここの道は個人で通してくれなさそう・・・」と感じる程に検問の数が多く厳重な雰囲気を感じたのであり、実走された方がいたら是非その辺の話を聞いてみたい。


 ◎カラコルムハイウェイの状況

 【道路】
 世界の最も高い場所を通る「舗装道路」というのが謳い文句なだけあって、一応は全線完全舗装のアスファルト道である。私はイスラマバードから正規のカラコルムハイウェイじゃない東部山越えのショートカットルートを走ったため、この区間は結構な未舗装路や路面の悪さに苦労することがあった。

 なお路面状態にあってはそれほど良好ではない。これはカラコルムハイウェイの大部分が急峻な崖下等にへばりつく形で造られているため致し方ないのだが、落石や土砂崩れによる崩落でダメージを受けてる箇所が無数に存在している。こうした崩落でガードレールや電柱も巻き込まれて鉄屑となったまま放置されている感じであり、路面の整備にまで手が回らないのも「まぁそうだよね・・・」と思ってしまうところ。

 恐ろしいのが現在でも頻繁に落石や土砂崩れによって道路が塞がれてしまう事態にある点で、私がこの地域を訪問している間だけでも最低3回、カラコルムハイウェイ上で土砂崩れにより道路が通行不能となってしまった情報を受け取った。相当規模が大きなものでない限りは半日〜1日程度の期間で開通工事完了していたが、日程的な余裕がなかった後半はこうした状況に一喜一憂していた。

 なお単純に道の特徴としては標高1000m程度のエリアをアップダウン繰り返しながら進んでいくことが多い。そして標高低いエリアの方が坂の斜度もキツくて走るの大変だったりと間違いなくカラコルムハイウェイにおいて大変なのは前半戦。私の場合はパキスタンの滞在期間が30日間しかなかったこともあって前半戦では休息日を入れずに走り続けたのだけど、後半は疲れすぎて限界ギリギリまで追い込まれる程だった。

 何となく全体的に標高の高い土地を貫くイメージがある道だけど、実際カラコルムハイウェイ正規ルートを走ると標高3000mを超えるのは最北ソストの町を抜けてクンジュラブ峠に先かかるエリアからだ。パキスタンの夏場は1000m前後の標高だと簡単に30度超える暑さとなるため真夏の走行に適した地域とは言いづらかったというのが私の感想。

 【宿泊・野営地点】
 宿泊施設の値段が非常に安い国であり、尚且つパキスタン他の地域と違って宿で外国人の宿泊拒否が(1箇所除いて)発生しなかったのでほとんどキャンプをしていない。なお宿泊拒否事案が発生したのは前述の警察によってピックアップ余儀なくされたエリア。詳しくは日記で書いたが、この時は夜中にトラックでピックアップされてチラスの町まで強制移動させられた。

 基本的に2〜30kmも移動すれば何かしら宿泊施設が出てくるため、1日の走行距離をしっかり決めずに見切り発車しても宿が見つからずに困窮するという可能性は低い。宿のグレードで全然違うが私は1泊2000ルピー(約1000円)以下の宿で全行程を走り切っている。特徴としてチラスやカリマバードといった町は全体的に宿の値段が高い傾向にある。

 値段の割に綺麗で広々とした部屋を備えたコストパフォーマンスに優れた宿が多い反面、この地域全体的に電気設備や通信設備は非常に貧弱。特にフンザ地域まで入り込むと町全体が停電することも多々あり、施設の電気給電状況はその宿が発電機を持っているか?持っていたとして何時間動かしてくれるのか?といった点に左右される。特に対策してない安宿の場合、運次第だが1日の半分近くは停電してると考えた方が良い。

 【補給】
 これに関しては全く問題ない。そもそもカラコルムハイウェイがパキスタン〜中国における物流道路として造られた背景もあるし、歴史的にもシルクロードとして(一部)使われていた道である。定期的に集落が出てくるし、そうでなくとも大型トラック等の車両が休憩しやすい広い駐車場を備えた食堂とかが沢山ある。唯一ソストの町から北上するとクンジュラブ峠までの80km間には補給できるような場所が存在しない。

 なかなかの僻地にある土地だが大きな町だと物価は都市部と変わらないし、小さな集落とかでも物の値段は10%くらい上乗せされる程度。この道を走ってきた者からすれば随分良心的な値上げ幅に感じられはした。そもそもパキスタンの物価は現在世界全体で見ても最安値レベルであり、多少の値上げがあったところで「そもそも無茶苦茶安いしなぁ」という感じではある。値段よりも田舎すぎると食事の種類が限られてしまうことや早々に店仕舞いされてしまいタイミング逃すと食いっぱぐれることの方がよっぽど厄介。

 フンザ地域まで入ると中国文化の影響が強くなり、所々で中華レストランが出てきたのがパキスタン料理に飽きていた私みたいな人にはとてもありがたい。なおフンザではその辺を流れる水が白濁し濁った色合いをしており通称「フンザウォーター」などと呼ばれたりするが、これの原因は氷河からの雪解け水が川に混ざり合うことで起きるものらしい。地元民が利用するような食堂とかいくと普通に飲み水でこのフンザウォーターが出てくるが私は平気でガブガブ飲んでたな。

 余談だがイスラム教の戒律が緩いフンザ地域では地元民がワイン等のアルコールを作って飲んでいるらしく、これの名前も「フンザウォーター」というらしい。私もぜひ体験してみたくカリマバードで探し回ったのだが、一介の旅行者が見て回る程度で簡単に見つけられる代物ではないらしい。高級なホテルで裏注文をするとか自家栽培してる人を教えてもらい相談するとかしないと難しいとのこと。


 ◎カラコルムハイウェイの環境

 【通信】
 パキスタン国内では複数の会社が通信事業を運営しているが、北部の特にフンザ地方となると山中でインフラ設置するコストに対して人口が少なすぎるのがネックとなるのか使える会社が非常に少ないと聞いた。実際にはある程度の規模の町なら「町中に限れば」ネットが通じるという状況であり、ある程度郊外まで離れても通信環境が残るという意味での通信会社は確かに少ないというのが実情。

 そんでフンザ地域にも強いとされるTelenorという会社のsimカードを購入しようと目論んでいたのだが、2024年8月時点で「2ヶ月前にルールが変わって外国人にはsimカードの販売をしなくなった」と店員から言われた。この話が真かどうか怪しいと私は思っているのだが実際にsimカードは買えなかったのであり、それなら何処の会社使ってもそんな違いはないのかな・・・?というのが正直なところ。他のサイクリストでZongという最大手のsimを使っている人がいたし、それで問題ない気もする。

 というかパキスタンはガチ山中の集落とかでもなければ結構Wi-Fiが設置されてる宿が多い国であり、速度と不安定さに目を瞑れば定期的にネット接続できるため問題となることは少なかったりする。

 【気温】
 8月・9月前半の下ラコルムハイウェイは全体としてかなり暑い。これは思ったよりも全体的な標高が低く、標高による気温低下の恩恵を受けられないことが影響しているからと思われる。
 内陸の奥地でありながら湿度も割と高い場所が多く、5月をピークとするパキスタンの気候は暑さも和らぎ始める8月であっても尚しんどい30℃超えてくる日も多発したため、この道を自転車で走るシーズンはもう少し涼しい時期である春秋が適していると思う。

 本格的に山奥に入ってしまうと涼しいどころか天気次第で寒いとすら感じる気温となるのが厄介な土地だが、カラコルムハイウェイ以南のルートはもっと灼熱の気温であったことを鑑みると「道中ほとんど暑いが山奥が快適な気温」か「道中大体快適だが山奥では非常に寒い」といった二者択一となるのがカラコルムハイウェイを走る者の宿命となるのかもしれない。ちなみに私は選べるのならば断然後者の環境で走りたいタイプ。

 【風・雨】
 インドのラダックと隣接した土地であるため7・8月のモンスーン時期でも雨は少なく年間雨量も大したことないだろう・・・と思っていたのだが。この地域ではそこそこ雨降るのが常だそうで、何より怖いのが雨量が少なくてもそれが土砂崩れを引き起こすきっかけとなり道が寸断されてしまう可能性が高い点。なんだかんだパキスタンでは雨停滞することも多かった気がする。

 これに対し風にあっては夏場だと常に南か西から風が吹くカラコルムハイウェイ。イスラマバードからのスタートだとほとんどの区間で追い風を受けることになるため楽ができる。基本的にカラコルムハイウェイは唯一の峠であるクンジュラブ峠を目指して登っていく道とも表現できるため、北上ルートなら登り+追い風に、逆の南下ルートでは下り坂+向かい風と図式になりやすくバランスが良い。なお標高3000mを超えてくる土地だと夜間は強烈な風が吹き付けるためテント泊だと注意を要するが、そもそもこの道で3000m以上の場所にステイすることが滅多にない。

 【標高】
 ヒマラヤ山系に属する標高が高い道という話からさぞや高所を走るものだと思っていたが、実はカラコルムハイウェイは全体的にみると標高2500m以下の場所がほとんどで、半分以上は1000m前後の高さにある。

 亜流ルートのバンジャブ峠を使った場合は別にして、本道であるカラコルムハイウェイは全体としてクンジュラブ峠をピークとした1つの大きな山をアップダウンを繰り返しながら登っていくタイプの道であり、高原地帯を走るというより「裾野がデカい1本の山を遠くから登っていく」といったイメージが近いといえる。

 気温の項でも書いたがこうした点が原因で、標高による温度低下の恩恵を受けられるのはギルギットの町くらいからであり、それ以前のエリアは南部地域ほどではないにしても全体的に暑く真夏の時期に走行するとアップダウンの多さもあって熱中症の危険も大きい。そういう意味で寒くなってくる4000m超えの一部エリアの方を「冬用の対策をしておくポイント」と捉えて、むしろ他の部分に照準を合わせカラコルムハイウェイを走る場合は春や秋といったシーズンの方が全体的に快適な気候を楽しめる。

 一応クンジュラブ峠の標高は4692m、バンジャブ峠は4177mの高さがあるのだが、バンジャブ峠は途中で自走ができなくなるエリアのため割愛。クンジュラブ峠に関しては流石に冬用のウェアを着て臨んだが9月前半の時期では天気よければ山頂でも10℃近い気温であり割と過ごしやすい程度。真冬になるとー40℃とかの猛烈な寒さになるとのことだが、そもそもこの道を冬季に自転車通してくれるのかは分からない。一応ソストの町までは真冬でも行けるらしいが。


 ◎クンジュラブ峠への道

 【クンジュラブ峠】
 カラコルムハイウェイにおける最高所となるポイントに位置する山であり、パキスタンと中国との国境にもなっている場所。一応世界の国際道路において世界最高標高の道とのことだが、日記内でも書いた通り私はこの言葉に懐疑的である。なお道路における最高標高は国境地点の4692m。

 パキスタン側しか走ってないので中国側は伝聞となるが、急峻な山々が連なるパキスタン領と違って中国領では高原地帯といった土地が緩やかに続いている全く景色の異なる様相らしい。

 【スタート地点までのアクセス】
 最寄りの町は山頂から約80km強位置にあるソストだが、ソストから30kmちょっとの場所にクンジュラブ国立公園の入場ゲート及び事務所があり、自転車における実質的なヒルクライムスタートポイントはここであると言って良い。

 というのもこの国立公園内ではキャンプ行為が禁止されており厳しく取り締まりが行われているため。なので山頂から中国側に(自転車でそのまま中国入国できるのかは怪しいが)入国するという人でない限り同日中に国立公園ゲート入口まで往復する必要があり、その距離・獲得標高を考えるとソストの町からの往復は相当厳しいことが伺える。

 この国立公園における一般人の入場料は2024年現在40ドル又は相当するパキスタンルピーなのだが、どうやら自転車においては特別料金が適応されているようで半額の20ドルであった。看板とかの表記にも40ドルと書かれており、あくまで人力旅行者に対する配慮らしいので40ドルが正規なのだがこの辺を勘違いした旅行者が入場料金が違うとレビューでボコボコに書いてあったので悪しからず。

 入場料ゲートの奥にある警察検問エリアでキャンプしても構わないらしく、私は前日にここまで移動し翌日の朝7時から走行開始している。本来国立公園の開園時間は8時かららしいが自転車の移動速度では同日中に戻ってくるの大変なことは向こうも承知してるようで、お願いすれば時間前でも手続きを受け付けてくれる(こともある)。

 なおソストの町の標高は約2780mで公園ゲートが約3350mほどである。

 【行程】
 山頂までは公園ゲートから片道52kmで多少の下り返しを加味すると合計約1500mの上りとなる。要するに1500mアップする104kmの道を戻ってこなくてはならない。一応閉園時間は17時らしいが16時までに戻ってこいとか18時までにゲート戻れば大丈夫とか色々聞いたので、この辺は流動的というか「日が落ちるまでに出ればOK」という緩さなのかもしれない。

 前半の30kmは全体的に緩やかな斜度の坂が続く道で、それまでの谷底を登っていく道と同じような雰囲気だ。道中に検問のための小さな小屋が点在しているが、これは時間が遅くなると「これ以上先に進んじゃ駄目」とゲートを下ろすタイムリミットラインみたいなもので関係ない。フンザ川が二股に別れてる35kmちょいの北へカーブするポイントからつづら折れの道が出てきて斜度も厳しくなる。大体ここの10km区間が全体的に斜度の厳しいエリアが続き、そこを越えると谷の脇を通っていた道が山の上へと抜けて空が広がり別の景色が見られるようになる。

 国境となっている山頂には当然両国のイミグレーションがあるのだが、パキスタン側のイミグレはソストの町に正規事務所があるらしく、ここのイミグレは警察や軍隊の詰所といった方が正しい感じ。なので特に手続きとかをしなくても建物を通過して中国との国境線上に立つことが可能。というかその脇に駐車場があってパキスタン側の人がこぞってやって来る観光地となっている。なお中国側のイミグレは有刺鉄線と物々しい鉄格子で区画されており、写真を撮ることは可能だがとても気軽に声かけるような雰囲気ではなかった。

 一応山頂にはカフェやATMといった施設も存在するが下界とくらベて5倍くらいする物価であまり利用する気にはなれない。ここまでフルパッキンで登る自信がなく空身でヒルクライムだったので食料持っておらず、とにかくエネルギー補給したい!・・・みたいな要望には応えてくれることでしょう。

 ◎まとめ
 ラダックやパミールと異なりカラコルムハイウェイは物流道路として造られた道であるため、広大な土地を自分の好きなようにルート組んで走り回るタイプではなくスタートとゴール地点がハッキリ決められているため「踏破する」ことを目標にしやすい道だといえる。実際寄り道となるような大きな他のルートがスカルドゥへと向かうルート以外、小粒であるか完全にカラコルムハイウェイを外れた別の道に大別されてしまうため「カラコルムハイウェイを走りたい」という動機でこの道に訪れるとバンジャブ峠を通るか素直にアボッターバードの町からスタートするかの実質2通りになるワケだ。

 ここまでは全然悪いことで無いのだが、これに加えて中国のビザが非常に取得しづらい(2020年以降、中国では日本人のノービザ入国ができなくなっている)ためクンジュラブ峠以降のルートで実質同じ道を逆走するしかない点が弱点か。もうちょいパキスタン側が個人で自由に走行させてくれたり宿を絵らべるよう譲歩してくれれば嬉しいのだけど、ここに関しては今年(2024年8月)パキスタン政府はビザの発給条件を容易にしたり滞在可能期間も90日へと増やしたりとルール改定し歩み寄る姿勢を見せているため今後に注目したいところ。少なくとも90日間の滞在が可能であれば、私はこの道とその周辺にある土地をもっと色々回ってみたいと思っていたしそれだけの魅力がある土地であった。

 他の2大ヒマラヤロードと違って1国に留まらず国境を越えてガラッと景色が変わってもなお続く道というのが最大の特徴だと思っているのであり、中国側さんの入国・入域条件の緩和及び走行不可とされる土地の解消を頑張って頂きたいけれど、正直こちらは望み薄いかなぁと思ってる。新疆ウイグル自治区だし。

 カラコルムハイウェイを走る外国人サイクリストは最終的に20人近く出会ったけれど、その中で中国方面へ抜ける(抜けてきた)の人は半分以下で、それも全員中国ノービザが解禁された西欧国籍の人ばかり。多くの人がパキスタン領のみを走って終わりとしていたのは勿体ないと感じるし、私自身が「行けるのならば行ってみたいけど・・・」という気持ちだ。ここを抜ければそのままタジキスタンへと自走することで「一夏の間に3大ヒマラヤロード全走破」という楽しみ方もできるので。

 ともかくパキスタン側のみなら1000kmに満たない距離であり、割と短期間で走破できる点から長期旅行者だけでなく短期でチャレンジングな走行をしたい人にも魅力的な道だと考える。体力に自信がなければクンジュラブ側から、ヒルクライム好きな坂バカ系はイスラマバードから。いずれもフンザの美しい景色と親切な人々に囲まれて素晴らしい走行経験になると思う。ただし土砂崩れ等で道路閉鎖の可能性があるため旅行予定には常に余裕を持ってお楽しみください。
    mixiチェック

 ラダックでの走行終了したので情報取りまとめてみた。今までも幾つか走行して面白かったり意義があったと感じた地域・道に関しては個別にまとめを作成しているのだが、1つのエリアで40日以上に渡って滞在したというのはアマゾン川筏下りに続いて2度目かと思われる。

 ◎ラダック

 【基本情報】
 インド最北部、ジャンムー・カシミール州における東部の地域を総称してラダックと呼ぶ。ヒマラヤ山脈に属する土地であるため標高が高くラダック全体の平均標高は約3500mほど。こうした土地であるため冬季はこの地域へアクセスできる主要道が閉鎖されてしまい航空便でしかアクセスができないし、多くの商業・宿泊施設もシーズン外は閉鎖されてしまう。

 また隣国の中国・パキスタンと領土問題を抱えている地域であり、割と近年まで外国人はラダックへ入ることも出来なかったし一部地域では旅行代理店にて入域許可証を取得しなければ通行できないエリアが存在する。そうした背景もあってかインド軍が常駐している基地が数多く存在しており、場所によっては検問エリアで身分証明をする必要がある。

 【特徴】
 上記の軍事的な関係らしいが、ラダックというかジャンムーカシミール州全域に渡ってインド他地域で購入したsimカードによるネット通信ができないという問題がある。つまりラダックを旅行する際にスマホを活用したい場合はラダックに入域後simカードの購入手続きをする必要に駆られる。

 一応聞いた話ではインドの3つある通信会社で3位に付けているJIOという会社のsimカードはラダック地方に対して力を入れてるらしく、このsimカードならば他地域で購入した物でも問題なく通信することが可能だと聞いた。自分で試した訳ではないので参考までに。

 場所でいうとダルチャの町までは問題なくネット通信することが出来たが、それ以降はそもそも電波が入らない僻地を走行することとなり、再び電波がキャッチできるようになった時には通信することは不能となっていた。

 なおsimによる通信が出来ないだけでWi-Fi等の他の通信手段は利用することが可能だし、インドはsimの利用料金が非常に安いのでラダック入域後に改めてsimを買い直しダブルsim体制にして活用するのも有り。というか現地のインド人は多くの人がその方式にしていた。 


 ◎ラダックの状況

 【道路】
 2024年現在で主要な道路は9割、あまりメインに使われていない道だと6〜7割がアスファルト舗装されているイメージ。軍事的な防衛の観点とインドが「ラダックは自国の土地だ」とアピールする側面もあって近年急速にインフラ開発が進められており、何年か前では車両じゃとても行けなかったような僻地にもどんどん新道が建設されている。
 全体的に標高が高い土地で5000mを超える峠道は私が登っただけでも6つあったが、そのうち5山は程度の差こそあれど山頂までアスファルトが敷かれていた。過去に5000mを超える道は複数走っているが、いずれも4000m後半から未舗装路が続いてたことを思うとこの舗装具合は群を抜いていると評して良いと思う。
 他のライダーから今年(2024年)の舗装・未舗装状況を記した地図データも頂いたが、実際にはこの通りじゃなかったポイントもあったりするので完全に信頼するのは避けたほうが吉。

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 【宿泊・野営地点】
 インド他地域と違って人口が少ないし人が緩やかなため野宿は非常に楽である。一部の都会を除けば何処にテント張っても問題になりはしないのだが、切り立った崖や川の側、坂となる場所走ることが多く、尚且つ標高が高い土地で森林限界となってる場所も多く、身を隠したり風を防ぐような遮蔽物が少なく単純に地形的な意味で野宿が大変という側面はある。

 基本的に小さな集落でも複数の宿泊施設が存在しておりホームステイタイプの宿なら夕・朝食がセットで付いてくる上、値段も1000ルピー(約1840円)程度とインド僻地にしては手頃な価格。ゲストハウスだと安い場所でその半額くらいがあったら嬉しいかな。ゲストハウスがあるレベルの町なら食堂も別施設として存在してるのが普通なので、基本的に宿泊施設を利用してる限りは食べ物が無くて困窮するということはない。

 なおガチの田舎では電気が通じてなかったり、通電してる時間帯が限られてることもあるので要注意。シャワーに関してはソーラーパネルを利用した温水装置がラダック全体に広く普及しており、割と時と場所を選ばず利用できる印象だ。

 【補給】
 アジアの奥座敷などと評される土地のラダックだが、こと補給に関してはほとんど心配をしなくて良いレベル。基本的に30kmも移動すれば何かしら食堂や商店が出てくるのが一般的で、私が走った中で最も補給ポイントが離れていた距離で60km程度。要するにラダックを走行するにおいて何日分も食材を持ち運ぶ必要は無いし、例えばダルトンハイウェイ宝石の道といった道と比較してラダック走行は全体的な難易度が低く抑えられていると評することができる。

 水に関しても食堂以外に様々な川から補給することが可能なため、余分に持ち運ぶ必要性はほとんどない。川の水は大概の場合水を補給しやすいポイントにて多くの人がそのまま水飲んでおり、私もそのまま使っていたが、生水飲むのが怖いならばレーのアウトドアショップに浄水フィルター等も取り扱っている。

 なおチベットの影響が強い土地であるため食事もインド本土だけでなく中華やネパール、チベットといった土地の食も楽しめるため、個人的にはインド本土よりも充実していた。ただしガチの田舎になるとメニューにダルライス(豆ご飯)があれば良い方で、営業中の食堂でありながら「メニューはない」とか「マギー(インスタントラーメン)しかないよ」といったパターンが増えるので要注意。なおご飯系のメニューは基本お代わりしても値段が変わらないということもあり、エネルギー保持的な意味でもフライドライスやダルライスを食べることは多かった。それでもラダック走行終了前には無茶苦茶痩せてしもうたが。


 ◎ラダックの環境

 【入域許可証】
 先にも書いたがラダックでは一部のエリアでは通過するために入域許可証が必要となっている。数年前まで外国人は複数人だとかツアーでないと許可証が発給されないといった話を聞いたが、2024年現在ではレーの町中にある旅行代理店行って「許可証が欲しい」と言えば簡単に出してくれる。

 なお代理店から公的機関へ申請するのだが、その時間締め切りが12時頃までらしく基本的に申請は午前でないと受け付けてくれない。必要な書類はパスポートのみで一時ホールドされることとなるが、同日の午後には返却してくれるためそれほど問題となることはないと思う。

 むしろ慌てて申請するほうが罠であり、許可証は発給されたその日から有効期限が14日間となっているため、自転車で複数のエリアを回ろうとすると日数制限的に厳しくなる可能性がある。あとこの許可証は各チェックポイントでそのまま没収されることもあるため、最低5〜6枚はコピーして所持しておいた方が良い。私は代理店から5枚受け取って3枚ほどコピーし最大で8枚ほど所持していた(なお3枚余った)。

 この許可証が必要な場所は7地域存在しており

 1、カルドゥン・ラ及びヌブラ渓谷周辺
 2、ツォ・モリリ湖周辺
 3、パンゴン湖周辺
 4、ロマ以南
 5、ショック川周辺
 6、ハンレ周辺(ウムリン・ラ含む)
 7、ダー・ハヌー周辺 

 が該当する模様。簡単に言えば最大都市であるレーの町から東に向かう道はほとんど許可証が必要なエリアだと思って貰えば良い。

 【天候】
 インドは少々特殊な土地で1年のうち最も暑くなる季節が4〜6月にかけてとなっている。だがラダックに関してはこれが当てはまらず一般的なイメージ通り6〜8月くらいが最も暖かい時期。このため旅行者のほとんどがこの3ヶ月くらいに集中する傾向にある。一応5月や9月も旅行可能な時期とされているが、例年9〜10月には雪が降り始めラダックへの道路が閉鎖されてしまう(開通時期は毎年4〜5月らしい)ので、実質的にこの期間が旅行できるタイミングとなる。

 この時期であれば日中の気温は、レーの町みたく平均的な標高(3500m)だと25度を超える夏日となることも多く、太陽光が強いこともあって体感的には暑いと感じる。もちろん移動し標高が変わると気温も変化するので一概には言えないが、多くの場所では標高が高くとも夏の時期における服装で問題ない。

 大体標高4500mを超えると場所によって残雪が出てくる場所もあり、そうした峠の山頂だと気温は日中で10度前後まで落ちる。天気と風次第で体感温度はもっと低くなるので峠越えを視野に入れてる場合はちゃんとした冬用の装備が必要だし、私は運動しながら登ってたのでともかくバイク乗りなんかはほぼ全員ライジャケ着込んで寒さ対策に余念がなかった。

 【風・雨】
 全体として風は西、場合によっては北から吹いてくるイメージ。毎回お昼頃になると吹き始め、夕方から日が沈むまでがピークとなって夜にはほとんど吹かないというのが繰り返される感じ。ただしラダックは多くが谷底の道を走ることもあり、谷に沿う形で風向きが変わるといったことが多々発生するためこの限りではない。

 なおこの地域での年間降水量は平均50mm前後とほとんど雨が降らない土地。実際には7・8月がその僅かに雨が降る時期でもあり「雨を全く気にしなくても良い」という訳ではないが、仮に雨が降っても雨量は僅かだし長時間降り続けることもないため、実際のところラダックで天気を気にすることは全くなかった。なお場所によっては雪降ってきたことがあり、流石に降り積もることは無かったが少々焦ったな。

 【乾燥】
 標高の高い土地で太陽光も強く乾燥した土地のため、対策せずに長時間滞在してると唇が荒れるどころか裂けて出血したりするのでリップクリームやれワセリンの存在は重要。

 ただ全体を通してラダックでは指先が乾燥で割れるとか深刻な問題が起きることは無かったのであり、そういう意味では乾燥地帯とはいえその程度はやや軽い方に分類されると思われる。水が豊富な土地だからかな?と思ってた。

 【標高】
 他にも標高の高い土地を走る有名な道は幾つか存在するが、ラダックが突出してるのはこの部分。なにしろ最大都市のレーへ向かう主要道路を走るだけでも5000mを超える峠を複数超える。多くの土地で標高5000mの道というのは「そこを走るために狙って向かう」場所というイメージなのだが、ラダックにおいては普通に目的地まで走る際の通過点として出てくるのが凄まじい。

 いくら路面状況が良いとはいえ高度順応しきっていない状態でこの標高まで登るのは相当難しく、飛行機でレーの町に到着する場合はこの点が最大の障壁になると思う。言い換えるとマナリやシュリーナガルから走って徐々に登ってきた場合はほぼ気にする必要無い。

 最大都市レーの町が標高約3500mだがヌブラ渓谷周辺だと大体3000m強、パンゴン湖周辺が4000m強、ハンレの町で4200mくらい、パドゥムの町が3500m、カルギルやマナリの町は約2500mといったところ。これらの町や土地を繋ぐ川沿いでない道の場合は大体4〜5000mの峠を通過する必要があると思っていれば大体あってる。


 ◎世界最高所の道

 【ウムリン・ラ (ウムリン峠)】
 2022年に新しく開通した道で、それまで世界最高所の道とされてたボリビアのウトゥルンク山駐車場から世界一の座を奪った峠。ちなみにウトゥルンクへの道はほとんど廃道となってる未舗装路で「これを道と評して良いものか?」という物言いが一部で上がっていたと聞いたことがある。

 そういう意味でもウムリン峠は現役で一般車両が利用している文句なしの最高所で、その標高は5798m。過去にインド軍はレーの町から程近いカルドゥン峠を5602m(数字は諸説有り)と標高詐称し「世界1高い峠」と自称していた過去がある(複数の機関がGPS等で再測定を実施し現在は5359mと改められている)ため、ウムリン峠も同様に標高詐称してる可能性が無いわけではないのだが、私がそれを深掘りしても確かめる術がないのでインドの発表を信じる前提ではあるが。

 【スタート地点までのアクセス】
 レーの町から南下して峠の麓にあるチシュムルの町若しくは麓の食堂兼簡易宿泊所まで約300kmの距離。ルートを選べばここまでの全行程をアスファルトで移動することが可能であるが、その場合道中で標高5524mのポティ峠を登坂する必要がある。正直いって登る難易度だけでいったらこちらの方がキツいかもしれないレベルの峠であり、仮にこのポティ峠を回避する場合は30km以上に渡ってインダス川沿いを通る砂地の未舗装路を走行するか、ハンレの町から南下してポティ峠を含む山脈を迂回する未舗装のルートを通ることとなる。後は峠の反対側にあるデムチョクという中国との国境沿いから登るという方法もあるっちゃあるが。

 ここにたどり着くまででも一苦労だがこの地域は入域許可証が必要なエリアとなるため、あまりにゆっくりアクセスしたり疲労回復やコンディションの良い日を待ち続けてると滞在期限を過ぎてしまう可能性がある。なお私の場合は(色々寄り道したので)余裕となる日が存在せず、ポティ峠を登って疲れ果ててる翌日に登坂、この翌日に入域許可証が必要なエリアを脱出するためLOMAの町まで移動する必要があった。

 これは言い換えるとフルパッキン自転車の移動でヌブラ渓谷やパンゴン湖を経由しつつウムリン峠を狙っても時間的に間に合わせることが可能という意味ではあるが、高地で自分の1日に走れる走行距離と獲得標高を完璧に把握し未舗装路や渡河といった地形の走行経験がある人じゃないと流石に厳しいと思う。

 【行程】
 山の麓から山頂までの距離は片道で25kmの距離。獲得標高は約1150mほどで、道中の道は全て完璧にアスファルト舗装されている。なお途中に売店はおろか風よけのための人工物すら存在しないため補給用の食材等は全て自分で確保し持っていく必要がある。

 一応山頂にカフェが存在するのだが、これはインドが「世界一高い場所にあるカフェ」というのを示したくて建設した施設らしく、通常時は営業しておらずイベントがある日だけ営業するハリボテ的な存在なので期待しちゃ駄目。

 スタート地点の標高が4650mほどで、ここから15kmくらいは川沿いを進む道となり斜度も緩やか、私の場合は強い南風に押される形で走行も楽でペースも良かった。しかし進行方向変わった後半になると標高上がって心配的に苦しくなるのに斜度がキツくなるという嫌らしい仕様となっており、途中に「エベレストベースキャンプと同じ標高」と記載された看板が出た辺りでは乗車しての移動はほとんどできず押して進んでいた。

 以後、斜度が緩やかになった場所のみ乗車して進んでいったが、山頂手前2kmくらいで山の稜線に出ると斜面で防がれてた風が一気に吹きつけてくるので非常に危険。普通の状態なら耐えられる風の強さでも空気が薄い状態で呼吸に喘ぎ頭痛に耐えつつ移動してる状況なので、下手すると事故につながりかねない怖さがあるため要注意。

 山頂まで登ると看板の他に休憩室といった施設が利用できるため、風の無い場所で休憩することが可能。このポイントから先へ山下るとデムチョクの町へと行けるのだが、そこから先は主要道路へ戻る未舗装の道が1本あるのみのため、他のバイク乗りはほとんど山頂にて引き返してたし私もそうした。デムチョクに食事や補給ができる場所があるのかは不明。

 ◎まとめ
 とにかく風光明媚で素晴らしい景色が多く走ってて楽しい土地だった。高度順応さえできれば路面状況の良さと補給の容易さから走行難易度は宝石の道といった土地より低く取り組みやすい土地だと言える。それでも経験上10段階で9評価とかの非常に難しい道ではあるが。

 そういう意味でここを走るような自転車乗りは自分のことを自分で対処できるだけの強さと経験を備えているのが最低条件だとは思う。バイク乗りにも非常に人気の土地だけど、自力で川を渡れなくてアワアワしてる輩とか、ガソリンの消費量計算しておらず動けなくなりそうで困窮してるライダーは結構いた。んでバイクの場合はそうした初心者レベルでも仲間が多いしリカバリ可能と思うけど、自転車でトラブルに対し自己対応できない場合ラダックは相当厳しい土地だと思う。

 単純に道から外れたら落ちて間違いなく死ぬレベルの未舗装路を数多く走るので、そうした走行に対してる程度経験がないと何かと危険。

 まぁそんなこと言ったけど主要道路を走る分には快適そのものだし気候も素晴らしい。場合によっては周囲を7000m超える凄まじい高さの山々が連なる世界屈指の高山地帯を走れたことは、この自転車世界1周全体をみてもハイライトの1つとして残ること間違いなしと感じている。
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 アフターコロナと呼ばれるようになってある程度時間も経過し、日本も入国時における制限が完全撤廃された昨今。自転車における海外旅行者も数を増してるようで割と嬉しかったりする。

 私はそんな海外自転車旅行者の動向なり日記を見るのが好きなのだけど、その一方で旅行者に対して直接一丁噛みしてやろうとか意見を申し上げるとかは極力しないよう努めている。

 旅行というのは個人の好きにやる行為であり、何かこだわりがあるならば自分自身で実践すれば良いことで、他者に求めたり強制させるものではないからだ。

 ・・・という前提の上で今回自転車旅行の経験が浅い、特に海外を走っているサイクリストが陥りやすい考え方にちょっと意見を申し上げたい。


 日本が島国であるという立地上、どうしても海外における自転車旅行という行為はハードル上がる面があると思う。まず飛行機使って自転車を輪行するという行為が珍しいし。

 この辺ヨーロピアンなんかは気軽で、ユーロ圏内なら国境間での手続きはないし、通貨も変わらない。だからか彼等は自国以外を自転車旅行するということに対して圧をあまり感じない。

 この点で日本人は海外自転車旅行という行為に「特別感」を持っていると感じることがある。私は「海外を自転車で走るとその国の本当の姿が見えるでしょ」といった趣旨のことを何度か言われたが、これは最たる例だと思う。

 自転車だと田舎や僻地といった土地を走ることも多く、観光地化されていないその国の生活に根差した景色や世界に触れられる・・・という趣旨なのは分かる。でもそれはその国の「別の一面」でしかないワケで「本当の姿」いうことはない。

 立場が逆で日本に来た外国人が「この国の本当の姿は〜」なんて言いながら観光地のアレコレを語っても嫌だし、かといって田園風景を指して「日本とはこういう国だ」と称されても嫌じゃないか。「それはこの国の一部を切り取ったにすぎないよ」というヤツだ。

 そもそも国の姿に嘘も本当もない。様々な面があって我々旅行者はそうした姿の一面を見ているに過ぎず、旅行形態によってその姿の一面が見えやすかったり分かりづらくなったりするだけ。

 こうした自転車旅行「だからこそ」という趣旨の言葉や考え方は、根底に自転車旅行は特別という感覚が存在するからと思うのだ。

 でもある程度海外で自転車旅行やってると、別に自転車で旅行することは特別でもなんでもなくて数ある旅行スタイルにおける1つの形なのだということが分かってくる。

 それを自覚したサイクリストは自転車旅行それ自体を指して「挑戦する」だとか「乗り越える」「すごい」といった表現はしない。旅行はそういうものではなく「楽しむ」行為だからだ。


 んで何が言いたいかというと、旅行始めたばかりのサイクリストがこうした「特別感」満載で自転車旅行を語っているの見てると全身むず痒くて仕方ないということ。

 ある意味で「かわいいなぁ」とも思うし、過去の自分が勘違いしていた様を見せつけられてるようで恥ずかしくもある。

 でも1つ確かなのは「自転車旅行は特別ではない」と自覚することで、旅行中に見て感じる物事は大きく増えるということだ。だから私としてはなるべく早いうちにそうした感覚を見直した方が、より楽しい旅行ができると思いますよ・・・と言いたいかな。
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 一応自転車旅行のブログだが、ときどきそれ以外の遊びも行っていて、その中で海外登山はかなり大きなウエイトを占めるジャンルだったりする。その中でも大陸最高峰というのはロマンもあるしチャンスがあれば挑戦してみたいと思っていた山なのです。ということで思い入れの強いキリマンジャロ登山についてまとめてみた。

 ◎キリマンジャロ山

 【基本情報】
 アフリカ大陸における最高峰の山であり、大陸最高峰である「セブンサミッツ」の一角でもある。標高は5895mで東西に2つのピークがあり、西の主峰がキボ山、東の主峰がマウェンリ山(5149m)。
 場所はタンザニアの北部でケニアとの国境に近いキリマンジャロ国立公園に位置しており、登山の拠点となるモシの町は国立公園まで直線距離で20km程の距離である。

 【特徴】
 大陸最高峰の標高を誇る山ではあるが、特別な登山技術を有しなくても登頂可能であるとされる。ただし個人での登坂が禁止されているため、現地のツアー会社に申し込みして登山日程、登坂コースを決めた上でガイドを含むチームを組む必要がある。
 登頂率は5割前後とされており、登頂の成否は高度障害の有無及び山頂の風の強さによるところが大きい。つまり山中にて十分な滞在期限を備えているほど登頂の成功率は高くなる傾向がある。

 ◎キリマンジャロの状況

 【登山ルート】
 全部で6本のルートが存在する。有名なルートから順に「マラングルート」「マチャメルート」「ロンガイルート」「レモショルート」「ウンブウェルート」とあり、よく分からんが「ムウェカルート」というのもあるらしい。
 最初の「マラングルート」と「マチャメルート」というのが2大人気ルートらしく、欧米人には北部ケニアの国境付近から登る「ロンガイルート」で登る人も多いとのこと。全体的にはキリマンジャロの「東から登るマラングルート」「南から直登するマチャメルート」「北から登るロンガイルート」「西から登るレモショルート」と東西南北に最低1本はルートがある。他にも幾つかバリエーションがあるらしいがそれ以上は聞いてない。
 初めてキリマンジャロを訪れる日本人の9割以上が「マラングルート」か「マチャメルート」を選ぶことになると思うので、この2つのルートの特徴だけ表記しておく。

・マラングルート
 通称「コカコーラルート」と呼ばれ、コース途上のキャンプ地全てに山小屋が配備されている最も難易度の低いルート。ガイド曰く「コーラは飲んでもフラつかないでしょ」
 唯一通常登山プランに4泊5日の日程がコースが存在するルートで、私はこの5日間コースを選んだが(安いから)、5泊6日の日程で登る方が体力・高度順化の面で有利であるため登頂率は上がるらしい。

・マチャメルート
 通称「ウイスキールート」と呼ばれ、全行程でテント泊となる+マラングルートより山頂までの距離が短く急斜面を登ることが多い体力的に難易度の高いルート。ガイド曰く「ウイスキー飲んだらフラフラじゃん」
 一般的な登山プランでは5泊6日か6泊7日の2パターンから選択することとなり、前者のプランだとアタック日前日の睡眠時間が短いので大変とのこと。私の登山と同時期に日本人2人組がこのコースで登頂しており、彼ら曰く「マチャメルートは高度順応に適しているけど体力的には大変なルート」とのこと。これは往路である3日目に1度、標高4500m地点まで標高を上げた後に3900m地点のキャンプ地まで降りていくルートであるため、無理のない高度順応ができる点が大きいため。

 【キャンプ地状況】
 基本的に各ルート上に山頂まで4〜5ヶ所キャンプ地があり、そこを目指して進んでいく形。この中でマラングルートだけは道中のキャンプ場が3ヶ所しかないが、これはマラングルートが比較的容易に進める道でキャンプ地の数そのものがそれほど必要としないからだと思われる。

 一応私が登ったマラングルートでは
 マンダラハット(2720m)
 ホロンボハット(3720m)
 キボハット  (4720m)
 がそれぞれ設置されており、語尾に「キャンプ」と付かないのは山小屋がある施設だから。なので他のキャンプ地は「○○キャンプ」という名前がほとんど。

 マラングルートの場合、キャンプ場というより山小屋における宿泊施設であるため必要なインフラ設備が大方揃っており、電気の充電も出来るしトイレは(キボハットを除いて)水栓式という豪華さ。Wi-Fiルーターもあり、1日30分までなら無料使用が可能だし、料金支払うことで3日パス・6日パスを購入することもできる。
 小屋内のベッドもマットレスが敷かれておりシュラフを持参して寝ることになるのだが、こうした荷物もポーターが運んでくれる関係で自分で用意する物は実質無い。電源コンセントがタンザニア式なので充電したい人は変換コンセントを忘れずに。
 宿泊棟は1室4人までの小部屋が幾つも並んでいるスタイルで、早くキャンプ場にチェックインした人から詰めていく方式となっている。ホロンボハットやキボハットの宿泊棟は2段ベッド式なので、到着が遅れる且つ利用客が多いと2段ベッドの上段しか空きがないことも。部屋の鍵は1本を共有して使うので基本的にはドアに挿しっぱなしとしていた。
 基本的に他のルートを使って登山する場合、キャンプ地にしっかりした設備は存在せず、唯一ポットン式のトイレがある程度とのこと。

 【キャンプ地の移動】
 上記の各キャンプ地間所要時間は私がマラングルートを実際に歩いた数字である。多分一般登山客よりややペースが速いと思うが参考までに表記する。なお4泊5日のルートであり、5泊6日行程の場合は3日目にホロンボハットで1日滞在となるらしい。その日は道中3時間ほどのハイキングでゼブラロックというのを見に行くと聞いた。

 1日目:マラング登山口~マンダラハット(約3時間・8km)
 2日目:マンダラハット〜ホロンボハット(約5時間・11km)
 3日目:ホロンボハット〜キボハット(約4時間・9km)
 4日目:キボハット〜ウフルピーク(約6時間・6km)〜キボハット(約2.5時間)〜ホロンボハット(約3時間)合計21km
 5日目:ホロンボハット〜マラング登山口(約5時間半・19km)

 といった時間配分であった。その人の体力次第な点もあるが、基本的に山行ペースは登山者の体力を見てガイドが作ってくれるので、疲労や低酸素で動けなくなるとかでない限り上記の時間配分からそこまで乖離することはないと思われる。

 【高度順応】
 キリマンジャロ登山における最大の問題がこの高度順応にかかっていると私は考える。この点に関してはある意味で南米の6000m峰より難しいとも言えて、それはキリマンジャロは独立峰であるという点が大きい。
 というのも南米のアンデス主要峰は標高4000mを越えるような山岳地帯の只中にあるため、山に行かずとも付近の町に滞在してるだけで高度順応を進めることができるので、時間的余裕があればある程度順応した良好な状態で山行に望むことができた。
 だがキリマンジャロ麓に位置するモシの町は標高800m程度しかなく、事前にこの土地で高度順応するというのは現実的でない。必然的にキリマンジャロ登山中に順応していく必要があるのだが、高度障害ってのはどうしても人によって違うし体調や睡眠時間等でも変わってくる。
 事前にダイアモックス等の薬を準備しとくのも良いかもしれないが、私の場合は古典的な対策で山中ではひたすら水分を取るという対処をしていた。道中でのマメな水分補給はもちろんキャンプ地に到着したらサービスで出される紅茶等は毎回ポットのお湯1ℓが空になるくらい飲んでたし、同様の量を夕食・朝食でも飲んでいた。
 結果的に私はアタック日のステラポイント(5744m)を越えたあたりで少々頭痛があった程度の症状で済んだため、思い描いてたほど苦労をすることはなく終わった。

 【頂上アタック】
 歩行距離・体力的に無理の少ないキリマンジャロ登山でリタイアが出るとしたら、この山頂アタックの区間だと思う。基本的にどのルートを選んでも朝6時過ぎの日の出を見れるよう深夜に出発する夜間登山方式であるためギアでヘッドライトが必須。私はついでにハンドライトも持っていきダブルライトというスタイルで登ってた。
 キリマンジャロは標高4000m後半から5500mくらいまでの間がどのルートでも急峻な坂となってるようで、ここのポイントを乗り越えられるかが登頂の鍵を握ってるといえる。
 登山者の歩行ペースによって異なるが大体は夜0時前後に出発するため、それ以前と違ってガチ冬季装備での服装でないと寒くて動けなくなるので要注意。前日にガイドがウェアリングも色々と指示してくれるのだが、一応数字的なモノを出しとくと出発時の気温が0度前後。山頂付近の夜明け前はー10度前後まで気温が下がっていたと思われる。それに加えて山頂は風が吹きやすいため体感温度はさらに下がる。
 一部に岩場があり四つ足状態で登る箇所もあるが、基本的には歩き続ける形で山頂まで到達できるので特別な技術や装備品は必要ない。キリマンジャロが初心者でも登頂できる山と評されるのはこの点が大きいと思う。必要なのは体力と根性だけだ。

 ◎環境

 【気温】
 実はキリマンジャロ登山はその大部分で快適な気温の中を歩ける山である。赤道直下に位置してる山ということもあり年間を通して気温の変動幅が少なく暖かい。標高4000m近くまで私はtシャツ1枚とかで歩いていたし、欧米人とかで同様の格好をしてる人をそここに見かけた。
 ただし日が沈んだ後の冷え込みは割と厳しいものがあるため、自分で運ぶ小型のザックにレインウェアと合わせて常に長袖フリースを1枚入れておいた。
 山頂アタックだけは完全に別世界で完全冬用の本気ウェアで望む必要があり、顔もバラクラバとネックウォーマーに冬用キャップを併用して完全防備、グローブも2枚重ねしたし、下衣には冬ズボンの他にタイツ、上衣は4枚重ねで対応したけど山頂付近はそれでもやや寒かった。風がほとんど吹かない状況でその感想なので、上衣にダウンを1着くらい追加してもよかったかなと今になって思う。

 【乾燥】
 標高の高い山なのでそりゃあ乾燥する。高所登山では水をたくさん飲むべし!というのもこの乾燥によって失われる水分が非常に多いというのが1つあるくらいだ。
 こうした環境にいるとまず乾燥に弱い唇がカサカサになったり、指先がひび割れたりするためリップクリームやワセリンなどを持っていくと重宝する。私の場合は5日間だけだし水は幾らでも飲めると聞いたてのたで実質的な対策は何もしていない。
 他に紫外線が強くてUVカットクリームとか大切だぞ!と言われたけど何にも塗ってない。要するに茶壺さんは何一つとして乾燥・紫外線対策をしていない。いやいや流石にサングラスは使ってたけど、自転車で使ってるのそのまま流用しただけで何にも偉そうなこと言えないわ。

 【風】
 場合によって非常に強い風が吹くらしいキリマンジャロ。でも今回の登山では全日程では強風が吹くどころかほとんど無風の中を歩いたので特別苦労することもなく。
 むしろ低地でモシの町へ自転車移動してる時の方がよっぽど風に吹かれて大変だったのであり、これに関しては私は運が良かったのだと思っている。

 【標高】
 細かな違いはあるかもだが、マラングルートの主要ポイント標高は以下の通り。

 マラング登山口で    1879m
 マンダラハットで    2720m
 ホロンボハットで    3720m
 キボハットで      4720m
 ギリマンズポイントで  5685m
 ステラポイントで    5744m
 ウフルピークが     5895m

 つまり登山口から山頂まで、1日ごとに約1000mずつ登っていくイメージで、これはヒマラヤ山系などの登山で500m/日程度しか標高上げないことを鑑みると、相当勢いよく登っていると言える。キリマンジャロ登山で高度障害が鬼門となる理由はこの辺にありそうだ。

 ◎町での事前準備

 【登山ツアー会社】
 モシの町には無数の登山ツアー会社があるようで、特に下調べしなくとも外国人が町中をフラフラ歩いてれば向こうから声かけてくるレベル。大概の安宿には提携しているツアー会社があるようで、宿泊すれば向こうから「貴方には特別に格安の会社紹介するよ」みたいな演出で紹介される・・・というかされた。
 私は以前アラスカ、カナダでペアランした自転車旅行者兼登山家のタカさんからオススメ会社を紹介されており、に連絡する形でManda Adventures Ltdという会社で申し込みをした。
 こちらがやることは登山ルートと日程を選ぶくらいで、他の面倒な手続きは全て向こうが実施してくれる。問題なのはその料金の高さであり、2023年現在ではキリマンジャロ国立公園への入場料で1日あたり70$、それとは別に1日あたり60$(これが何なのかよく分からんが多分ガイドチームへの料金で4日分)、これらに消費税18%分が上乗せされ、ついでに救助費用の保険代として20$が必要となる。

 計算すると 70×5日=350$
       60×4日=240$
       計590$のTax18%=106.2$と救助費用20$
       合計728.7$が国立公園入る際の入場料として必要とのこと

 私がマラングルートを選んだ理由の1つが日程を短くすることでこの入場料金が1日分安くなるからだ。計算上6日予定なら入場料は869.6$となり141$分ほど得することになる。
 ここにツアー会社側の利益分が上乗せされてくるのだが、私の場合は総計1300$となった。この料金内にレンタル品の使用料とかは全て含まれているとはいえ、タンザニアの物価を鑑みると異常ともいえる値段ではある。
 なおタンザニアでは年々国立公園の入場料が上がってるらしく、今後この料金が上がることはあっても下がる可能性は限りなく低い。ひと昔前なら1100$くらいが相場だったらしいが、現在では「そんな料金じゃ何処もやっていないよ」とのこと。

 【チップ制度】
 登山をサポートしてくれるガイドやポーター達だが、彼らの給料は無茶苦茶安いらしくキリマンジャロ登山の仕事は実質チップで生計を立てているレベルとのこと。ということで現実的にチップの支払いが別会計で必要となる。
 事前にネットで相場も調べていたが、私は会社のボスであるデイビッドから話を聞いた結果「最低でも300$=70万タンザニアシリングは出してほしい」と言われ、支払い前日にガイドのオマリとも相談してみたが「70万シリングじゃ少ないよ」となり、最終的には80万シリング(約45720円)で解決した。
 金銭で揉めることがないよう1人1人に直接手渡しする形を取ってほしいと言われ、各個の内訳を相談した結果
 ガイド・・・・・・・・・・30万シリング
 コック・・・・・・・・・・17万シリング
 ポーター兼ウェイター・・・13万シリング
 ポーター(2人)・・・・・10万シリング
 となった。
 最終日は忙しいからと山中4日目にチップ支払うこととなったのだが、要するに登山開始の時点で彼らに渡す分のチップを事前に準備しておく必要があるということ。支払う金銭はタンザニアシリングでなく米ドルでも構わないと言われたが、国立公園の入場料は米ドル必須となるため手持ちの米ドルが少なかった点が大きい。
 なおタンザニアシリングはATMで引き出せる上限が40万シリングであるため、2回に渡って最大金額を引き出したことになる。アフリカは何処もそうだが引き出し手数料がバカ高いので、それだけで随分無駄な料金が発生するし、タンザニアの最大貨幣は1万シリングなので、登山の最中に80枚ものお札が詰まったパンパンの財布を携行することになる。このストレスを鑑みると米ドルを準備しておくのも正解かと思う。100ドル紙幣じゃ細かく振り分けが出来ないからそれはそれで大変だろうけど。

 【レンタル】
 基本的に登山で足りない道具は全てレンタル可能である。まぁアフリカなので質をそこまで求めちゃいけないのはあるが、キリマンジャロの麓ということで需要に対応してそれなりレベルのギアが各種取り揃えられてはいる。とはいえ長期旅行者が実際にレンタルするであろうギアは登山靴・各種防寒ウェア・レインウェアといったところではないか。

 参考までに私がレンタルした物品は

・登山靴

 の1点のみであった。サイズも豊富に揃っており、料金は会社のツアー代に含まれるらしく支払い云々は必要なし。これとは別にツアー会社側から

・ストック
・オーバーパンツ
・ハイドレーション

 の3点を借りた。ストックとオーバーパンツに関してはほとんど使うことなく終わったけれど、ハイドレーションは大活躍したのであると便利かもしれない。


 ◎まとめ
 ということでキリマンジャロ登山で私が感じた感想アレコレ。実際のところ体力さえあれば登頂自体はそう難しくないというのが正直な感想で、むしろ下手すりゃアコンカグアよりも高くついてしまう料金形態の方が大変であった。
 特にモシの町はキリマンジャロ登山でやってくる外国人をカモにしようと大小様々な詐欺師が横行してる雰囲気で、ちゃちなボッタクリのみでなく悪質なツアー会社があったとしても全然驚かない。というか間違いなくいると思う。
 登山の最中にあまり余計なこと考えてるのも良くないし、それでは何より楽しいキリマンジャロが台無しになってしまう。ということで私の場合は信頼できる会社を教えてもらったのが今回1番のファインプレーであったと思っている。ガイドのオマリはレベルの高い信頼できるプロだったので、そうした巡り合わせが良い登山に繋がったのだと。なのでキリマンジャロ登山に迷ったらManda Adventures Ltdはオススメだと言っておきます。町の中心部からはちょっと離れててアクセスしづらい場所にあるけれど。
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 最近(エンジン付き)バイク旅行者のブログを読んだのだけど、その内容がショックだったというか驚いてしまった。

 というのも世界中のライダーが憧れるアウストラル街道を走っていながら「道」に関しての表記がほとんど出てこなかったからである。

 文章の上手い下手は置いといて、そこに記載されてる内容は日本の友人と連絡を取っただとか旅行してることの心情だとかが多かったのだ。肝心のアウストラル街道に関しては「未舗装で大変」だとか「もうオフロードはいい」といったネガティブな意見が目立つ。

 いやいや人様のブログ内容に文句を言いたいわけではない。ただ私の勝手な想像で自力で移動する系の旅行者を4種類に分けると「徒歩・自転車・バイク・車」になる気がするが、このうちバイクというのは徒歩や自転車寄りの旅行者だと思ってたので。

 これはつまり旅行という行為に対し「道を走る」ということを重視するタイプだということ。


 海外旅行に対して何を求めるかなんて人それぞれ違って当然だし、むしろ様々な考え方があるからこそ面白い。同じ自転車旅行者にしたって旅行する目的というのは誰しも違う。

 ただサイクリストというのは無数にある移動手段でわざわざ自転車を選ぶ人たちで、その内実には「走ることの意味・意義」というものが確かに存在する。

 だから我々は自転車で走っている「最中」を気にするし、道中の道や体験を重要視する。必然的に日記にそうした記述は増えるし、その良し悪しを語りたくなる。


 それはバイク乗りも同じなのだと勝手に思い込んでいたのだ。道を走るという行為をとても大切に思っている人のみで構成されているのだと。

 これが車での旅行だったらそうは思ってない。車という乗り物は「快適」だとか「便利」という方向にも矢印が伸びており、旅行において「車で走ること」が主目的ではない人も大勢いるのは分かる。

 でもバイクは利便性より走ることの楽しさを追求した乗り物だ。途上国みたいに金銭的な問題で「バイクしか買えない」ことから利便性でバイクを使う人は沢山いるが、日本人で海外旅行にバイクを選ぶならば、そらもう走ることが大好きなのだと。

 だからバイクで旅行するのに「走ってる最中」を歌わないライダーという存在は衝撃だった。そういうタイプの旅行者がいても全然不思議じゃないハズなのに「そんな旅行者がいるのか!」という。


 私が自転車旅行をしてるのは、簡単に言えば「知らない道を自転車で走ってみたいから」である。

 そこが最も大切なポイントなので、極端なことをいえば海外旅行における他の点は体験できなくても構わない。現地の人と交流がなくても、有名な観光地に行けなくとも、日々のビールが飲めなくても、である。

 でもその土地を自転車で走らないということは「ない」。そこが私の旅行の根幹であり、この旅行をやってる意味そのものだからだ。

 色々なタイプの旅行者がいて、多分それぞれ譲れない大切な旅行する理由を持っている。勝手に人様の旅行のスタイルから「こういう旅行が好きなんでしょ?」と想像するのは失礼だったと。まぁそういう話。

 いつか自転車旅行だけど自転車で走ることは好きじゃない・・・なんていう人にも会うのかもしれない。いや、そういう人いたな。日本1周していたサイクリストに。
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 ネットの功罪なんて別に私が語るべき話じゃないし、そもそもこれだけ生活に根付いてしまったネットを今更切り離すというのは不可能だ。社会インフラは前進することしか出来ない。

 とはいえ自転車旅行で全くネットが届かないような僻地の町に来たりすると、どうしても考えてしまうのだ。「ネットを使わない旅行やるのも面白そう」・・・みたいなことを。

 これは「世界から車を無くしたらどうなるか?」と同じく自転車旅行者同士でよく与太話のネタにされるのだけど、その根底にあるのは「昔の旅行者は羨ましい」という感情だと思う。


 海外での自転車旅行って、現代においてもやはり情報が全く出てこない土地を走る・・・ということがある。地図で見てもそこにどんな施設があるのか分からない、町の名前すら付いてるのか怪しい、なんならそこまでの道がちゃんと続いてるのかも不安。そういうなんとか走れそうだけど、他に何も分からない道。

 そうした土地におっかなびっくり手探りで踏み入っていくドキドキというのは普段の旅行中の比ではない。それとは明らかに別種の喜びと緊張感があって、これがなかなか堪らないのだ。

 海外で訪れる町なんて全て「知らない土地」であるのは間違いないのだが、やっぱりネットで下調べを行い、そこで食・住の確保が取れそうか?程度の確認はする。それがそのまま出発時の食材等積載量に関係してくるのだし。何も悪いことではない、むしろ旅行する上で正統な行為だ。

 ただネットでの情報収集は旅行に不可欠ではない。ほんの四半世紀前まで旅行者はそうした情報をネットからではなく、現地の人から聞いたり情報ノートを参考にしたりと別の形で入手していたし、そうした情報の出てこない土地へ向かうときは出来る限り備えをした上で徒手空拳で向かっていった。

 私だって宿1つとっても、何も情報がない町だと3件4件回って慣れない言語で四苦八苦しながら料金比較&交渉し、ようやくチェックインして落ち着いたと思いきやすぐ側でもっと綺麗で安い宿があった・・・とかそういう経験を数多くしている。

 つまり情報がないってのはどうしても無駄が多いし失敗や金銭的な負荷も増える。でもそれこそが「知らない土地を旅行する」ということなのじゃないか?・・・そんな気持ちがあるのも事実なのだ。

 自分自身で人から情報を引き出し、その内容も不確実だけど行ってみる。なまじ自転車だとそういう実体験を色々経験しており、ネットでは味わえない喜びも面倒さも知っているから、ついつい思ってしまうのだ。「ネットに頼ってばかりじゃ駄目だ」とかね。


 ネットの情報に従って効率的な旅行をすることを「攻略方法を教わりながらゲームをクリアする」みたく例えられることがあり、それは流石に実体験を伴う旅行に対して失礼じゃないか・・・と思いつつも、そう言いたくなる気持ちはちょっと分かる。

 だって情報調べると潮流が出来てて同じような宿、観光地、食堂を紹介する金太郎飴になるんだもん。それは確かに効率的で料金も安く、無駄の少ないことだと思うけど。何というか、そこに本当に自分の意思は介在してるのか?みたいに感じてしまう。示された道をルート通りに進む旅行って、それもうガイドが居ないだけのツアーじゃない?

 そうした気持ちのアンチテーゼがネットを使わない旅行に惹かれるのではないか?現代でネットを利用しないというのは相当な覚悟というか、強い目的意識が必要だと思う。そもそも自ら消息不明、音信不通になることを家族や近しい人が理解してくれるだろうか?という問題もあるし。

 新しいインフラが出てきてそれを上手に活用していくことは、物事の幅を広げ多角的なアプローチを可能にするとても意義あることだと思う。むしろネットを使わないのはそうした手段を自ら捨てることであり、向上心がないとすらいえる。

 それでも尚思ってしまうのだ。ネットを使わず自分の力で直接情報を集めて対処する旅行をやってみたい・・・と。多分、そうした強コミュ力に憧れがあるんだろうな。会話が苦手な茶壺さんは。
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 お彼岸ということで田舎へ車で移動した。はてさて片道10時間の運転というのはずいぶん大変というか、いろんな意味で疲れることであると共に移動に対するスタンスの違いを改めて感じさせることになった。

 長期旅行というのはある種「移動を繰り返していく」行為の合算だといえる。大小のスパンはあれど目的地を決めてそこへたどり着き、そこからまた次の目的地を目指して移動を始める。これはどんなスタイルの旅行だろうと違いはない。

 しかしこの「移動」という行為は自力で動く術がない場合、大きく異なる考え方で構成されてる。というのも移動の道中をどう捉えているのか違うのだ。一般的な旅行において移動する時間や距離という存在は、無くなって欲しかったり短くなって欲しいモノであり、その道中は快適性を重視しストレス軽減を鑑みる扱いとなる。

 これに対して海外自転車旅行というのは移動における捉え方が千差万別で、車両と同様に短時間で速く到達できることに重きを置くこともあれば、行程が大変だったり時間が掛かろうとも、むしろそうした点が好まれ重要視される向きがある。

 目的地までの経過や道中の重要度が非常に高く、というか場合によっては道中こそがメインで目的地自体はオマケと捉えられることすらある。道を走ることが旅行の目的(の1つ)であるといえよう。

 つまりドライブやツーリングと同系統の扱いができるのだ。この2点と自転車が違なるのは「エンジンが無い」という点で、このため海外旅行というハードルが格段に下がっており「海外自転車旅行」という他の旅行スタイルとは異なる割とオンリーワンの特徴があると私は考える。

 注:エンジン付き乗り物は海外旅行に使うと手続きが非常に大変 

 このため海外自転車旅行者というのは他の海外旅行者との情報交換に齟齬が出る。サイクリストが求める目的地までの道中というのは、自力移動しない旅行者にとって「無くなって欲しい時間」で「我慢する時間」だからだ。

 ちなみに「目的地にたどり着くまで大変な方が達成感出るから車両での移動は必要だ!大変だから行く価値があるのだ!」・・・みたいに考えるタイプの方は自転車旅行に向いてる性格だと思う。どこでもドアを無用の長物だと考える人は多くない。

 ともあれ私だって車で移動すればその道中を楽しみにゃしない。その道中とは自分の中へと吸収され蓄積するものではなく、謂わば移動という行為を消費しているようなものなので。走った道も高速道路だったしさ。

 旅行において何を重視するかなんて個人の好き勝手だ。だけど自転車における海外旅行は「自転車だからこそ」旅行を楽しめる選択肢がちょっとだけ多くなっていて、そのちょっとだけを選べる代わりに結構多大なアレコレを等価交換してたりする。

 だからきっと海外を走る自転車旅行者は、目的地に至るまでの過程を気にする分だけちょっとロマンチストなのだ。
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 私は物事における経験値というのは実践やれ現場でないと得られないことがあると考えてるタイプで、要するに理屈より実行が大切だよ派。自転車旅行という遊びもその通りだと思う。

 ということで時間ができた年明けから、ちょいちょい国内における1週間程度のツーリングを実施してたりする。(トレーニングの意味も含めて)世界1周用のフル装備なのは自分でもアホだと思うが。

 ともあれ以前走った勝手知ったる日本の道。どうしても知ってる事柄が多くなりがちで「知らないを知りたい」を念頭に置いてる私の旅行において、同じ自転車旅行というスタイルじゃそれほど感慨湧くことがあるのだろうか・・・?という気持ちもあった。


 なのでそうした心配が杞憂に終わったことは嬉しくもあるし驚いてもいる。私の頭がお花畑咲き誇っており「過去のことなんかすっかり忘れてしまってな!あらゆる物が新鮮で感動だ」・・・というのもある意味羨ましい気がするが、そうでないならこれは私自身が変わったことによる見え方や感じ方の変化なのだろう。

 年単位の長期旅行なんてのは周囲の環境や人々は目まぐるしく変化する一方で、自身の行っていることは割とルーチンワークだ。移動して観光して生活して生きていく。

 そうした中で自分の当たり前だと思っていた理とは違う考え方や世界があることを目の当たりにし、見聞やれ世界観が広がるといったことはあるのだろうけどさ。自分じゃそういう感覚ってわかりづらいものなのよ。

 だから茶壺さんは多少の成長やれ変化はあれど、旅行前と根本に違いがあるとは思ってないしそれは人が歳を取るにつれて感じ方や考え方が変化していくそれの範囲に収まる程度のことだと。

 違った。私が興味を惹かれる事柄も、知らない人と相対するときの対応も、もっといえば野宿する候補地1つ取ってみても以前の私とは全然違う理屈で動いている。

 個人的にこうした自分の変容を無闇に「成長」という言葉で括りたくないのだが、様々な場所で土地の人やれ建物やれと相対するとき「リスペクト」という点を意識して考える様になったことは良い方向への変化なのだと思ってる。

 昔の自分を卑下する気持ちはサラサラないが、やっぱり自転車旅行したことが己の糧になっていると実感できるのは嬉しいし喜ばしいことじゃないか。

 その結果か定かでないが前回・今回の国内自転車旅行でも大変沢山の方々に良くしてもらい、素晴らしい時間を過ごすことができました。本当にありがとうございます。

 やっぱね。人と仲良くなるには自転車旅行しとくべし、とか茶壺さんは思うワケですよ。家に戻ってきたらウクライナで戦争始まってたニュースを見るとさ。
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 前回「海外は分からん、信用ならん!」と語った私だが、その一方で自転車で走破するのに厳しい土地であればあるほど大切なことは「その土地を信じること」だと思っている。こういうのを「舌の根も乾かぬうちに・・・」というのだろう。

 とはいえ異国の自転車走行には信頼感が大切だ。最悪のパターンも想定した上で、なるようになるさという楽観的な観測と思い切りの良さを持って行動しなくては、そもそも自転車旅行はできない遊びだと言い換えることもできる。

 私の経験だとアラスカにある北極海へと抜けるダルトンハイウェイという道がある。片道800Kmで半分以上が未舗装路、道中に食糧を補給できる箇所もほとんどないこのルートを走ると決めたとき、当然だが途中でリタイアする可能性を考えなかったワケではない。

 というか仮に走り切れたとしても、ダルトン終点からフェアバンクスまで戻ってくるだけの食材を積載しなかった(そもそも容量的にできなかった)時点で、ある意味確信犯というかアラスカという土地を信頼していたのだ。

 それを言葉で言うなれば「不確定な要素を信じて身を任せる」ことなのだろう。

 結果的に私は終点のデッドホースまでたどり着き、そこでトラックをヒッチハイクして町まで戻った。ここで「ヒッチハイクできたのは運が良かったから」というのはその通りだし、次善の策としてバスに乗って帰るというプランも建ててはいた。

 ただこのルートを走るバスは近日の予約は連日満席で席が取れない状態で、ゴールに到着する日程が読めないどころか半分くらい「リタイアするかも・・・」と考えてた私にとって「確実に帰還できる保証」は無かった。

 つまりどう転んでもダルトンハイウェイは「運が悪けりゃフェアバンクスの町に戻れない」可能性を含んでいた走行だったのであり、これは無事に走り終えた今でもそうだったと思っている。

 現実的なこといえばアラスカの人も住んでいない北部の荒野で自転車トラブルに遭遇し立ち往生していればそれなりに助けてくれる人はいると思うし、実際私は道中エンジントラブル起こして動けない車の修理を手伝った。

 だが確率で語るならばダルトンハイウェイ自転車走行で野垂れ死ぬ可能性は日本より遥かに高いだろう。それはオーストラリアのアウトバックもそうだしアンデス山脈やパタゴニア、アフリカの奥地も同様だ。

 そうしたリスクは自転車で遊ぶ者として可能な限り減らしできる対処もしていくが、どうやっても0にはならない。絶対安全な旅行がしたいなら家から出るな、なのである。

 だからチャレンジな道を踏み出す1歩は信頼だ。その土地をどんなに調べても実際に訪れた経験がない以上、言ってしまえば何もわかっちゃいないのだから。

 最後は信じて「きっと大丈夫、どうにかなるさ」と願うのは、思考放棄ではなく人事を尽くして天明を待っているのだと思う。いやいや、走る前から全力尽くしてどうすんの。
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 海外旅行してると不思議なものでスピリチュアルな体験や超常的な能力といった話題には事欠かない。わたし個人としては「科学で解明されてるモノは科学を信じるし、そうでないモノはロマンのある方を選ぶ」というスタンスなのだが。

 ともあれ異国にいると私自身も不思議に思う謎の直感やセンサーといった、説明のしようがない能力が磨かれていると感じるし、割とその力を信じている節がある。ちなみに日本に戻るとその能力はたちまち失われてしまう。

 海外では緊張しているのだから当然だ・・・と言ってしまえばそれまでだが、そもそも「感の鋭い人」というのはいる。そういう人は場所に関係なく鋭いと思うし、私のように鈍い人は時と場所を選ばず常に鈍いというのが世の常だろう。

 やはり海外という環境なのだ。その地で過ごしていると五感が磨かれ勘も冴え渡り、アンテナも感度ビンビン通信状態良好です。


 まぁ冗談ではなく海外に出ると謎の直感力が強くなるとは本気で思ってて、これは日本という日常においては自分より信じられる存在に囲まれている・・・という点が大きいと考える。

 国内において私は表示されてる時計の時刻を疑うことはない。バスや電車の到着予定を時刻表見て判断するし、目的地までの地図やナビを信頼して判断する。仮に迷っても人に聞いて道を教えてもらう。それは周りの人や物を信頼してるからだ。

 さて旅行というのは究極「知らない場所に行く」ことだと言える。知ってる場所に再訪する旅行というのもあるが、そこにあるのは日常とは違う知らない土地と人が住む世界だ。

 そうした地で私は何をいちばん知っているだろうか?

 それは多分自分自身なのだ。だから旅行先では自分を信じる。私自身をあんまり信頼できないことはよーく分かっているのだが、それでもとにかく何にも知らない土地では私を頼らなくてはならない。

 ルートは間違っていないか?野営地は大丈夫か?ここの水は飲めるのか?常に問題は出現し、その都度自分自身に問いかける。

 知らない土地にいるという不安や緊張感、そして普段は影に隠れている自分への信頼感。こうしたものが混ざり合い、私の中にある直感が研ぎ澄まされていくのだと思う。

 ちなみに「旅行疲れ」というのは言ってしまえばこの直感力を終始使って疲労してることを示すと思う。これって馬鹿にできなくて、下手すれば自転車で走ってるより疲れることも。

 日本での生活は色々便利で安心がある。余計な感を働かせる必要もないし、選択の連続で疲れてしまうことも少ない。

 それでも私は大変で不安で疲れる知らない土地を走ってみたいと思ってしまうのであり、自分の直感を信じて自転車旅行をするのだろう。迷いながら、悩みながら。
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