クラシック・マイナー曲推進委員会

マイナーな作品を中心にクラシックのCDを聴きまくる私の備忘録的感想文です。
さんざん聴いてるのに忘れちゃうもので。もし読んでくれる同好の方がおりましたら参考になれば嬉しいです。
このブログは全く個人の感想ですので、一般の評価などとは異なることが多いかと思いますが、あしからず。
また、ほぼ耳で聴いただけでの作文ですので、間違ったこと書いてあったらごめんなさい。もしお気付きの誤りがありましたらご指摘ください。

カテゴリ:作曲家H > Hamerik

200002ハメリク:
①交響曲第7番「合唱交響曲」Op.40(1906)
②レクイエムOp.34(1886-87)
トーマス・ダウスゴー指揮
デンマーク国立放送交響楽団&合唱団
ランディ・ステーネ(メゾソプラノ)
録音:①2005年5月、②2002年11月
(DA CAPO 6.200002の4枚目)
ハメリクの交響曲の最終回は、最後の交響曲とハメリクの出世作「レクイエム」です。
①第6番までは古典的フォームを保っていたハメリクの交響曲ですがこの第7番はメゾソプラノ独唱と合唱が入った3楽章形式です。この交響曲だけが20世紀の作品になります。
第1楽章はいきなり厳かな合唱による序奏が始まり驚きます。合唱が歌いっぱなしなのにソナタ形式なのは珍しい(と思うけどどうかな?)。主部に入ると劇的、疾風怒涛的な第1主題。しみじみとゆったりした第2主題からなっています。
第2楽章は美しいメゾソプラノの独唱。中間部では第1楽章の激しい部分を思い出します。
第3楽章は密やかア・カペラから紆余曲折を経て輝かしいフィナーレを迎えます。
もの凄い個性があるわけではありませんが、最後の交響曲にして、ようやく独自性も出てきた感じです。
②このレクイエムはハメリクの出世作と言われていますが、交響曲第3番と第4番の間に完成しており、この3作品の作品番号が並んでいます。この作品は「コントラルトと合唱、管弦楽のための」となっておりますが、クレジットにはメゾの歌手しか出ていないので、この人が歌ってるのかな。
Ⅰ「レクイエムとキリエ」序奏はレクイエムの主題が斉奏で始まって印象的です。本編はゆったりしたテンポながら結構劇的。
Ⅱの「怒りの日」はかっこいいんだけど例のグレゴリオ聖歌をまんま引用してます。ベルリオーズの弟子としては、これがやりたかったのかな?途中「トゥーバ・ミルム」の部分ではヴェルディばりに派手に鳴り響きます。17分の長丁場も静かにアーメンで閉めます。
Ⅲ「オフェルトリウム」はアルトがグレゴリオ聖歌風に歌い始めますが、ロマンティックな染み入る歌になります。カッコいいファンファーレで始まるⅣ「サンクトゥス」はフーガで盛り上がります。
最後はしみじみとしたⅤ「アニュス・デイ」です。
これも小型ヴェルディのレクイエムといった感じで、ヴェルディほど長くなく、くどくないのでとっつきやすいです。

★★★☆☆(両作品ともよく出来ていると思います)

ハメリクの交響曲を全部聴きましたが、みなそれなりに聴かせるのですが強い個性というようなものは感じられませんでした。
このディスクだけ第6番までのオケ(ヘルシングボリ響)から変わってデンマーク国立放送響になっています。オケの透明度や迫力はこちらが上のような気がします。

200002ハメリク:
①交響曲第5番「厳粛な交響曲」(1889-91)
②交響曲第6番「宗教的交響曲」(1897)
トーマス・ダウスゴー指揮ヘルシングボリ交響楽団
録音:①1997年12月&1998年6月、②2000年5月
(DA CAPO 6.200002の3枚目)
ハメリクの交響曲3回目です。
①第1楽章はソナタ形式。チャイコフスキーかロシア5人組にありそうなファンファーレからほの暗い序奏に入ります。一通り盛り上がって疾風怒涛的なアレグロに入る。第2主題はチェロによって先導されるホッとする主題。展開部は序奏と第1主題を中心に激しく盛り上がります。第2楽章は金管のコラールで始まる葬送行進曲。冒頭の主題が戻ってくる所など感動的。第3楽章はチャカチャカしたスケルツォ。作りがちょっとエロイカっぽい。第4楽章冒頭はエグモント序曲が始まりそう。主部に入るとやはり重厚で攻撃的。第2主題は長調で穏やかな楽想から輝かしく盛り上がる。展開部では機関銃のようなシンコペーションが印象的。最後は暗い調子のフォルテで終わる。
シューマン系のロマン派という感じもしますが、ハメリクはグリーグと同い年だけどちょっとだけ民俗楽派入ってる感じです。
②第5から一転、明るい雰囲気の弦楽による交響曲です。
第1楽章は印象的な下降音型で始まり、やがて軽やかに元気に跳ね回るような楽想に。第2主題はちょっとしみじみに。第2楽章はスケルツォ。トリオがあるスケルツォというよりはABABAといった感じ。見栄を切るような冒頭からチャカチャカとした第1主題。穏やかなたゆたうような舟唄風第2主題も印象的。第3楽章はバロック的な雰囲気の変奏曲。弦楽四重奏でしみじみと始まります。やがて変奏されて編成も大きくなっていきます。最高潮ではテンポも上がってガラッと雰囲気も変わりますが、すぐに穏やかに戻ります。第4楽章は第1楽章冒頭音型の後軽やかな楽想に。フーガなども交えながら明るい雰囲気の楽しいフィナーレ。
という訳でこちらはチャイコフスキーの弦楽セレナーデを思い起こさせる作りです。
★★★☆☆(両作品ともなかなかの良作)
だんだんベルリオーズの影響が薄れてきた感じです。

200002ハメリク:
①交響曲第3番「抒情交響曲」(1883-84)
②交響曲第4番「荘厳交響曲」(1888-89)
トーマス・ダウスゴー指揮ヘルシングボリ交響楽団
録音:1997年9月、12月
(DA CAPO 6.200002の2枚目)
ハメリクの交響曲2回目です。
①交響曲第3番の第1楽章は、ベートーヴェンの第4風の序奏で始まります。アレグロに入ると何拍子かわからないような不思議な旋律から躍動的な第1主題に入ります。第2主題は流麗な感じです。しかし、序奏が立派な割りには提示部はあっさりしてます。でも明るい如何にも初期ロマン派といった風で良い感じです。展開部は序奏のモチーフを絡ませて不穏な感じを出しています。結構激しく盛り上がります。
第2楽章はメヌエットか、というような優雅な3拍子の舞曲。と思いきや結構激しかったりもします。
第3楽章は3拍子だけど葬送行進曲風。オーボエのソロが印象的。
第4楽章はチャリラッチャリラッチャリラ~とホンワカ系で開始します。第2主題はタララーリララ~とちょっと流麗。展開部は結構バリバリと鳴らしたりしますが最後は軽やかにめでたしめでたしです。GPが気に入ったようで全楽章でジャン!と鳴らした後残響を楽しむようなGPが出てきます。ブルックナーかよ、て感じです。
とまあ、それなりに面白いのですが、それなりな感がありました。
②第4交響曲は祝祭的なような軍楽隊的なような重厚な序奏で始まります。しばらくすると不気味なコントラバスや低音での金管アンサンブルなど聴きどころが多いです。アレグロに入ると暗く悲劇的な第1主題で始まります。第2主題はホルンが遠くでファンファーレを合図に輝かしく奏せられます。展開部は劇的に盛り上がります。最後はジャンジャン盛り上がります。なかなかカッコいい聴き応えある楽章。最後のティンパニなんか若干ニールセンの不滅に続く感じが無くもないです。
第2楽章は美しい緩徐楽章。印象的なフルート独奏で始まります。中間部はベートーヴェンのエロイカばりに劇的。第3交響曲までの緩徐楽章と比べると格段の違いで濃厚になっています。
第3楽章はティンパニがバンバンなって派手に始まるスケルツォ。これも第3番まで打って変わってやっとスケルツォらしい劇的なスケルツォが出てきました。トリオも切なくきれいで印象的な感じです。
第4楽章は第1楽章冒頭の主題が長調になって登場。それがまるでチャイコフスキーの第2のフィナーレかと思うような始まり方。でもこちらはアンダンテで堂々と進みます。第2主題はフランス物のように優しく美しい。展開部は第1主題によるフーガです。最後も多いに盛り上がります。
印象的には「荘厳」というよりは「祝祭的」のほうが合ってるような気がしました。
①★★☆☆☆(それなりに面白いのですが・・・)
②★★★★☆(これは結構聴きごたえあります)

200002ハメリク:
①交響曲第1番「詩的交響曲」(1879-80)
②交響曲第2番「悲劇的交響曲」(1882-83)
トーマス・ダウスゴー指揮ヘルシングボリ交響楽団
録音:1997年1月、9月
(DA CAPO 6.200002の1枚目)
最近注目の指揮者ダウスゴーが地元レーベルDACAPOレーベルに録音していたデンマークの二人のシンフォニスト、ハメリクとランゴーの交響曲全集がしばらく前にBOXセットになりまして気になっていたのですが、ようやく買いました。またゆっくり聴いていこうと思います。
デンマークの作曲家アスガー・ハメリク(1843-1923)はゲーゼ(1817-1890)とニールセン(1865-1931)の間の世代のシンフォニスト。パリでベルリーズに庇護されていたおかげで、影響も大きく、7つの交響曲は幻想交響曲にならってか全部「なんとか交響曲」というタイトルがついてます。
①第1楽章はアレグロ・モデラート・エ・エスプレッシーヴォでアレグロ楽章にしてはゆったり気味のテンポです。穏やかに散歩するような優しい感じの第1主題は印象的。と少々悲しげで盛り上がると勇ましい感じの第2主題で出来ているソナタ形式。さほど長くはない展開部はあっさり気味です。コーダの終結前は一瞬師匠のベルリオーズの幻想ぽい。第2楽章はスケルツォ。ジャン!と決めたあとは短調の折り目正しい3拍子の舞曲です。第3楽章は緩徐楽章。きれいな旋律で迫ります。メロディ・ラインは追えるので聴いてられますが、ちょっと退屈。第2主題(?)でのヴァイオリンの合いの手のフラジオレットは印象的です。第4楽章はロンド?途中厳しいトロンボーンなどもありますが元気に輝かしく終わります。
②重厚で暗い序奏で始まる。トランペットの信号を合図にアレグロに入る。疾風怒涛的な第1主題。第2主題でようやくホッとするような長調になります。徐々に輝かしく盛り上がり、展開部に入ります。しかし、ここまで結構劇的だったのに展開部は意外に手短になってます。まあベートーヴェンのようにあんまりクドいのも嫌ですが。第2楽章は侘びしいイングリッシュホルン(ダモーレかファゴットかも)の問いかけに応えるような弦で始まります。わびさび系緩徐楽章。第1交響曲の緩徐楽章よりだいぶ進化した感じ。ホルンの独奏とかボロディンの交響曲の緩徐楽章を思い起こさせるところもあります。第3楽章はやはり、きっちり折り目正しい3拍子のスケルツォ。穏やかだけどちょっと悲しげなトリオはなかなかよろしいです。第4楽章は序奏付きのソナタ形式。何事か起こりそうな序奏があり、一瞬長調になるので、そのまま明るいフィナーレかと思いきや、闘争的なアレグロに入ります。続いて穏やかな第2主題に入りやがて輝かしく盛り上がります。その後展開部、再現部と続きめでたく終わりますが、 何か期待させるような始まり方にしてはあっさり終わる印象です。

①★★☆☆☆(ちょっと薄味かも)
②★★★☆☆(ちょっと何か足りない気が)
といいながらも最初の2曲にしては、なかなか今後が楽しみな感じです。

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