クラシック・マイナー曲推進委員会

マイナーな作品を中心にクラシックのCDを聴きまくる私の備忘録的感想文です。
さんざん聴いてるのに忘れちゃうもので。もし読んでくれる同好の方がおりましたら参考になれば嬉しいです。
このブログは全く個人の感想ですので、一般の評価などとは異なることが多いかと思いますが、あしからず。
また、ほぼ耳で聴いただけでの作文ですので、間違ったこと書いてあったらごめんなさい。もしお気付きの誤りがありましたらご指摘ください。

カテゴリ:作曲家T > Tamberg

bis1208①ロルフ・マルティンソン(b.1956):トランペット協奏曲第1番「橋」(1998)
②アルヴォ・ペルト(b.1935):B-A-C-Hによる小協奏曲(1994)
③エイノ・タンベルク(b.1930):トランペット協奏曲第1番Op.42(1972)

ホーカン・ハーデンベルガー(トランペット)
ネーメ・ヤルヴィ(指揮)
エーテボリ交響楽団
録音:2000年8月7‐10日エーテボリ・コンサート・ホール
(BIS CD1208)
ヤルヴィがBISに録音していたもので持っていなかった1枚。伴奏ながら面白そうなレパートリーです。最近は歳のせいかヤルヴィの新録音もあまりなくなってきたのが寂しい。

①マルティンソンはスウェーデンの作曲家。この作品はハーデンベルガーとヤルヴィによって1999年に初演されました。
現代音楽ぽい序奏から猛烈テンポになり、色々あってゆったりテンポに落ち着くのですが、ここからがかなり長くて退屈。ロマンティックに盛り上がったりしますがどことなく空虚。終盤に再び猛烈テンポになると、ようやく聴けるようになりますが、あんまり面白いものでもありませんでした。

②この作品はペルトがティンティナブリ様式に行きついた後の作品です。トランペット、弦楽、ハープシコード、ピアノのための作品、ということでショスタコのピアノ協奏曲と一緒に演奏会にあげられそうですね。
第1楽章 プレシーソ(2:49)
前の曲から一転、思い切り耳を引きます。シュニトケの合奏協奏曲のような雰囲気。ネタバレですがBACHの音型は最後に出てきます。
第2楽章 レント(2:51)
チェンバロと弦楽によるバロック風でスタート。しかし突然強烈な不協和音になるのはやっぱりシュニトケ風。
第3楽章 デシーソ(1:37)
面白いなあ、と思わせてあっという間に終わります。
ということで全部で7分半しかない短い作品ですが、ティンティナブリ以降の作品なのに若手時代のような尖った雰囲気の作品で嬉しくなりました。

②タンベルクはエストニアの作曲家でネーメ・ヤルヴィも度々取り上げています。このトランペット協奏曲はドクシツェルも録音しています。
第1楽章 アンダンテ~アレグロ(5:39)
いきなりヴィブラートの効いたトランペットのドソロがカッコいい。そんなゆったりした序奏から速いテンポのアレグロになります。不穏ですがスピード感があって打楽器やピアノがドカドカなってカッコいい。
第2楽章 レント~コン・モート(4:56)
ちょっと不思議な感じの緩徐楽章。トランペットはキレイに歌ってるけど、とぼけているような感じもします。中間部はどんどんテンポが上がっていき恐ろしげ。
第3楽章 アレグロ・モルト(5:34)
猛スピードでカッコいい。第2主題はロマンティック。しかし展開していくと激しい。色んなロシア・ソ連ものを思い起こさせ、はたまたアメリカっぽいところもあります。打楽器群やピアノも良い。そうこうしながらも最後は美しい。
せっかくなのでドクシツェル盤とのタイミング比較です。
ハーデンベルガー 5:39/4:56/5:34
ドクシツェル   5:03/4:46/5:11
こうしてみるとドクシツェルのほうが一回り速いようです。もう一度ドクシツェル盤も聴いてみようかと思いました。

①★☆☆☆☆(退屈)
②③★★★★☆(めちゃ面白い)

マルティンソンを聴いたあとだとペルトとタンベルクのハッキリした音楽とても良く感じました。

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1fb5dc18.jpgタンベルク:
①交響曲第2番
②ヴァイオリン協奏曲
③交響曲第1番
①②ペーター・ルリエ指揮エストニア国立交響楽団、 ②イリーナ・ボチュコワ(Vn)
録音:①1986年②1985年
③ネーメ・ヤルヴィ指揮エストニア放送交響楽団
録音:1978年
(ANTES BMCD31.9075)
BISのヤルヴィ盤が発売になって思い出したタンベルク。ANTESからも2枚出てまして、その1枚を聴きました。交響曲第1番はソ連時代のヤルヴィによる録音です。
①交響曲第2番は1楽章構成。怪しげな雰囲気に満ちたゆったりしたテンポで始まります。フルートの細かいパッセージとヴィブラホンが印象的。小さなクライマックス後開始部が回想され、その後平穏が訪れます。若干シベリウスも思い出されます。次にまたテンポアップし、平穏と不安の葛藤が続いて静かに終ります。トータル・タイムも短く、適度に現代的で、なかなか優れた作品だと思います。
②次のヴァイオリン協奏曲。2楽章構成(だと思うのですが、トラックは1つ)で、やはり現代風ですが、調性もあり聴きやすいシュニトケといった感じでしょうか。第1楽章は鉄琴とハープにヴァイオリンが導かれます。幻想的です。それが一通り終わると活発になり、このあたりはショスタコやハチャトゥリアンの後継者といった感じです。しんねりむっつり始まる第2楽章は闊達な中間部をもつ三部形式。バックの弦楽器の不協和音はトゥーランガリラを思い起こさせます。
③最後は交響曲第1番。全部で3楽章あります。第1楽章は金鶏のようなファンファーレに始まり、ショスタコ風な不安な雰囲気に。一瞬ゴッドファーザーか?というフレーズが登場、この作品の重要なモチーフになります。展開部ではこのフレーズがユダヤ風に奏せられたりします。なかなか盛り上がりますが、呆気なく終ります。第2楽章は低弦に始まる緩徐楽章。強いていえばバルトーク風かな。途中チェンバロや鉄琴をバックに神秘的なヴァイオリン独奏が入ります。終楽章は快活で何となくバルトークのオケコンっぽくて、スピード感もあってカッコいいです。ところが最後は1楽章のゴッドファーザー・モチーフでやはり呆気なく終ってしまいます。音質はやや古い感じがあるけど観賞に問題ありません。3曲ともほどよく現代風手法を取り入れた作品で、ソ連音楽の正常進化形だと思います。その辺が急進的なシュニトケやペルト、グバイドゥーリナらに知名度で劣っている要因かもしれません。
★★★★☆3曲とも優秀作
(2011.6.3.感想の交響曲1番と2番の曲目が逆になってたので修正しました。このCDは先に第2が収録されています。)

40492b6f.jpgタンベルク:
バレエ「尼僧ヨアンナ」Op.37a
交響的舞曲Op.6
合奏協奏曲Op.5

ネーメ・ヤルヴィ(指揮)ハーグ・レジデンティ管弦楽団
録音:2007年9月(BIS CD1677)
シチェドリンに続いて旧ソ連圏の作曲家タンベルクの合奏協奏曲を聴きました。
このCDは私が敬愛するパパ・ヤルヴィのタンベルク・アルバム。ヤルヴィは最近CHANDOSとBISに復帰して録音も活発になり嬉しい限り。息子どもに負けるな!
タンベルク(1930年生まれ)半分くらいはソ連時代以前ANTESから古めの放送録音を使用した作品集が出ており、えらい楽しかった覚えがありました。このヤルヴィの新盤も期待大です。この合奏協奏曲はいかにもソ連風。トランペット、サックス、フルート、クラリネット、ファゴット、ピアノがソリスティックに動き回ります。第1楽章が快活だけど物悲しいメロディを展開していきます。第2楽章は緩徐楽章でサックスとクラリネットが歌いまくります。第3楽章は快活でソリスト達が名人芸を披露していきます。プロコフィエフ風でバーンスタイン風な感じもします。木琴が効果的に使われています。全曲肩肘はらず、素直に名人芸を楽しめる名曲だと思います。「尼僧ヨアンナ」はモダンな響きもあり、かなりオリジナリティが感じられますが、根底にはプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」の影響大な雰囲気です。それともソ連人が中世を舞台にバレエを書いたから?なかなか聴かせる作品です。これらに比べると「交響的舞曲」は全編通して楽天的で元気。まるで二流の吹奏楽作品みたい。判りやすいのはいいんですが、あまりにノーテンキ過ぎで辟易してしまいました。タンベルグという人は基本的にエンターテイナーなんですね。でも操状態ならもっと狂気まで入ってるようじゃないと満足出来ませんなあ。
★★★★☆(合奏協奏曲)
★★★★☆(尼僧ヨアンナ)
★★☆☆☆(交響的舞曲)

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