2019年4月25日~2019年11月6日(第1回)
2022年7月 9日〜2022年10月5日(第2回)
2023年1月28日〜2023年2月26日(第3回)
2023年7月11日〜2023年12月6日(第4回)
訪問国数 39カ国
走行日数 463日間(第1回195日間・第2回89日間・第3回30日間・第4回149日間)
累計走行距離 29429km (第1回11832km・第2回6519km・第3回2342km・第4回8736km)
ヨーロッパ各国のまとめはこちらから(総括作成順)
イギリス・デンマーク・アイスランド・スウェーデン・ノルウェー・フィンランド・エストニア・ラトビア・リトアニア・ウクライナ・モルドバ・ルーマニア・ブルガリア・ルクセンブルグ・ドイツ・オランダ・ベルギー・スイス(リヒテンシュタイン)・フランス(アンドラ)・ポルトガル・スペイン・イタリア(バチカン)・ポーランド・チェコ・オーストリア・スロバキア・ハンガリー・スロベニア・セルビア・ボスニア・クロアチア・モンテネグロ・コソボ・北マケドニア・アルバニア・ギリシャ
他地域と同じく私が走行してきた各国において、独断と偏見で点数評価してみた。
道路 | 交通 | 物価 | 食事 | 宿 | 治安 | 総合 | |
イギリス | 7 | 7 | 3 | 4 | 2 | 6 | 29 |
デンマーク | 10 | 10 | 2 | 5 | 2 | 10 | 39 |
アイスランド | 8 | 9 | 1 | 4 | 1 | 10 | 33 |
スウェーデン | 9 | 10 | 3 | 5 | 2 | 9 | 38 |
ノルウェー | 5 | 8 | 1 | 6 | 1 | 10 | 31 |
フィンランド | 9 | 10 | 2 | 5 | 2 | 9 | 35 |
エストニア | 9 | 8 | 6 | 7 | 7 | 8 | 45 |
ラトビア | 6 | 7 | 6 | 7 | 6 | 8 | 40 |
リトアニア | 8 | 8 | 6 | 7 | 8 | 8 | 45 |
ウクライナ | 7 | 6 | 8 | 9 | 9 | 5 | 44 |
モルドバ | 5 | 6 | 8 | 7 | 8 | 5 | 39 |
ルーマニア | 6 | 6 | 7 | 8 | 8 | 5 | 40 |
ブルガリア | 7 | 7 | 7 | 8 | 8 | 7 | 44 |
ルクセンブルグ | 9 | 10 | 2 | 5 | 2 | 9 | 37 |
オランダ | 10 | 10 | 3 | 4 | 2 | 8 | 37 |
ベルギー | 10 | 10 | 3 | 7 | 2 | 8 | 40 |
スイス | 10 | 10 | 1 | 5 | 1 | 10 | 37 |
フランス | 6 | 7 | 3 | 10 | 2 | 5 | 33 |
ポルトガル | 5 | 7 | 5 | 6 | 4 | 6 | 33 |
スペイン | 9 | 8 | 6 | 9 | 5 | 7 | 44 |
イタリア | 8 | 8 | 2 | 9 | 1 | 7 | 35 |
ドイツ | 10 | 9 | 6 | 5 | 4 | 8 | 42 |
ポーランド | 8 | 7 | 7 | 8 | 7 | 7 | 44 |
チェコ | 8 | 7 | 7 | 6 | 6 | 7 | 41 |
オーストリア | 9 | 9 | 2 | 5 | 2 | 10 | 37 |
スロバキア | 9 | 8 | 7 | 6 | 6 | 8 | 42 |
ハンガリー | 7 | 8 | 7 | 6 | 5 | 7 | 40 |
スロベニア | 8 | 8 | 6 | 6 | 6 | 7 | 41 |
セルビア | 7 | 6 | 7 | 7 | 7 | 7 | 41 |
ボスニア | 7 | 6 | 7 | 7 | 7 | 7 | 41 |
クロアチア | 5 | 5 | 4 | 7 | 4 | 7 | 32 |
モンテネグロ | 8 | 6 | 8 | 6 | 8 | 6 | 42 |
コソボ | 5 | 3 | 8 | 6 | 9 | 5 | 36 |
北マケドニア | 6 | 5 | 7 | 6 | 9 | 6 | 39 |
アルバニア | 6 | 7 | 8 | 6 | 9 | 7 | 43 |
ギリシャ | 9 | 7 | 5 | 6 | 7 | 4 | 38 |
日本 | 8 | 9 | 3 | 9 | 2 | 10 | 38 |
※最低1点、最高10点 物価は安いほど点数高い
自転車乗りとしての視点から感じる国の特徴であり、国の善し悪しについては意識していない。物価が高い国は宿も高くなる傾向があるし、点数が高ければ良い国という意味では勿論ない。あくまで1旅行者が感じた感想である。
なお各点数は私が訪問した当時の状況を元に評点している。2019年と2023年現在ではインフレや円安の影響で同じ国でも大きく物価が違っていたりするのだが、そこら辺の推移を細かく規定しても仕方ないからさ。そういう意味で日本の点数は2014年当時と比べ、今付け直したら大分点数上がりそう。
<大陸の分類>
全体的な区分としては「西欧」「北欧」「東欧」として分けることが多く、実際に旅行してもこの3地域で全体的な印象が違っていたように感じる。細かく分けると「南欧」や「中央ヨーロッパ」とかでも区分けされることがあるけれど。
全体的に高物化で人口希薄地帯が多い北欧、自転車人気が高くアルプスを始めとする様々な山岳地帯を抱える西欧、物価が安く正教会系の宗教が多い東欧・・・というのが大まかなイメージ。
バルト海より北に位置する国が北欧かと思いきや、エストニア・ラトビア・リトアニアのバルト三国やデンマーク・イギリスといった国も北欧というカテゴリに属するらしい。
人種もゲルマン系とかスラブ系など色々違いがあるそうだが、なんとなくの特徴が変わったな・・・と感じることはあっても、私にはとても把握しきれないというのが正直な点。まぁ大都市になればなるほど多種多様な民族が入り混じってるし、旅行者として感じる感想であって学術的な観点でみてるワケじゃないので。
<食>
全体的に小麦を主としたパン食文化が浸透しており、安くて美味しいバリエーション豊富なパンが食べられる。特に本場のフランスパンは常に焼き立てを常備している徹底っぷりで大変驚いた。
また乳製品に対する熱の入れ具合は相当なもので、日本とは比較にならないほど多種多様なチーズが取り扱いされてるし、多くのサイクリストがパンとチーズを活用した昼食を摂っていたのが印象深い。また東欧ではヨーグルトの人気も高く、甘みのないヨーグルトをサラダやスープといった様々な食材に合わせて投入し味付けすることが多い。
ヨーロッパ全域でコーヒーがとても高い人気を誇っており、地域によってその挿れ方にも特徴が出る。イタリアを中心とした南部の地域ではマキネッタと呼ばれる小型のコーヒー沸かし器でエスプレッソを主とした量が少なく濃いコーヒーが主流。これにたっぷり砂糖を入れて一息に飲み干すのが正しい飲み方だぜ!と教わったな。北の方に行くほどドリップ式の淹れ方が増えて行ったように思う。
物価の高い国が多かったため西・北欧ではほとんど外食を経験してないのだが、地産地消というか国内や地元で収穫した物に価値を置き、健康に留意した食事メニューを見ると流石の先進国だよなぁという気持ちに。例えばヨーロッパではどの国にも「bio」という農薬や化学肥料を使わず栽培されたオーガニック食品のコーナーがスーパーの一角を占めていたりする。
地中海の周辺ではオリーブが大量生産されていたり、降雨量の多い土地だと葡萄畑が広がるワイン農園を見かけることも多く、そういった土地だと地元の特産品として安価でオリーブオイルやワインが購入できることも多いため、各国の特産品を大まかに把握しておくと食に対して楽しみが増える印象。全ての物価が高いノルウェーでも、自国で輸出している鮭関連(ツナ缶とか)の料金は比較的安かったりする。
EUにおける関税撤廃の関係で割とどの国でも似たようなビールが販売されてる一方で、その種類の豊富さも料金も全然違ってくるのが面白い。チェコやドイツといったビールに力入れてる国であれば滞在期間中、毎日どのビールを飲もうか迷ってしまうこと請け合いだ。しかも無茶苦茶値段安くてビール好きにはたまらない。特に東欧の国では大型ペットボトルにビールを詰めた販売方式が多く、2ℓ容器で200円とか凄まじい安価でビールを楽しめる。ノルウェーみたく日本以上にビール代金高い国もままあるが、基本的に酒好きの人間はヨーロッパ旅行中は幸せな気持ちになれると思う。
<宿・キャンプ場>
ユースホステル発祥の地であるドイツがある土地であり、そうでなくとも自転車旅行を含めて様々な旅行者が行き交う土地であり、需要に応える形で宿泊費が安いタイプの宿も都市部や観光地を中心に数多く存在する。
ただし安宿とは言ってもその国の物価レベルに即した値段での「安宿」であるためスイスやノルウェー、アイスランドといったそもそもの物価が高すぎる国ではドミトリー形式だろうが何だろうが関係なくバカ高い。アイスランドでちょっと値段調べてみたらユースホステルで最安6000円とか出て来てビックリした記憶がある。
ただ旅行のスタイルが豊富という事はキャンピングカーを使っての旅行者が多いことも示しており、そのため設備の整ったキャンプ場が豊富に揃っている。宿よりは料金も良心的な範囲であることが多く、北欧や西欧ではちょいちょい利用していた。
特に自転車大国であるオランダやデンマークといった国のキャンプ場はサイクリスト料金が別個に存在してるケースが多く、このタイプは1泊1000円かそこらで設備整った(キッチン有り・Wi-Fi爆速・レジャー&リラックスルーム有等)施設が利用できて大変素晴らしい。逆にイタリアみたいな国では大型キャンピングカーも自転車も一律同じ料金で、酷い場所だと1泊50€(約7800円)とか言われたこともある。
総じて北欧の国ほどキャンプ場を活用する機会が増え、東欧の国では安宿使った方が割が良くなる傾向にあると言える。西欧も宿泊は高いのでキャンプ場の割合が高かったけど、なかなか条件の良いキャンプ場が出てこなくて苦労した記憶もあるかな。北欧でもバルト三国は物価が抑え目で首都では安宿を利用したりと色々やってたけれども。
全体を通して宿・キャンプ場の施設レベルは高く、特に問題となるような宿に当たる確率は少ないのだが、東欧では個人宅をそのまま宿として貸し出してるタイプの宿も多く、そうした宿では家主の性格で大きく差が出る。でもまぁ重要なポイントであるWi-Fiの普及率・速度に関しては他地域を経験したことある者にとっては何の問題もなしと断ずることが出来るレベル。正直言ってしまえばカフェや図書館みたいな施設を利用続けて充電問題に対処できればヨーロッパ全域で全く宿を利用しなくてもそれはそれで何とかなったりする。実際私の西・北欧における宿の利用率はほぼ0%だし、野宿が難しくない土地なので節約派にも優しい地域だ。そんなことより問題は宿泊施設を活用しないと他の点で時間が取られてしまうことで、滞在期限がシビアなヨーロッパではむしろこの点で宿泊施設の活用をすることにメリットがあるとも言える。
<気候>
多くの地域が北緯40度を超える高緯度地域に属しており、最北端のノールカップやその周辺は北極圏に位置する土地である。メキシコ海流の影響で緯度の割に気温はそこまで低くならないものの、冬場は単純に日照時間も短くなるし北欧の人口希薄地帯で積雪があると除雪までにどれだけ時間がかかるか分からない。そうした諸々の点から冬季における走行はかなり難易度が高い。1番南部に位置するギリシャですら11月末の時点で峠の頂上がアイスバーンとなっており、危うく通過不能になりかけたほどだ。
これに対して夏は湿度が低く、特に地中海周辺は降雨量も少ないため非常に快適な環境だとして旅行するにも喜ばれる季節。むしろスペインやイタリアといった南欧に位置する国は気温が上がり過ぎて大変だとされるため、涼しく日照時間も長い北欧を自転車で旅行する人が爆発的に増える。このためノールカップを目指すサイクリストはその多くが5〜9月くらいの期間に集中してるのだが、残念なことに北欧はそもそも雨が多い土地であり、雨天走行を避けると全体的なペースはそこまで上がらないことも多い。ということで北欧を走るにはしっかり期間を取った方が安心できるのだけど、そうすると滞在期限が迫ってくるというジレンマが。
滞在期限をかわして尚且つ夏の時期に北欧を走行したいとなると、飛行機や乗り物使って南へ逃げるか秋から冬にかけての東欧を走行するという2択になってしまう可能性が高い。2023年現在でシェンゲン協定外のセルビアやボスニアといった国は、冬の時期には各地で積雪が観測されるし気温も−20度とかまで下がるらしい。近隣国においてもバルカン半島の国々は全体的に山岳国が多いため寒気を避けるという意味ではかなり難しいのが現状だろう。ヨーロッパを走るという事は、この辺の迫りくる冬将軍を如何にして避けるかという点が重要になってくる。私の場合はトルコまで逃げたのが2度、モロッコへ渡ったのが1度、アフリカへフライトしたのが1度という具合。
<注意点>
日記本文で何度も何度も文句言ってるが、シェンゲン協定という滞在期間の縛りが存在するためシェンゲン加盟国において、あらゆる180日間の間で合計90日までしか滞在をする事ができない。要するに90日間滞在したらインターバルで90日間はシェンゲン加盟国に入国する事ができないということ。本当はもうちょい複雑なのだが、その辺はシェンゲン協定の滞在日数を計算するサイトとかで計算してもらえばいい。
ここで重要なのはヨーロッパ全土を自転車で走行しようとした場合、このシェンゲン協定における滞在日数を常に計算しながらルートプランニングする必要があるという点だ。単純な土地の広さで見る限り、例えばポルトガルのロカ岬(最西端)やノルウェーのノールカップ(最北端)からシェンゲン協定外の国まで陸路を走り続けてしまう事は日数的に難しくはない。ただこれは「単純に走り抜けるなら」という意味で、実際には様々な町や観光地へ赴いたりアルプスを始めとする魅力的だがペースが落ちる上に体力を要する峠に臨むと必要となる日数はどんどん増加する。こういった土地をどれだけ取捨選択するかが難しい。
更に気候の項で触れた通りヨーロッパは南部の土地を除き、緯度が高く真冬に走行するのがかなり厳しい環境でもある。このため自転車走行におけるシーズンが春〜秋までの3シーズンに限定されてしまうのだが、仮にシェンゲン協定ギリギリの90日滞在をすると次に入国できるのは更に90日が過ぎてから。例えば5月にヨーロッパ走行した場合、5〜7月いっぱいを走行出来ても8〜10月は入国できず、次の入国時期は最速で11月からのスケジュールを組むことになる。南部地域はともかく北欧を11月や12月に走るのはかなり上級者向けでオススメはしない。
私もこうした滞在期限の問題に対処するためこの土地には計4度の出入りを繰り返したこととなり、それでも毎回のように後半は滞在期限が迫って大変な思いをした。
とりあえずヨーロッパ周遊で色々考えている人はシェンゲン協定の枠外となる隣接国を調べておき、そういった国で90日以上の滞在を踏まえてシェンゲン協定国に戻る等の計画が重要になってくると思う。こうしたシェンゲンリセットによく利用される国はスペイン→モロッコやイタリア→チュニジア、一昔前はウクライナも良い候補地だったが現在は現実的でないためボスニアやセルビアといった国が候補に上がるか。イギリスやアイルランドも選択肢としてあるのだが、島国で狭い割に物価が高くて90日間ほとんど走らず滞在続けるのはちとキツい。いずれにしてもシェンゲン協定をどうやってやりくりするかがヨーロッパ走行における最大の課題となると私は思う。
<道>
自転車に対して先進的な国が多く、大陸・地域別で見ると自転車道の割合が最も多い土地なのは間違い無いでしょう。特にオランダ・デンマーク・ドイツ・オーストリアの充実っぷりは素晴らしく、基本的に何処へ向かうにも自転車道を辿っていくことでたどり着けるといえるレベル。
他国に関しても一部走り辛いだけの駄目ロードが出てきたりするものの、概ね快適に走れる道ばかりで私も大変嬉しい。そして忘れちゃいけないヨーロッパ全域に広がる自転車道ことユーロヴェロが存在感を放っており、そのルートは非常に壮大あり尚且つ自転車が走りやすくて安全な道を結んでいる。総距離は14万kmを超えるとか聞いたような気がするが、つまり私の海外で走った総走行距離とほぼ同じだけの道が延びていることになる。全部走ると7年くらいかかる計算というワケだ。
斜度が緩やかで一定距離以内に補給できる場所があるとか宿泊施設が存在するといったレギュレーションもあるため自転車旅行の経験が浅い人でも無理なく快適に走行できる指標になるしとても素晴らしいと思う。ヨーロッパが自転車旅行にオススメされる理由はいくつかあるが、ユーロヴェロの存在は間違いなくその内の1つになっているかと。
ただ全ての道で楽できるかというとそうではなくて、特に北欧を始めとした人口希薄地帯での走行はかなりチャレンジングなルートが出てくることもまた事実。流石に数百kmに渡って無補給が続くという道は無いため道中野垂れ死ぬといった可能性は限りなく低いが、その代わりというべきか無数の山岳地帯にも様々な道が通っており、それがまた面白いんだよ全くもって。
特にスイスを中心としたアルプス山系はグランツールでも出てきた有名な山々に多くのサイクリストが挑戦しており、その中の1人としてヒルクライムできる喜びは非常に大きい。車の1台も通りゃしない峠で孤高のヒルクライムも悪く無いが、大勢のサイクリストと一緒に登るアルプスの山もまた良いと思うのです。アルプスに限らず風光明美で美しい山々は多々あるため、多くの国で素晴らしい景色を見ることができるのだけど、オーストリアだけは斜度が強烈に厳しいフルパッキンだと難易度激高の峠が登場するので要注意。
自転車旅行者的には最北端のノールカップ、最西端のロカ岬といった大陸の先端にアクセスしやすい土地であることも魅力だ。特にロカ岬はユーラシア大陸横断サイクリストのスタートorゴール地点として数多くの自転車旅行者が訪問する岬。でもたどり着いた時の最果て感はノールカップが断然素晴らしいのであり、個人的にはノールカップサイクリングをオススメするかな。なお先のユーロヴェロ1号線はこのノールカップからロカ岬までを繋いだルートである。本当分かってるよねヨーロッパ。
どんなルートを選んでも自転車の需要があるためトラブル発生した際に「国内(近隣)にマトモな自転車ショップが1つもない」という車両ワープ必死の状態に追い詰められる可能性が限りなく低いのは安心感がある。全体的には旧ユーゴスラビア諸国の辺りが少々自転車関連弱いと感じたが、それでもリムのクラックという特大トラブルをボスニアでリカバリ出来たあたりに全体的なレベルの高さを感じる。流石にどこぞのメーカーか不明な謎リムを何万kmも使い続けるのは怖いし、リアが駄目になったという事はフロントリムも限界ギリギリと考えられるので、信頼できるショップで新しいリム注文しましたが。
<総括>
なんだかんだ訪問回数のみならず滞在日数でもアフリカを上回ったヨーロッパ。洗練されてて自転車で走りやすい国が多く、道にも観光にも無数のウリがあるという懐の広さが魅力的な土地だった。その一方でどうしても滞在期限に追われるようなスケジュールとなってしまう弊害があるし、道や山々のスケールならアメリカ大陸に、食事のバリエーション豊富さと安さではアジアに、遺跡などの荘厳さはエジプトやヨルダンに一歩及ばないといったイメージはある。総じて自転車で旅行するのに各方面で非常に優秀ではあるけれど、突出したヨーロッパでしか体験できないという圧倒的なポイントというのはあまり出てこないかもしれない。
だがまぁ七癖八癖あるアフリカや中東といった土地を近隣に構え、こうしたヨーロッパという自転車に優しい地域がある事自体が素晴らしい価値だと思うのだ。何度も出入りした土地だけど、ヨーロッパを走るとその快適さに心が洗われるというか「楽しんで道を走る」という自転車旅行の原点を実感できる。走って達成感のある土地も良いけれど、厳しい土地で疲弊してしまった気持ちや身体をリフレッシュできるような土地というのもまた大切なのだと思う。
そうした点においてのみ、シェンゲン協定というルールに縛られ何度もヨーロッパを訪問することになったことは、自転車旅行におけるメリハリを付けるという意味でも良かったと思ってる。でもまぁ素直に好きに自転車旅行させてよ!・・・と思わずにはいられないが。そんな文句を垂れつつもヨーロッパへ入る時の私がいつもニコニコしていた事は間違いない。