F爺・小島剛一のブログ

追記　2015年12月28日

日本に住んでいる新聞記者の友人からの知らせで、鶴岡八幡宮の宮司がストラスブールを再訪した正確な期日が判明し、行方不明だと思っていた新聞記事も見つかりました。「某大新聞」と書いたのは、間違い無く「朝日新聞」でした。記事の本文に、新聞名と正確な日付や宮司の発言の詳細など、数箇所、修正を施しました。

なお、同じ頃、同様の記事を読売新聞と毎日新聞も掲載しているそうです。但し「新聞によって催しの名称、一行の人数、出発する日付などが微妙に異なってい」るということです。

2000年5月に鎌倉の鶴岡八幡宮の宮司がストラスブールに神楽と巫女舞を引き連れて来ていたことを、F爺は、ストラスブール市民から聞きました。異口同音に、失望を表明していました。多くの人の声には、怒りが籠っていました。

「説明らしい説明が無かった。あれで何を理解しろと言うのか」
「衣装だけは異国的で珍しかったけれど、何のために何をやっているのか、全然分からなくて面白くなかった」
「何がどうなっているのか皆目分からなかった。観衆は、完全に疎外されていた。いつ終わったのかも分からなかった」
「あの人たち、どうしてFさんに説明役を頼まなかったの?」

2000年5月7日付けの朝日新聞に載った記事を母が手紙に同封してくれました。母には、鎌倉の鶴岡八幡宮の宮司とストラスブールで遇う機会があったこと、鎌倉で夕食に招(よ)ばれたことを話していましたから、送れば息子は喜ぶと判断したのでしょう。宮司の写真入りでした。

その記事には、宮司がストラスブールで「国際宗教シンポジウム」なるものに参加すると書いてありました。まるで
〈世界中の主要な宗教団体が一堂に会して会議を行なう〉
かのように聞こえますね。

ストラスブールでの「神楽と巫女舞紹介」は、全然「世界的な催し」ではなかったし、「会議」に類したことは何も無かったのですから、捏造翻訳です。誰が捏造したのかは存じませんが。

その新聞記事には
「シンポジウムは、ストラスブール市が主催し、フランス政府が後援する」
とありますが、間違いです。主催者は、LN夫人の主宰する民間団体でした。ストラスブール市は、会場提供などの形で「後援」はしたかもしれません。

さらに、記事には、宮司の言葉として
「いったん断ったが、再度要請され、「神道を国際的に理解してもらういい機会」と考え直した」
とあります。

それは、あり得ます。宮司は、鎌倉でのF爺の言葉を聞いて「一度は断った」後、LN夫人に「懇願されて」行くことにしたのかもしれません。

記事の一番下に、こう書いてあります。
「ひたすら祈るのが神道。教え諭すことはない」

F爺は、ストラスブールでは宮司は神道について何の説明もしなかったと聞いています。何の発言もしないのでは、「神道を国際的に理解してもらう」ことは不可能です。

宮司は、F爺が「神道に関する質問に言葉で答えることを拒否する手もある」と言ったのを憶えていて直截に「言うことは何も無い」と言って顰蹙(ひんしゅく)を買ったかもしれません。下手な訳し方をすると、ヨーロッパの言語では「私は何も知らない」あるいは「お前なんか相手にはしないぞ」という含みになってしまうことがありますから。

最終編に続きます。