リスケジュールの環境は、間違いなく変わってきています。
金融庁の通達により、金融機関がリスケジュールに前向きに取り組むようになり、交渉もスムーズに進むことが多くなっています。
しかし、あくまでも全体としての傾向であり、金融機関にリスケジュールを断られることも当然にあります。
このような環境で、何故、リスケジュールが断られるのか・・・
その理由を考えてみたいと思います。
融資を受けて、直ぐにリスケジュールを申し込むと、金融機関の対応は極端に悪くなります。
リスケジュールどころか、場合によれば詐欺まがいの表現をされることもあり、プロパー融資の場合は最低でも3回の返済が必要だと思います。
ただ、昨年末以降、信用保証協会付融資の場合は、借りて直ぐのリスケジュールにも寛容になっている事実もあります。
以前にもリスケジュールをして正常返済に戻っている場合も、新たなリスケジュールに難色を示されることが多いようです。
しかし、過去のリスケジュールで健全化を実現したという実績があるのですから、諦めずに交渉すべきでしょう。
経営状況が悪すぎて、リスケジュールをしても経営改善の見込みがないと判断された場合も、リスケジュールを断られることがあります。
リスケジュールによる会社再生の前提は本業の黒字であり、リスケジュールで元金返済を棚上げすることにより資金繰りを確保できることです。
経営改善計画や事業計画が信用できない場合も同じですが、リスケジュールをしても資金繰りが確保できないと判断されたり、意味がないと判断された場合は、リスケジュール交渉が上手く進まないことが多いようです。
また、担保や連帯保証人からの債権回収の可能性が高いと、この傾向は顕著になるようです。
逆に、担保評価が大きく下がり、担保処分により債権回収が難しいと判断された場合も、金融機関はリスケジュールに慎重になります。
経営者に誠意がないと感じられると、リスケジュールは難しくなります。
金融機関の担当者らも人間であり、感情で左右されることもあります。
本来は、リスケジュールに関して問題のない案件でも、経営者の対応が悪かったり誠意がないと感じた場合は、感情で拒否されてしまうことがありますので、金融機関に迷惑を掛けないという誠意を十分に示す必要があります。
リスケジュールを更新する場合は、経営改善の進捗が大きな問題となるでしょう。
前回のリスケジュール交渉時に提出した経営改善計画がほとんど実行されていない場合や、事業計画の達成度が低い場合などは、リスケジュールを断られてしまうことが多いようです。
金融機関は、経営改善計画書をリスケジュールの判断材料としますので、作成には十分に留意する必要があるのです。
以上が、この環境においてもリスケジュール交渉が難航する主な理由だと思います。
このような理由で、リスケを断られたらどうすればいいのでしょう。
事業再生専門家に相談すれば、諦めるしかないという返事が帰ってくるかもしれません。
しかし、ここで諦めれば全てが終ってしまいますから、諦めては駄目なのです。
まず、リスケジュールを諦めずに再交渉です。
なかには、担当者レベルで、適当な返事をする金融機関もあります。
駄目な理由が経営改善計画にあるのか、資産等の売却にあるのか等の理由を確認し、理由について対応して諦めずに交渉をすべきでしょう。
正式な依頼として交渉するのです。
それでも、リスケジュールについて金融機関から正式に断りの回答あれば仕方がありません。
リスケジュールが駄目でも、未だ諦める必要はありません。
冷静に、今、何が大事かを考えてみてください。
このまま無理して返済を続けるのが大事なのか・・・
経営を維持するために資金繰りを優先するのか・・・
このまま、金融機関の言うとおり返済を続けると、近々、資金繰りが確保できず経営が破綻する可能性が高いのであれば、返済を止めるしか方法はないかもしれません。
一方的にリスケジュールを実行することになるのですが、事前に電話とファックスで連絡して、最低でも金利は支払う必要があります。
一回目は無理でも、二回目以降で引き落とし口座から金利分が引き落としされることがあり、引き落としされればリスケジュールは成功したと考えるのです。
一方的なリスケジュールには当然にリスクがあり、特に期限の利益の喪失の可能性が問題です。
期限の利益は、返済が一日でも遅れれば喪失するという約定になっていますが、通常は金利の支払いが3回止まってから喪失する例が多いようです。
3ヶ月のうちに、金利が引き落としされなければ、期限の利益が喪失して法的手続きに移り、担保不動産の処分等をされるようになってしまいます。
こう考えてくると、リスケジュールを断られた後の対応は、非常に難しい判断になると思います。
債務者の置かれている状況によっても、その後の流れが大きく変わりますので、十分に精査し対応する必要があります。
ただ、経営継続の可能性があるのなら、チャレンジするしかないでしょう。
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