クラシック・マイナー曲推進委員会

マイナーな作品を中心にクラシックのCDを聴きまくる私の備忘録的感想文です。
さんざん聴いてるのに忘れちゃうもので。もし読んでくれる同好の方がおりましたら参考になれば嬉しいです。
このブログは全く個人の感想ですので、一般の評価などとは異なることが多いかと思いますが、あしからず。
また、ほぼ耳で聴いただけでの作文ですので、間違ったこと書いてあったらごめんなさい。もしお気付きの誤りがありましたらご指摘ください。

カテゴリ: 作曲家V

8.554341ヴァンハル:交響曲集第1集
①交響曲 イ長調 Bryan A9
②交響曲 ハ長調 Bryan C3
③交響曲 ニ長調 Bryan D17
④交響曲 ハ長調「コミスタ」Bryan C11

ウーヴェ・グロット(指揮)
ニコラウス・エステルハージ・シンフォニア
録音:1998年2月25‐28日フェニックス・スタジオ,ブダペスト
(NAXOS 8.554341)
ヨハン・バプティスト・ヴァンハル(1739−1813)はボヘミア出身だけどウィーンで活躍した古典派の作曲家。ハイドン(1732−1809)やモーツァルト(1756−1791)とだいぶかぶります。交響曲も大量に書いているそうですが、聴いたことはありませんでした。
このCDはNAXOSのヴァンハル:交響曲シリーズの第1集です。このシリーズは1枚ごとに違う指揮者・オケが登場すというユニークなものです。

①このCDの中で1番長い18分の作品です。
第1楽章 アレグロ・モデラート(7:43)
いきなり明るく輝かしい第1主題でスタート。第2楽章はハイドンぽくてチャーミング。モダン楽器だけど通奏低音でチェンバロが入っています。展開部は短調から明るくなっていきます。アタッカでアンダンテに入ります。
第2楽章 アンダンテ・モルト(4:29)
ちょっと速めの緩徐楽章ですが、全編に渡ってチェロのソロがメロディ・ラインを弾きます。アタッカで続きます。
第3楽章 テンポ・ディ・プリモ(5:49)
明るくてモーツァルトの中期の作品ぽくて気持ち良い。展開すると短調になります。最後は穏やかに終わります。

②このCDで1番短い全部で10分43秒の作品です。
第1楽章 アレグロ・コン・スピリート(5:09)
速い3拍子が特徴的。やはり展開部は短調になってちょっと劇的。
第2楽章 アンダンテ(3:01)
牧歌的、にしてはちょっとテンポが速い緩徐楽章。
第3楽章 プレスト(2:33)
ホルンやトランペットが景気良い元気なフィナーレ。

③この作品はモーツァルトの「リンツ」や「ジュピター」の原型になっているとか。
第1楽章 アンダンテ・モルト~アレグロ・モデラート(4:34)
物悲しいゆったりした序奏が意外と長く続きます。アレグロに入るとトランペットやティンパニが入って華やかです。第2主題の音の動きは独創的。提示部の終わりのせわしない低弦も面白い。
第2楽章 アダージョ・モルト(3:58)
ピチカートをバックにオーボエがチャーミングに歌います。ちょっとハイドンのセレナーデぽい。チェンバロはお休み。
第3楽章 フィナーレ:アレグロ(4:27)
わくわくする感じの3拍子でスタート。第2主題はちょっと優しい感じです。短調になって劇的に展開します。
随所にモーツァルトっぽい感じの音の動きや和音はありますが、モーツァルトがパクったというほどには感じませんでした。いやパクってるのかもしれないけど、モーツァルトの作品の深みとか面白く仕上げる能力が凄いのがかえって分かるようです。

④第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ(4:14)
グイグイ進むアレグロが気持ち良い。一筆書きっぽく迷いなく進む感じです。ティンパニやトランペットも入っていますが、完全にバックに回ってます。
第2楽章 アンダンテ・カンタービレ(6:44)
短調で悲嘆にくれたような緩徐楽章。同じことを長調にしたりして展開しています。何回も同じことを繰り返している印象でなかなか終わらない。
第3楽章 フィナーレ:アダージョ・ピウ・アンダンテ~アレグロ(3:04)
前の楽章を引きずったような暗めの序奏がありますが、すぐに明るいアレグロになります。朗らかで楽しいけどあっという間に終わります。

①-④★★★☆☆
全曲3楽章構成で各楽章も短いので結構気軽に聴けました。古典派らしくて楽しいけど、モーツァルトの初期作品を聴いたときのような感じで強く印象に残りませんでした。
パクリの件も以前マイルス・デイヴィスについて本で読んだことがありますが、パクられたほうよりもはるかにマイルスのほうが素晴らしい音楽になっているそうです。

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odrcd406「ブラック・スワン」
~ヴィラ=ロボス(1887-1959):チェロとピアノのための作品集
①黒鳥の歌 W122(1917)
②さすらい W461(1946)
③チェロ・ソナタ第2番Op.66 W103(1916)
④シクロ・ブラジレイロW374(1936)~第2楽章「夕べのときめき」
⑤小組曲 W064(1913)
⑥ブラジル風バッハ第2番(1930)より
(アリア「祖国の歌」W250、トッカータ「カイピラの小さな汽車」W254)

水谷川優子(チェロ)
黒田亜樹(ピアノ)
録音:2019年9月16-20日オドラデク・スタジオ、イタリア
(ODRADEK RECORDS ODRCD406)
私はヴィラ=ロボスと誕生日が一緒の3月5日ということで実績のある女流日本人演奏家2人によるヴィラ=ロボス作品集を入手したものをだいぶ放置したものを思い出して聴いてみました。

①アルバム・タイトルにもなっているブラック・スワンです。ピアノがドビュッシーぽい。アンニュイな雰囲気の小品です。(2:52)
②暗くてカッコいい。チェロの本体を叩く音も聞こえます。(3:07)

③このアルバムの核となる作品、かな?
第1楽章 アレグロ・モデラート(7:33)
ピアノによる前奏は暗くて不思議な感じで印象的。チェロの主題はフォーレぽい。ソナタ形式ぽいけどなんだか曖昧な感じです。が、なんやかんや盛り上がりますが難解。
第2楽章 アンダンテ・カンタービレ(6:48)
きれいなピアノの序奏があります。チェロが出てくるとポルタメントが使われ歌っぽいけど難解。
第3楽章 スケルツォ(5:43)
スケルツォだけど、やはり気難しくてスカッとしない。
第4楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ・ソステヌート(7:26)
激しいけど主題など分かりにくくて晦渋。
何回か聴きましたが、とにかく全楽章通して難しかった印象です。

④ピアノ独奏曲です。難解・晦渋なソナタの後に聴くとまるでショパンみたいでカッコいい。美しい主題もあってなかなか良いです。(6:26)

⑤ソナタよりは気軽な感じで1曲あたり1分弱~3分半ほどの短い曲が並んでいます。
1.ロマンセット(2:35)
気だるい感じ。
2.レジェンダリア(0:56)
ちょっと明るくて良い感じ。あっという間に終わる。
3.ハルモニア・ソルタス(2:37)
重苦しい。
4.フガート(1:12)
またちょっと明るくなります。
5.メロディア(2:37)
ちょっと落ち着いていて、タイトル通りメロディアス。
6.ガヴォット=スケルツォ(3:30)
短調のガヴォット。チェロが分散和音になってピアノに旋律を譲ったりします。

⑥お馴染みブラジル風バッハ第2番からの2曲です。
1.「祖国の歌」(5:02)
望郷の歌っぽいです。中間部は一瞬もう「小さな汽車」が出てきたかと思いました。オケ版だとサックスのところですね。
2.「カイピラの小さな汽車」(4:09)
待ってましたの名曲。チェロで弾いても良いですね。冒頭や最後の列車の擬音も楽しい。前奏からギクシャクしつつテンポ・アップするピアノの動きが秀逸すぎ!

①②④⑤★★★☆☆(なかなか良い)
③★★☆☆☆(ザ難解)
⑥★★★★☆(やっぱり名曲。演奏も素晴らしい)

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mdg9012133ヴェープリク(1889-1958):管弦楽作品集
①ゲットーの歌と踊りOp.12
②2つの交響的な歌Op.20
③5つの小品Op.17
④パストラール
⑤2つの詩曲

クリストフ=マティアス・ミュラー(指揮)
BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団
録音:2019年3月19-21日カーディフ
(MD+G MDG9012133-6)
ヴェープリクはソ連のユダヤ人作曲家だそうでそうヴァインベルク同様、収容所で強制労働させられた気の毒な方です。ロシアの作曲家だとプロコフィエフが2つ年下。あと同い年ではウラディーミル・シチェルバチョフ(1889-1952)なんて人のCDも出てました。

①最初は悲しげなメロディが出てきます。鉄琴とチェレスタが重なって出てきたあとリズミカルな踊りになります。ユダヤ風で結構激しい。中盤では再び悲しげなメロディが出てきます。チェレスタのくだりは「バビ・ヤール」にありそうなオーケストレーションです。チェロの独奏で悲しげ終わります。
踊りのほうが先に出てくるのがちょっと意外でした。(9:44)

②タイトルは歌ですが、歌手は登場しません。
1.哀悼歌(7:18)
前の曲の続きのようなしんみりした曲です。結構激しく盛り上がったあと不気味な場面になり、最後はちょっと希望も出てきます。
2.歓喜の歌(8:18)
ヒロイックで結構なハイ・テンションでスタート。しばらくすると落ち着いた場面になりますが、次は明るく元気になり、これがヒロイックに展開していきます。コーダはテンポが上がり祝祭的に盛り上がります。終わりは「ワルキューレの騎行」ぽい。
タイトルは歌ですが2曲ともオーケストレーションや構成も考えられたシンフォニックな作品でした。

③1.アレグロ・モデラート(1:34)
「たかたかたったった」と元気にスタート。ちょっとアメリカっぽい。クラリネットの独奏で次に続きます。
2.アダージョ(2:30)
オーボエが悲しげなメロディを奏でます。
3.行進曲の速さで(1:09)
トランペットのファンファーレからヴァイオリンのソロのマーチは伊福部ぽい。あっという間に次にいきます。
4.アレグロ(2:41)
とぼけた感じのファゴットで始まります。ちょっとユダヤ風なゆっくり目のメロディと元気なメロディが対比されて盛り上がっていきます。クラリネットのカデンツァから次に続きます。
5.レント(3:15)
最後はしっとりとした美しい音楽です。何となく夢の後といった風情で悲しげ。
タイトルからすると5つに別れてるようなイメージだったのですが、アタッカで有機的に繋がっていて、表情豊かな素敵な作品でした。

④タイトル通りのゆったりした美しい音楽です。何となくヴォーン=ウィリアムズの「グリーンスリーヴス」みたいな雰囲気。途中のヴァイオリン独奏も美しい。綺麗たけどちょっと長くて眠いかも。(11:10)
⑤第1曲(14:04)
嵐のように激しくスタートしますが、しばらくすると昔の日本映画のような暗く落ち着いた場面になります。やがてテンポ感が出てきて徐々に明るくなってきます。しかし盛り上がってくると弦楽器がうねり激しくなっていきます。その後落ち着いたり葬送的になったり輝かしくなったりどんどん変化していきますが最後はしんみり終わります。
第2曲(13:00)
ゆったりしみじみ。中ほどでちょっとエキゾチックなテーマが出てきて盛り上がってきます。しばらく激しい時間が続きます。その後もまあ色々あって最後は輝かしく終わります。
この2曲は規模も大きいけどちょっと取りとめがない。シュトラウスの交響詩みたいに来るものは拒まず浸るのがよいかもしれません。

①②③★★★☆☆(なかなか素晴らしい)
④★★☆☆☆(ちょっと眠い)
⑤★★☆☆☆(ちょっと取りとめがない)
なかなか聴きごたえのある作品集でした。④⑤も慣れてきたらもっとよく聞こえるかもしれません。

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c8050ヴラディゲロフ(1899-1978):
①英雄的序曲 Op.45 (1949)
②秋の悲歌 Op.15 (1922/1931)
③交響曲第2番変ロ長調「5月」弦楽のための (1949)

アレクサンドル・ヴラディゲロフ(指揮)
ブルガリア国立放送交響楽団
録音:1970~1975年(バルカントン原盤)
(CAPRICCIO C8050の2枚目)
という訳でヴラディゲロフの交響曲第2番とカップリングです。

①やはり冒頭からテンションが高い。キラキラしてるけど音質が良くない。ちょっとヴィラ=ロボス風。しばらくするとゆったりになって大河ドラマのテーマ風になったりします。第1交響曲や「大地」とは違って他生強弱のメリハリがあります。しかし空虚でやかましい社会主義リアリズム的音楽が延々と続き、取りとめがなくて20分超は長く感じます。
音質が1枚目のディスクよりさらに悪いです。

②ゆったりした静かな作品でホッとします。しっとりとした印象派風の作品ですが、盛り上がるとフォルテがきつめ。でも基本静けさの音楽です。
こういうのも書けるんじゃんパンチョ~

③フルオケだとうるさくてしつこくてウンザリだけど弦楽オケなら少しは緩和されないか、と期待して聴き始めました。
第1楽章
ゆったりの良い感じで始まるけど、弦楽なのにいきなり分厚いハーモニーで暑苦しい。押したり引いたりしながら、だいぶ経ってからアレグロになります。アレグロになるとスッキリしたサウンドの明るいテーマになります。しばらくすると遅くなってきてゆったりした第2主題が出てきます。ちょっとラフマニノフみたい。しかし15分強ほとんどうるさくて長くてしつこくてイヤになってきます。
第2楽章
ゆったりした緩徐楽章。ちょっとした序奏からヴィオラのソロが良い感じで始まります。曲が進むと暑苦しくなりますが。
第3楽章
また緩徐楽章かと思いきや悲しげなワルツになります。
第4楽章
結構テンションの高いアレグロ。ちょっと落ち着いたりもするのでロンドかな?やっぱり長くてうるさく感じます。早く終わってほしくなってきました。
やはり中間の2つの楽章はまあまあですが、両端楽章のクドさは弦楽の作品でも変わりませんでした。

①★☆☆☆☆(クドさと音質の悪さにへとへと)
②★★☆☆☆(静かなだけでホッとします)
③★☆☆☆☆(間の楽章はまあまあ)

ちょっともうヴラディゲロフはお腹いっぱい。ブルガリアの作曲家はタバコフがいいです。

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c8050ヴラディゲロフ(1899-1978):
①交響曲第1番ニ短調 Op.33 (1939)
②演奏会用序曲「大地」Op.27 (1933)

アレクサンドル・ヴラディゲロフ(指揮)
ブルガリア国立放送交響楽団
録音:1970~1975年(バルカントン原盤)
(CAPRICCIO C8050)
バルカントン原盤によるパンチョ・ヴラディゲロフ管弦楽作品集第1集だそうです。ヴラディゲロフはブルガリアで一番有名な作曲家ですが、あまり楽しかった印象はありません。この発売で交響曲があるのを初めて知りまして、最後のつもりで買ってみました。指揮は作曲家の息子だそうです。

①交響曲第1番は作曲者40歳の作。全4楽章で46分強の大作です。
第1楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ、アレグロ・コン・ブリオ(18:23)
冒頭から強烈な音響で始まるアレグロです。祝祭的なハイ・テンションの音楽がしばらく続きます。しばらくすると落ち着いてロマンティックな雰囲気になります。再び激しくなるところから展開部かな?ちょっと東洋風なメロディで社会主義リアリズム的なテイストで盛り上がります。次の落ち着いた場面はハープがきれいだけど結構長い。激しいのとゆったりを行ったり来たりするのですが、展開してるのか次々場面が代わってるのか分かりにくい。とにかくテンション高く終わります。
第2楽章 アダージョ(9:37)
ゆったりですが、やはりすぐテンションがあがる序奏があります。東洋的な主題が魅力的。ハープがシェエラザードぽい。終盤にはヴァイオリンのソロが延々と弾いたりもします。濃いー雰囲気の楽章。
第3楽章 ヴィヴァーチェ(6:09)
ちょっとギクシャクとしたスケルツォ。中間部はちょっとのどかな感じです。
第4楽章 モルト・ペザンテ・エ・テヌート、アレグロ・コン・フオコ(12:25)
怪獣が出てきそうな始まりからハープがボロボロ鳴ってロマンティックで濃厚な音楽になります。やがて早いテンポになって勇ましくなり激しくなっていきます。ちょっと落ち着いたかと思ってもすぐ盛り上がってしまいます。あまり引かずにフォルテばかりのひたすらハイ・テンションの音洪水で疲れます。こんなに鉄琴やらトライアングルが鳴りっぱなしの曲も珍しい。
中間楽章はまあまあ味わいがありましたが、両端楽章のとりとめがなく、フォルテの連続のくどさには辟易してしまいました。
録音もステレオだけど超ナロー・レンジでピアノとフォルテの差がなく、聴き疲れします。

②この作品も21分もある大作。
やっぱり冒頭からハイ・テンション。その後侘しげだったり楽しげだったり良い感じだったりしますが、どのテーマでも激しく盛り上がります。とにかく長くてうるさくて疲れます。
序曲という割に形式がよくわからなくて疲れます。

①②★★☆☆☆(爆音三昧にへとへと)

いずれも取りとめがなくフォルテばかりで疲れました。きらびやかなオーケストレーションぽいので録音がよければもっと楽しめるかもしれません。

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