自転車ときどき世界1周

カテゴリ: 南米

 第5部 南米&パンツァー
 〜自転車道、始めます〜

 コロンビア1・2日目 カルタヘナの町

 パナマから丸5日かけたヨットは静かにカルタヘナの港に到着する。私と沖野君は自転車の取り出し作業があるからと、他のメンバーは先に小型ボートで桟橋へと移動してもらい大量の荷物を並べて脱出準備する。

 ゴムボートで2往復。ようやく全ての荷物をまとめた我々は速やかにヨット上で教えてもらっていたオススメだというホステルへと移動である。正直、カルタヘナという一大観光都市では無数の安宿が存在するので適当に選んでも大丈夫だと思うのだが、まぁここは5日間お世話になったクルーの顔を立てておくことに。

 5分もせずにホステルに到着し、何はともかくシャワー浴びてネットだネット。心ゆくまでPCいじり倒した時には既に0時を過ぎていた。ほんの1週間ネットに触れなかっただけなのにこの有様。現代人である。


 翌日。早速コロンビアの国を走り始めたいところなのだがそうは問屋が卸さない。中米を騙し騙しで走り抜けてきた我がロシナンテ号が色々限界を迎えているところへヨットの湿った倉庫へ突っ込んだまま5日間の放置。ここカルタヘナの町で自転車を整備するのは南米走行を始める前の必須課題なのである。

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 蚊が多くて酷い宿だったし

 とりま船で溜まっていた5日分の洗濯物を洗ってから朝食。返す刀で近場の自転車ショップを調べて消耗品パーツを購入しに出発する。

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 暇にあかしてた昨日までが嘘のよう

 最初のお店でオカシクなってる後輪の修理予約をし、次なる店で安価な部品を幾つか購入。慌てて引き返して時間ギリギリにホステルをチェックアウトする。やはりというか、うるさい上に値段高くて連泊したい場所ではなかったので。

 100mくらい離れた場所にある別のホステルへとチェックイン。先の宿より安いのにこっちには敷地内にプールまで付いてる優良物件である。

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 ただしプールは直径3〜4m

 お昼過ぎにヨットキャプテンから返却されたパスポートが戻ってきたところで今度は別方向の自転車ショップへと向かう。とりあえずこのカルタヘナで私が新しく購入した自転車関連部品はチューブ2本・リアスプロケット・バーテープ・チェーン・パンクパッチキット2組・グローブといったところ。

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 これだけ買うのに6つもお店回ったし

 途中でものすごい勢いのスコールに降られるわ、現金が足りなくてATM探してフラフラ歩きまわるわと忙しい。とりあえず南米に来たという感覚はまだ全く出てこない。

 夕方からヨットメンバーで飲みましょうというお誘いがあったので100mほど離れた例のホステルへと向かう。どうやらヨットクルーの人たちも同行するとのことであり、それまでの間は世界遺産であるカルタヘナの町を見て回ることに。

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 昼間も自転車で通ったけれど

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 夜の方が映える気がするカルタヘナ

 というかそもそも私は歴史的な都市を歩いて回るってそれほど好きじゃないのである。大体最初はワクワクしてるのだが、数時間もすると疲れるわ飽きるわでダレてくるのが大抵のパターン。基本的には自然が好き派なのである。

 しかしそんな私でもカルタヘナの歴史地区は見ていて非常に興味深く面白い場所であった。何というか歩いてて町の歴史を感じ取れる気がしたというのだろうか。

 惜しむらくは7人で同行しているために、私のペースで見て回れないこと。私はこうした多人数でのグループ行動がとことんダメなタイプであり、海外旅行出てもツアーとかにほとんど参加しないのもこうした「自分のペースで動けない」ことに対して強いストレスを感じてしまうからである。

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 だからここには数日後もう1度来よう(1人で)

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 平日なのに広場でダンスパフォーマーがいるのが観光地

 結局クルーと合流したものの、キャプテンはすでにベロベロでありあっという間に引き上げて行った。ヨット上でも彼が働いている姿を私はほとんど見ておらず、何ていうか彼の部下の方がよっぽど「海の男」というイメージだったのだが、最後にそのイメージは決定的になったというか。

 結局何処のバーに入るでもなく街を歩き回っていただけで23時過ぎ。このタイミングで私は引き上げさせてもらうことにした。

 なおホステルの門限を過ぎてドアが閉まっている状態で戻ってきたのは、この旅行中で初めてのことである。南米ではぶいぶい爆音で歓楽街を遊びまわってやろうかと思います。戦車だけに。

 2017年6月27日(火) 走行距離 2km 累計63319km
 2017年6月28日(水) 走行距離17km 累計63336km

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 コロンビア3・4日目 カルタヘナの町

 引き続き自転車整備に明け暮れるというか、そもそも昨日はお買い物だけして自転車全く触っていない事実。やった気分になってただけ。

 昨日予約というか口約束しただけのショップが開店する10時ちょうどにお店へ到着し、それでは修理をお願いします。ここで自転車の状態を万全にしておくことが、この先に控えるアンデス山脈を走破できるかの大きなターニングポイントになるやもしれないので。

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 なお沖野君は沖野君でマシンに問題抱えており同じように修理してもらった

 やっぱりプロのメカニックは凄いというか、1時間そこらでひっどい状態になってたロシナンテ号の後輪を調整してくれた。一応自分も調整用の器具とか持ってるのだけれども、なかなか上手くはいかないのが私のレベルでして。

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 なお費用は30000ペソ(約1100円)と格安

 抜群に乗り心地の良くなった自転車を走らせて向かうはショッピングモール。私はそれほどでもないが、沖野君はこのカルタヘナで色々と必要なアイテムを取り揃える必要があるとのことで、私は冷やかしついでに同行してみた次第。

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 適当に遊んでましたが

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 コロンビアはアートが盛んだと感じる

 宿に戻ったところで昨日購入したパーツ交換と自転車整備のお時間である。いくら倉庫内に収納されていたとはいえ、海上ヨットに5日間も揺られていた自転車はどこに錆が発生してるやも分かったものではない。いつもよりちょっと頑固にお掃除するよ。

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 部品交換してしまう方が清掃の手間なくて楽

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 バーテープも新しい物に巻き直して、と

 一通りの作業を終えたのは午後5時前。ようやく出発準備が完了したのであり、気持ちとしては一段落・・・ってまだまともに走ってないのに落ちついてちゃ駄目じゃないか。


 翌日。5日間もクルーズで休んでいた人だけど、それはそれで疲れているのも事実であり、本日1日ゆっくり休息日とする。

 ちょっとまだ気持ち的に「走りたくてたまらない」状態になっていないのだ。自転車旅行なんてのは結局のところ体力でも根性でもなく「やる気」が走るために最も必要なエネルギーであるため、南米走行始める前にテンションを最高まで高めるべくYou Tubeとか見て気持ち盛り上げときますわ。

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 朝になると冷房切られる部屋

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 毎日通ってた安食堂の昼食

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 日中の暑い時間帯はガソリンストーブ分解メンテしたりして遊ぶ

 日が落ち始めたところで一昨日消化不良に終わってしまったカルタヘナの歴史地区を散策する。コロンビアの大都市で夜間に1人で観光とか不安要素満載じゃないか!とか思われるかもだが、このカルタヘナの歴史地区は超ツーリスト地区であり治安的な不安は全く感じない。

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 曲がり角ごとに警察官がいるし

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 コロンビアはかなり治安改善に本気で取り組んでいるのだと思う

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 1時間くらい歩き回って終了

 昼間に見るとTHE 観光地という雰囲気のカルタヘナだが、夜中の人通り少ない路地裏なんかはなかなかどうして私好み。歴史の重みを感じるってのはこういうモノなのかもしれないとか思ったよ。

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 写真にその感じが反映されてるかは知らん

 なお明日の出発で1月半ほど行動を共にしていた沖野君とはお別れとなる。一緒に過ごす最後の夜となる訳だが、まぁ特別なことはなくいつも通りの夜でしたが。どうせ暫くはルートも似通っているのでそのうちまた会うことになるだろう。明日からは久しぶりとなる1人でのサイクリングが始まる。

 2017年6月29日(木) 走行距離10km 累計63346km
 2017年6月30日(金) 走行距離 0km 累計63346km
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 コロンビア5日目 カルタヘナの町〜カルタヘナから南東に約70km サン・フアン ネポムセノの町

 それでは南米の自転車旅行を始めたいと思う。あんまりルートちゃんと考えてるわけではなくて、綺麗な景色を見つつ南に向かって走ればいつかは海へと抜けるでしょう。

 ・・・というザックリしたイメージでやっていこうと思う。つまりはいつもと同じである。

 昨日も書いたが1月半ほど行動を共にした沖野君とはここでお別れになる。もともと「中米の治安悪い地域のリスク分散のため」という名目でペアランしていたのであり、ここ南米からは各々好きな道を楽しもうじゃないか!ということで。

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 また近いうちに会うと思うけど(しばらくルート一緒だし)

 みたいな感じで割と淡白に別れの挨拶して出発した私。もう1日カルタヘナで休んでいくという沖野君を尻目に快晴の空の下、久しぶりの自転車を走らせるのだけども。

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 入場料かかる砦を横目にして

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 大都市カルタヘナ脱出である

 今思ったけどカタパルトとカルタヘナってちょっと語感が似てると思う。でも前者が一瞬にして飛び出していくのに対し、カルタヘナは抜けるまでが一苦労の人口100万都市。

 今までセントロ付近のツーリスティックで綺麗な場所しか見てなかったからか、路上に散乱するゴミと、ゴミのようなひどい運転する車と、車を押しのけるようにして隙間を縫っていくバイクに挟まれ、バイクこと自転車の私はそれこそゴミのような扱いを受けつつの走行である。

 運転マナーの悪さと飛び交うクラックションに辟易しながら2時間ほどをかけ、ようやくカルタヘナ郊外へと抜けた時にはひと仕事やり終えたかのような疲れが全身に広がっていた気がするよ。ダメな疲れ方だけど。

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 落ち着いてしまえばこの景色と道

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 まだアンデス山脈は遥か遠く

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 露骨なカッティング

 しかし改めて地獄のような暑さである。先日ショッピングモールで安かったからとつい小型温度計を買ったのだが、これにより何時でも手元を覗くと現在気温が分かってしまうというね。

 これは自転車走行をする上での体調管理や休息を取る際の指針としては役に立つ反面、ハッキリと数字で状況を伝えてしまうことによるマイナス面もあるということ。誰が好き好んで気温40度を走りたがるのさ。

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 海近いから湿度も高いし

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 現実から半分くらい目を背けたくなる・・・かな?

 それでも!それでも!自転車で走るのは気持ち良いね。他の乗り物と違って「自分で進んで行く」という実感を感じるとともに、自分の力量までしかスピードも距離も反映しないのが良い。

 これって残酷である反面、走れば走った分だけ数字が確実に積み重なるのであり、私みたいに基本不器用な人間にとって「やった分だけ結果が出る」という何とも喜びを感じさせてくれる乗り物なんですよ。

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 ブエルタ=1周なのでコロンビア1周レースという意味

 これを見てもわかるがコロンビアは自転車人気が高い国とのこと。カルタヘナのひっどい交通状況を見た直後としてはあんまり実感湧かないが、それでも何組かのサイクリストを見たし昨今のロード界におけるトッププレーヤーの1人であるキンタナ選手はコロンビア出身だし。

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 若いのにオッさん顔の選手として有名

 久しぶりだし無理せずにと100km弱ほど走ったところで本日終了。まだアップダウンがほとんどないから暑さを除けば割合楽な道だった。これで標高上がれば涼しくなるわけだし、雄大なアンデスの景色も楽しめるというものだ。今からワクワクが止まらないですよ。

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 暑い場所で3000m上り坂がある事実は無視する

 2017年7月1日(土) 走行距離95km 累計63441km
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 コロンビア6日目 サン・フアン ネポムセノの町〜カルタヘナから南に約130km シンセレホの町

 目を覚ませばもう暑い。旅行始めるまでは「常夏の国」というフレーズに結構な憧れを覚えていたものだが、それはあくまで設備が整っているバカンスにおいて喜びとなるのであり、毎日暑くてたまらない日々が続くってのは洒落にならないレベルで厳しいです。

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 エアコン使うと300円上乗せされる部屋

 ちょっと出発に手間取ってしまい、宿の玄関出た時点で既に全身に汗をかいていた。コロンビアに入ってしまえば高山地帯で涼しくなると思ってたのに、現実は毎日35度を超えてくる猛暑日が続く。こんなんじゃ私、やせ細って倒れてしまいそう。

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 なんか色々いるのだけは分かる

 ちなみに今日のゴール予定であるシンセレホの町はカルタヘナからだと大まかに2つのルートがあり、私はやや遠回りする道を選んで走っている。「なんでその道を選んだの?」と問われれば、その時の気分で!としか答えられないのだが、自転車旅行なんてのはそんなもんだろう?

 ただ私はこういう時、常に「こっちの道を選んで正解だった」と思うようにしている。実際には両方を体験した上で比較しなければ分からないことであるけれど、「自分で選んだ」というファクターがありさえすれば、私はそれが正解なのだと信じている。

 なので何らかの事情で自分で選べなかった道であると、私もそんなお気楽感想を語ったりはしないのだが、幸いにして私が走りたくても走れなかった道というのは日本1周含めても5回ない。やりたいことは、だいたいやれてます。

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 飲み物休憩した町

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 ドライバーのオッちゃんから水を頂く

 色んな国の人に多々助けてもらった私であるが、この車で通りすがりに助けてもらうという体験はオーストラリアまで遡らなければなかったのではないか?これだけでもコロンビアの人たちが如何に親切心に溢れているかが伺えるというものだ。

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 それがないから不親切ということではない

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 標高にして200m前後の丘陵地帯が続く

 やはり体が鈍っているのか両足が重い。まだ山岳地帯に入ってもないというのにヘタれるのはどうかと思い、ちょっとだけ無理して先へと進む。なお無理しないというのは丸1日走らないことを示す。

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 やたら立派な自転車道が出てきて嬉しい

 どうにか予定どおりシンセレホの町へと到着し、消防署の車庫にて1泊テント張らさせてもらう。コロンビアの宿は安くてクオリティ高いのだが、カルタヘナでお金使いすぎたしなるたけ節約していかないとですよ。

 なお太陽光が強烈な地域なので、日が落ちてしまえば低地でもかなり過ごしやすいコロンビア。ということで明日からは早朝に走行するようシフト切り替えていこうと思いますん。

 2017年7月2日(日) 走行距離102km 累計63543km
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 コロンビア7日目 シンセレホの町〜カルタヘナから南に約220km プラネタ・リコの町

 昨日の宣言通り、朝早いにも程がある4時半の起床。というのも消防署に止めてもらうための条件として、朝の職員交代よりも前の時間に出発してほしいと言われたからであり、絶対朝5時に交代なんかしないだろう?と思ったのだが案の定、職員の皆様は就寝中であった。

 出発準備を整えて、最初に起き出した職員にお礼いって車庫の鍵を開けてもらい走行開始。この時点で5時45分くらいだったのだけど、特にお咎めどころか誰も起きてないもんで。

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 明け方に雨が降ってた模様

 朝ごはん食べようにもお店が開いておりませぬ。シンセレホは県都の大きな町であり、あんまり長居したくないのでさっさと走って次の町くらいで食事にしましょうそうしましょう。

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 何より明け方は涼しい

 まだ景色的に楽しいと思える感じじゃないけれど、これくらい朝早くの時間帯だといつもと風景が違って見えるようでなかなか。というか今日が全体的に曇り空で違うだけかもしれないが。

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 雨が降らないこのくらいが「良い天気」

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 朝食は揚げたジャガイモパン

 しかし早起きって大事だわ。ここ数日あまりにもペダル重くてペース悪いなぁ・・・とか思ってたのだが、普通に暑くてバテてたのだと知る。自転車旅行って思ってる以上に外的気候に調子が左右される乗り物なんですね。

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 デザイナーが自転車好きなのだと思う 

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 午前中で80kmちょっと走ってしまい(猿)

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 ゆっくりとお昼休憩

 そのままレストラン敷地内にあったハンモック使わせてもらい昼寝してしまう。治安悪いと言われるコロンビアで気が抜けすぎじゃないのか?とか思われるかもだが、そこにハンモックが吊り下げられてるのが悪い。そりゃ誰だって昼寝するでしょう?

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 1時間くらいかな

 午後になると強い日差しが雲間から見えてきたり、道も平坦路が減って細かなアップダウンが増えたりしたものの最初の貯金が生きてわりかし早めにプラネタ・リコの町へ到着する。やっぱ人生も自転車旅行も余裕が大事なんよ。

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 もちろん余裕なんてない

 ビール飲みつつ街中散策するのはいいけど両足かなり筋肉痛でして。これがアンデス山脈真っ最中だったなら、私も納得というかそりゃまぁ仕方ない。とか思うのだけども、普通に山へ入る手前の平坦路だからねここ。

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 コロンビアはメキシコと街並みが似てると思う

 本当はメデジン入るまで休みなしでうりゃうりゃ行きたかったが、ここは潔く明日半日休憩を入れようかと思う。ここで男らしく丸1日の休みを入れない点!これが私のやる気を表しているのだと思ってもらえれば幸いである。

 2017年7月3日(月) 走行距離120km 累計63663km
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 コロンビア8日目 プラネタ・リコの町〜カルタヘナから南に約270km カウカシアの町

 星が綺麗に見えそうな名前の町だったが、特に空を見上げることもなくファンの回る安宿の天井ばかりを見ていた夜。

 なるべく早い時間帯に出発することが吉だと分かった(遅い)ので、今日も5時半に起床して出発準備。ところがガソリンストーブさんが不調どころか全く働いてくれなくなる始末。結局30分メンテしてもどうにもならないのであり、これ以上遅くなることは避けたいと出発することにした。

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 右手のトイレには敷居がない部屋

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 割と大きめの町には自転車道があるみたい

 昨日のいい感じした曇り空は泡沫の夢だったのか?半端ない日差しの下を走っていれば、あるレベルを超えるともうひたすらに不快としか言いようのない気分となるのでして。

 私にも我慢の限界があるというか、そもそも何に我慢しているのだというか、ともかく太陽にくさやの臭いでも嗅がせてやりたいやるせなさ。背中に氷を垂らすとかも良いかもしれない。

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 日陰を走ってる時は気持ちも落ち着く

 ちなみにこの数日間、吹いてくる風は南からの向かい風だ。だがこの風は割合冷たくて、私はアンデスの山から冷えた空気を運んできているのだろう・・・と思っている。それが楽になるのかといえば全くそんな事実はないけど気持ちは大事。

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 天気も大事

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 アスファルトで目玉焼きとか作れそう

 コロンビア当初は雄大な山々が立ち並ぶ姿を夢想してたのだけれども、現状ではその景色のほとんどが平原ばかりである。別に地平線が続く景色や広大な牧草地帯も好きな景色だけれど、こっちが期待してたものと違ったものが提供されると「何だかなぁ・・・」と思うものでして。

 例えるなら魚料理を注文したはずが肉料理出てきたら、どんなにそれが美味しくとも「そうじゃなくて!」とツッコミしたくなるでしょう?茶壺さん、そんな気持ち。

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 はやいとこ山、出てこないかなぁ

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 コロンビアの料金所は自転車が通過しやすい

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 自転車の人と同じデザイナーとみた

 午前中でカウカシアの町へと到着しさっさと宿に入って半日休憩にするはずが、時間があると安い宿を探してウロついてしまう貧乏性。そうでなくともこのカウカシアの町がかなり大きくて宿だらけ。

 私は基本、何かを選ぶとき迷わない性質だがこの町の宿選びは迷ったね。ここよりもっと安い宿があるかもしれない!という迷い方なので、一貫性はあったけど。

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 ショッピングモールがあるのは大きい町

 ようやく投宿したので朝のストーブメンテの続き。今度はネット環境があるので色々調べながらやってみたところ、そもそもウィスパーライトはガソリンを入れて使うタイプのストーブじゃなかった模様。

 今まで北米の質の良いガソリンを使ってた関係で問題なくやれてたが、コロンビアガソリンに変えたことで使えなくなってしまったようだ。ナンテコッタ。

 結局メンテに時間取られてあんまり休めなかった気がする午後。まぁ休み時間なんてのはあっという間に過ぎていくもんだ。私は毎日ずっと休み時間だけれども。

 2017年7月4日(火) 走行距離72km 累計63735km
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 コロンビア9日目 カウカシアの町〜ボゴタから北北西に約340km バルディビアの町

 早起きスタイルにシフトしたはずが、昨夜うっかり23時とかまで起きてたので超眠たい朝。ネットが使えるというだけで、人はこんなにも簡単に堕落してしまうのですね。

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 コロンビアの宿はWi-Fi有る無し半々くらいの印象

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 やっぱり朝は交通量が少なくて走りやすい

 しかし町を出てしまえば景色が一変するのは当然として、ビックリするほど交通量が減るのだが。本当、あの山のように連なったバイクはどこへ消えたんだよ?と不思議に思ってしまう茶壺さん。基本1本道なので道を違えることはなし、半数くらいはキャトルミューティレーションされてるはず。

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 その代わりに牛が多いのだとしたら納得いく説明だわ

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 何故に路上で牛の頭蓋骨?

 一応カルタヘナから南下してくると、本日ゴール予定のバルディビアまで約450kmが平坦地区となっている。私は回り道したせいで平坦じゃなかったり、距離ももうちょい走っていたりするのだが、まぁ誤差の範囲だ。

 南米大陸西部を縦に貫く形で広がる世界最大のアンデス山脈。これはこのままアメリカ大陸の南端まで続くのであり、そういう意味で今日までは南米のウォーミングアップみたいなものだともいえる。無茶苦茶長いアップだな。

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 遠目に山々が見えてきた

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 コロンビアのトーペは緩やかで危なくない

 本日後半戦になると川沿いを走っている関係なのか、やたらとホースから水が飛び出している光景を目にする。割と途上国の山岳地帯でよく見た光景であり、これが出てくるよいうことはこの先が車両が汚れる場所多数を示しているのだが、大丈夫だろうかアンデス?

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 シャワー浴びたい

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 ときどき道路まで飛び出てるのとかある

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 多分大丈夫だろうと水分補給にも使った

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 水が豊富なのだろうと思いつつ

 渓谷地帯を走り続け、先の川を渡る直前にて本日終了。バルディビアの町中央部はこの先山を登り始めて15kmほど先にあるのだが、地図で見る限りはここも変わらずバルディビアの町。

 まだ気持ちが山岳モードに入ってないのであり、今日はここら辺で勘弁してやろうかと思う。どうせ明日から1日100回くらい「勘弁してください」とか泣きが入るのだし、今日くらいは強気でありたいよ。

 宿に投宿したはいいが、なんと町全体が停電中。いやいや、町が停電とかこんなへっぽこっぷりミャンマーの片田舎以来じゃなかろうか?何だかんだ中米の小さな村だって電力事情は安定していた2017年。まだこんな町が残っているなんてコロンビア恐るべし。

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 ちょっとだけ町中歩いたり

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 この夕食の途中で復旧した

 いよいよ明日からガチヒルクライム。長すぎる助走で既に両足疲れているのだが、果たしてどこまで行けるのやら?というか登り切らないことには先へ進めませんが。

 2017年7月5日(水) 走行距離106km 累計63841km
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 コロンビア10日目 バルディビアの町〜ボゴタから北北西に約300km ヤルマルの町

 アンデス山脈始まりの日。もうすっごくワクワクで、昨夜も楽しみすぎて5分と経たずに寝てた。でも朝起きて「まだ寝てたい」とか思うくらいにはやる気満ち溢れてた。

 とりあえず現在標高が手元の高度計で160m。メデジンまで距離あるのだし、素直に距離刻む形で走る方が賢いのだが、賢くないので今日はやれるだけやってみようと思う。今、全力を出さずしていつ頑張るのさ?

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 そんな感じで7時過ぎ出発

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 この橋を越えるともう上り坂

 何にも考えてないわけではなくて、午前中の早い時間帯で「低地での上り坂」という最もキツいポイントをクリアしてしまおうという算段。重量級自転車での上り坂は、暑さへの対策というのが思いの外重要なファクターであることは間違いなかろう。

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 普通の自転車でも一緒だよ

 ときどき凶悪な斜度が出てくるのだが、全体的には「やや緩やか」程度で快調に進む。もうアンデス山脈というだけでそり立つ壁みたいなイメージを抱いたりとかもしてたのだが、そりゃ道路作ってる以上は自転車で走れる道だよね。

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 500mくらい上ったかな?

 しかし景色が抜群に良い。ある程度まで上ると木々が開けて展望が良くなるのだが、こんな景色を見ながら走れるなんてそりゃ世の自転車旅行者の憧れの地となるわけですよ。例えるなら、アメリカでこのレベルの景色が広がってるのはナショナルパークとかそんなレベル。

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 それが当たり前に無料で広がっているのでして

 これは堪らん。何がって、坂道いつまでも続くことが。標高も1000mを突破するが、一向に坂の終わりが見えないどころか斜度が急角度になってきおり後半に本気出すタイプだったかオマエは。

 ボトルの水を全て消費し、そこら辺の滝から取った水飲んでも飲んでも追いつかない。素直にバルディビアの町で終了しとけば良かったかな?とか弱気になり始めた時には町は遥か彼方に見えるのみ。

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 こりゃ行くしかないわ

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 休憩挟んでも疲れ切った足はそう簡単に回復しない

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 1800mくらいで雲の中へ

 ようやく稜線部分を超えたところで朝から続いた上り坂も一段落。最初に見つけたレストランに入ったのだが、完全にエネルギー枯渇してたのか最初に出されたスープの味が全身に染み渡るようであった。

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 5時間上ってればそりゃ美味いですわ

 前半戦だけで標高1900mまで上ってるだけあって、流石に午後は多少落ち着く。この落ち着くというのは「坂の斜度が緩やかになった」ワケではなくて「道中に下り坂が入り込むようになった」ということであり、ふざけんなせっかく必死こいて上った貯金を切り崩して再び登らせるなんて!

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 一筋縄じゃいかないアンデス

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 でも流石に2000m越えると暑くはない

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 結局2360mが最高地点

 つまり数字だけの獲得標高2200m。実際にはアップダウン含んでるので2400〜2500くらい上ったぞ、このクソ重たい自転車で。すごいな私、今日はビールがさぞや美味いことでしょう。

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 そこからちょっと下った先に見えるヤルマルの町

 コロンビアでは町と町との距離そんな離れていないし町なんて山ほどあるのだが、今日はこの町が見えた時の景色に感動してしまった。本日上り続けてきた末のゴールという喜びだろうか?

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 こんな山の斜面に町作ってくれてありがとう

 今日は頑張った!累積獲得標高も新記録作ったし!とご褒美ビール3本ほど飲んでたら寒くなるわ、お腹膨れて夕食食べる気なくすわとあんまりな結果に。

 ちなみに標高上って何が嬉しいって夜中に暑くないのが嬉しい。でもシャワーがあんまり暖かくならないのは悲しい。悲喜こもごも。

 2017年7月6日(木) 走行距離58km 累計63899km
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 コロンビア11日目 ヤルマルの町〜ボゴタから北西に約260km ドン マティアスの町

 ベッドが小さくて足がはみ出してしまうので対角線上に寝ていた。何となく人様に見られたくない姿であったと思いつつ、起きてみれば抜群の快晴。綺麗な景色には良い天気が必要だよね。

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 抜群に安かったけどとにかく狭い部屋

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 しかし山沿いだからかこんな急斜面ばかりの町

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 町を望むまでに200m下って150m上ってる

 さてとりあえずの目的地であるメデジンの町は標高にして1500mくらい。ヤルマルの町から120kmとやや距離があるものの、この町の標高が2000mであることを考えると下り基調でペース良く走れることが予想できる。ちょっと頑張って今日中に到着してしまおうかな?

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 なんて思っていたのだが

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 もう初っ端から上りだよ上り坂!

 昨日かなり頑張って高さ稼いだけれども、それはアンデス序の口でもない様子。再び遠くに見える山頂へと続く道を時速6とか7kmの鈍足でヨタヨタと進んで行く私。

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 オマケに景色良くて写真ストップが多い

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 標高2500mでもタンポポって咲いてるんだね

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 結局2600m強まで上った

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 この時点で今日中にメデジンへ到着することを諦める

 流石にこの標高まで来ると気温はかなり下がる。主に羽織るのが面倒臭いと言う理由で私は相変わらずTシャツ1枚で走っているが、手元の温度計も15度を示してるし低湿度も相まって最高に気持ちいい。自転車止めると流石にちと寒い。

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 コーヒーブレイク中に頂いた果物

 ちなみにコロンビアでは適当なカフェにおけるコーヒー1杯の値段が500ペソ(約20円)とかであり、これで本場のコロンビアコーヒーが飲めるなんて贅沢!とか思いきやインスタントである。それでも格安なのでちょいちょい休憩がてら飲んでるけれど。

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 今日は余裕あるので自転車写した写真もそれなりに

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 空の青さが際立つ気がする

 いやしかし、どこを走ってても素晴らしい景色なんですよコレが。上り坂でひぃひぃ喘いでいるのにちっとも嫌だと思わないのは一重にこの山々の美しさがあるからでしょう。

 私が嫌だと思う峠ってのは、走ってても景観が悪くてひたすら苦しさばかりに意識が向いてしまう道であり、でもそういう道ほどいきなり展望が開けた時に思わず全身がぶるっちゃう程感動したりもすることも多いので悪いことばかりじゃないけれど。

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 とりあえず平地と比べて写真撮影数が格段に増えた

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 洞窟に宗教関連施設が作られるのはよくある

 結局スタート地点よりも標高上げたドン マティアスの町にて本日終了とす。コロンビアの宿相場も大体把握したので安そうな宿求めてウロウロ回った挙げ句、セントロ近くの宿が1番良かったという結果に。

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 コロンビアの教会は割と好きな形が多い

 朝とは異なりベッド2つもある大きな部屋を使えることに。でも本当に嬉しかったのはホットシャワーの湯量が抜群だったこと。いくら何でもこの標高で水シャワーは相当気合入れないと浴びるの躊躇するのです。

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 食堂じゃなくて屋台で晩御飯

 2017年7月7日(金) 走行距離75km 累計63974km
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 コロンビア12日目 ドン マティアスの町〜ボゴタから北西に約250km メデジンの町

 さて今日は本当に下り坂(希望)だし距離も短いしで楽勝な日。オイラ、メデジン着いたら力の限り休息とってビール飲んでダラダラ過ごすんだ・・・という崇高な目的のためにも、まずは今日を頑張らねば。ときどき遊びの自転車旅行なのに、こういう気持ちになってしまうのは笑いどころ。

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 居心地良かった部屋を出発

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 いいね、今日も良い天気

 ドン マティアスからちょっと走った(上った)場所から一気に700mの大下りが始まる。そういう場所なのでもう景色が素晴らしいのであり、思わず写真撮影で停車を繰り返して下り坂なのになかなか進まない。

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 もう何というか最高

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 でもトラックの後ろにつくと最悪

 いつも抜かれてばかりのトラックをここぞとばかりにぶち抜いたりして遊びつつのダウンヒル。両手が疲れてきたところで坂道も終わり、標高も1300mまで下る・・・ってことはメデジン行くのに上り返すんじゃねーか!ふざけんな。

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 あと自転車道が出てきたんだけど誰も利用してない

 今日が土曜日だからか、やたら大勢のローディが坂道を上っている姿を目にした。メデジンからそれほど距離離れておらず、結構な坂となっているこの峠はメジンンサイクリストの格好の練習場所なのでしょう。関東南部で例えるならば、週末のヤビツ峠みたいなモンか。私もよく遊びに行ってたわ。

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 んで一緒になったオッちゃん

 すでにヒルクライム終えた後での帰り道とあって行き先は私と同じ。ペース合わせてくれるのでちょいちょい談笑しながら途中のフルーツ販売テントで奢ってもらう私。

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 何当然のように頂いてるんだ左の人

 メデジンももうすぐというところで「おいおい、俺の家はここから左折だぜ」って、いつの間にお家へお邪魔する話になっていたのでしょうか?スペイン語会話なので自信は全くない。

 そのままフアンの家へとお邪魔して、休憩がてらおやつに昼食までたらふく食べさせてもらう私。なんか毎日のように親切なコロンビアの人たちに良くしてもらってるな。

 結局14時過ぎまで厄介になり、分かりやすい道までフアンに先導してもらう待遇。こんなに良くしてもらってばかりでそのうち罰とか当たりゃしないよな?

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 ということでメデジン郊外

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 流石に交通量多くて走りにくい

 予め調べておいたホステルへとチェックイン。両足がいい感じにパンパンなので、足の疲労が取れるまでメデジン滞在しようかな?

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 スーパーの規模がもうとんでもないレベル

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 とりあえず自炊していきましょう

 別に道中のホテルでもネットしていたのだが、メデジン到着したことで気が緩んだのかダラダラと深夜3時までネットしてた。その際、ボゴタに行くには標高200mまで下り再び2500mまで登り返さねばいけないことを知る。これはワクワクしてきたぜ。アンデス本番はまだまだこれからである。

 2017年7月8日(土) 走行距離53km 累計64027km
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