クラシック・マイナー曲推進委員会

マイナーな作品を中心にクラシックのCDを聴きまくる私の備忘録的感想文です。
さんざん聴いてるのに忘れちゃうもので。もし読んでくれる同好の方がおりましたら参考になれば嬉しいです。
このブログは全く個人の感想ですので、一般の評価などとは異なることが多いかと思いますが、あしからず。
また、ほぼ耳で聴いただけでの作文ですので、間違ったこと書いてあったらごめんなさい。もしお気付きの誤りがありましたらご指摘ください。

カテゴリ:作曲家J > Jolivet

hmc901925①ショーソン:詩曲Op.25
②ジョリヴェ:ヴァイオリン協奏曲(1972)

イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)
マルコ・レトーニャ(指揮)
ベルリン・ドイツ交響楽団
録音:2005年12月テルデックス・スタジオ、ベルリン
(HARMONIA MUNDI HMC901925)
イザベル・ファウストのこのCDを見つけたのですが、ジョリヴェのヴァイオリン協奏曲て聴いたことないな、と思って調べたらERATOやMELODIYAのジョリヴェ作品集にも入っていませんでした。ということで入手してみました。

①ジョリヴェの前にショーソンです。同じフランスの作曲家ですが、イメージは全く違うお二人。
しみじみとして美しい作品です。盛り上がるとちょっとサン=サーンスのロンド・カプリチオーソぽいところもありますね。
ファウストのヴァイオリンは一点一画を疎かにせず、細部までちゃんと表情がついていて素晴らしい。弱音はもうちょっとモヤッとしていても悪くないかもですが、そんな事言っては失礼なくらいの出来です。終盤のオケの盛り上がりも感動的。

②ジョリヴェ(1905‐74)のヴァイオリン協奏曲は1972年の晩年の作品です。ERATOの録音は1969年で終わってるので、この作品はまだ無かったようです。
ジョリヴェの作品というと文句なく面白いものから、無調的・現代音楽的で聴きずらいものまで色々ですが、この作品はどうでしょうか?
第1楽章 アパッショナート(10:56)
冒頭から怪しさ満点。ヴァイオリンはほとんど弾きっぱなしで、緩急強弱のアップダウンも激しく弾くのは大変そう。メロディらしいメロディも少ないけど、バックのオケは色んな楽器の音や特殊奏法が聞こえるし、とにかくイザベル・ファウストに着いていけば結構面白く聴けます。
第2楽章 ラルゴ(13:02)
無伴奏でヴァイオリンが出てきて続いて色んな打楽器が絡んでいきます。そのあと金管、木管、弦とバックの楽器は増えてきます。現代音楽的に急なフォルテやクレッシェンドが多い。やがてテンポもあがって激しくなるところのヴァイオリンと打楽器群の緊迫感は素晴らしい。ひたすら怪しくて難解だけどクセになりそうな面白さ。
第3楽章 アレグラメンテ(9:04)
オケによる激しい序奏があります。すぐにヴァイオリンが登場して、やっぱりこれ以後は弾きっぱなし。終始激しい調子で、終わりに向けて盛り上がっていきます。やっぱり無調的ですが、ソロとオケの激しいやり取りなど意外と聴いていられます。
というわけで無調的で難解なんだけど、激しいしイザベル・ファウストのヴァイオリンも精緻で緊張感が高く、なんだか聴けてしまいました。

①★★★☆☆(素晴らしい)
②★★★☆☆(難しいけど面白い)

というわけでジョリヴェはなんやかんや面白かったです。

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melcd1002215①交響曲第1番(1953)
②5つの儀式的な舞踏(1939)
③7人の奏者のためのラプソディ(1957)

①②アンドレ・ジョリヴェ(指揮)モスクワ放送交響楽団
③ヴァレリー・ポリャンスキー(指揮)、A.ムサエリャン(Vn)、V.ソコロフ(Cl)、ワレーリー・ポポフ(Fg)、L.ヴォロディン(Trp)、グリゴリー・ヘルソンスキー(Trb)、R.コマチュコフ(Cb)、ヴァレンチン・スネギーリョフ(Perc)
録音:①②1966年モスクワ音楽院大ホール、③1982年
(MELODIYA MELCD1002215の2枚目)
①ジョリヴェの交響曲は第3番まであるようですが、第3番しかCDがなかったのでこのディスクは嬉しいです。第2番も出ないかなあ。
第1楽章。ただ事ではないちょっとした序奏からガチャガチャした伴奏をバックに揺れるような旋律が出てきます。2分くらいにちょっと落ち着きますが、ガチャガチャした感じはずっと続きます。最後まで緊張感をもって走り続けます。
第2楽章は室内楽的な不気味な静けさで始まります。どことなく日本風でトゥーランガリラの静かな楽章のようでもあります。盛り上がるとハープがかき鳴らされ、低弦のコルレーニョが鳴らされたりして恐ろしい雰囲気です。
第3楽章は4分くらいの短いスケルツォ楽章。猛スピードではなくアレグロだけどどこかギクシャクした感じです。やはりハープやヴァイオリン独奏が活躍する不気味な音楽。
第4楽章はトランペットの不気味な信号で始まりギクシャクとしながらも突っ走ります。中間部では恐怖のマーチ風でかっこいいです。
調性的で終始不気味で恐ろしげな音楽です。オネゲルの「3つのレ」の進化系みたいに感じました。これはイケます!

②第1楽章は不気味な静けさの中でフルートがしばらく低音で歌います。途中何か特種な小物打楽器がガチャガチャいいます。中間部はやはり不気味だけど弦楽で濃厚に歌ったりします。終盤はヴァイオリン独奏が
第2楽章は激しい。今度は鎖のような小物がなります。なかなかに恐ろしげな音楽です。後半は一旦静かになりますが怪物の行進のようで盛り上がっていきます。
第3楽章は再び不気味な静けさに戻ります。オーボエの独奏が活躍します。鎖と太鼓が原始的な雰囲気を醸し出しています。
第4楽章は激しい行進。ピアノがずんずんリズムを刻んでいきます。2分ちょっとで終わっちゃいます。
第5楽章はまたもや不気味な静けさに戻ります。今度はチェロがしばらく唸りますが徐々に激しくなってきます。ちょっと芥川の映画音楽っぽい感じも。最後のトロンボーンの「プッ」っていうのは間違い?
この作品はデュティユーに近い感じで、陰気な時のオネゲルを進化させたような感じです。

③この作品は前にジョリヴェがN響のソリスト達を指揮したものを聴いたことがありました。ここではファゴットのソリストとして有名なポポフとかロシア国立響のティンパニストとして有名なスネギーリョフなども参加しています。
第1楽章。チーンと鐘がなり、ぐちゃぐちゃっとしたヴァイオリンが現代音楽風のイントロで始まります。続いてスネアのリズムに乗って室内楽がヘンテコなノリの良さで弾き続け耳を引き付けます。いろんな打楽器(ドラムセット?)がチャカポコ・ドンチャンと出てきます。しまいにゃ狂乱状態です。
第2楽章はジョリヴェお得意の不気味な静けさ系。やはり打楽器が不思議なアクセントになってます。盛り上がってくるとシンバルやドラがドンチャンとなり響きます。
第3楽章はちょっと陽性になってノリもよい。なんだかサーカスかチンドン屋みたいな感じの音楽。ストラヴィンスキーのマイナーな曲にありそう。
現代音楽っぽいけど無調ではなく、不思議なノリの良さで聴きいってしまう作品でした。それでもってN響メンバーの演奏の印象に比べるとずっと面白く聴けました。こちらの耳が肥えたかな?

①★★★★☆(暗くてギクシャクしててなかなかの傑作)
②★★★☆☆(こちらも独特で良いけどたまに退屈)
③★★★☆☆(意外とおもしろかった)
という訳でジョリヴェ結構好きかもしれません。でも第2チェロ協奏曲や第2フルート協奏曲のような本格的な無調作品はちょっとすいません。

melcd1002215ジョリヴェ:
①フルート協奏曲
②チェロ協奏曲第2番
③ファゴット協奏曲
④ピアノ協奏曲(赤道コンチェルト)

①②アンドレ・ジョリヴェ(指揮)①モスクワ放送交響楽団、②フランス国立放送管弦楽団
①アレクサンドル・コルネーエフ(フルート)
②ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)
③ヴァレリー・ポポフ(ファゴット)、ロジェストヴェンスキー(指揮)ソビエト国立交響楽団ソリスト・アンサンブル
④ヴァレリー・カステルスキー(ピアノ)、ヴァシリー・シナイスキー(指揮)ラトヴィア国立交響楽団
録音:①1966年モスクワ音楽院、②1969年パリ、③1976年、④1981年
(MELODIYA MELCD1002215の1枚目)

私はジョリヴェが好きなのかと思ってましたが、もしかすると赤道コンチェルトが好きなのであってジョリヴェが好きではないのかもしれません。トゥーランガリラは好きだけどメシアンはたいして好きじゃないとか、カルミナ・ブラーナは好きだけどオルフは・・・、と考えますと私の中ではジョリヴェも一発屋なのかな?
そんな検証をするのにピッタリのアルバムが出ました。私の愛するMELODIYAに残っていたロシア勢の演奏によるジョリヴェの作品集という興味深い2枚組です。

①前に聴いた第2協奏曲(フルートと打楽器のための協奏曲)に比べるととても分かりやすい。短い曲ですが4つの楽章に分かれています。
第1楽章はゆったりしたテンポの中暗く不安定な感じのフルートが印象的。盛り上がってきてアタッカで第2楽章に突入。アレグロでバルトークのスケルツォ楽章っぽくてカッコいいです。
第3楽章は緩徐楽章。オケがぐちゃーっと不協和音を出し神秘的なフルートが応えます。すぐにアタッカで速いテンポの第4楽章に入ります。暗くてチャカチャカしていてはやりカッコいいです。

②このアルバム2枚組のなかで唯一旧ソ連以外での録音。ロストロポーヴィチがパリに出向いてのライヴです。ERATOと同じ録音だと思います。比べてみたけどどちらもノイズが1つもないセッション録音でした。
ロストロポーヴィチの委嘱で作曲された作品です。
曲は強烈なオケの不協和音とグリッサンドに導かれ怪しいチェロが歌いだします。色々展開はありますが、ひたすら無調的で暗く難解な21分半です。最後は高速テンポで盛り上がります。
こんな難しい曲でも力強く揺るぎないロストロポーヴィチのチェロは素晴らしい!

③第1楽章のレチタティーヴォ。ファゴットというとおどけたイメージがありますが、そこはジョリヴェ、やはり暗くて神秘的です。ファゴットのハイトーンはサックスのようです。アタッカで続く第2楽章のアレグロでおどけた感じもありますが狂気じみた雰囲気もあり耳を惹きます。
第3楽章はこのCDで初めて叙情的で美しい音楽になります。アタッカで続くフガートはやはりバルトーク的。ピアノやハープ、小物打楽器のバックが印象的。ヴァイオリンの独奏も民族的な感じがして良いです。最後は長調でめでたく終了します。
技巧的ファゴットも耳をひきますし、なかなか面白い。

④お待ちかねの赤道コンチェルトです。
第1楽章は録音がピアノが強めで怪しい小物打楽器群がちょっと遠いのが残念。でも金管とか木琴はガチャガチャいってます。でも最後に向かっての上昇していく感じはエキサイティングですね。
第2楽章もやかましくてカッコいい!中間部の静かなところはこの演奏だとあまりアジア風には聴こえないです。
第3楽章は曲も演奏もやけっぱちぽいグチャグチャ感はフリー・ジャズっぽくてもの凄いことになってます。ピアノや打楽器は乱れうち、サックス群も吠えまくり!ここまで骨太で気合いの入った演奏は凄い。まあ、もうちょっと緻密さとかバランスとかほしい気もしますが、興奮ものであるのは間違いないです。
ティンパニの強打がボワーとしてるのはこの時期MELODIYAっぽいなあ。

①★★★☆☆
②★★☆☆☆
③★★★☆☆
④★★★★☆

ncs547ジョリヴェ:
①フルートと打楽器のための協奏的組曲(フルート協奏曲第2番)
②7人の奏者のためのラプソディ

アンドレ・ジョリヴェ(指揮)
①小出信也(フルート)、岡田知之(打楽器1)、百瀬和紀(打楽器2)、今村三明(打楽器3)、有賀誠門(打楽器4)
②田中千香士(ヴァイオリン)、田中雅彦(コントラバス)、浜中浩一(クラリネット)、山畑馨(ファゴット)、北村源三(トランペット)、伊藤清(トロンボーン)、有賀誠門(打楽器)
録音:1970年9月29日
(VICTOR-TOWER RECORDS NCS547)
ジョリヴェが単身来日した際、NHK交響楽団のソリスト達を相手に棒を振った記念碑的録音です。でもこのCD我が家にいらしてから5年くらい放置してあったもの。赤道コンチェルトを聴いたらこんなCDあったのも思い出しました。
①打楽器をバックに無調のフルートが動き回る怪しい作品。天地茂が出てきそうな昔のサスペンス・ドラマのBGM風。全4楽章。なんと言いますか、何度も聴きたくなるような曲ではありません。
②相当ひねたサウンドでサティや新古典主義のストラヴィンスキーを彷彿させます。でも、フルート協奏曲と違ってこちらは調性らしきものがあり何かなまめかしいものを感じさせます。ジャズっぽい感じもあります。
第1楽章は如何にも現代音楽風のグシャグシャっとした始まり方ですが、すぐに南国風パーカッションが登場。その後は分かり易いような分かりにくいような音楽がラプソディック(いやラプソディなんですね)にどんどん出てきます。第2楽章は緩徐楽章。今度は妖しい。葬送行進曲のようでもありますが、ちゃかしてるようでもあります。第3楽章は元気ですがやっぱりひねくれています。でもフィニッシュに向かって結構盛り上がります。
とまあそこそこ楽しめたのですが、何度も聴きたくなるような曲でもありませんでした。
①★☆☆☆☆(うーん・・・)
②★★☆☆☆(他の演奏が出たらまた聴いてみたい気もします)

sicc1522①ジョリヴェ:赤道協奏曲
②ミヨー:ピアノ協奏曲
③ミヨー:世界の創造(室内楽版)

フィリップ・アントルモン(ピアノ)
①アンドレ・ジョリヴェ(指揮)
②ダリウス・ミヨー(指揮)
①②パリ音楽院管弦楽団
③フランス弦楽三重奏団&ジャック・ジュステム(Vn)
録音:①1965年、②1966年、③1967年
(SONY CLASSICAL SICC1522)

①「赤道コンチェルト」結構好きでして時折聴いております。しかし、意外にCDは少なくデカーヴ&ブール盤(SOLSTICE)やギャレ&ダーリントンの新しい録音(ACOUSENCE)に続いて私の手元にはこれが3種目です。
第1楽章の各種打楽器がドコドコ、カチャカチャ活躍し南国的・呪術的な雰囲気は私的には「モスラ」のイメージ。何度聴いてもカッコいいなあ。第2楽章も怪しい雰囲気満点。メシアンの「トゥーランガリラ交響曲」に通じますね。中間部の静かな箇所は無国籍アジアン風。第3楽章は猛スピードでグチャグチャでジャズっぽくてマジかっこいい。後半出てくるヴァイオリンの変なメロディというか音型も耳を引きますが、この演奏だとあまり目立たないのが残念。
②高湿のジョリヴェに比べるとミヨーはカラッとしてますね。まさに赤道直下と地中海のように対照的。3楽章で14分弱と短い協奏曲です。
第1楽章は明るく軽快なミヨー独特な曲ですが、すぐ終わっちゃいます。第2楽章は木管アンサンブルで始まる緩徐楽章。ちょっと憂いがありますが、やっぱりあっさり。第3楽章は低弦と金管で威圧感に始まりますが、ピアノが出ると軽妙洒脱な如何にもなフランス音楽になります。全体にあっさりしたBGM的な綺麗な曲ですが、特に何度も聴きたくなるような曲でもありませんでした。まあ、ミヨーの曲ってそういうの多いですけどね。
③「世界の創造」というとサックスのイメージが強かったのでピアノ五重奏という形態は大丈夫なのかな、と思いながら聴き始めました。ゆったりした第一楽章はスイングしろとは言わないけどなんだかリズムがだらんとしているし、チェロの音程も微妙だし、不安を感じさせる始まりでした。でも楽章が進むにつれジャズっぽい雰囲気が良くなってきます。サックスがないことでかえってジャズっぽいリズム感がしました。
①★★★★☆
②★★☆☆☆
①★★★☆☆

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