クラシック・マイナー曲推進委員会

マイナーな作品を中心にクラシックのCDを聴きまくる私の備忘録的感想文です。
さんざん聴いてるのに忘れちゃうもので。もし読んでくれる同好の方がおりましたら参考になれば嬉しいです。
このブログは全く個人の感想ですので、一般の評価などとは異なることが多いかと思いますが、あしからず。
また、ほぼ耳で聴いただけでの作文ですので、間違ったこと書いてあったらごめんなさい。もしお気付きの誤りがありましたらご指摘ください。

カテゴリ: 作曲家Z

311122①ツェムリンスキー(1872-1942):シンフォニエッタOp.23
②シュテファン(1887-1915):弦を持つ7つの楽器のための音楽
③レーガー(1873-1916):ヴァイオリンと管弦楽のための組局Op.103a

①ベルンハルト・クレー(指揮)ベルリン放送交響楽団
②ベルンハルト・ハルトーク(ヴァイオリン)
 イングリート・シュリープハーケ(ヴァイオリン)
 ステファーノ・パッサッジョ(ヴィオラ)
 ゲオルク・ドンデラー(チェロ)
 赤星旻(コントラバス)
 キャロル・テイントン(ピアノ)
 マリアナ・シュミット(ハープ)
③ハンス・マイレ(ヴァイオリン)
 ウロシュ・ラヨヴィチ(指揮)ベルリン放送交響楽団
録音:①1980年、②1983年、③1981年
(KOCH SCHWANN 311122[ANN583])
ツェムリンスキーのシンフォニエッタで思い出したこの1枚、せっかくなので聴いてみました。
独墺の同じころの作品を集めたアルバムだけど寄せ集めですね。すべてRIAS音源なので番組作る感覚なのかもしれません。うちにあったのは懐かしいWAVEが国内仕様にしていたものです。
①まずはツェムリンスキーのシンフォニエッタから。
第1楽章
ダウスゴーよりだいぶ遅い。とくにゆっくりの場面が遅くて全く別物な印象ですが、これも悪くないです。というかこちらのほうが緩急の対照が鮮明で良いかもしれません。
第2楽章
この演奏で聴くと冷たいというよりはしっとりした夜の雰囲気です。ニュートラルで芸術的に感じました。
第3楽章
ちょっと落ち着いたサウンドで地味めですが、緩急の差があって楽しいです。
タイミング比較です。
クレー   8:21/7:21/5:46
ダウスゴー 7:01/7:47/5:29
第1楽章はずいぶん違いますが、遅い部分がかなり違ってます。

②ルーディ・シュテファンはドイツの作曲家ですが、この作品をピアノ五重奏に改作中に戦死してしまったそうです。この作品はコントラバスを含む弦五部にピアノとハープが入る編成です。全2楽章で第1楽章は15分を越える長いもの。第2楽章はエピローグと題される9分超です。
第1楽章
いきなりコントラバスの強奏にピアノがガーンと応えて驚かされます。その後は陰気な室内楽に。ピアノとコントラバスがゆったりとリズムを取るのは葬送の調べ?やがて激しく展開していきクライマックスになるとハープが登場して美しい場面になりますが、すぐ陰気に戻ります。その後も激しくなったり落ち着いたり展開していきますが、ひたすら陰気です。冒頭のコントラバス音形が戻り、最終的には明るくなります。
第2楽章「エピローグ」
ゆったりした入りですが、すぐ速いテンポになり密やかなスケルツォといった感じになります。中間部は落ち着いて暗くまったりした時間になります。やがてスケルツォに戻りますが長くなく、暗いけど綺麗に終わります。ハープとピアノのやり取りが美しい。

③レーガーの偽バロック的なヴァイオリン曲の伴奏を室内オーケストラに編曲した作品です。
1曲目「前奏曲」は暗めのゆったりした曲
2曲目「ガヴォット」は楽しげでチャーミング。中間部はちょっと怪しげ。
3曲目「アリア」はG線上ぽい。
4曲目「ブルレスケ」はだいぶロマン派より。2分もないです。
5曲目「メヌエット」もロマンティックです。中間部は速い。
6曲目「ジーグ」はバロックぽい6拍子です。
よく出来てはいるけど、改めて聴き直そうとは思わないでしょう。

①★★★☆☆(ダウスゴーとは違う曲に聞こえます)
②★★★☆☆(暗いけど聴かせます)
③★★☆☆☆(悪くないけど…)

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chan9601ツェムリンスキー(1871-1942):
①幻想曲「人魚姫」(1902-03)
②シンフォニエッタOp.23(1934)
③歌劇「ザレマ」序曲(1897)

トーマス・ダウスゴー(指揮)
デンマーク国立放送交響楽団
録音:①1997年2月21-22日、②1997年4月28-30日、③1997年5月1日、デンマーク放送コンサート・ホール
(CHANDOS CHAN9601)
①第1楽章
新録音とは対称的に楽章全体がゆっくりのテンポで陰影が濃く、じっくりと描いています。フォルテではバス・トロンボーンやチューバも効いていて素晴らしい。
第2楽章の冒頭もわくわく感があります。続くロマンティックな場面もシャイーの濃厚なのに比べるとスッキリしてますが、これはこれで清楚な美しさです。バックで複雑なことをやってるのが聞こえるのも面白い。再び盛り上がって終わりに向かうところは結構感動的です。
第3楽章
冒頭は悲しい気分になります。テンポがあがってからもゆったり気味で細かいところまでよく表現されています。希望より悲しみが増えていき切なくなってきます。
シャイー盤ほどではないけど再録音よりかなりイケてました。
でタイミング比較です。
ダウスゴー旧 15:37/13:42/13:33
タウスゴー新 14:26/12:32/13:08
シャイー   15:18/12:20/12:31
ダウスゴーの新録音はやっぱりだいぶ速くなってました。

②シンフォニエッタは3楽章で20分のコンパクトな作品です。他にベルンハルト・クレー盤(KOCH SCHWANN)も持ってますが例によって全然覚えてません。ということで初めて聴く気分です。
第1楽章(7:01)
ちょっとひねた感じのアレグロ楽章。冒頭の木管の音形モチーフとなって展開されます。結構賑やかでスネアやシンバルが出てきたり第2主題の鉄琴のチーンなんかもヒンデミットぽい。だんだん落ち着いていって静かに終わるかと思いきや賑やかに終わります。
第2楽章「バラード」(7:47)
冒頭はトランペットが冷たいメロディを吹きます。冷たい緩徐楽章だけど激しく盛り上がります。
第3楽章「ロンド」(5:29)
チャカチャカした第1主題とゆったりした第2主題からなっています。第2主題はロマンティックだけどちょっとわかりにくい。最後は結構ド派手。
サイズはコンパクトだけど結構派手な作品でした。1934年の作ということですが、いかにもドイツの調性のあるとがった20世紀作品という感じです。

③「ザレマ」はツェムリンスキーの最初のオペラです。序曲はたったの5:46です。
結構悲劇的に派手に始まります。前の曲に比べだいぶロマン派的。続いて落ち着いた濃厚な音楽になります。もう一度激しさなった後は落ち着いてヴァイオリン独奏やトランペットが美しく出てきたりして終わります。

①★★★★☆(新録音に比べ格段に良かった)
②★★★☆☆(いかにも20世紀ドイツ音楽)
③★★★☆☆(ロマン派の短い序曲)
という訳でツェムリンスキーの作品集としては結構優秀な1枚のように感じました。

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f35l20114ツェムリンスキー:
①交響詩「人魚姫」
②詩編第13番Op.24

リッカルド・シャイー(指揮)
ベルリン放送交響楽団
②エルンスト・ゼンフ室内合唱団
録音:1986年3月イエス・キリスト教会、ベルリン
(LONDON F35L-20114)
ダウスゴーの「人魚姫」ライヴがいまいちだったので、好きだった曲がダメになったのかとちょっと不安になって気に入っていたシャイー盤を聴きなおしてみました。
このオケは現在はベルリン・ドイツ交響楽団で当時はまだ東西ドイツが分かれてたので西のベルリン放送交響楽団です。
①第1楽章
冒頭の伸ばしから低音が効いていて何か雰囲気があります。序奏もゆっくりで陰影濃く歌っています。テンポがあがるところでのハープは幕があがるように感じます。盛り上がる時もドラマチックでオペラティックで凄い。ヴァイオリンの独奏も歌手のようです。終盤のはかない感じがたまらないです。
第2楽章
意外にテンポは遅いけど冒頭のわくわく感が素晴らしい。3拍子のところはとてもチャーミングだけど結末を思うと切ない。希望と悲しみの間の揺らぎが実に上手く表現されています。
第3楽章
序奏が終わりテンポがあがると単純なフォルテとかピアノで言い表せないうねりのようなものを感じさせます。悲劇的な場面のドラマチックな様は言うに及ばず、最後の浄化されるような美しさは堪らないですね。
こうして色々考えさせてしまうシャイーの手腕には恐れ入りました。この作品の最初のCDですけど名演でした!

②葬送行進曲のように陰鬱に始まります。合唱も不気味というか、怖いというか雰囲気があります。やがてオルガンの合図で劇的に展開していきます。闘争的なオケのあとに歓喜となるかと思いきやならず、再び登場するオルガンと不気味なクライマックスになります。最終的に輝かしく終わりますが一筋縄ではありません。しかし、後期ロマン派のカッコいい合唱曲です。

①★★★★★(これは名演!)
②★★★★☆(こちらもなかなか素晴らしい)

シャイーって結構いい指揮者ですね!今頃言ってますが(笑)

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8.226048①アウゴスト・エナ(1859-1939):歌劇「マッチ売りの少女」
②ツェムリンスキー(1871-1942):幻想曲「人魚姫」

トーマス・ダウスゴー(指揮)
デンマーク国立交響楽団
①インガー・ダム=イェンセン(ソプラノ)
 イルヴァ・シールベリ(ソプラノ)
 デンマーク国立合唱団&児童合唱団
録音:①2005年4月8-9日、②2005年11月4日(ライヴ)デンマーク放送コンサート・ホール
(DACAPO 8.226048)
中古でアンデルセンを題材にした2作品をカップリングしたCDを見つけました。指揮も注目のダウスゴーということで買ってみました。
①エナはデンマークの作曲家で交響曲なども書いているようですが知らない作曲家でした。ニールセン(1865-1931)よりちょっと年上です。このオペラは1幕35分で二人のソプラノと合唱によって進められます。どちらかのソプラノがマッチ売りの少女のマリーです。
前奏曲はとても穏やかで優しい音楽です。途中希望に満ちた場面になりますが、お話の内容からするとそういうことなのでしょう。ロマンティックなバレエのようにキラキラと終わります。前奏曲だけで独立しても演奏できそうです。
本編に入ると合唱と二人のソプラノによってお話が進んでいきます。やはりロマンティックで親しみやすい音楽ですが結構切ない雰囲気ですが、合唱が出てくると結構劇的です。ドタバタと足音がして児童合唱が出てくるのにはびっくり。ハープが大活躍しますが、最後にはオルガンまで登場し祈りの音楽になります。
しかし年のせいか可哀想な子供の話など思い出すだけで涙が出そうです。この音楽もロマンティックな音楽で素敵でした。

②ダウスゴーはCHANDOSにも97年に同じオケで「人魚姫」を録音していました。昔はこの作品は交響詩と記載されていましたが、最近は幻想曲(アンデルセンによる)と記載されるようになってますね。
第1楽章のヴァイオリンの独奏が出てくるまでは海の底って感じですね。しかし、とてもロマンティックな音楽です。盛り上がるとマーラーぽいですね。ティンパニはバリバリ言ってますがバランス重視のちょっと地味なサウンドです。第2楽章以降も精度は高いし大音量も出てるけど無機質的で淡泊に進みメロディなんかもあっさり。ちょっとこんなに何とも感じない曲だったのか不安になりシャイー盤を聴きなおしてみたら結構濃厚でグッときたのでホッとしました。しかしこの演奏は何なんでしょう。彼らなら知らない曲でもないだろうし、ライヴなのに冷めてる感が...。
CHANDOS盤も持っているので聴きなおしてみようと思います。

①★★★☆☆(なかなかの佳作)
②★☆☆☆☆(妙にあっさりしてる)

明らかにエナ作品のほうが目が行き届いた良い演奏です。

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f32l20313ツェムリンスキー:
①詩編第23番Op.14
②交響曲第2番変ロ長調

リッカルド・シャイー(指揮)ベルリン放送交響楽団
エルンスト・ゼンフ室内合唱団
録音:1987年9月イエス・キリスト教会,ベルリン
(LONDON F32L-20313)
ブラビンズのツェムリンスキーの交響曲が良かったので、眠っていたシャイー盤も聴いてみました。

①11分の短くてロマンティックな美しい合唱曲です。後期ロマン派や印象派まで感じさせます。

②交響曲第2番はブラビンズ盤と比べての感想です。
第1楽章は序奏は淡々とした感じです。燃えるような第1主題はやはり沸き立つようですが、ブラビンズに比べ高貴な感じもします。第2主題ではテンポを揺らしたりしています。ブラビンズと同様に提示部繰り返してます。繰り返しは必修なのかな?
展開部は少しテンポを動かしたりしてブルックナー風クライマックスはまるでブルックナーです。
コーダに入るところでちょっとテンポあげたりして、その辺は上手い。ハイテンションでフィニッシュです。
スケルツォの第2楽章はちょっと落ち着いたテンポ。テンポが遅くなるところもしっとりしてます。
第3楽章は流石に美しいですがむせかえるという感じではなくブラームス風に聞こえます。不安な中間部も遅めのテンポで聴かせます。
第4楽章は遅めのテンポで、まるでブラームスの4番にしか聞こえません。変奏ごとにテンポや雰囲気を細かく変えています。最後は多いに盛り上がります。

①★★★☆☆(とってもいい曲ですが、他の合唱曲と区別つきません)
②★★★★☆(こちらのほうが派手かな)
と、色々書きましたがシャイーのほうが派手な感じがしました。どちらも素晴らしくて大差ないです。

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