クラシック・マイナー曲推進委員会

マイナーな作品を中心にクラシックのCDを聴きまくる私の備忘録的感想文です。
さんざん聴いてるのに忘れちゃうもので。もし読んでくれる同好の方がおりましたら参考になれば嬉しいです。
このブログは全く個人の感想ですので、一般の評価などとは異なることが多いかと思いますが、あしからず。
また、ほぼ耳で聴いただけでの作文ですので、間違ったこと書いてあったらごめんなさい。もしお気付きの誤りがありましたらご指摘ください。

カテゴリ:作曲家L > Lyatoshynsky

rdcd10902①リャードフ:魔法にかけられた湖Op.62
②リャードフ:バーバ・ヤガーOp.56
③リャトシンスキー:交響曲第3番ロ短調Op.50(1951/54改訂)
④ショスタコーヴィチ:祝典序曲Op.96

エフゲニー・ムラヴィンスキー(指揮)
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
録音:①②1966年9月30日、③1955年12月29日、④1955年4月21日、何れもレニングラード・フィルハーモニック大ホール
(RUSSIAN DISC RDCD10902)
ムラヴィンスキーのリャトシンスキーなどのライヴを中古で見つけたので買ってみました。

①「魔法にかけられた湖」は久しぶりに聴くとドビュッシーの牧神みたいな雰囲気ですね。
②バーバ・ヤガーも楽しい曲ですね。

③リャトシンスキーの代表作です。CDもこの作品は何種類も出ています。
この改訂版はムラヴィンスキーが1955年に初演したらしいのですが、この録音がその演奏なのかはわかりません。
曲については何度も書いたので演奏と録音について。
演奏自体はムラヴィンスキーらしく引き締まった印象はあるのですか、こういうモダンでスペクタクルな作品はある程度良い音質で聞かないと厳しいですね。
録音は保存状態がよいのかヒス・ノイズなどは少ないけど音質は丸め。ダイナミック・レンジも超狭くてフォルテもピアノもあまり差がありません。なのでAMラジオで聞いてるみたいな気分で、ワーっと高まってきたりグッと迫ってきたりはしません。
せっかくなのでタイミング比較

ムラヴィ 12:49/11:49/5:38/9:26
クチャル 15:44/13:13/6:14/11:15
グネダシ 14:57/11:57/5:46/10:52
カラビツ 14:40/13:30/5:52/10:24(4楽章は原典版)
ムラヴィンスキーは両端楽章では群を抜いて速いテンポでした。

④ムラヴィンスキーは祝典序曲はあまり演奏しなかったようでライヴでも録音が少なく、私も初めて聴きました。速めのテンポでやはり引き締まっています。これくらい有名曲だとAMぽい音質でも聴けますね。

①②④★★★☆☆
③★★☆☆☆

このCDは全曲に拍手が入っていますが、拍手の音質は生々しく、全部同じで後付っぽくてさめます。「魔法にかけられた湖」と交響曲が同じハイ・テンションの拍手っておかしいですよね。ショスタコだけかすかにブラボーが聞こえるので違う拍手のようですが、前の3つはタイミングといい終わりかけに聞こえる鳥の声みたいなのといい明らかに同じ拍手を挿入しています。ということで怪しさ満点です。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村※ランキングです。良かったらクリックしてください!

8.223540リャトシンスキー:
①交響曲第2番Op.26
②交響曲第3番ロ短調Op.50

テオドレ・クチャル(指揮)ウクライナ国立交響楽団
録音:1993年6月4~9日ウクライナ放送コンサート・ホール,キエフ
(MARCO POLO 8.223540)
引き続きリャトシンスキーの交響曲第3番のクチャル盤を聴いてみました。ところでクチャルはアメリカ生まれのアメリカ人だそうで、正しくはセオドア・クーチャーというらしいです。昔のOMEGAレーベルの国内仕様ではセオドア・カッチャーと記載されてたの実は知ってます(笑)。まあだいぶクチャルで浸透してるみたいなのでクチャルにしときます。

①第1楽章(14:00)
冒頭はチェロバスで重くるしく始まり、管楽器が応えていく感じです。次第にチャイコフスキー風に盛り上がっていきチューバや低弦、トロンボーンで重厚なクライマックスに達するとアレグロに入ります。しばらく激しく動きます。落ち着くとチェロがロマンティックな第2主題を奏します。合間に出てくるハープが印象的。展開部はしばらく激しくて序奏のテーマが強奏されるところはカッコいい!一旦落ち着いてから不思議で不気味な感じになるのが面白い。ハープやチェロの独奏が出てきたあとコーダに入ります。コーダはギクシャクしててカッコいい。また序奏のテーマもカッコよく出てくるけど最後はちょっとあっけない。
第2楽章(8:27)
イングリッシュホルンがハープをバックに哀しげな主題を吹きます。そこからだんだんと拡がっていきます。一通り盛り上がったあとバス・クラリネットがうねうね動き出し不穏な雰囲気になっていきます。ハープが幻想的な雰囲気を出しています。ここから激しく盛り上がります。やがてイングリッシュホルンに戻ります。
第3楽章(7:36)
アタッカ気味に突然荒くれるのでビックリします。しばらくすると弦楽にシュトラウスぽいロマンティックな主題が現れます。落ち着いていったあと激しく展開します。スネアが出てくるとヒロイックになります。ぐちゃぐちゃと展開していき最後はちょっとプロコフィエフのスキタイっぽいけどあっさり目。
結構激しい曲ですが、3番に比べるとちょっと難解かも。録音がモヤモヤしていて、オーケストレーションが厚くなると細かい所が分からなくなるのがもったいない。

②第3番の聴き比べです。
第1楽章(14:00)
冒頭の激しい金管もちょっと音がこもった感じ。アレグロに入るとちょっとテンポは落ち着いてますが、頑張ってます。序奏を思い出してからの第2主題はじっとりとしていて良い感じです。比べなければ良い感じです。残響多くて昔のMELODIYAぽい録音です。
第2楽章(13:13)
始めから「ピンポンパン」いってましたね。雰囲気がとても良くてキレイ。途中の盛り上がりも強烈というよりは深刻な感じで、これはこれで良いです。後半の盛り上がりは感動的。
第3楽章(6:14)
テンポはカラビツやグネダシに比べ遅いけど細部がハッキリとしていて面白い。ティンパニはもうちょっとキツイ音出しても良いかも。トリオから戻るところの打楽器や終盤のラッシュはカッコいい。
第4楽章(11:15)
グネダシ盤と同様改訂版なので分かりやすい。グネダシほど速くないけど推進力があって素晴らしい。一旦落ち着いてロマンティックに盛り上がるところなんてこの演奏で聴くとラフマニノフっぽいです。しかし、この演奏もなかなか感動的で素晴らしかったです!

ということで第3番のタイミング比較です。
クチャル 15:44/13:13/6:14/11:15
グネダシ 14:57/11:57/5:46/10:52
カラビツ 14:40/13:30/5:52/10:24(4楽章は原典版)
こうしてみるとグネダシは速いですね。演奏も激烈ですが、音質が不安定でした。クチャルは激烈というほどではないですが、メリハリがあって良いし、録音が残響が多すぎますが安定してて安心してきけます。

①★★★☆☆(3番よりはちょっと難解)
②★★★★☆(これも良い演奏でした)

リャトシンスキーの他の曲も聴かなくちゃいけませんね。カラビツはさらに録音しないのかな?

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村※ランキングです。良かったらクリックしてください!

rdcd11060リャトシンスキー(1895-1968):
①交響曲第3番 Op.50 (1951/1954)
②「ロメオとジュリエット」組曲Op.56

ウラディーミル・グネダシ(指揮)
①ウクライナ国立交響楽団
②ウクライナ放送交響楽団
録音:1976年
(RUSSIAN DISC RDCD11060)
カラビツのリャトシンスキーが結構面白かったので手持ちの交響曲第3番も聴いてみました。まずはRUSSIAN DISCのグネダシ盤から。

①第1楽章(14:37)。
冒頭はカラビツに比べだいぶ荒々しい印象。しかし、音質が割れぎみでドロップアウト気味。それも音量が落ちてくるとあまり気にならなくなります。アレグロに入ってもフォルテの荒々しさは魅力的ですが、音質も荒れ気味。落ち着いてからの盛り上がり方も身をよじるような切迫感が素晴らしい。序奏を思い出したあとのジットリ部分が更に音質が悪くなりチリチリ気味なのが残念。展開部の荒々しいだけでなくクッキリした感じがカッコいい。かえってフォルテのほうが音質気にならないかも。終盤の金管やティンパニのフォルテはカッコよすぎ!
第2楽章(11:57)
結構サラサラと進みます。チェロのメロディがハッキリと出てきます。チェレスタやハープの重ね方がアッテルベリの何かに似てる。「・ピンポンパン」が出てきて盛り上がってきての荒々しさからの悲劇的な盛り上がりは怖い。
第3楽章(5:46)
もうこういう楽章は推進力グイグイで、ティンパニも強くてカッコいいにきまってます。中間部も情感豊か。
第4楽章(10:52)
この楽章が改訂版で結構違うようです。始まりは改訂版はだいぶ引き締まって祝祭的になっています。しばらくこれで展開します。第2主題は似てるけど違います。これも悲劇的な方向ではなく、切ないけど輝かしく展開していきます。その後の展開も分かりやすく進み、やんやの盛り上がりで終わります。

音質は経年劣化があり、時々気になりますが、演奏は気合いが入っていて断然カラビツ盤より良い気がしました。改訂版の第4楽章は分かりやすくて良いかも。

②リャトシンスキーにもロメジュリあるんですね。
1曲目「謝肉祭の行進曲」(2:23)
明るくチャーミングな行進曲。でも中間部はスーザっぽい。だんだん静まっていきます。
2曲目「パヴァーヌ」(3:30)
スネアがリズムを刻み重厚な部分とスネアとハープ、弦楽、木管による優しい部分があります。
3曲目「ジュリエットの庭」(5:06)
ゆったりと鉄琴が印象的にリズム刻むなかチェロのソロがハイ・トーンで侘しげ奏でます。続いて甘ーい音色のホルンのソロにクラリネットのソロが続きます。やがて情熱的に盛り上がります。しかし不安げになって終わります。
4曲目「ロメオとタイボルトの決闘」(2:05)
速いテンポで不安げにうねるように始まります。やがて重々しく悲劇的に盛り上がります。
5曲目「ジュリエットが地下室に運ばれる」(3:03)
悲しくチェロが歌います。暗い葬送の音楽。
6曲目「キャプレット家の地下室で~神格化」(7:27)
悲劇的に金管で始まり、暗く重い音楽になります。しかし、しばらくするとちょっと希望のある明るめの音楽になります。これが結構盛り上がっていき、最後は浄化されたような晴れやかな感じになります。

良くできた曲だと思いますが、数多名曲のある「ロメジュリ」の中ではパッとしないほうです。録音は交響曲ほどではないけど、ちょっと古めかしいかな。

①★★★★☆(カッコいい。音質がもっと良ければ)
②★★★☆☆(まあまあよろしいかと)

交響曲は熱演ですがテープの経年劣化が感じられて、ところどころ聴きずらいのが残念。でも演奏は素晴らしいと思いました。
MARCO POLOのクチャル盤も聴いてみます。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村※ランキングです。良かったらクリックしてください!

chsa5233ボリス・リャトシンスキー(1895-1968):
①交響曲第3番 Op.50 (1951)
②交響的バラード「グラジナ」Op.58 (1955)

キリル・カラビツ(指揮)
ボーンマス交響楽団
録音:2018年5月15,16日、ザ・ライトハウス、プール、ドーセット
(CHANDOS CHSA5233)
CHANDOSからカラビツの新録音は懐かしいリャトシンスキーの交響曲です。95年の生誕100年ごろにRUSSIAN DISCやMARCO POLOから交響曲が続々と発売になっていて、こつこつと集めていましたが、例によって内容は覚えていません。カラビツの父の師匠がリャトシンスキーだったそうです。

①交響曲第3番はソ連当局の指摘で改訂された、ということで今までの録音は改訂版だったようですが、この録音は初稿版らしいです。
第1楽章(14:40)。
いきなりゴジラが登場しそうな序奏があります。徐々に落ち着いてきてアレグロに入ります。第1主題はミャスコフスキーのような感じです。いったん落ち着いてから苦しい感じで盛り上がりますが、序奏を思い出した後じっとりとした暗い第2主題が出てきます。フルートの低音とハープが重ねられてて印象的。このあたりレスピーギのローマ三部作の暗いところみたいです。次にテンポが速くなり展開部になります。しばらく荒くれた陰気なショスタコ風に落ち着き、再現部かと思ったらコーダかもしれません。第1主題が変容されていきます。ティンパニのソロがあるけどもうちょっと情け容赦なく叩けばよいのに、と思いました。最後は息たえる感じ。
第2楽章(13:30)。
ハープが幻想的になり続ける中色々な楽器が出てきます。チェレスタなんかも色どりを添えます。ティンパニのソロから金管のコラールに続いてチェロがゆったりと主題を奏しはじめます。やがて「・ピンポンパン」というリズムが出てきて不安になってきて恐ろしげに盛り上がります。クライマックスに達すると落ち着き、今度は「・ピンポンパン」無しで悲劇的に盛り上がっていきます。こちらもクライマックスに達すると金管のコラールが出てきて、今度こそ落ち着きを取り戻します。しかし「・ピンポンパン」のリズムが戻ってきて幻想的な冒頭に戻ります。
第3楽章(5:52)。
暗く激しく始まるスケルツォ。スピード感ある暗い第1主題とちょっとラフマニノフの「岩」っぽいキレイな第2主題からなっています。終盤のティンパニのソロ激しい。
第4楽章(10:24)。
冒頭第1楽章の序奏のゴジラ音形が出てきますが、ちょっと速くて明るい。ちょっとテンポがあがって切ない主題が出てきます。これが悲劇的に盛り上がったあとゴジラ主題を中心に激しく展開、変形していきます。最後はトライアングルやチューブラベルやシンバルが鳴り響き、輝かしく終わります。
全曲通してドラマチックで凄まじく、カッコよい作品でした。

②「グラジナ」は女性の名前で、お話はまあ色々あるみたいです(投げやりですいません)。MARCO POLOでも出ていました。18分半の大曲で1トラックです。
ヴィオラがウニョウニョしてる上でゆったりした侘しい音楽が続きます。しばらくするとコールアングレがエキゾチックで息の長いメロディを奏でます。
4分くらいから、低弦が激しく付点のリズムで出てくると荒くれた音楽になりますが、長続きせず5分過ぎにはチェロの切ないメロディが登場し、ロマンティックに展開していきます。激しく盛り上がっては落ち着いて幻想的になったりしていきます。8分40秒くらいにティンパニのソロがあり、激しい闘争的な場面が続きます。スネアの「タタッタタタッタ」のリズムが推進力を生んでいます。12分過ぎにようやく落ち着き12分50秒くらいから葬送の雰囲気になります。16分くらいから冒頭のヴィオラのウニョウニョとコールアングレが戻ってきます。

①★★★★☆(素晴らしい)
②★★★☆☆(こちらもなかなか良かったです)
どちらの作品もドラマティックで素晴らしかったです。RUSSIAN DISCやMARCO POLOも聴きなおしてみようかと思います。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村※ランキングです。良かったらクリックしてください!

↑このページのトップヘ

  翻译: