日本人が絶滅する。SF映画に出てきそうなアオリが、現実になりうる日が来てしまった。アンケート調査で「20代男性のうち4割が童貞」だと発表したのだ。
このアンケート調査は、相模ゴム工業のもので2013年のデータのようだ。
もちろん、ただやみくもにセックスが増えればいいわけではない。望まない妊娠は誰にとっても不幸だ。その観点から調べなおした。すると、20代未婚男性の6割にパートナーがいないことがわかった。なんと20代男性は、セックスのみならず恋愛もしていないのだ。
その原因を見てみると、答えはあの『ゼクシィ』をグループに持つ、リクルートブライダル総研が把握していた。調査によると、20代は男女ともに他世代より「会社・サークル・仲良しグループなどの中での恋愛は何となく気がひける」と答える比率が高い。
しかし結婚相手に出会うきっかけのトップは、時代を問わず職場と学校だ。職場と学校での出会いを避けてしまうと、とたんに恋人ができる確率がグンと下がってしまうのだ。
不用意な発言をすれば、SNSですぐに拡散されうる。読者には小学校のころ、ラブレターが張り出されて顔から火が出る思いをした男性もいたのではないだろうか。それが世界規模で発信されるとなれば、消極的になるのも当たり前だろう。
男性が告白したら女性の間で話が流れるというのは、昔からあったと思う。それがSNSに移行しただけとも言えそうだが、確かに世界に向けて発信されるのは大きな変化だ。
もっと影響を与えているのは、やはりストーカー、セクハラ、パワハラなどと言われてしまう可能性が高くなったことだろう。どこからがストーカーやセクハラなのかわかりにくく、「イヤだと思ったからセクハラ」なんて騒ぐ人もいるはずだ。同じ行為でも、気にいった相手かどうかで捉え方が変わる。
男性の側からすれば、客観的に見てストーカーやセクハラではなくとも、相手の女性にそう騒がれた時点で少なくとも弁明はしなければならないのだから、面倒なことこの上ない。気に入らない男性からのアプローチをやめさせるためにセクハラと騒ぐ女性もゼロとは言えないだろう。
特に、会社や学校など所属している組織の中で女性に騒がれたら、男性としては非常に不利な立場になってしまう。職場や学校での恋愛が減るのも当然だと思う。
ストーカーやセクハラ、パワハラ自体の規制に反対するつもりは全くない。しかし、規制の副作用として、本来ならば何ら問題のない行為を真面目な男性ほど控えるようになっているのではないかというのは、きちんと対応を考えるべきだと思う。ストーカーやセクハラ、パワハラをする人間の中には、生まれ育った環境でそれが当たり前だと思っていて、規制があってもなくてもする者もいるだろう。そうした人間に事前に警告をし、事後的に処分することは当然に必要だが、まともな人間が行動を萎縮してしまうことにも注目しないといけない。例えて言えば、農薬を散布したら、害虫だけではなく益虫も死んでしまった、そんな感じだな。
そんな状況なのに、男性の意見はほとんど無視されているため、こうした萎縮効果が発生していることが社会で論題にされないんよな。
問題は20代男性だけではない。仮に女性が肉食化してどんどん男を口説くようになったなら、恋愛も活発になるだろう。しかし女性も圧倒的に受け身なのだ。内閣府の国際比較によれば、日本は「恋愛で気になる相手からアプローチがあったら考える」受け身な比率が最も高い。
女性誌『CanCam』のカップル7,000人を対象とした調査によると、女性が男性を好きになったとき取る行動のトップに並ぶのが「好きっぽい雰囲気を出す」というもの。具体的には「いつも笑顔でいる」「ボディクリームで良い香りになる」など間接的なアピールが多い。
しかし、男性諸君へうかがいたい。これで好意に気づける男性はいるだろうか。20代ではアプローチをする男女が少なく、したとしても分かりにくいのである。これでは恋愛が成り立たない。
これが20代のアプローチだ!
筆者はこれまでに800人以上から人生相談を承った。その経験からも、20代では男女問わず「分かりづらいアプローチ」が増加したと実感している。ここで実際に聞いたアプローチを抜粋し、リストにしてみよう。
<男女問わず20代に多い気になる相手へのアプローチ方法>
・たまに相手のことを見る
・占いや神社へ行く
・ダイエットや筋トレなど自分磨きをする
・グループでご飯に誘う
アラフォー以上の男性なら、これを見て「これがアプローチぃ?」とひっくり返るのではないだろうか。特にいまの40代以上は、押して押して押しまくるアプローチがよしとされてきた。しかしこのリストは決して深窓の令嬢が取る行動ではない。20代男性がごく一般的に取る恋愛の所作である。
男性からのアプローチが難しくなった反面、女性からのアプローチが増えればいいのだが、実際にはそうはなっていない。
上記のように、男性からのアプローチは危険性が高まった。ならば、男女平等なんだから女性からもっとアプローチしましょうとフェミニストが言えばいいのに、男性が置かれた状態を考慮せず、「男性からアプローチされたい」という女性の希望が優先されるから、そんな意見も出ない。むしろ「最近の男性は臆病だ」なんて批判が出る始末だ。この批判こそ、男性軽視の象徴なんじゃないか。
では20代男性の童貞問題を、先輩はどう支援すればいいのか。若者から口をそろえて挙がったのは「解決しようとしないでほしい」という声だった。
来年から新卒となる学生はこう語る。
「国の観点からすれば少子化は課題ですけれども、僕らの世代は恋愛なしで幸せだと思うんです。だから恋愛をしろ! とプレッシャーをかけられても困惑してしまいます。社会人は結婚して一人前、という考え方は無くしていただければありがたいです。未婚が当たり前なのだから、その前提で会社でも指導していただきたいです」
別の学生もこう述べた。
「現在、8人に1人の成人は移民だという話もあります。少子化問題に今から取り組んでも、労働力になるのは先です。だったら恋愛ナシでもこれだけ充実してるんだから、それでいいじゃないかと思っています。恋愛をしなくてはならない社会よりも、してもしなくてもいい社会の方が豊かなんじゃないでしょうか?」
男性の多くは、女性の権利を主張する人々が思うより性欲をコントロールできる。女性から見れば「男性が臆病になった」かもしれないが、男性からすれば、「ストーカーやセクハラと騒がれるぐらいなら女性と付き合わなくていいか」ということであって、男性は合理的な判断をしていると思う。世の中、人が不合理な対応をする可能性の方が低い。そういった認識がなく、「最近の若い男性は異常だ」と決めつけることは、結局は現実を無視した見解であって、問題の解決をより遅らせることになる。
さらに言えば、男性が童貞でなくなった時の変化も怖いな。童貞だと、まだ女性に対する関心が大きいのではないかと思う。しかし、童貞でなくなったら、今の状況だと男性は「女性ってこんなものか」となり、女性との付き合いに面倒くささを感じて、もっと女性に対する関心を無くしてしまうんじゃないだろうか。童貞でなくなるまでが、女性に対する関心のピークになる可能性も高いと思う。