クラシック・マイナー曲推進委員会

マイナーな作品を中心にクラシックのCDを聴きまくる私の備忘録的感想文です。
さんざん聴いてるのに忘れちゃうもので。もし読んでくれる同好の方がおりましたら参考になれば嬉しいです。
このブログは全く個人の感想ですので、一般の評価などとは異なることが多いかと思いますが、あしからず。
また、ほぼ耳で聴いただけでの作文ですので、間違ったこと書いてあったらごめんなさい。もしお気付きの誤りがありましたらご指摘ください。

タグ:シュタードルマイアー(ハンス)

tudor1600ラフ:
①交響曲第9番「夏に」Op.208(1878)
②交響曲第11番「冬」Op.214(1876/77)

ハンス・シュタードルマイアー(指揮)バンベルク交響楽団
録音:2002年10月、ヨーゼフ・カイルベルト・ザール
(TUDOR 1600の9枚目)
のんびり聴いてまいりましたラフ(1822-82)の交響曲シリーズもようやく最後まで来ました。

①第1楽章「暑い日」。ゆったりとした切ない感じのヴァイオリン二部で始まり、クラリネットが第1主題らしきものを提示し、オケ全体に拡がっていきます。対旋律が先に出てくるような面白さです。チャカチャカとした感じに展開し、伸びやかで朗らかな第2主題が出てきます。再びチャカチャカとした感じになり展開部になります。チャカチャカしたりゆったりとした3拍子になったり結構長々と展開しますが、最終的に第2主題が感動的に帰ってきます。その後は展開部の続きっぽいですが、明確な再現部はないような気がしました。
第1主題が再現されたかと思ったらコーダのようで、暗く激しくなってブラームスのように決然と終わります。
第2楽章「妖精の狩」。木管が朗らかな感じのスケルツォ楽章。しばらくするとチェロの独奏にヴィオラの独奏が綺麗に絡んでいきます。中間部は暗く疾走する感じです。
第3楽章(a)「エクローグ(牧歌)」。ホルンに誘導されオーボエが登場します。緩徐楽章だけどリズミカルなゆったりした民族舞踊のようです。優しくて趣があります。ちょっと悲劇的な感じに展開していきます。
最後は第4楽章ではなくて何故か第3楽章のbとなってます。標題は「収穫の花輪」。木管アンサンブルでちょっと優雅な感じで始まります。段々拡がってメンデルスゾーン風の明るくなって輝かしくなります。続いてお得意の弦楽のチャカチャカした場面になって盛り上がります。この辺もメンデルスゾーンぽいですね。最後はティンパニもバリバリ鳴って元気に盛り上がって終わります。

②いよいよラフ最後の交響曲です。タイトルは「冬」。最後にふさわしいのか何だか淋しいタイトルですね。第3楽章以外は標題がついてます。最後といいながら作曲年はこちらのほうが先なんですね。
第1楽章「初雪」。木管と弦楽の対比による寂しげな短い序奏があります。この序奏の「タリーララー」の音型はあちこちで出てきます。続いて寂しげな長い旋律がフルートの低音で歌われます。これが少しずつ拡がっていきだんだん明るくなります。「チャラー、チャラー」と沈むような印象的な音型があり、チャカチャカとなって展開部は寂しげに始まりますが、やがて明るく盛り上がります。終わりは暗く盛り上がります。
第2楽章「アレグレット」。優しい感じの民族舞踊風のスケルツォです。しかし途中から短調に転調し不穏な感じになり元には戻りません。
第3楽章「暖炉の前で」。穏やかな感じの6拍子の、これまた民族舞踊風の曲です。
第4楽章「謝肉祭」。元気に転げ回るような楽しい始まり。しばらくすると愉しげな感じのフーガになったりしますがスピード感は失われません。またしばらく進むと楽しいけど落ち着いた感じになったりもします。こんな調子で賑やかに晴れ晴れと終わります。

①★★★☆☆(やっぱり安心のクオリティ)
②★★★★☆(こちらのほうが特徴あります)

初期ロマン派風の交響曲がずらっと11曲も、それも高いクオリティで揃ってましたね。どの曲も何度か聴くと鼻歌に出ちゃうようないい旋律や動機がありました。でも、強烈なインパクトや個性がないし、やっぱり曲が多すぎるのもラフの交響曲がいまいちメジャーにならない一因でしょう。
といいながら第3番「森にて」、第5番「レノーレ」、第7番「アルプスにて」あたりはなかなか素晴らしかったです。

次はどの聴いてないBOXセット開けようかなあ(笑)
でも実はシュタードルマイアーのラフはヴァイオリン協奏曲やシェークスピア序曲集なんかも手元にあるんですが、いつ聴こうかなあ。

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tudor1600ラフ:
①交響曲第8番イ長調「春の響き」Op.205(1876)
②交響曲第10番 ホ短調「秋に」Op.213(1879)

ハンス・シュタードルマイアー(指揮)バンベルク交響楽団
録音:2002年9月、ヨーゼフ・カイルベルト・ザール
(TUDOR 1600の8枚目)

ラフの最後の4つの交響曲はそれぞれ春夏秋冬の四季にちなんだタイトルがついています。このディスクでは時間の都合なんでしょうけど「春」と「秋」が収録されています。「夏」が飛ばされて何となくイヤですね(笑)

①第1楽章「春が来た」。どよーんとした序奏から段々活気が出てきて、輝かしいアレグロになり、初期ロマン派らしい希望に満ちた第1主題になり、しばらく展開します。第2主題はちょっと民族的な憂いのある旋律 。こちらもしばらく展開して結構盛り上がります。展開部は不安げに始まり、結構激しいけど結構あっさりで再現になります。
第2楽章「ワルプルギスの夜」。タイトルから期待される通りの妖しいスケルツォ楽章。低弦の伸ばしから怪しげに楽器が増えてきます。第2主題の「ターリーラリー」のメロディは耳に残ります。不気味で激しくてとても良いです。
第3楽章「最初の花束」。穏やかで美しい緩徐楽章。第2主題は哀しげできれいです。
第4楽章「旅心」。キーンキーンと特徴的な伸ばしからヴァイオリンがヒラリヒラリと忙しい楽しい音楽になります。木管による「ちゃっちゃかちゃか」と呈示さらるのが第2主題かな。ソナタ形式ぽくて展開部はちょっと落ち着いて暗めでベートーヴェン風の固いティンパニなんかカッコいいです。でもしつこくない展開部です。まあ、そんな感じで明るく楽しいフィナーレでした。
ラフの交響曲にしては時間も短くスッキリした味わいです。でも何回か聴いたら名曲に聴こえてきました!さすがのクオリティです。

②第1楽章「印象と感情」。暗いしんみりしたりしていますスタートです。ちょっとメンデルスゾーンのスコットランド風。第2主題もちょっと暗いけど軽やかな感じで輝かしく盛り上がります。短い楽章だけど呈示部の繰り返しがあります。展開部もあまり力まずしつこくないです。
第2楽章「亡霊の踊り」。ティンパニがひそやかにドコドコいうなか寂しげな弦楽が印象的なスケルツォ楽章。ちょっとだけマーラーの「夜の歌」風。中間部は木管に主役が移りますが、やはり寂しげです。コル・レーニョなんかも効果的に使われています。5分ちょっとの短い楽章。
第3楽章「エレジー」。しっとりとした弦楽で始まる緩徐楽章。第2主題の歌うチェロが良い感じです。結構盛り上がります。
第4楽章「人々の狩猟」は楽しげなホルンのアンサンブルで始まります。弾むようなリズムが楽しいです。しばらくするとゆったりと落ち着いた暖かい雰囲気になります。展開部は意外なことに嵐のように激しくて固いティンパニがドカドカ鳴ったりします。これって鉄砲かな?でも最後は明るく輝かしく終わります。
こちらもラフにしては短めの交響曲でした。

①★★★★☆(噛めば噛むほど系ですね)
②★★★☆☆(楽しいですね)

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tudor1600ラフ:
①交響曲第7番変ロ長調「アルプスにて」Op.201(1875)
②バッハのシャコンヌBWV.1004管弦楽編曲WoO.39(1873)
③狂詩曲「夕べ」Op.163b(1874)

ハンス・シュタードルマイアー(指揮)バンベルク交響楽団
録音:①2001年12月、②2002年5月、ヨーゼフ・カイルベルト・ザール
(TUDOR 1600の7枚目)
①「アルプスにて」の副題を持つ交響曲第7番は各楽章にも副題がついています。
第1楽章「高い山を歩く」。序奏はベートーヴェンのコリオランかと思うような始まるの雄大な感じに序奏に続いて悲しげなアレグロになりますが、すぐにゆったりに戻ります。
続くファゴットで始まるアレグロが本当の第1主題のようです。ラフらしくてノビノビとしています。しばらくすると翳りのある弦楽の第2主題になります。更に進むとホルンが「タラータラー」と特徴的な動機を吹きます。これが結構重要な役割になってまして、こちらが第2主題かもしれません。
展開部はちょっとだけシベリウス風な感じから暗めに始まります。ここからの紆余曲折が結構アップダウンが激しくて長いです。ファゴットの第1主題が戻ってきたので再現部かと思いきやそうでもなかったりします。フーガやったり色々やりつつテンションが上がってきてフィニッシュになります。どこから再現とかコーダとかはちょっと分かりにくく展開部が盛り上がっちゃって終わっちゃったみたいに聴こえました。
第2楽章「山小屋にて」は悲しげなワルツでスタート。後半は優くてとても良い雰囲気からテンポが上がってチャカチャカとした感じになり、元気に終わります。
第3楽章「湖にて」。ファゴットの重奏で始まるゆったりとした暖かい雰囲気の緩徐楽章。途中悲しげに盛り上がったりしますが、とてもロマンティックです。
第4楽章「シュヴィング祭で;別れ」。シュヴィング祭とはシュヴィンゲンというスイスの相撲の大会のことだそうです。
アレグロだけど牧歌的なオーボエで始まります。段々楽器が広がりますが、これは序奏のようで、第1主題はフルートで「子供の遊び」ぽい爽やかで軽やかなメロディが吹かれます。これが2回目はヴァイオリンで弾かれます。第2主題はヴィオラ以下の低弦で元気に呈示されます。ヴァイオリンの後打ちが激しい。
展開していくと翳りを見せたり、激しいカノンになったりもしますが、基本祝祭的で元気に明るく終わります。コーダ前には切ないチェロのメロディが出てきます。ソナタ形式のような気がします。
やっぱりメンデルスゾーン風の活きのよい素敵な作品でした。

②確かにシャコンヌです。でもいきなり木管で始まるし、和音でヴァイオリン独奏のように引っ張らないので、すぐには分かりませんでした。
その後もフルオケで伴奏や対旋律なんかもバリバリ出てきて違和感たっぷりだけど面白いです。逆にこの曲好きな方は怒りたくなるかも知れませんね(笑)
③この作品はヤルヴィ盤もありました。優しく暖かい雰囲気の良い作品です。

①★★★★☆(フレンドリーだけど充実してます)
②★★★☆☆(面白いけど凄い違和感)
③★★★☆☆(落ち着いた後奏といった感じ)

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tudor1600ラフ:
①交響曲第6番ニ短調Op.189(1873)
②組曲第2番「ハンガリー風」Op.194(1874)
ハンス・シュタードルマイアー(指揮)バンベルク交響楽団
録音:①2001年7月、②2001年9月、ヨーゼフ・カイルベルト・ザール
(TUDOR 1600の6枚目)
ラフの交響曲も第6番で半分過ぎました。

①交響曲第6番は最初標題があったそうですが、後に削除されたそうです。マーラーの1番のように純交響曲としたかったんですかね。
第1楽章は弦楽器のピチカートでそろりとはじまりますが、すぐに6拍子のアレグロになります。暗くて激しいです。第2主題はしっとりとした優しい感じです。これが展開してくると付点のリズムに乗って希望がでてきます。ブラームス風に濃厚にゆったりしてきて提示部は終わります。
展開部は再びテンポが上がりますが、荒れた感じより流麗な感じで進みます。コーダはブラ4の終楽章のように暗く激しく終わります。
第2楽章はチャカチャカとしたスケルツォ楽章。のどかな感じで始まるけど、スピード感があっておいかけっこ風な感じで楽しい。
第3楽章は葬送行進曲っぽい。けど葬送にしてはちょっと明るいかな。第2主題は優しい雰囲気です。ベートーヴェンばりに激しいフーガなんかもあります。
第4楽章は不安げな序奏で始まりますが、すぐに明るいアレグロになります。第2主題も明るい曲調だけどちょっと翳りがあります。展開部もあまり暗くなることなく明るく輝かしい希望に満ちた初期ロマン派らしい素敵なフィナーレです。
全体に初期ロマン派の立派な交響曲ですが、今回はちょっとブラームスよりな感じです。

②第1楽章「国境にて」。ティンパニのロールから元気に躍動的に行進始めますが、しばらくすると暗く激しくなります。ティンパニがバリバリなったりしばらく激しい調子が続きます。続いて長調になり優しい場面になり一通り展開します。続いて不安定な感じのいかにも展開部に入ります。再現からコーダは力強く終わります。ソナタ形式だとすると最初のマーチが序奏で激しいのが第1主題、優しいのが第2主題ぽいですね。でもカッコいい序曲です。
第2楽章「プスタオン」。さらりさらりとしたオーボエの切なく美しい旋律で始まります。それに弦楽器が答えて広がっていきます。第2主題はちょっと明るくなって、やはりオーボエで始まります。展開部では結構暗く激しく盛り上ります。
第3楽章「ホンヴェードのパレード」。不安げに始まるマーチです。すぐ元気がよくなるけどどこか東洋的。コーダ前に盛り上がって短調になるところなどカッコいいです。
第4楽章「民謡と変奏」。バロックぽい弦楽器で明るい民謡主題が奏され、変奏されていきます。レーガー以降の難解な変奏曲ではなくて古典的なわかりやすい変奏曲です。短調になった時のチェロが美しい。しかし最終的には猛スピードにあがります。
第5楽章「チャールダにて」。ジプシーというか民族風に悲劇的な嘆き節で始まります。ホッとするような優しい主題もでてきますが、すぐに嘆き節に戻ります。
後半は元気なアレグロになります。明るく楽しいのですが、キメの音型が「ショーコー・ショーコー・ショコショコショーコー」にしか聞こえません(ヤバイです)。第1楽章の第2主題っぽいチャーミングな場面でのヴァイオリンのグリッサンドは実にユニーク。最後に1楽章序奏のテーマ思い出したりして派手に終わります。規模の小さなハンガリー狂詩曲といった感じで楽しいです。

①★★★☆☆(立派な交響曲です)
②★★★★☆(これは印象的)


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tudor1600ヨアヒム・ラフ:
①交響曲第5番「レノーレ」
②管弦楽組曲第1番

ハンス・シュタードルマイアー(指揮)バンベルク交響楽団
録音:1999年5月ヨーゼフ・カイルベルト・ザール
(TUDOR 1600の5枚目)
シュタードルマイアーのラフの交響曲全集もやっと5枚目。代表作の「レノーレ」です。ウィキによるとレノーレと恋人が戦争によって引き裂かれる悲しい話だそうです。いかにもロマン派の文学と結び付いた交響曲です。

①第1楽章と第2楽章は第1部を構成していて「愛の幸福」という副題です。
第1楽章はアレグロ。弦の刻みから爽やかなメンデルスゾーン風の主題が出てきます。1フレーズ短調になったりして印象的です。しばらくするとグッとテンポが落ち印象的ですが、爽快に盛り上がって展開部に入ります。明るいけど妙にハイ・テンション。時々暗くなり今幸せでも後の悲劇を予感させるようです。何度か出てくるトロンボーンのコラールは後程また出てきます。
第2楽章は緩徐楽章。弦楽の和音からヴァイオリンの優しいメロディが浮き上がってきます。メロディはホルンに移り長いソロを奏でます。盛り上がってもしみじみとした感じは変わりません。中間部は暗転してちょっと悲劇的な感じです。
第3楽章は第2部「別離」。ティンパニが「ドンデドン」と叩き始まります。不穏な音楽なのかと思いきやのどかなマーチになります。中間部は前楽章に続き、やはり暗くて悲劇的な感じです。
第4楽章は第3部「死しての再会」。不安な感じの序奏で始まります。アレグロになると第1楽章ででてきたコラールが出てきますが、すぐ不安で劇的になります。しばらくすると「タッタカタッタカ」のリズムに乗ってドラマティックに疾走します。クライマックスに達すると静けさが戻り、最後は浄化されるような綺麗な静けさで終わります。
初期ロマン派風のドラマティックな交響曲ですが、全部で50分もの大作。ちょっと長く感じましたが、両端楽章は劇的で聴きごたえがありました。構成といい長さといい、初期ロマン派からマーラーへの架け橋のような作品だと思いました。

②第1楽章「序奏とフーガ」は一瞬マイスタージンガーかと思う派手な始まり。劇的な序奏です。序奏が終わらないうちに密やかにフーガのテーマが始まります。フーガのテーマはバロック調の長調で高貴な感じです。品よく盛り上がります。
第2楽章「メヌエット」。ちょっと民族的な優しいメヌエットです。トリオはちょっとおどろおどろしい。
第3楽章「アダージェット」。アダージェットと言えば1にマーラー、2にビゼーですが、始まってみるとパッヘルベルかと思いましたが、やっぱりビゼー寄りでした。穏やかで優しいです。中間部ではちょっと影がさします。
第4楽章「スケルツォ」。短調でスピード感のあるスケルツォです。結構カッコいいです。トリオは明るくなります。
第5楽章「行進曲」。元気は良いですが実用の行進曲ではないです。行進曲らしくなく弦楽主体です。最後は盛り上がるけど、木管金管は敢えて添え物。トリオはきれいです。

①★★★★☆(なかなか素晴らしい)
②★★☆☆☆(悪くないですが、ありがちな作品)


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