クラシック・マイナー曲推進委員会

マイナーな作品を中心にクラシックのCDを聴きまくる私の備忘録的感想文です。
さんざん聴いてるのに忘れちゃうもので。もし読んでくれる同好の方がおりましたら参考になれば嬉しいです。
このブログは全く個人の感想ですので、一般の評価などとは異なることが多いかと思いますが、あしからず。
また、ほぼ耳で聴いただけでの作文ですので、間違ったこと書いてあったらごめんなさい。もしお気付きの誤りがありましたらご指摘ください。

カテゴリ:作曲家E > Elgar

5665412「パリー&エルガー:弦楽作品集」
①パリー:イギリス組曲
②エルガー:エレジーOp.58
③エルガー:ソスピリ(ため息)Op.70
④エルガー:弦楽のためのセレナードOp.20
④パリー:組曲ヘ長調「ラドナー嬢の組曲」

リチャード・ヒコックス(指揮)
シティ・オヴ・ロンドン・シンフォニア
録音:1984年2月聖バルナバ教会、ロンドン
(EMI CDM5665412)
パリーのイギリス組曲を演奏することになり、NAXOSのイングリッシュ・ストリング・フェスティヴァル(リーパー指揮)を買ったのですが、フォルテでの金属的なサウンドにちょっとげっそり。他にないか調べたらかなり曲がかぶるヒコックス盤があったので、マーケット・プレイスで注文しました。

①ヒューバート・パリー(1848‐1918)は交響曲を5曲も書いているのに何故か縁がなく、このブログでもヤルヴィによる合唱曲しかありませんでした。イギリス組曲は試奏は行われていたようですが、公開初演は1922年とパリーが亡くなってからでした。
1.前奏曲(3:45)
田舎っぽいけど快活な第1主題と伸び伸びした雰囲気の第2主題で一応ソナタ形式ぽい。金属的なサウンドじゃないだけでとても良く聞こえます。
2.メヌエット風(3:29)
穏やかで優しい。中間部はちょっと陰りがあります。ふくよかによく歌っています。
3.サラバンド(4:37)
悲劇的な雰囲気だけど鄙びた感じで良い。中間部はちょっと明るくなります。
4.カプリース(2:34)
スケルツォみたいな雰囲気。どことなくとぼけた感じがして楽しい。
5.パストラル(2:07)
バロック風の穏やかで田舎っぽい雰囲気。
6.エア(2:27)
優しいフォスター・ソングのような感じです。
7.フロリック(3:25)
快活でやっぱり田舎くさくてメチャ楽しい。
全曲通してリーパー盤のあとに聴くとサウンドも美しくふくよかで気持ち良い。結構田舎くさくて楽しくてオススメです。

②悲しげだけど優しい曲です。雰囲気は良いけどメロディが分かりにくくて親しみにくい。(5:01)
③いきなりハープとオルガンが出てきてビックリ。エレジーよりさらに悲しげ度合いが高い。メロディ・ラインも追いやすい。(5:27)

④エルガーのセレナードは3つの小品として作られたものが改作された作品だそうです。
1.アレグロ(3:30)
憂いのある分かりやすいメロディで始まります。中間部は優しい雰囲気です。
2.ラルゲット(6:31)
穏やかで美しい。最弱音から始まる第2主題には耳を引きつけられます。
3.アレグレット(2:34)
12拍子のゆったりした穏やかなメロディで始まります。やがて1楽章の伴奏リズムが戻ってきて第2主題というかサブ・メロディが戻ってきます。あっという間に終わります。

⑤最後はパリーに戻ります。ラドナー伯爵夫人であるヘレン・マチルダのための書かれた作品だそうです。こちらは1894年初演とのことで先の作品ですが、イギリス組曲と同じような構成です。
1.前奏曲(2:20)
快活でバロック的。イギリス組曲の前奏曲に比べるとだいぶ都会的な感じです。
2.アルマンド(2:33)
やはり明るくて快活です。
3.サラバンド(2:47)
サラバンドは短調でちょっと大げさに始まるけど、上品で悲劇的というほどではありません。
4.ブーレ(2:29)
短調だけど速いテンポの舞曲です。中間部はチャーミングです。
5.スロー・メヌエット(2:31)
優しくて美しい。メロディも分かりやすいです。
6.ジーグ(1:47)
快活なバロック風に戻ります。ブランデンブルク協奏曲のどこかに似ています。
全曲通してイギリス組曲から田舎風味が無くなってバロック要素が大きくなったような印象の作品でした。これまた楽しい作品です。

①⑤★★★★☆(偽バロック的な作品で結構面白いです)
②③④★★★☆☆(上品でなかなか良いです)

パリーなかなか良いですね。交響曲も聴いてみようかな?
ヒコックスも流石の安心して聴ける素晴らしい演奏でした。

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32dc534①エルガー:チェロ協奏曲ホ短調Op.85
②ウォルトン:チェロ協奏曲

ヨーヨー・マ(チェロ)
アンドレ・プレヴィン(指揮)
ロンドン交響楽団
録音:1984年1月25、26日ウォルサムストウ・タウンホール、ロンドン
(CBS 32DC534)
せっかくなのでヨーヨー・マのウォルトンも聴いてみました。

①先に収録されているのはカップリングのエルガー。このCDの1トラック目に第1楽章と第2楽章が入っていて今は絶滅したインデックスで2つに分かれている。
第1楽章 アダージョ・モデラート(7:54)
冒頭のチェロも良いのですが、受けるクラリネットが遅くてめちゃ良い。とにかくプレヴィンのオケがゆったりテンポで表情豊か。引っ張られたのかヨーヨー・マのチェロもとても雄弁です。
第2楽章 レント~アレグロ・モルト(5:26)
速めのテンポで良いのですが、チェロの音色がくすんでいて意外とスカッとしない。
第3楽章 アダージョ(4:57)
ゆったりテンポでチェロは表情豊かに歌います。
第4楽章 アレグロ(11:38)
緩急をよく使っていてとても良いです。途中のオケだけでマーチ風になるところは、これまたカッコいい。終わり前の遅くなったところでのチェロはピアニッシシモで消え入りそう。
全体的にヨーヨー・マも意欲的で良いけど、音色がくすみ気味。対してプレヴィンのオケはフレージングも豊かについていてニュアンスに富んでいて素晴らしい。チェロに対してオケが大きく収録されています。実演に近いと思うけどチェロを聞こうと思って音量を上げるとフル・オケのフォルテがデカくて困ります。

②第1楽章
ちょっと速めのテンポです。ヨーヨー・マは他の人に比べかなりの弱音でスタート。とてもキレイです。終盤の弱音の部分はやはり消えそうなくらい小さい。で、やっぱりオケはちょっとしたルバートとかがキマっていてほんとに素晴らしい。
第2楽章
チェロは胸がすくという程でもないけど頑張ってます。オケはカッコいい。
第3楽章
やはりチェロは弱音勝負しています。カデンツァ前までは、この演奏で聴くと何故か不思議で幻想的な曲に聞こえます。カデンツァも気が入っていて素晴らしい。そして荒くれる場面のオケも推進力と大きめに録られた金管が恐ろしげ。最後のチェロのディミヌエンドも長い。
せっかくなのでタイミング比較です。
ヨーヨー・マ 8:45/6:22/15:00
リン・ハレル 9:00/6:46/13:57
ウォルフィッ 8:56/6:54/14:08
まあ、あんまりタイミングは関係ない感じです。
この中ではウォルフィッシュはずっと主役、ハレルは1番ヌケの良い音で、弱音の美しさはヨーヨー・マとそれぞれ個性が出ていて面白い。

①★★★☆☆(だいぶ良いけどちょっと惜しい)
②★★★★☆(素晴らしい)

それにしてもプレヴィン率いるオケが繊細な音から凶暴なサウンドまで変幻自在だし、ルバートのかけ方なんかも絶妙で素晴らしい。ヨーヨー・マも引っ張られたのか小ぎれいだったドヴォルザークに比べ段違いに表現力が豊かです。

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rdcd11104①エルガー:チェロ協奏曲ホ短調Op.85
②レスピーギ:変奏を伴うアダージョ
③ミヨー:チェロ協奏曲第1番Op.136

ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)
ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー(指揮)
①②モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団
③モスクワ放送交響楽団
録音:1964年①②4月20日、③5月13日、モスクワ音楽院大ホール
(RUSSIAN DISC RDCD11104)
レスピーギのアダージョですが、せっかくなのでロストロポーヴィチ盤も聴いてみることにしました。1964年のモスクワでのライヴですが、カップリングがエルガーとミヨーとイギリス、イタリア、フランスの協奏曲作品が並んでいます。

①まずはエルガーです。私自身この作品はあまり好んで聴いてないのですが、この演奏は好きです。ロストロポーヴィチもこの作品はレパートリーにしていないようで、若い時分のこの演奏以外は録音は無さそうです。
第1楽章 アダージョ~モデラート(6:24)
ロストロさんは冒頭のガツンから綿々と歌うところまで押したり引いたりがほんと素晴らしいですね。
第2楽章 レント~アレグロ・モルト(3:51)
速いところの細かい刻みはものすごい速さですが、キレは素晴らしい。ルバートかけるところは自由自在です。
第3楽章 アダージョ(4:08)
しっとりだけどフォルテになるとちょっと音がキツい。
第4楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ(9:41)
速いところは速くて激しい。チェロは相変わらず雄弁で素晴らしい。また決然としたオケも素晴らしい。

②先日ラ・ヴェッキア盤を聴いたこの作品ですが、流石のロストロさん、主題の押し引きの効いた歌い方に惹きつけられます。途中のオーボエやハープが出てくるところなんかは幻想的で美しい。そこからチェロが明るくなっていくところなんて感動的です。終盤のロストロさんの弱音で高音を歌うところも引き込まれますね。
前回は大して面白くないとか書きましたが、この演奏で聴くと名曲に聞こえます!(12:04)

③ロストロポーヴィチはこのミヨーの協奏曲を後にケント・ナガノと録音しています。曲はやっぱり覚えてませんでしたので初めて聴くような感想書きます。
第1楽章 ノンシャラン(5:09)
一瞬またエルガーが始まったような感じでチェロが暴れてスタート。次にチューバが「ぶっぶっ」ととぼけた感じでリズムを刻んでる上でチェロが歌います。もう一度チェロが暴れたあととぼけた感じがちょっとおシャレになります。
第2楽章 グラーヴェ(6:36)
ゆったりしていて何だか暗いけどバックの管楽器はやっぱりとぼけた感じです。途中はちょっと真面目でガーシュイン感もあります。
第3楽章 ジョユー(2:55)
突然狂暴なイントロが始まりますが、本編は楽しげ。オケは2楽章まで欲求不満だったのかかなり狂暴。
という訳で短い作品だけどユニークで面白い作品でした。

①★★★★☆(意外な名演)
②★★★★☆(意外と名曲)
③★★★☆☆(ユニーク)

このCDはとにかくロストロポーヴィチの至芸が楽しめる1枚となっております。録音もちょっときつい音質ですが、ステレオで生々しい良い音です。

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kicc792①アッテルベリ:交響曲第6番
②エルガー:弦楽セレナード
児玉宏(指揮)大阪シンフォニカー交響楽団
(KING KICC792)
日本のヤルヴィか?アルブレヒトか?積極的にマイナー曲をコンサートにかけている児玉宏は応援したくなりますが、CDを買うのは初めてです。このオケも日本語にすると大阪交響楽団交響楽団と変になるのでインパクトあったのですが、今はただの大阪交響楽団になっちゃって、ちょっと寂しいです。

①この作品は日本人の指揮では広上淳一に続き二種類目。北欧のマイナー曲にしては異例ですね。
第1楽章は遅めのイン・テンポが基調で、丁寧に進めていきます。冒頭のホルンのソロなんかもカチカチに固くなっててどうなるのかちょっと心配になるほど。速めのテンポで主題ごとにテンポを上げ下げするヤルヴィなんかとは対照的です。オケは薄めですがスッキリと綺麗な音がしています。
緩徐楽章である第2楽章もゆったりしたテンポで丁寧に歌っています。弦楽の主題のところなんか和風に聴こえて面白いです。
チャーミングで元気のよい第3楽章もキッチリまとめあげてしっかり盛り上がります。
全楽章通して真面目で丁寧な演奏は好感がもてます。でもヤルヴィほどとは申しませんが、もうちょっと芝居っけがあってもよいかと思いました。でも広上盤よりは良かったです。

②第1楽章は優しいセレナードらしい綺麗でちょっとリズミカルなアレグロ。展開とかあまりないので短くてあっさりしています。
第2楽章は落ち着いた緩徐楽章。中間部の耽美的なところはとても美しい。演奏では、装飾音のターン(だと思う)はもっと詰めてほしい感じです。
第3楽章はチャーミングなアレグレット。たったの2分半で終わります。その中に愉悦や哀しみなどの感情がぎゅっと詰まっていてなかなかの佳作です。
エルガーの大曲というと展開のまどろっこしさや生真面目さが聴いててつらいのですが、このセレナードは全3楽章とも短くて無理な展開もなく、威風堂々とは違うエルガーの魅力がぎゅっと凝縮されている感じでとても好感がありました。

①★★★☆☆(派手な曲のちょっと地味な演奏)
②★★★☆☆(地味な曲のきれいな演奏)

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