クラシック・マイナー曲推進委員会

マイナーな作品を中心にクラシックのCDを聴きまくる私の備忘録的感想文です。
さんざん聴いてるのに忘れちゃうもので。もし読んでくれる同好の方がおりましたら参考になれば嬉しいです。
このブログは全く個人の感想ですので、一般の評価などとは異なることが多いかと思いますが、あしからず。
また、ほぼ耳で聴いただけでの作文ですので、間違ったこと書いてあったらごめんなさい。もしお気付きの誤りがありましたらご指摘ください。

カテゴリ:作曲家P > Ponce, Manuel

cddca926「メキシコの音楽Vol.6」
ポンセ(1882-1948):
①ピアノ協奏曲(1912)
②ガヴォタ
③哀歌的詩曲(1935)
④メキシコのバラード(1914)
⑤古代メキシコの踊り
⑥交響的三部作「チャプルテペック)(1929/34)

エンリケ・バティス(指揮)
メキシコ州立交響楽団
①ホルヘ・フェデリコ・オソリオ(ピアノ)
④エヴァ・スーク(ピアノ)
録音:サラ・フェリペ・ビジャヌエバ(録音時期不明ⒸⓅ1995)
(ASV CDDCA926)
引き続きバティスの「メキシコの音楽」からポンセばかり集めた第6集です。TOCCATA盤買った時にポンセのみの作品集は珍しい、と思ったのですがバティスで既にありましたね。
①ポンセのヴァイオリン協奏曲はイマイチだった気がするのですがピアノ協奏曲はどうでしょう。ちょっと不安な気持ちで聴きました。
第1楽章 アレグロ・ノン・トロッポ(6:01)
いきなり嵐のようなオーケストラの序奏があります。ピアノのソロはちょっと落ち着いて優しげに登場しますが、トリルがクレッシェンドして荒々しい主題を退き始めます。次に優しい第2主題になります。これがロマンティックに盛り上がって第1主題と混じり合うように展開します。ピアノは結構忙しいそうです。アタッカで次に進みます。
第2楽章 アンダンテ・エスプレッシーヴォ(9:55)
第2主題の再現かと思いきや第2楽章になり、やがてちょっと憂いのあるロマンティックな主題が出てきます。中ほどでは第1楽章を思いだし、結構劇的に展開します。長いカデンツァを経てアタッカで次に進みます。
第3楽章 ヴィーヴォ(4:16)
明るいアレグロだけどちょっと怖い雰囲気です。結構激しく盛り上がっていきます。
まるでロマン派本流の作品でメキシコ風味は感じさせない作品ですが、結構聴かせます。

②優しいガヴォットですが、結構ルバートがかかってネットリしてるのは曲のせいか演奏のせいか。中間部はちょっと速くなります。(6:18)

③暗く葬送の調べのように始まります。ワーグナー風に劇的に盛り上がったり、落ち着いたりを繰り返し、暗い方向に収束していき、最後はドラが小さくゴーンとなって終わります。
陰気だけど素晴らしいです。民族的要素はありません。(8:04)

④「ティラリラリラ…」とフルートに誘われてピアノが登場。前の曲とはうって変わって優しい雰囲気で始まり、ロマンティックな雰囲気で独奏ピアノが活躍します。長いカデンツァがあり「ティラリラ」主題を終わらせ優しい別の主題が出てきます。次に「ティラリラ」主題が不安げに恐ろしげに展開し激しめのカデンツァになります。最後は感動的に盛り上がります。
タイトルはメキシコですが、中身はロマンティック。(11:25)

⑤民族的で怪しげな踊り。結構盛り上がりますがすぐ終わります。(1:45)

⑥TOCCATA盤とは異なり本来の3楽章版です。
1.春(5:15)
印象派風の素敵な始まり方。メキシコ版「ダフニスとクロエ」といった感じの複雑なオーケストレーションで、押したり引いたり速くなったりしつつ盛り上がります。TOCCATA盤に比べ結構ゆったりで陰影が濃くて引き込まれます。
2.夜想曲(5:57)
夜の音楽という感じはします。中間部はリズミカルなリズムも出てきて盛り上がりますが、やはり暑苦しい。終盤の一瞬出てくるチェロのソロが良い。やはりTOCCATA盤よりかなりゆったりです。
3.歌と踊り(3:30)
冒頭はゆったりですが、スネアもあって最初から舞曲っぽい雰囲気。テンポが速くなると逸る気持ちが抑えられないといった感じです。
「チャプルペテック」は民族的だけど印象派ぽいです。バティスの演奏も感情豊かで楽しいです。

①‐④★★★☆☆(ロマン派のポンセ)
⑤★★★★☆(民族的なポンセ)
⑥★★★★☆(印象派のポンセ)

このアルバムは前半はロマン派的なポンセに焦点をあて、最後は印象派の面を見せるという構成でした。しかし、何れもオーケストレーションは洗練されていて素晴らしいです。
バティスの演奏も緩急自在だし、フォルテの解放も痛快で素晴らしい。録音も最高とは言わないけど文句ないレベルです。とにもかくにもバティスのおかげでポンセをすっかり見直しました。

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crcb72「メキシコの音楽Ⅰ」
①チャベス:共和国序曲「チャプルペテック」
②ポンセ:市の立つ日
③ポンセ:メキシコ点描
④レブエルタス:トッカータ
⑤ポンセ:夜の版画

エンリケ・バティス(指揮)
ロイヤル・フィル
録音:1989年ウッドサイドパーク、セント・バーナバス教会,ロンドン
(ASV CRCB-72)
ASVレーベルのバティスの「メキシコの音楽」シリーズは全部で8枚も出ています。クラウンから出ていた国内盤と輸入盤では第3集が違う内容でした。国内盤は第4集までしかなく、輸入盤の第8集が見当たりません。
この1枚は記念すべき第1集。国内盤は濱田滋郎先生のありがたい解説がついています。

①ポンセと同じタイトルの「チャプルペテック」ですが、こちらは明るく楽しい行進曲です。中間部は悲しげな主題(といっても大げさな民謡調)から展開します。演奏も思い切りよくスカッとします。

②スネアのリズムに乗って寂しげな行進で始まります。ちょっと伊福部にありそう。チューブラ・ベルがなり活気が出てます。その後はワルツになったり、祝祭的になったり、また静けさが訪れたりと色々変化していって面白い。最後はドカドカ盛り上がります。フレンドリーで親しみやすい雰囲気がとても良いです。市を歩き回っていて何となくメキシコ版「パリのアメリカ人」みたいな雰囲気の曲です。

③TOCCATA盤にも収録されていた作品です。
1.「マリンチェへの歌」(1:22)
録音がクリアでバックのスネアやたまに出てくるギロもよく聞こえます。フルートも抑揚があって素晴らしい。
2.「インディオの調べ」(1:29)
土俗的な雰囲気もカラッとしていて、いかにもメキシコ。
3.「民謡」(3:48)
TOCCATA盤に比べだいぶゆったりで情感も豊か。
4.「バヒーオの踊り」(0:59)
前の曲とは逆にTOCCATA盤よりえらい速い。これぞメキシコ!という感じ。ノリノリだけど唐突に終わります。バヒーオとはメキシコ・シティ付近の低地だそうです。
5.「舞曲 I」(1:27)
とても洗練されていてオシャレ。映画音楽ぽい。
6.「舞曲 II」(2:01)
やはり洗練されています。半音階的な動きも楽しい。後半は短いけど感動的。

④小編成でチャカチャカしています。ティンパニがたまにドーンとなるのがびっくりします。中間部のゆったりしたところも不思議な雰囲気。やはりレブエルタルの尖った感はポンセとは違いますね。(3:55)

⑤こちらもTOCCATA盤にも入っていた「夜の版画」です。各曲のタイトルは国内盤の表記です。
1.「夜」(10:44)
TOCCATA盤より2分半も短い。でもこちらのほうがフレージングかちゃんとしていてアゴーギク、デュナーミクもちゃんとやっていてニュアンス豊か。しみじみとしていて、なかなか素晴らしい曲に聞こえます。
2.「太陽王の時代」(4:52)
めっちゃチャーミング。対位法的な絡みが良いですね。チェロがテーマの時は前面に出てくるので分かりやすい。
3.「子守り娘」(2:57)
ミュート付きで暖かい雰囲気がらとても良い。
4.「道化人形のスケルツォ」(3:22)
さわさわーと始まって進んだり立ち止まったり一筋縄ではいかなくて耳を引き付けます。
TOCCATA盤では全然面白くなかったのに、同じ曲とは思えない面白さ。

①②③④⑤★★★★☆

何れの作品もめちゃめちゃ楽しめました。バティスの演奏もすこぶる快調。ただ爆演だけの指揮者ではありません。比べてしまうとTOCCATA盤はヒドイ。珍しい作品以外はTOCCATA盤はいらないですね。

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tocc0502ポンセ(1882-1948):管弦楽作品集Vol.1
①交響的素描「チャプルテペク」(1917/1923,1929,1934)
②夜の版画(1908/1912/1923)
③組曲「メキシコの点描」(1947)
④アルベニスの歌劇「マーリン」による交響的組曲(1929)

ホセ・ミラモンテス・サパタ(指揮)
サン・ルイス・ポトシ交響楽団
録音:①2015年4月26日、②③2018年4月15日、④2018年4月29日、テアトロ・デ・ラ・パス、サン・ルイス・ポトシ,メキシコ(ライヴ)
(TOCCATA TOCC0502)
ポンセというと大洋ホエールズの選手が有名ですが、このメキシコの作曲家もまあまあ知られています。実をいうとポンセはあまり面白いと思ったことないのですが、ポンセだけの作品集って珍しいので聴いてみようかと思いました。

①この「チャプルテペック」は「3つの交響的素描」として知られているのですが、この演奏は何故か4つの楽章があります。どうも元々第2楽章だった「昼間の散歩」が「夜想曲」に置きかえられたもののここでは演奏されています。3楽章版はバティス盤がありました。
1.「春」(4:43)
キラキラした印象派風の雰囲気で、色彩的に盛り上がります。春にしては暑苦しいのがメキシコ風?
2.「夜想曲」(4:15)
タイトル通り落ち着いていますが、やはり暑苦しい雰囲気が。
3.「昼間の散歩」(7:03)
散歩というより元気な行進です。結構ドラマティック。
4.「歌と踊り」(3:33)
のどかな歌で始まりがスネアのリズムが面白い。後半は激しい踊りになるけどまるで保存の悪い昔の録音のように音が割れるのは残念。
全体的に何故かやたらコントラバスがオン・マイクででかく聞こえます。

②弦楽のみによる作品です。これもバティス盤があります。
1.「夜」(10:44)
ゆったりとした夜の音楽です。ざわざわとちょっと盛り上がったりしますが、メロディがあまり感じられず、ちょっと長くて退屈。
2.「太陽王の時代」(4:52)
3拍子の優雅な舞曲。まあまあ。
3.「アルラドーラ」(2:57)
再びゆったりの曲ですが、今度は短いので助かります。
4.「スケルツォ・デ・パック」(3:22)
活気があります。まあまあ。

③短い親しみやすい曲集です。これもバティス盤があります。
1.「マリンチェの歌」(1:36)
フルートによるゆったりした短い民族的なメロディです。バックの打楽器が怪しげ。
2.「先住民の音楽」(1:29)
ちょっとテンポが上がります。チャベスぽい。やはり短い。
3.「民謡」(2:27)
穏やかなメロディです。
4.「月の踊り」(1:22)
元気な踊り。マリアッチぽくていかにもメキシコな雰囲気。
5.「舞曲 I」(1:27)
ちょっとおどけたような踊り。後半はゆったりでラテンぽい。
6.「舞曲 II」(2:03)
ちょっとチャカチャカとした踊り。やはり後半はゆったりになります。

④アルベニスのオペラによる組曲だそうですが、どれくらいがポンセなのかよくわかりません。
1.前奏曲(6:18)
ゆったりとした低音で始まります。海の底のような雰囲気。やがて印象派風に良い感じに明るくなりますが海の底に帰ります。チェロ(多分)のソロでアタッカで続きます。
2.アンダンテ(5:01)
ゆったりと歌謡的にチェロが歌います。ヴァイオリンのソロも歌います。
3.舞曲(4:24)
活気が出てきます。スペイン風だけどあまり踊りっぽくない。
4.終曲(3:13)
テンポが速くなりますが、あまり盛り上がらずいきなり終わる感じ。
全曲通して演奏でもっと面白くできそうだし、あるいは録音がもっと良ければいい曲に聞こえるかも。

①★★☆☆☆(曲はまあまあ、音質悪い)
②★☆☆☆☆(退屈)
③★★★☆☆(民族的で面白い)
④★★☆☆☆(曲はまあまあ、演奏が良くないような)

曲もいまいちなのですが、録音が酷い。ラジカセの内蔵マイクで録ったみたいな音で、1曲目が特に酷いけど、他も21世紀もだいぶ経過したとは思えないほど。また音が悪いのごまかすせいか残響が過剰なのも変。
それから最後の曲以外はバティス盤で出ているものばかりでした。これはバティス盤も聴きなおさなければなりませんね。

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