クラシック・マイナー曲推進委員会

マイナーな作品を中心にクラシックのCDを聴きまくる私の備忘録的感想文です。
さんざん聴いてるのに忘れちゃうもので。もし読んでくれる同好の方がおりましたら参考になれば嬉しいです。
このブログは全く個人の感想ですので、一般の評価などとは異なることが多いかと思いますが、あしからず。
また、ほぼ耳で聴いただけでの作文ですので、間違ったこと書いてあったらごめんなさい。もしお気付きの誤りがありましたらご指摘ください。

カテゴリ:作曲家I > Ippolitov-Ivanov

chan9321①ハチャトゥリアン:祝典詩曲
②イッポリトフ=イワノフ:コーカサスの風景Op.10
③ハチャトゥリアン:交響曲第3番「交響詩曲」

フョードル・グルシチェンコ(指揮)
BBCフィルハーモニック
録音:1993年8月9日リーズ・タウン・ホール(ライヴ録音)
(CHANDOS CHAN9321)
ハチャトゥリアンであまり聴いてなかったもう1枚をちゃんと聴いてみました。
何故か突発的に1枚だけグルシチェンコがCHANDOSから出たものでした。ハチャトゥリアンのやかましい2つの詩曲で「コーカサスの風景」をサンドイッチした興味深いアルバムです。

①この作品はMelodiyaのハチャトゥリアン110年記念BOXにも収録されていました。
深刻に始まったかと思ったら明るくなって楽しい祝祭的なマーチになります。その後はキレイな場面になったり戦いっぽくなったりと、目まぐるしく変わってききます。冒頭のテーマが戻ってからは派手な終結に向かっていきます。
全体的におめでたい雰囲気でガイーヌぽいところも多いけどちょっと恥ずかしい。(18:26)

②みんな大好きなコーカサスの風景です。このCDのカップリングになってたこと忘れてました。
1.「峡谷にて」(10:09)
ゆったりとしたテンポで一層しみじみとしています。
2.「村にて」(5:30)
イングリッシュ・ホルンやヴィオラのソロはやっぱり結構ゆっくり。途中の速くなるところのポコポコなる打楽器は独特な音。
3.「モスクにて」(4:26)
強弱の幅が大きいです。
4.「酋長の行列」(5:53)
有名なこの曲もやっぱりゆったりテンポです。
全曲通して、ちょっと独特な演奏ですが、しみじみした良い演奏だと思います。

③冒頭のクレッシェンドからトランペットがシャワーのように降ってくる感じは気持ちいい。BBCフィルのオルガンはトルトゥリエのギルマンで残響多過ぎで何やってるか分かりませんでしたが、このオルガンはだいぶ分かります。ここまでは凄まじい。
ゆったりになると遅いテンポでじっくり歌います。
冒頭のテーマが戻ってくると緊張感は上がりますがテンポはやはりゆっくりめ。ティンパニが出てきてリズミカルになるとさらに緊張感が上がり、鳴りっぷりが気持ち良い。ものすごい息苦しいような音洪水のあとテンポが速くなるとカタルシスです。最後に向けてこれでもかの攻撃が続きますが、なかなか素晴らしい。
先日聴いたベールマンに比べ素直で気持ちよかったです。(24:53)

①★★★☆☆(まあまあ)
②★★★☆☆(やっぱり名曲)
③★★★★☆(やっぱり凄まじい)

グルシチェンコが素晴らしいのかハチャトゥリアンの3番に駄演がないのか、よく分かりませんが結構楽しめる1枚でした。

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mcd107「ロシアン・コンサート」
①アレンスキー:「エジプトの夜」組曲
②アレンスキー:ピアノ協奏曲
③イッポリトフ=イワーノフ:コーカサスの風景

モスクワ放送交響楽団
①ボリス・デムチェンコ(指揮)
②アレクセイ・チェルカソフ(ピアノ)、アレクサンドル・アレクセーエフ(指揮)
③ウラディーミル・フェドセーエフ(指揮)
録音年月日未掲載
(MELODIYA MCD107)

この「ロシアン・コンサート」シリーズはOLYMPIAがMELODIYAと提携して、バンバンCDを発売した時、よく分からない選曲でちょっとマイナーなオーケストラ作品を紹介するというものでした。
で、多分第3集まであったけど、この第1集は持ってなかったのですが、中古で見つけたので購入しました。おそらくメインの「コーカサスの風景」は知ってる曲だったので、手を出さなかった気がします。そのフェドセーエフの「コーカサスの風景」もまだ国内盤が現役ですが、今まで購入する機会を逸していました。

①1曲目は「序曲」(このCDだとなぜか1曲目に「バレエ組曲」と書いてある)。チャイコフスキーのバレエにありそうな明るく楽しい、速いテンポの行進です。エキゾチックな雰囲気はありません。途中ちょっと短調になって綺麗なハープが出たりもチャイコフスキーぽい。
2曲目「ユダヤ人の踊り」はクラリネットに始まるのどかな民謡調の情景です。チェロの独奏もあります。
3曲目「ガージー(戦士)達の踊り」はカスタネットが入った3拍子のスペイン風な舞曲。途中ちょっと静まると鈴が印象的。
4曲目「ヘビ使い」でようやくエキゾチックな雰囲気に。オーボエが東洋風に歌いまくります。
5曲目は「パ・ド・ドゥ~ワルツ」。やっぱりチャイコフスキー風ですね。
6曲目「アントニウスの凱旋」は祝祭的な行進曲ですね。この曲はなんか記憶にありました。楽しい雰囲気です。
タイトルから想像されるようなエキゾチックな音楽を期待すると肩透かしにあいます。いかにもチャイコフスキーの伝統にのったグランド・バレエ的な音楽です。

②第1楽章の序奏は強圧的なオケから激しいピアノが登場する感じはリスト風か。第1主題は悲劇的で第2主題はうっとりするようなロマンティックな感じ。シューマン風。
第2楽章は期待に違わぬロマンティックな緩徐楽章。チャイコフスキーやシューマンぽいけど、更にはマクダウェルを感じさせるのは独墺から離れたロマンティストが似てしまった?
第3楽章はアレグロだけどそんなに速くない。「ジャン、ジャジャジャー」とちょっと深刻で印象的なフレーズで始まります。これと楽しげなテーマによるロンド(?)。

③冒頭のホルンの野暮ったいビブラートからフェドさん臭がぷんぷんです。
しかし、録音な日本のチームが関わっているせいかフェドさんにしてはカッチリまとめあげていて素晴らしい。でも終曲の「酋長の行列」の最後がテンポあげるのは、かえって安っぽく聴こえます。

①★★★☆☆(楽しい組曲ですが、エジプトの雰囲気はあまり感じない)
②★★☆☆☆(ロマン派ピアノ協奏曲好きなら楽しめると思います)
③★★★☆☆(フェドセーエフらしいコーカサスの風景です)
フェドセーエフの録音は1981年のビクターとMELODIYAの共同制作でしょうけど、他はいつの録音かわかりません。指揮者も知らないし。でもMELODIYAにしては、素直でいい録音状態です。

aqvr377イッポリトフ=イワーノフ(1859-1935):
①トルコ行進曲
②管弦楽組曲第3番「トルコ断章」
③管弦楽組曲第4番「トルクメニスタンの草原にて」、
④管弦楽組曲第5番「ウズベキスタンの音画」
イリヤ・サッツ(1875-1912):
⑤「青い鳥」組曲
レオニード・ピアティゴルスキー(指揮)モスクワ放送交響楽団、
⑤モスクワ放送女声合唱団
録音:①-④1949年(モノラル)、⑤1962年(ステレオ)
(AQUARIUS AQVR377-2)
イッポリトフ=イワノフ(MII)の「コーカサスの風景」には第2組曲があるのはそれなりに知られてますが、なんと第3、第4、第5組曲まであった!?
というのは正確じゃないみたいです。管弦楽組曲の第1番が「コーカサスの風景」。管弦楽組曲第2番が「イヴェリア」らしいです。「イヴェリア」は「コーカサスの風景」の続編として作られたようですし、出版譜にも「コーカサスの風景第2番」と印刷されたようですが、副題に副題がついてるようで、なんか変な気がしてました。
というわけで管弦楽組曲第3番~第5番の古い録音がCD化されているのを知って入手した次第です。指揮をするレオニード・ピアティゴルスキーは有名なチェリストのグリゴリー・ピアティゴルスキーの兄だそうです。

①トルコ行進曲はチェクナヴォリアンやチョー・ホエイ盤がありました。楽しい行進曲です。
②「トルコ断章」もチョー・ホエイ盤がありました。
1曲目「キャラヴァン」は「酋長の行列」ぽいしみじみとしたマーチ。2曲目「安らいで」はしんみりした親しみやすい旋律ですが、中間部は攻撃的なマーチです。3曲目「夜」は更にゆったりたゆたうような悲しい音楽。4曲目「祭り」は元気に輪になって踊る感じです。中間部はホルベルク組曲の悲しい曲みたい。
③1曲目「鷹狩」はあまり東洋風を強調せず、何だかワーグナー風で壮大な感じです。2曲目「ラヴ・ソングス」は何か民俗的な楽器がシャンシャンなっている上でソリが走ってる感じです。穏やかな中間部があります。3曲目「乙女の夢」はヴィオラ(ヴァイオリンの低音?)がしっとり歌います。そしてMIIお得意の演歌調で盛り上がります。4曲目「マーチ」は陽性の「酋長の行列」といった感じです。
④1曲目「ブハラの夜」は「魔法使いの弟子」っぽい始まりかた。ブハラはウズベキスタンの街らしいです。でもやっぱりエキゾチックな行進になり安心(?!)。2曲目「踊り」はフォーレのレクイエムの「リベラ・メ」みたいに始まります。でもやはり民族的な旋律になり、テンポが上がり熱狂的に盛り上がります。3曲目「庭にて」はハープにのって哀愁漂うオーボエが歌います。テンポがあがってガイーヌにありそうな3拍子の哀しげな舞曲になります。4曲目「反転行進」はやっぱりマーチ。陽性ですが、トリオのちょっと短調になるところは上手いですね。

⑤イリヤ・アレクサンドロヴィチ・サッツとは聞いたことない作曲家です。CDの解説も作曲家の部分はロシア語しか書いてないので、読めません。しかし、ネットで調べたら何とこの「青い鳥」は1989年にモスクワ児童音楽劇場バレエ団が来日して上演したそうです!
1曲目「夢とモミの木」は印象派っぽい序奏から、昔のアニメの音楽みたいになります。合唱も楽しそう。
2曲目「光-妖精-時計-時計の踊り」。冒頭は輝かしい合唱です。その後綺麗でちょっともの悲しい場面になります。終盤は不穏な音楽になります。
3曲目「行進曲」は一瞬「巨人」の3楽章かと思いますが、速いテンポの元気なマーチです。あっという間に終わります。
4曲目「思い出の国」はしんみりしたファゴットではじまります。いかにもロシアの緩徐楽章です。最後に合唱が民謡調の歌を歌います。
5曲目「時」は抜き足差し足。あっという間に1分で終わり。
6曲目「母の歌」は合唱がヴォカリーズでちょっとしたフレーズを歌います。これも1分弱と短い。
7曲目「光と行進」は2曲目冒頭と3曲目を再現して終わります。
いかにも子供向けっぽい、はっきりさた分かりやすい音楽です。とは言いながら、しっかりした作曲技法によって作られています。

①-④★★★☆☆(安定したMIIワールド)
⑤★★☆☆☆(いかにも子供むけっぽい)
MIIは1949年の古い録音ですが、はっきりとした音質で聴きやすい。盛大なテープ転写もご愛嬌。
サッツもステレオで良い音です。古い録音ながら珍品が安心して聴けるクオリティは嬉しいです。

4802428①イッポリトフ=イワーノフ:組曲「コーカサスの風景」
②グリエール:「赤い芥子」組曲
フィストゥラーリ指揮ロンドン・フィル
録音:①1957年3月、②1956年9月(DECCA 480 2428)
ユニヴァーサル系の廉価盤シリーズ「エロクェンス」は本家のヨーロッパでは新譜が出てるのやら出てないのやらの状態ですが、オーストラリアのローカル・リリースが初CD化や久しぶりのCD化音源をバシバシ出して来て面白い事になっています。このフィストゥラーリの一枚も初CD化とのこと。MIIとグリエールとまあ、マイナー曲入門にもピッタリの素敵なカップリングです。フィストゥラーリはキエフ出身の指揮者でバレエが得意だったらしく、残ってる録音はバレエばっかり。でも奥さんはマーラーの娘なんだって!?
①全編寂しげなこの組曲、本当に味わい深いですね。基本的にメロディーと伴奏で出来ていて、ソリストにお任せな部分も多いので指揮者の特徴は出しにくい曲です。でも二曲目でテンポが上がって対旋律が出てきた時は対旋律のほうを強調したり、終曲は速めのテンポで前のめり気味に行き、最後はものすごい追い込みだったりと色々やってます。
②このCDのブックレットの解説ですが、曲名の一曲目と三曲目がひっくり返って書いてあります。iTunesのデータが違う順番で出てくるので、こちらが正しいのかと思ってたらもっと無茶苦茶。三拍子じゃないワルツなど笑ってしまいました。
正しい収録順は(英雄的苦力の踊り/情景と踊り/中国の踊り/フェニックス/ワルツ/ロシア水兵の踊り)です。この標準的な組曲のCDは他にないので貴重です。
一曲目「英雄的苦力の踊り」はマッチョがリズミカルに激しく踊ってます。中間部は民謡調。楽しい~。二曲目は「情景と踊り」コテコテ中華風メロディーで始まるロマンスでタイトル通り最後は踊り。10分の長い曲。三曲目は「中国の踊り」でこちらは1分の短い曲。タイトルのまんま。四曲目は「フェニックス」。タイトルから勇ましい曲を想像するとヴァイオリン独奏が全編弾き続ける甘い音楽です。五曲目は「ワルツ」です。六曲目は有名な「ロシア水兵の踊り」。結構勇ましいフィナーレらしく盛り上がる。テンポがギュンギュンあがるところなんかコサック・ダンスのようです。
①★★★☆☆(ちょっと音がほこりっぽいけど、十分楽しめる)
②★★★★☆(面白い!)

ハチャトゥリアン:「ガイーヌ」より(5曲)、「仮面舞踏会」組曲、「スパルタクス」組曲
イッポリトフ=イワーノフ(MII):「コーカサスの風景」第1番

チェクナヴォリアン指揮アルメニア・フィル
録音:1991年エレヴァン
(ASV CRCB112)
このCDは一世を風靡したチェクナヴォリアン&アルメニア・フィルのデビュー盤で、アルメニアといえばやっぱりハチャトゥリアン。「ガイーヌ」と「スパルタクス」プラス・アルファのベタな選曲ですが、MIIの「コーカサスの風景」が凝った選曲です。
まずは「ガイーヌ」は標準的な5曲の組曲です。全体に早めのテンポで元気よい演奏です。「剣の舞」もやはり元気がよく、中間部のスネアの後打ちは見事にズレています(完璧な演奏も少ないですが)。「山岳人の踊り」や「レズギンカ」はスネアが異様にテンションが高くテンポも早い。のですが、妙に軽々しく冷めた感じの不思議な演奏。
「仮面舞踏会」は至って標準的なテンポやバランス感で、安心して聴けるけど、もうちょっと何かほしいところ。
対して「スパルタクス」ですが、これは素晴らしい。充実の名演です。ハチャトゥリアン・マニアの私にとって退屈しがちなこの曲をじっくり聴かせます。テンポなどはやはりまっとうですが、何故かオケの充実度が違います。指揮者やオケとの相性もあると思いますが、多分この作品が一番やりたかったのでしょう。アルメニアのオケということで「ガイーヌ」には辟易していたのかな?
最後に「コーカサスの風景」です。やかまし系が続いていたので、しんみり系のいい選曲ですが、演奏自体は早いテンポで元気がよいけど、腰が軽くて、どうも作品との違和感を感じます。
というわけで、彼らの名刺がわりの1枚で出た時はインパクトがありましたが、今聴くとちょっと物足りなかったです。
★★★★★スパルタクス(これだけ名演だと思う)
★★☆☆☆スパルタクス以外


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