クラシック・マイナー曲推進委員会

マイナーな作品を中心にクラシックのCDを聴きまくる私の備忘録的感想文です。
さんざん聴いてるのに忘れちゃうもので。もし読んでくれる同好の方がおりましたら参考になれば嬉しいです。
このブログは全く個人の感想ですので、一般の評価などとは異なることが多いかと思いますが、あしからず。
また、ほぼ耳で聴いただけでの作文ですので、間違ったこと書いてあったらごめんなさい。もしお気付きの誤りがありましたらご指摘ください。

タグ:ラインスドルフ(エーリヒ)

19658829882「ウィリアム・スタインバーグ&ボストン交響楽団/コンプリートRCAレコーディングズ」
CD1
シューベルト:交響曲第9番ハ長調 D.944「グレート」
CD2
ブルックナー:交響曲第6番イ長調
CD3
①デュカス:交響時「魔法使いの弟子」
②R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」 Op.28
③メンデルスゾーン:八重奏曲変ホ長調 Op.20~第3楽章:スケルツォ
④サン=サーンス:交響詩「死の舞踏」
⑤ストラヴィンスキー:幻想的スケルツォ
⑥ストラヴィンスキー:ロシア風スケルツォ
⑦ストラヴィンスキー:「ペトルーシュカ」~ロシアの踊り
⑧コダーイ:組曲「ハーリ・ヤーノシュ」~ウィーンの音楽時計
⑨コダーイ:組曲「ハーリ・ヤーノシュ」~皇帝と廷臣たちの入場

ボストン交響楽団
ウィリアム・スタインバーグ(指揮)※下記以外
CD3⑦小澤征爾(指揮)
CD3⑧⑨エーリヒ・ラインスドルフ(指揮)
録音:CD1-1969年9月29日、CD2-1970年1月19日、CD3‐①③10月26日、②④⑥1970年1月12日、⑦⑧⑨1969年11月24日(となっていますが小澤と同じ日に録音してたことになっちゃうので、⑧⑨は1964年のような気がします)
(RCA 19658829882の1枚目から3枚目)
スタインバーグのRCA全録音がセットになって発売になりました。DGのヒンデミットや惑星・ツァラなど結構良かったので、興味がわいて買ってみました。
でもこのセットちょっと変で4枚目はフィードラーのドヴォルザーク。3枚目も最後に違う指揮者の演奏が混ぜられています。どうも当時スタインバーグの小品録音が体調不良で進まず、小澤やラインスドルフの既出の録音から持ってきて発売したようです。

CD1
まずはシューベルトのグレートから。
第1楽章 (14:32)
序奏は良いとして、アレグロはのんびりムードで、長い楽章の終わりが見えない感じがしてイヤな気持ちになります。
第2楽章 (13:05)
逆に速いテンポでスタスタ進み味気ない。
第3楽章(10:05)
やっと調子が出て来た感じがします。
第4楽章(11:39)
こちらもぐいぐい進んで快調。
という訳で後半2楽章は良いけど前半はいまいち。
★★☆☆☆(前半はいまいち)

CD2
ブルックナーの6番はあまり演奏されないけど、嫌いではありません。
第1楽章 (14:59)
冒頭の弦のバラバラ感は何ともいえない。フォルテはいい感じだけど録音が歪み気味。第2主題は結構速いテンポです。最後の音は伸ばさずブチッと切っていて面白い。
第2楽章 (16:20)
真面目で良いけど、まとも過ぎてちょっと飽きるかも。
第3楽章 (8:05)
なかなかカッコいい。
第4楽章 (13:07)
速いところはキビキビしていてなかなか良い。
ということで第1楽章はだんだん調子がでてくる感じがするし、全体的にも後半に良くなる感じがします。
★★★☆☆(全体的にまずまず)

CD3
スタインバーグの体調不良で録音が終わらなかったらしいけど、残ってる録音だけだと変な選曲ですね。LP2枚くらい作るつもりだったのかな。
①特徴はないけど、生き生きしていてまあ悪くない。
②ダイナミック・レンジが狭い録音のせいもあるかもしれないけど、何となく平板で退屈。
③知らない曲でしたが、メンデルスゾーンらしくてちゃかちゃかしていてなかなか素敵。
④ちょっとノンビリして優雅。終盤のフォルテは音が割れ気味。
⑤ストラヴィンスキーのあまり知らない曲です。幻想的だけどざわざわした感じが良い。中間部はロマンティック。
⑥サーカスのマーチみたいですね。途中のとぼけた感じもチャーミング。
⑦小澤の全曲盤からの抜粋。全曲の1部のせいか緊張感が高い。
⑧こちらもラインスドルフの組曲からの抜粋(だと思う)。やはりテンポを煽ったりして(一曲目なんて時計なのに!)緊張感があります。

①③⑤⑥★★★☆☆(まずまず)
②④★★☆☆☆(緩い)
⑦⑧⑨★★★★☆(緊張感あります)

ということで、ラインスドルフはDG録音ほどではなかったです。大曲は調子が出てくるまで時間がかかるような気がするし、小品も体調不良のせいかどうもピリッとしない感が。でもストラヴィンスキーの珍しい作品なんかは楽しめました。この並びで聴くと全曲から流用された小澤やラインスドルフの演奏がだんぜん良かったです。

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88697809452プロコフィエフ:
①ロメオとジュリエット(抜粋)
②キージェ中尉
ラインスドルフ指揮ボストン交響楽団
②デヴィッド・クラットワーシー(バリトン)
録音:①1967年11月、②1968年
(RCA 886978094520の6枚目)
ラインスドルフのプロコフィエフBOXもいよいよ最後の一枚。お馴染みの管弦楽曲2曲です。
①プロコフィエフの傑作「ロメジュリ」ですが、ラインスドルフはわざわざ全曲から抜粋しています。組曲のストーリー順並べ直しではありません。全曲版やこういった抜粋版を聴くと、組曲版の切った貼ったが、凄いよく出来てるなあ、と思います。
ラインスドルフの演奏は、本当に奇をてらったところが無く、作品やストーリーに語らせています。それでいて、きちんと充実した音で提供してくれるので安心して作品に身を委ねられます。最後の「ジュリエットの葬式」が始まった時には柄にもなくジーンときてしまいました。録音(の保存?)状態もよく、聞きやすいです。という訳でこういった抜粋版では最高の出来かも知れません(他に持ってないので断言は避けてますが)。それにしても、古典交響曲のガヴォットを流用した曲を聴くと本ちゃんのほうも録音して欲しかったなあ、と思います。
②キージェ中尉も楽しい曲ですね。1曲目2曲目のトランペットが無性に聴きたくなることがあります。この演奏では2曲目と4曲目にバリトンの歌唱が入っています。珍しいと思ってWikipediaで調べたら入ってるほうが正当らしいです。他にバリトン入りのCD出てないか調べようと思ってHMVのサイト見ようと思ったら何故か休止中。まあ、どっちでもよくなりました。
このラインスドルフの演奏も軽めの内容のこの曲をキッチリ、カッチリと演奏しています。懸案の録音状態も問題なしでした。
★★★★☆(①②とも何もたさない、何もひかない、けど素晴らしい)

88697809452プロコフィエフ:
①ヴァイオリン協奏曲第1番
②ヴァイオリン協奏曲第2番
ラインスドルフ指揮ボストン交響楽団
①エリック・フリードマン(ヴァイオリン)
②イツァーク・パールマン(ヴァイオリン)
録音:①1964年4月13日、②1966年12月19日
(RCA 886978094520の5枚目)
ラインスドルフのプロコフィエフBOXの続きです。今度は異なるソリストによる2つのヴァイオリン協奏曲。この2曲はピアノ協奏曲と違って、時折聴いてました。個人的にはモダンな感じがする第1番のほうが好きです。
①第1番のソリストはハイフェッツの弟子フリードマン。RCAが華々しく売り出したものの、イマイチでしたね。実家にあったツィゴイネルワイゼンなどが入ったLPとカセットがどちらもフリードマンだったなあ。親父がフリードマンのファンだった訳でなく目についた面白そうなもの、適当に買ってくるからよくこんなことありました。
でフリードマンのヴァイオリンですが線が細く、やっとやっとの雰囲気。第1楽章からしてアチラコチラで危険な雰囲気で第2楽章はどうなっちゃうんだろうと思ったけど見事にスカッとしません。確かに聞き覚えのある音色でしたが、ガックリきました。第3楽章はこんな感じのゆったりした曲なので無難でしたが・・・。
②第2番は名奏者パールマン。パールマンと言えばありえないほど明るく楽しいショスタコの協奏曲の印象が強く、余り良い印象ないんです。パールマンはロジェヴェンBBCとのプロコフィエフの協奏曲1番・2番ともいれています(EMI)。これも個人的には、ロジェヴェン率いるオケが聴きたかったのに妙にオケが小さく聞こえる録音にガックリでした。
という訳でこのパールマンの第2番ですが、フリードマンから続けて聴くとまあ、切れはあるし、美しいし、言うことないです。パールマンにはショスタコよりプロコフィエフのほうがあってるんですね、きっと。ロジェヴェンさんとの録音も聴き直してみようかな。
録音は1番・2番とも、ピアノ協奏曲で気になった音割れはほとんど無くて、とても聴きやすいです。というかかなり優秀録音。同じレーベルで同じ時期なのになんでこんなに違うのだろう?保存状態の問題?
①★☆☆☆☆(痛々しい)
②★★★☆☆(パールマン見直した)

88697809452プロコフィエフ:ピアノ協奏曲全曲
①第1番Op.10(1912年)
②第2番Op.16(1913/23年)
③第3番Op.26(1921年)
④第4番Op.53(1931年)
⑤第5番Op.55(1932年)
ジョン・ブラウニング(P)
ラインスドルフ指揮ボストン交響楽団
録音:①②1965年12月、③④1967年11月、⑤1969年4月
(RCA 886978094520の3・4枚目)
ラインスドルフBOXの続きです。ブラウニングとのピアノ協奏曲は全集(全5曲)完結してます。交響曲が全曲録音できなかったのはつくづく残念。プロコフィエフのピアノ協奏曲は第3番以外は記憶にありません。なんでかすら覚えてないので、理由も思い出せるといいな。
①第1楽章の冒頭テーマはインパクトがあり覚えやすいけど、あんまり好きじゃありません。その後どんどん曲想が変わる変奏曲?はプロコフィエフらしくていいんですが・・・。短くて綺麗な緩徐楽章の第2楽章に続いてフィナーレ。プロコフィエフらしい真面目かふざけてるか分からない楽想が続きますが、嫌だって言ってるのに最後は1楽章冒頭のテーマが帰ってきます。どうも単に冒頭主題が好みじゃなかったようです。好きな方すいません。大音量で音が割れるのも、嫌な感じです。
★☆☆☆☆
②気だるい第1楽章はいいですね。こういうのは好き。たった2分半のスケルツォもプロコフィエフらしい才気煥発型。こけおどしな始まりの第3楽章も素晴らしい。ひねてるけどフィニッシュにむけてつっ走る4楽章もカッコいい!なんで記憶にないんだろう?やはり音が割れるけど1番ほどは気にならない。
★★★☆☆
③これは言わずもがなの名曲。プロコフィエフのピアノ協奏曲で唯一の愛聴曲です。2楽章が日本を意識してると思いますが、初めて聴いた時から印象に残りました。演奏も引き締まってて良いと思いますが、最大音量時とバス・ドラム登場時の音割れがやっぱり気になります。
★★☆☆☆(演奏はよさそうですが、音割れが・・・)
④左手のための第4番ですね。余談ですが、左手のための曲を両手が使える人が弾いても左手だけで弾くらしいですね。左手で弾くように書かれているから。
第1楽章は無窮動的にチャカチャカしてます。ラヴェルやショスタコを思い起こすこともありますがアッサリしてます。緩徐楽章は甘~い雰囲気。でもロメオとジュリエットの美しく官能的な曲をつまらなくした感じ。第3楽章はちょっと元気。やっとプロコフィエフらしくなってきた。これで終わりかと思いきや整理運動的な2分弱のフィナーレがついてます。どうも作曲者の覇気が感じられない気がするけど、どうなんでしょう。左手の制限のせい?演奏のせい?
★☆☆☆☆
⑤第5番は結構楽しめました。短い5つの楽章からなりますが、作曲者の肩の力も抜けて自由に書いた感じがします。第1楽章は元気だけどひねた感じ。第2楽章はおどけた行進とスキップ、といった感じ。途中悪者にあったりします。第3楽章はチャカチャカしたスケルツォ楽章。カッコいいけどアッという間に終わる。第4楽章はラフマニノフばりに甘美に始まる緩徐楽章。第5楽章は再びチャカチャカ。色々ありますが、最後は元気にフィニッシュ。何故かこの作品は音質も良く、音割れもありませんでした。
★★★☆☆

という訳でやっぱ3番が一番好き。次に2番と5番が面白かったけど、3番のような突出したものは感じませんでした。
演奏は交響曲の時と同様変なことせず正攻法で好感が持てます。でも音質(大音量での音割れ具合)が録音時期によってまちまち。1965年録音の1番2番は盛大に音が割れますが、1969年は最後の第5番はほぼ割れません。

88697809452プロコフィエフ:
①交響曲第2番
②交響曲第6番
③交響曲第3番
④交響曲第5番
ラインスドルフ指揮ボストン交響楽団
録音:①1968年3月28日、②1965年4月、③1966年4月、④1963年
(RCA 88697809452の1枚目・2枚目)
ラインスドルフて余り聴いたことないんです。録音自体あまりないし、僕の興味あるレパートリー少ないし。引き締まったいいイメージはあったのですが。そこへこのセットの登場です。プロコフィエフをこんなに録音してたとは知りませんでした。といっても大好きな第2交響曲が入ってなかったらいくら安くても手を出さなかっただろうなあ。

①交響曲第2番はプロコフィエフの交響曲で一番好きなんですが、良さげな演奏は録音が悪いのばかりなのが難点。そんな中キタエンコ・モスクワ・フィルの異常演奏・異常録音を愛聴してましたがホントに頭や耳がおかしくなります。次点のロジェストヴェンスキーやマルティノンは録音が古くて嫌になるし…。という訳で期待と不安をもって聴いてみました。第1楽章。ずっとハイ・テンションのこの楽章をハイ・テンションの速いテンポで駆け抜けます。素晴らしい。第2楽章も妖しげな開始部も美しく、激しい部分も引き締まり、素晴らしい出来です。これはキタエンコ盤の気分じゃない時には選びたい出来です。録音がちょっと丸い感じなのがちょっと惜しい。

②第6交響曲は第2の次に好きです。長ったらしい第5とちょっと恥ずかしい第7に挟まれた傑作でしょう。ちょっと斜に構えた感じがプロコフィエフらしいと思います。こちらはメロディアのムラヴィンスキー盤を愛聴してます。モノラルだけど異様に音が良いんです。このラインスドルフ盤も特に変わったことはしていないのですが、引き締まったサウンドで作品自体に語らせている感じです。厳しさはあるけど強烈な個性は感じられません。このあたりがラインスドルフの特徴でもあり、弱点なのかも知れないと思いました。ムラヴィンスキーに似た感じがありますがもう少し激烈さがほしいかも。でも当時西側でのプロコフィエフの交響曲録音は1番や5番以外はマルティノンくらいしかなかった中で、現在に通じるこのレベルの演奏は凄いと思いました。

③交響曲第3番も好きな曲です。静かな第2主題のバックでウネウネした弦楽器を強調したり、なかなか面白い。展開部に入った時の遅いテンポはちょっと違和感あったけどクライマックスの重厚さは他にないので、これはこれで正解なんですね。幻想的・神秘的な第2楽章も申し分ないです。第3楽章の虫が飛び交うように聞こえる箇所もちゃんと出来てます。中間部はちょっと落ち着き過ぎかも。第4楽章も頑張ってますが強奏が多いので音割れがちょっと気になりました。全体に破綻もなく、練られた感があり素晴らしいです。最初はおとなしい演奏かと思いましたが、ボリュームを少し上げたら情報量が多くて驚きました。

④第5交響曲は第1楽章がどうも苦手です。学生時代は凄い曲だと思ったものですが、今では何故凄いと思ったのか思い出せません(もしかするとキタエンコ&モスクワ・フィルが凄いヘンだったのかも…)。第1楽章は長くて辛い。ラインスドルフも基本イン・テンポで変に脚色などしないので、更に長く感じます。第2楽章はプロコフィエフらしいスケルツォで好き。演奏もクールにイン・テンポで進みますが流石に最後は熱を帯びてきます。第3楽章もしっとりねっとりした曲ですが一点の曇りない演奏。第4楽章もこの演奏は一気に最後まで突っ走る。この作品通してラインスドルフはイン・テンポを基本に作品に十分語らせた素直で立派な演奏になっています。だから個人的に苦手な第1楽章はより苦手に、第2楽章以降は快演に聞こえました。

★★★☆☆(どの作品のあるがままを見事に再現)
交響曲全集が完成しなかったのが残念!

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