かっとばせ借金 打ち勝て倒産!!

資金繰りが悪化した中小零細企業の、経営危機打開や事業再生へ向けてのお手伝いをさせていただいています。 経営危機場面での知識や情報をご提供し、従業員や家族のために命がけで闘う経営者が、諦めずに闘う現場を善戦苦闘日記としてご報告いたします。

2020年02月

混乱への入り口・・・


120年振りの、民法改正まで残すところ1か月となっています。

時効から、詐害行為,連帯保証人,定款約款など改正のポイントについて、本ブログで
しっかりと勉強をしていくつもりでした。

経営危機を打開するにおいて、知っておかなければならない不可欠なテーマであり、本来は最優先で対応すべきなのですが、どうやらそうでもなさそうです。

そんな重要なテーマでさえ後回しになるほど、コロナウイルスによる劇的な環境悪化に、中小企業対応は翻弄されて真摯な対応を迫られています。



世の、中小事業者は、コロナウイルスに『翻弄』され、対応について『混乱』をし始めているのかもしれません。

顧問先から、『コロナウイルスの影響のため、打ち合わせを延期してほしい・・・』という連絡をいただきました。

今の世の中の趨勢からいえば、珍しくもない当たり前のことかもしれませんが、私の仕事は、経営の厳しい中小事業者がお客様になります。

コロナウイルスの影響で、景気が極端に低迷する現状においてこそ、私の業務は忙しくなる思っていました。

あの未曽有の不況といわれたリーマンショックの時は、一気にお問い合わせが増加し慌てたほど、景気の悪化に比例して需要の増える職種なのです。

それなのに、打ち合わせを延期するというのは、どういうことなのでしょうか・・・。

単に、資金繰りが厳しいというより、それ以上に困難な問題が発生しているのかもしれません。

  決まっていた仕事が、無期延期になったのかもしれません・・・。

  原料が入ってこず、操業が停止したのかもしれません・・・。

  予約が、次々とキャンセルになっているのかもしれません・・・。

資金の流れではなく、ビジネスの流れ自体を停滞させようとする、未体験の環境劣化へ
の変化といえるのでしょうか。

経営危機での資金繰りという、地獄のような苦難に果敢に立ち向かってきた経営者さえも、困惑させるほどの『混乱』が、今、起きようとしているのかもしれません。




不況の前は、当たり前の様に好景気なものです。

過去の不況を振り返っていると、株式や不動産が高騰しているときに、突然に不況になり、暴落により損失を出す事業者が絶えません。

バブル崩壊という、史上初めての長期不況では、多くの専門家が読み違え、人生を喪失しました。

 『直ぐに回復する・・・』

 『この秋には、景気も戻る・・・』

などと、本来は『かもしれない・・・』もしくは『だろう・・・』を付けるべきところを、何の根拠もないままに、読み違えをして断定したのです。

その結果、悲惨な末路を迎える事業者が、後を絶たなくなりました。

いつかは回復し、今以上に景気は良くなる・・・・というのが、戦後30年、当たり前のことだったのです。

そんな、右肩上がり経済が当たり前の時代、バブル崩壊以降の『デフレ経済』など誰が予想できたでしょうか。

損を最小限に抑えるという思考など、どこにも存在しませんでした。

誰もが、いかに利益を出すかという方向でしか、お金の価値を見つけられない時代だったのでしょう。

あの時、勇気を出して、損を少しでも抑える決断をしていれば、多くの事業者は救われたと思います。

今は、あの時と、状況がよく似ています。

状況を冷静に判断し、場合によれば『損切』も有効な選択肢となる、そんな不況になろうとしているのかもしれません・・・。



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変更された詐害行為・・・


返済や、支払を優先すべきなのか・・・

生活や事業を守るべきか・・・

資金繰りが悪化し、経営危機状況に陥ると、経営者は乏しい資金の活用方法に悩むものです。

そんな時に、注意しなければならないのが詐害行為ではないでしょうか。



今回の民法改正において、詐害行為は大きなチェックポイントになるでしょう。

詐害行為とは、債権者の権利を侵すことを知りながら、資産等を強制執行などされないように保全する行為のことになります。

事例を挙げてご説明をすれば、借入金を返済できなくなった様な状況で、債権者の金融機関等から差押をされないために、債務者所有の不動産の名義を変更したり、他の担保を付けて価値を無くしたりするような行為が対象となります。

健全な状態 (債務超過になっていない経営状況) にあるときの行為や、受益者が詐害の事実を認知していなければ、詐害行為として捉えにくくもなります。

債権者である金融機関などが、詐害行為ではないかと疑いを持った場合は、詐害行為取消請求の裁判をしてくることになり、裁判において詐害行為と認められれば現状に復さなければなりません。

様々な専門家は、それは詐害行為だから駄目だと簡単に表現しますが、詐害行為だと認定するのは裁判なのです。

したがって、債権者が詐害行為だと主張するのであれば、その取消請求を裁判所に請求しなければなりません。

経営危機の環境においては、常に詐害行為を意識しておく必要がありますので、打開のために具体的に理解しておきたいのが詐害行為なのです。



今回の民法改正の内容を、新旧対比の資料で確認すると、条文が新規で追加されたのは、詐害行為に関する項目が突出して多い事に気付きます。

改正というよりも、新規が10倍ぐらいに増えている様な状況ではないでしょうか。
120年前に制定された旧民法では、詐害行為については簡単にしか触れられておらず、多くの詐害行為取消請求に関わる過去の判例を、今回の改正で明文化したために項目が膨れ上がったようです。

では、民法改正における、詐害行為のポイントを順にチェックしていきたいと思います。
・ 詐害行為取消請求に関わる消滅時効の期間の変更が挙げられ、『行為をしたことを債権者が知った時から2年』もしくは『行為の時から10年』となりました。

・ 詐害行為の対象が、『法律行為』に限定されず、『行為』全般に変更されました。

・ 詐害行為の後で発生した債権も、詐害行為取消請求の対象となりました。

・ 状況により、相当の対価を得た行為でも、詐害行為取消請求の対象となりうるようになりました。

・ 偏頗的な債務の弁済は、詐害行為取消請求の対象となりうるようになりました。

・ 複数の転得者が存在する場合、全ての転得者が悪意でないと詐害行為取消請求できなくなりました。

・ 詐害行為取消請求において、何を請求できるかが明らかになりました。

・ 詐害行為取消請求の被告が明らかになりました。

・ 債権者は、債務者に対して、遅滞なく訴訟を告知しなければなりません。

・ 詐害行為取消請求の範囲が明らかになりました。

・ 詐害行為取消請求において、債権者は自分に直接に引き渡しを請求できるようになりました。

・ 詐害行為取消請求の効果が、債務者にも及ぶようになりました。

・ 受益者は、債務者に対してした給付を取り戻せるようになりました。

・ 転得者の権利が保護されました。

以上の様に、詐害行為に関しては、新規で条文が随分と追加されました。

しかし、条文を読んだだけで、我々、法律の素人が内容を理解できるものではありません。

上記の様に、内容をピックアップしても、何のことか分かるはずもありません。

これらの改正点について、具体的に内容を判り易く確認して、今後の環境悪化に対応できるように、しっかりと備えていきたいと思います。



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何かが変わった・・・



毎月一度の、東海から関東圏の顧問先回りの出張は、同じ時間の新幹線に乗って行きます。

ところが、いつも通りの慣れた風景のはずなのに、目に飛び込む景色も、肌に感じる雰囲気も明らかに違うのです。

新幹線の京都駅は、普段とは違い整然とし、新幹線車内も静粛が保たれ、そして空いています。

意識せずとも感じるのは、異常なほど閑散としたものであり、何かが違うということなのでしょう。




今、とんでもなく大きな転機を迎えようとしているのかもしれません。

日本だけではなく、世界的な規模で・・・

景気や経済だけでなく、生活というキーワードにおいて・・・

一つのキッカケで、全ての歯車が狂いだし、未曽有の環境に突入しようとしているとしか思えません。

それほど、全ての環境が激変しているのです。



東海地方で書店を経営されているお客様が、本の取次店からの連絡票を見せてくださいます。

その内容は、定期発行の月刊誌などの発行が遅れるという内容になります。

しかも一誌ではなく、複数の月刊誌が遅れるという連絡なのです。

その理由は、付録が間に合わなかったからだということですから驚きます。

そう、付録は、中国で作られているはずであり、輸出入がストップして日本に入ってこないからなのです。

中国とは直接に関係なさそうな書店でさえ、この様な影響を受けているということには驚くしかありません。


名古屋から、関東に向かう新幹線こだまは、いつも満員で、三並びのB席ぐらいしか指定が取れないことも珍しくありません。

ところが、出発二十分ほど前の予約で、窓際も通路側も席は選び放題なのです。

しかも、普段は幅を利かせている東南アジアの観光客は少なく、いったい何があったのかと驚くほど車内は空いています。


上野のアメ横は、ガラガラです。

お兄ちゃんのガラガラ声が飛び交う通りは、普段は歩くのも苦労するほどなのですが、今日は、キャスター付きのバッグを引っ張ってもスイスイと。

しかも、通路の真ん中で立ち止まる団体客もおりませんから、ストレスなく通行ができます。


ホテルの宿泊料も、確実に下がってきたように思います。

最近の東京は、ホテル料金が高騰し、普段に宿泊するホテルは、早めに予約しても二泊で2万円を超えるのは当たり前になっていました。

ところが、急な予定の変更で、六日前に取り直すと、二泊で1万8千円です。

ホテルの宿泊料金は、需要に直結して変化しますが、この受験シーズンに、他のホテルも軒並み宿泊料を下げているように思います。


東京駅地下街のラーメンストリートは、いつも大人気です。

11時半を過ぎれば、行列ができて、食べたいラーメンも、なかなか食べれるものではありません。

ところが、11時45分で、なんと待ち時間がありません。

たしかに、行列ができている店もありますが、鰹出汁の効いたお勧めのお店が、待ち時間ゼロなのです。


以前にもご紹介しましたが、中国人観光客に大人気の大阪ミナミにある堺筋通りは、ひっきりなしに送迎の観光バスが出入りしていました。

乗車口から吐き出された観光客は、歩道に溜まり、歩行困難状況が繰り返されていたのです。

ところが、ここ最近、観光バスをめっきり見かけなくなり、観光客も激減し歩道は快適に歩けるようになりました。


・・・あれっ、こう書いてくると、良いことばかりの様になってしまいます。

観光客に遠慮して生活していた日本人が、ようやく、日本を取り戻せたようにさえ思えてきます。

しかし、そんなことではありません。

そんなレベルの話ではなく、我々を取り巻く環境が激変し、大変なことになっているとお知らせしようとしていたのです。



身近なことでも、数え上げればキリがない程に変化をしていますが、それは周りの環境だけに留まらず、ビジネスの世界ではさらに顕著に、グローバル規模で大きな影響をもたらそうとしています。

最近は、経済ニュースとして報道をされていますから、既にご承知のことだとは思いますが、中国から商品が入ってきません。

製造できないのか、輸出ができないのか、コロンウイルスの影響で、世界の工場である中国からの循環が停止をしまっています。

知人の製造業者は、中国からの部品が入らず、製造を止めるしかないといっています。

衣料品の小売業者は、輸入が止まり、この春以降、販売する商品がないということです。

視野を広げれば、中国での製造が中心のユニクロ等にとって、今後のダメージは小さなものではないでしょう。

中国に、重要な部品供給網を担わす大手製造業は、重要な部材が入ってこなくなり、商品製造自体が滞りかねません。

この、コロナウイルスが与える経済的な影響を、リーマンショック級と表現する専門家も少なくありません。

しかし、そんなものではないでしょう。

このまま収束しなければ、そんな低いレベルではなく、もっと甚大な影響を経済に与えるのではないでしょうか。

リーマンショックは、中国が新興経済強国の力を見せつけて収束をさせたともいえますが、その中国が当事者として疲弊しているのです。

救世主の存在しない環境で、これから向かうのは、経済的不況といった単純なものではないようにも思えます。

世界的なレベルで、経験したことのないような厳しい環境に落ち込むという・・・。




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時効と民法改正・・・



借金を処理する場面において、時効の活用は、債権債務両面において重要なキーワードとなります。

時効が完成すれば、借金は請求されなくなるのですから、貸した側の債権者は万全の態勢で阻止しようとしてきます。

正しく、債権者である金融関係機関と、借金をした債務者間における、生死を掛けた攻防といっても過言ではないでしょう。

時効など、債権者が完成させるわけはないといいますが、知力と体力と経験さえあれば、時効は十分に活用できる現実なのです。



ここまで、時効に関する大きな改正点について理解してきましたが、未だ、外すことのできないキーワードが幾つか残っていますので、最後に理解していきたいと思います。

前回、完成猶予と更新についてご説明をしましたが、その対象に『承認』が抜けていました。

今までの民法であれば、承認も立派な時効の中断事由となりますから、当然に、今回も対象となります。

ただ、完成猶予から更新という流れになった強制執行や請求とは違い、承認は、着手から決定までのタイムラグがなく一瞬で決まります。

したがって、弁済をしたり、債務承認書にサインをしたりなどといった『承認』は、その瞬間に更新をして、時効は新たに始まるということになります。



今回の改正で設けられた大きなキーワードに『協議』があります。

今までの民法では、『協議』に関した規定はありませんでした。

したがって、当事者が弁済について協議している途中で時効の完成期間が迫ってくると、何らかの中断手続きを執る必要があったのです。

この点について、協議を行う合意が書面でなされた時は、一定期間は時効が完成しないとされました。

一定期間についても、細かく規定をされており、当事者の片方が協議続行を拒否したとしても、その通知時から6か月間は時効が完成しないことになったのです。



前々回のブログで、借金などの消滅時効の期間は、実質5年に短縮されたとご紹介しました。

権利を行使できる時から10年という規定はありますが、借金などの性格上、行使できることを知ったときから5年という規定が、ほぼ当てはまるからです。

そして、裁判などの判決で確定した権利については、時効期間は10年になるという規定が、今回は新たに設けられました。

これは、今までの商事債権と同じ理屈になりますので、理解はし易いと思います。



最後に、時効に関する重要なキーワードについて触れたいと思います。

今までの民法では、439条で、複数の連帯債務者の中で、1人の連帯債務者の時効が完成すれば、その対象部分について他の連帯債務者も負担を免れるとなっていました。

これは、債権者側からすれば、納得のいかない話になるでしょう。

債権者にすれば、債権の回収を保全するために複数の連帯債務者と契約をしているのです。

それなのに、そのうちの1人の連帯債務者の時効が完成すると、その効力は他の連帯債務者にも及ぶとすれば、債権額自体が減少して不利益を受けることになってしまいます。

この点について、今回の民法改正で見直され、439条が削除されることになりました。

その結果、連帯債務者のうちの1人の時効が完成しても、その効力は、他の連帯保証人には及ばないということになったのです。

この規定は、時効を活用した債務処理においては、1つのスキームとなる選択肢でしたので、今後は注意が必要ということになります。



この3回で、時効に関する民法改正について理解をしてきました。

法律の条文は、妙に理解しにくい表現になっており、私自身も、ブログにすることで、理解を深める作業になっています。

口語で、もう少し判り易い表現にすれば、もっと法律に興味を持てるのではないでしょうか。

次回は、詐害行為について、理解をしていきたいと思います。




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時効を活用しないと損・・・



返済しきれないほどの借金は、経営者にとっては頭痛の種だろうと思います。

こんな大金、返済できるはずはないと悲観に暮れ、途方に暮れて前途を見失う経営者を救う方法はないのでしょうか。

実は、借金を消滅させたり、減額させる方法は様々に存在するのです。

時効も、合法的に、借金を最終的に消滅させる方法として、極めて有効な手段だといえます。



時効は、最後の時効の中断から、決められた時効期間を中断することなく完成することで、内容証明郵便により時効だと援用すると完成をします。

中断をすると、また新たに時効は始まりますから、債権回収の必要な銀行や保証協会,サービサーなどの債権者は、当然に様々な手段を講じて時効を中断させようとしてきます。

どうすれば、時効が中断するのかは、下記の行為によります。

1.承認   一部でも弁済したり、利息を支払う。債務承認文書にサインするなど。
2.請求   裁判上の請求。 訴訟・支払い督促・和解・調停など
3.差押・仮差押・仮処分,抵当権の実行

内容証明郵便により請求は、正式には中断ではなく、時効の停止ということになり、内容証明による停止から6ヶ月以内に訴訟等をしないと、停止は無かったこととして扱われますから注意しなければなりません。


今回の民法改正で、時効の中断と停止が、時効の完成猶予と更新ということになりました。

たとえば、訴訟などの裁判上の請求をすると、今までは、時効を中断しました。

しかし、訴訟などを申し立てるのは、時効を止めるだけの効力しかないはずです。

訴訟により、債権債務の存在を認めた判決が確定したときに、初めて時効を中断する効力が発生して、時効は更新されて新たに始まるというのが正解だと思います。

今までは、厳密には、中断ではなかったものが、今回の民法改正により、訴訟などによって時効は完成猶予して、その後に確定判決が得られると、時効は更新するということになったのです。

訴訟などによって時効が中断するのではなく、完成を猶予するだけであり、その後に、確定判決が得られて権利が確定することにより、時効は更新しゼロから再度スタートするということが、今回の民法改正により明確にされました。

これが、時効の完成猶予と時効の更新ということになります。

これは、強制執行や担保権の実行,競売,財産開示手続においても同じことで、これらの手続きに着手することにより、時効は完成猶予となります。

そして、これらの手続きが終了するときから、時効は更新してゼロから再スタートということになるのです。


今回の民法改正において、留意すべき新たな内容がもう一つあります。

仮差押と仮処分などの手続きは、以前は差押えと同じように扱われて時効の中断事由でしたが、民法改正により、手続きが終了するまで完成猶予をするだけであり、更新させるまでの効力はなくなりました。

これは、その性質上、当然のことだろうと思いますが、ただ、仮差押や仮処分が取り下げられて手続きが終了しても、その後6か月間は、時効は完成しない(完成猶予)ということになりました。

この、『その後6か月間は時効が完成しない』というのは、今回の民法改正おける一つのキーワードだといえるのかもしれません。

裁判上の請求をしても効力を得ることなく事由が終了した場合(勝訴できなかった場合など)でも、終了の時から6か月は時効が完成しないということなっています。

また、強制執行や担保権の実行等においても、取り下げなどにより事由が終了場合も、終了の時から6か月は時効が完成しないということなりました。

この6か月のルールは、当然に内容証明にも適用されます。

今までも、内容証明は時効を中断する効力はなく、6ヶ月間において時効を停止するだけでした。

そして、この6ヶ月の間において、差押や訴訟などをして時効の中断をしないと、時効の停止はなかったものとされましたから、今回の改正の原型とも言えるのかもしれません。



今回の民法改正により、時効の中断・停止が根本的に見直されたことになります。

その間は時効が完成しないという時効の完成猶予と、一から新たに時効が進行するという時効の更新が新設されました。

そして、「承認,仮差押・仮処分・差押,請求」といった時効の中断事由が、夫々具体的に完成猶予と更新に当てはめてルールづけられたということになります。

時効の知識を、根本的に入れ替える必要があるほどの改正だといえるのではないでしょうか。

次回は、時効の承認や、新設された時効の協議について理解していきたいと思います。



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時効で借金が消えるのはいつ・・・


友人に頼まれて、4年前にお金を貸しましたが、返済してくれませんし、なかなか請求できるものでもありません。

友人の置かれた厳しい状況も判っていますし、必ず返すと言ってくれもいますし、何より友人としての情が優先してしまいます。

もしも、返済してくれなくても、時効は10年ですから、まだまだ請求する期間はあり、慌てる必要はありません。

ところが、この消滅時効の期間が、この4月1日から短縮をされるのです。



借金の返済や、未払い金の支払は債務者の義務であり、債権者にはその請求権があります。

その請求権を、一定期間行使しないと、時効によって権利が消滅をします。

これにより、支払いをしなくて良くなるのが、消滅時効の完成ということになります。

支払をしなくても良いといっても、借金が無くなるわけではなく、請求権が消滅するということですので留意してください。


そして、行使しないと請求権が無くなるという一定期間は、債権の種類によって異なるので注意が必要です。

まず、借金においても、民事債権と商事債権に分かれ、時効期間も民事債権は10年,商事債権は5年とされてきました。

民事債権は個人間の借金で、商事債権は商人が当事者となる借金になります。

たとえば、信用金庫は商人ではありませんから、信用金庫が個人に貸した場合の時効期間は10年ですが、信用金庫が事業者(商人)に貸した場合の時効は5年となります。

この民事債権としての10年の時効期間が、この4月1日から大幅に短縮をされ、商事債権と同じ5年間になります。

そして、民事と商事の区別が不要になったため、商事時効の5年という中断期間も廃止されることになりました。

冒頭の例でいえば、4年前に貸して、その後に時効の中断をしていなければ、時効完成の残り期間は1年程ということになり、のんびりする訳にはいなないということになるのでしょうか・・・。



また、職業別においても、今までは時効期間が異なりました。

給料や飲食費は1年,授業料や小売り代金は2年,診療費や工事代金は3年などといった様に、職業により細かく時効期間は決められており、極めて複雑でした。

これについても、この4月1日から、原則として5年に統一されることになったのです。

今までは、1年で消滅した飲食店の請求権が、今後は5年になるわけですから、簡単に時効を援用できなくなったということになります。


時効の期間について、一定期間行使しないという期間は、いつからいつまでの期間なのかについても理解しておく必要があります。

この民法の改正により・・・

債権者が権利を行使できることを知ったときから5年・・・

権利を行使することができる時から10年・・・となり、いずれか早い方によるということになりました。

この区別は判りにくいので、事例で考えてみます。

パソコンを購入する契約をして、買主はパソコンをその場で受け取りました。

この段階で、売主は請求という権利を行使できることになり、時効はここから開始して、10年ということになります。

しかし、現実的には、契約を結んでいますから、権利を行使できることを知っているということになり、時効期間は5年ということになるのです。

一般の売買において、売主は請求できることを(権利を行使できることを)知っていて当たり前でしょうから、この度の民法改正により時効期間は5年に短縮されたといえるのです。



今回の民法改正により、消滅時効の期間はシンプルで判り易くなったといえるでしょう。

そして、短期時効が5年に統一されたため、通常の社会生活においては、時効の援用は難しくなったともいえるのかもしれません。

次回は、時効の中断・停止の見直し等について、理解をしていきたいと思います。



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認知症の責任は・・・



120年前といえば、気の遠くなるような昔になります。

文明開化の鐘の音がようやく静まり、日清戦争に勝利した直後であり、先進国への仲間入りに向けてひた走っていた頃になるのでしょう。

そんな時代にできた民法が、発展を遂げた現代においても使われてきたのですから、驚くしかありません。

人権や意思の主張など思いもよらなかった時代に作られた民法ですから、権利ばかり主張する現在に合わせて、『意思能力』について、今回の改正では大きく見直しをされました。



ご存じだろうと思いますが、多くの先進国を見習い、成年の年齢が18歳からになります。

ただし、この4月1日からではなく、2022年の4月1日からということです。

選挙権の年齢は、平成28年から18歳に引き下げられていますので、間違わないようにしてください。

若者の自立を目指し 社会参加を増やして、若々しい社会にすることが目的らしいですが、この改正について色々と考えなければなりません。

18歳,19歳という、成長期の2年は、様々な能力を身に付けるタイミングであり、精神的にも大きく成長する時期になります。

この時期に、成年として、権利と義務を背負うことになるのです。

早く成年になれて、一人前の権利を履行できるようになったと喜ぶべきなのか・・・。

成年として、大きな義務を持たされたと考えるべきなのか・・・。

たしかに、未成年であった今までは保護者の庇護の下で、何重ものバリアーに守られてきました。

ところが、成年になると、突然に全てのバリアーが取り除かれてしまうのです。

全てが、自分の思うがままに、取引し契約もできる様になるのは嬉しいですが、置かれた環境が激変し、バリアーのない野に晒されるという現実を忘れるわけにはいかないでしょう。

成年としての権利を得るということは、大きな義務も背負うということなのです。

しかも、なぜか、たばこやお酒は20歳からなのです・・・。



今回の民法の改正では、まず、意思能力について明文化をされました。

意思能力とは、自分がする行為の意味を理解する能力のことになります。

意思能力のある人が、法律行為をすれば責任を負うべきだということであり、そんなのは当たり前のことだと思えます。

言い換えれば、意志能力のない人が法律行為をしても、無効になって当然だということになります。

この点について、判例では認められていましたが、民法に規定がなかったため、今回の改正で意思能力のない人の法律行為が明文化されたのです。

意思能力のない人として、未成年者など様々な対象が存在しますが、ポイントとなるのはご高齢者ではないでしょうか。

120年前という明治時代は、平均寿命が44歳という記録があるほど、今とは比較のしようがないほど平均寿命は低かったようです。

こんな時代に、意思能力を欠くほどのご高齢者は少なかったでしょうし、認知症という認識さえ存在しなかったほど、現在とは状況が乖離していたと思います。

したがって、ご高齢者や認知症など判断能力の低下した方にとって、この民法改正は大きな効果が見込まれるでしょう。

社会問題化していた、ご高齢者への訪問販売なども、無効になることが明文化されたのですから、高齢者社会を迎える環境において、不可欠な改正だといえます。



日本文化の特徴は、恥を知る秩序であったと思います。

人権や意思能力などについて、わざわざ明文化する必要などないそんな時代に民法は作られ、問題なく活用をされてきたといえるのでしょう。

しかし、今は、時代が違います。

時代の変化に合わせた改正ですから、時代に生きるものとして、しっかりと理解していかなければなりません。

次回は、大きな改正点である消滅時効について、掘り下げて考えていきたいと思います。



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不況に備える・・・



コロナウイルスは、確実に、世界経済に大きな影響を与えようとし始めているようです。

このままでは、リーマンショックを超えるような大不況を引き起こすと、断言する専門家までいますから驚きます。

経済大国中国の機能が喪失されてしまっている現状を考えると、現実味を持った話なのかもしれず、中小企業経営者は、この事実に真摯に対応していかなければなりません。

4月1日から、債権に絡む民法が改正をされるのですから、可能性の高まったいざという時に備えて、その改正内容を理解したうえで、不況への対策をしっかりと準備する必要があるでしょう。



これまでのブログで、財産開示手続に絡んだ債権回収のために、債務者の資産を調べることが容易になったという改正内容をご紹介してきました。

これは、経営危機を打開する場面において、もっとも影響を与える改正のテーマの1つだと考えられるからです。

しかし、他にも、経営危機を対して直接的に影響を与えるテーマがありますので、改正に伴う内容をご紹介していきたいと思います。


民法の債権に関する規定は、約120年間、ほとんど改正されず制定された当時のまま活用をされてきました。

当時は、明治29年という気の遠くなるような昔であり、現在とは環境や文明・科学が全く違う状況であり、改正されずに活用されてきたということが異常なのだと思います。

したがって、現在の社会や経済に相応した民法にする必要があったというのが、今回の民法改正の理由ということなのでしょう。

今回の改正の対象となる債権関係の規定は、現在の『取引社会』を支える基本となる『契約』に直接関与する内容です。

我々中小零細事業者は、その取引社会において活きているわけですから、この改正内容の概要を理解しておく必要があるということになります。



経営危機を打開しようという経営者の観点から、今回の民法改正おいて特に注意しておくべきは、債務者資産調査を除くと以下の内容になります。

  1. 意思能力についての改正
      認知症の老人がした契約はどうなるのか・・・など

  2. 消滅時効についての改正
      借金は、5年で請求できなくなる・・・など

  3. 法定利率の改正
      法定の利率は3%になり、3年毎に見直し・・・など

  4. 詐害行為についての改正
      詐害行為に関する内容が明文化・・・など

  5. 保証・保証人についての改正
      第3者の保証人は公正証書で・・・など

  6. 債権譲渡についての改正
      譲渡制限特約があっても、債権譲渡は有効・・・など

  7. 契約・定型約款に関する改正
      現状に合わせ、画一性のある定型約款の効果・・・など

  8. 瑕疵担保についての改正
      買主の権利を明文化・・・など

  9. 賃貸者についての改正
      賃貸借終了時のルールの明文化・・・となど

 10. 請負についての改正
      請負人の責任を明文化・・・など

 11. その他
  
以上になりますが、どれも自らのビジネスに直接関係するものばかりではないでしょうか。

経営危機場面では当然のこと、健全経営時でも、理解しておくべきことばかりだろうと思います。

次回ブログから、これらの改正について、経営危機を打開する観点から理解していきたいと思います。


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