クラシック・マイナー曲推進委員会

マイナーな作品を中心にクラシックのCDを聴きまくる私の備忘録的感想文です。
さんざん聴いてるのに忘れちゃうもので。もし読んでくれる同好の方がおりましたら参考になれば嬉しいです。
このブログは全く個人の感想ですので、一般の評価などとは異なることが多いかと思いますが、あしからず。
また、ほぼ耳で聴いただけでの作文ですので、間違ったこと書いてあったらごめんなさい。もしお気付きの誤りがありましたらご指摘ください。

カテゴリ:作曲家D > Debussy

alt229①ベルリオーズ:幻想交響曲Op.14
②ストラヴィンスキー:レクイエム・カンティクルス
③ドビュッシー:海

シャルル・ミュンシュ(指揮)
パリ管弦楽団
②エリザベート・ブラッスール合唱団、ドゥニーズ・シャーリィ(コントラルト)、ピエール・トー(バス)
録音:1967年11月14日シャンゼリゼ劇場、ライヴ(ステレオ)
(ALTUS ALT229/30)
EMIのミュンシュ・パリ管の幻想を聴き比べて、こちらの発足演奏会のCDも持ってたので、もう一度真面目に聴いてみました。なにせ、このセットはセールで買ってたのですが、あまり幻想に興味が無くなってた時に聴いたので、何も印象に残ってませんでした。

①ということで、このライヴの「幻想」ですが、演奏日が近いので当たり前なんでしょうけどEMI盤とそっくりです。
第1楽章。
序奏のコントラバス強調もEMI盤ほどじゃないけどやってますね。盛り上がってきて熱気を帯びてくる感じはライヴならではです。
第2楽章。
やはり最後の熱気はいいですね。
第3楽章。
前の楽章からほとんどアタッカで入ってます。当たり前ですがA面B面ひっくり返し用の隙間はありませんでした。中間の盛り上がりのGPではミュンシュもうなり声あげています。やっぱり最後の雷はおとなしい。
第4楽章。
こちらも前の楽章からほとんど間がありません。
第5楽章。
最初はEMI盤に比べると色々大げさな感じです。ミュンシュの叫び声も何度か聞こえてエキサイティングです。最後のクレッシェンドも凄いですね!

と言うわけでEMIのセッションと演奏は似てるけど、熱を帯びてくる感じや指揮者の声などライヴならではの盛り上がりですね。でもミスや乱れはほとんどなくて凄いです。
音質も結構EMI盤(の古いディスク)に似ています。でも私的にはEMI盤(の古いディスクの方)も結構良かったので、甲乙つけがたいですね。

②ストラヴィンスキーの面白いような面白くないような作品。12音技法が使われているそうです。パリ管最初の演奏会で当事の最新作のこの作品取り上げるって凄いですね!
細かく9トラックに別れています。
「ジョンジョンジョンジョン…」と斜にかまえた感じから綺麗な合唱が出てきます。続いてモダンで激しい「怒りの日」です。シュプレヒシュティンメなども使われています。「トゥバ・ミルム」が歌われた後、管楽器による空虚な時間が続きます。再びモダンな合唱が出る、といった感じで次々と変化していきます。最後は空虚な感じで金属系打楽器が色々なります。
色んな試みがあり、12音技法にしてはユニークで面白かったです。一曲あたりが短くてしつこくないのも良いです。

③ミュンシュはこの「海」をパリ管とは録音していませんでした。ボストンでの録音はありました。ソビエト国立との激しいライヴもありましたね。
第1楽章。
序奏が終わってアレグロになると、テンポが結構速くなったり遅くなったりととてもユニーク。チェロのアンサンブルのところはゆっくりで意外と丁寧。その後も急に速くなったり、まあ忙しい。かなり凶悪に夜があけます。
第2楽章。
こちらもテンポを結構動かしています。結構現実的なサウンドで攻めてきます。
第3楽章。
ゆったりとオドロオドロしく始まります。低弦のピチカートなんか音潰れちゃってます。指揮者の「あー」という唸り声にティンパニも凄い!その後はしばらく興奮状態です。落ち着いてからのところもエライゆっくりから速くなったり遅くなったり凄いです。最後はやっぱり狂暴です。
テンポ動かしまくって狂暴な「海」でした。面白いけど印象派というより、かなり現実的で落ち着かない感じでした。

①★★★★☆(熱気はEMI盤よりちょっと上か)
②★★★☆☆(面白かった)
③★★★☆☆(激しすぎ)

という訳で聴きごたえ充分の凄いライヴでした!

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melcd1002279①オネゲル:交響曲第2番
②ラモー:歌劇「ダルダニュス」組曲より断章(4曲)
③ドビュッシー:交響詩「海」
④ルーセル:バレエ「バッカスとアリアーヌ」第2組曲
シャルル・ミュンシュ(指揮)ソビエト国立交響楽団
録音:1965年モスクワ音楽院(ライヴ)
(MELODIYA MELCD1002279)
ミュンシュとソビエト国立響のライヴなんてあったんですね!これは演目が何であれ買いでしょうけど、フランス近代ものがずらっと揃ってる嬉しいレパートリーです。
パッケージには書いてなかったけど状態の良いステレオ録音でした。

①ミュンシュのオネゲル2番というとEMIのパリ管の名演がありましたね。第1楽章は暗くて恐ろしい音楽です。ミュンシュは序奏はジットリ、アレグロに入ると何かに追われるようで凄まじい。ソビエト国立響の弦はドスが効いてて恐い。第2楽章も陰気の極み。息苦しさが辛く感じ、長く感じます。
第3楽章も暗いけど活気があります。弦楽器しかないけど激しくてやる気に満ちてます。かなり荒っぽくて途中の低弦がゴーゴーいってるところなんてなんだか訳わかんなくて恐ろしい。最後のトランペット追加は、ようやく明るくなりますが、しまいにはビリビリと強奏してて凄い。

②一曲目「序曲」、二曲目「眠り・優しいロンドー」はオネゲルでヒート・アップしてしまった弦楽器群を落ち着かせるかのような落ち着いた曲。
三曲目は活気ある「リゴードン」。ちょっとだけ木管あり。四曲目「快活なエアとロンドー」はちょっと元気です。
確かに本物のバロックなんですけど、こういう大編成のモダン・オケで聴くと「ホルベルク」組曲とか擬バロックの曲に聞こえますね。
あと、何故かフライング拍手です。昔のロシアのお客さんというと冷めたイメージだったので意外。

③ミュンシュお得意の「海」。「海」はスヴェトラーノフも得意としていてソビエト国立響とも二つほど録音が残ってます。MELODIYA盤はCD化されてないのですが聴いてみたいなあ。
第1楽章はミュンシュ独特のテンポ設定があちこちありますが結構まともです。そんな中、金管のビブラートやティンパニが轟音が聞こえると嬉しくなります。最後の夜明けもギラギラしてるなあ!
第2楽章もダイナミック・レンジが広くて濃厚です。盛り上がりも凄くてシビれます。
第3楽章はトランペットが出てくると全てを支配する凄まじさ。続くティンパニもとんでもなく暴力的。落ち着くと今度は濃厚です。終盤の盛り上がりではトランペット無しヴァージョンでした。最後は猛烈な狂乱状態です。
いやあ、こんな興奮ものの「海」はめったにない!

④これも前の興奮を冷ますような綺麗な印象的な開始。ヴィオラの独奏が良い感じです。3分40秒くらいのクラリネットからテンポがかわり不穏な雰囲気に。ちょっとした場面から速いテンポの快活な曲になります。7分半くらいから再びテンポが落ちて感動的なつなぎっぽい場面になります。9分半から激しい踊りが始まりますが、すぐに落ち着いちゃってR.シュトラウス風のきれいな音楽になります。今の激しさは何だったんだろうと思います。徐々に盛り上がり、14分半くらいから最後の踊りになります。この部分は以前聴いたデュトワ盤に比べ遅めのテンポで始まりますが最終的に猛烈なテンポで陽性の狂乱状態になります。
音質はずっと良かったんですが、最後のほうでささくれてくるのが残念。

①★★★★☆(素晴らしいけど第2楽章の息苦しさはちょっとツラい)
②★★☆☆☆(ちょっと一息といった感じ)
③★★★★★(最高です。ソビエト国立とのライヴで更に突き抜けた感じです)
④★★★★☆(いいんですが、ちょっと音質が疲れ気味)

rdcd00693①アルヴェーン:交響曲第4番「海辺の岩礁から」
②ドビュッシー:海
スヴェトラーノフ指揮ロシア国立交響楽団
ガリーナ・シムキナ(ソプラノ)
アンドレイ・アルニコフ(テノール)
録音:①1989年2月、②1993年2月,どちらもモスクワ音楽院大ホール、ライヴ
(RUSSIAN DISC RDCD00693)
ヴェステルベリのアルヴェーン4番を聴いたらかなり濃厚だったので、もっと濃厚な印象だったスヴェトラーノフ盤はどうだったか気になり聴いてみました。カップリングはスヴェトラーノフ得意のドビュッシー:海。

アルヴェーンは意外なことにヴェステルベリよりスヴェトラーノフのほうがトータル・タイムが早いです。手元にあったヤルヴィ盤も含めトータル・タイムを調べました。
ヴェステルベリ・・・46:09
スヴェトラーノフ・・・42:00
ヤルヴィ・・・47:21
従来のイメージと違ってスヴェトラーノフがヤルヴィよりも5分も長い!

いきなり結論ですが、スヴェトラーノフも濃厚ですが、曲が濃厚だったんですね。確かに第3部はスヴェトラのほうがこってりしてますが他の部分では意外やテンポよく進行します。金管やティンパニはロシア国立響の音がして嬉しくなります。と言いながらも何故かヴェステルベリ盤に比べぐっとこないです。録音のせいかもしれませんが、何か満足がいかなくてボリュームを上げるとやかましく感じます。
こうなるとサッパリしていた印象だった(でも実は演奏時間が一番長かった)ヤルヴィ盤も気になってきました。

僕はラヴェル派ではなくてドビュッシー派です。意外と両方好き、という人は少ないような気がしますがどうでしょう?
ドビュッシーの海は何故かスヴェトラーノフが得意にしており、私も手元に3種類もあります(フランス国立管とフィルハーモニア管、もっと出てるみたいですが)。この演奏も輪郭がハッキリした重心の低いドスコイ系。フランスがなんだ!印象派がなんだ!という態度がいいです。ライヴならではのピンチもありますが(最初のオーボエには焦りました)、概ねキチっとしてます。演奏はいいんだけど、録音がイマイチですね、1993年なのに。いつものことなんですがこういう曲はいい音で聴きたいです。

アルヴェーン
★★★☆☆(意外とスピーディ)
ドビュッシー
★★☆☆☆(うーん…、何かがおかしい)

06ec5d8e.jpg①ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
②レスピーギ:ローマの噴水
③レスピーギ:ローマの祭
フェドセーエフ指揮モスクワ放送交響楽団
録音:1976~1984年らしいのですがブックレットの記載は意味不明、全部ライヴ
(VISTA VERA VVCD00094)
たまには有名曲も聴きますがなるべく変な演奏を聴くことにしています。今回は中古でみつけたフェドセーエフのレスピーギです。私、実はレスピーギ、余り好きではありません。ローマ三部作なんて楽しめたのは20代前半まででした。リュート古代舞曲やベルキス、シンフォニア・ドラマティカなんかのほうが好きでした。そんな私がレスピーギを聴くにあたり、期待するのは、珍演・奇演・爆演・バカ演、ということでこの曲をネタにやりたい放題の演奏です。ちなみに手元に残っていたローマ三部作(か、または一部)はスヴェトラーノフ、バティス、アンセルメの三種類でした。うーん、我ながら素敵なコレクション。で、このフェドセーエフ盤。ロシアの演奏家を偏愛している私ですが、実はフェドセーエフは苦手なんです。なんちゅうかだらしなくてワーワーうるさいだけ、という印象、よほど合う曲じゃないと聴きません。まずはドビュッシーの「牧神」。テンポがやたら速い。トータルで8分3秒(マルティノンやデュトワは10分超えてます)。ホルンのヴィヴラートはいいですね。盛り上がっての縦の線全く無視、もいいですね。「ヘーロヘーロ」の木管と盛り上がる弦楽器がずれずれで別世界を行っています。こういう演奏は私、大好き。わざと伴奏とずらす演歌のようです。レスピーギはどうもいかんですね。ロシアのローマ三部作といえばスヴェトラーノフの怪演が真っ先に思い浮かびますが、あちらはがっちりと土台があって組み上げられたものがあっての爆発があるのですが、このフェドセーエフのふにゃふにゃ演奏、美しくもなく、あちらこちらでてんでバラバラ、気ままにワーワー・ブーブー。そのワーワーもこちらの心をえぐるような厳しさもありません。ただあちらこちら笑えます。
★★★☆☆(牧神)フェド的ゆるさがいい方向に出てます
★☆☆☆☆(レスピーギ)フェド的ゆるさがお笑いに

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