経営者の生活や命よりも、貸付金の回収(債権回収)を優先するのが、債権者である金融機関の特徴です。
しかし、そんな厳しい債権回収の場面においても、人としての理性を見せることがあります。
債権回収を棚上げし、債務者の気持ちや環境に配慮した対応を見せてくれるのです。
債権者である金融機関も、血の通った人間の集団ですから、全てを機械的に処理する訳ではありません。
債権回収の姿勢が優しい金融機関など、日本には存在しません。
貸したお金を回収するのは、金融機関の最優先事項ですから、躊躇なく取り組んでくると理解しておいてください。
借入をしている事業者の、都合や事情などはお構いなく、債権の回収を優先して対応をしてきます。
特に、期限の利益の喪失をする前後になると、その厳しさはピークになり、本気の全力回収の姿勢を見せるようになります。
債権者である事業者は当然のこと、保証人である経営者等に対しても、債権回収を保全するために厳しい追及をしてくるのです。
頻繁に状況説明を求められたり、今後の弁済について妥協のない要求をされたりするでしょう。
金融のプロである債権者が、様々なテクニックを屈指して追及してくるのですから、債務者や保証人が対応するのは生半可なことではありません。
逃げ出したくなっても、けっして不思議ではないでしょう。
ところが、そんな厳しい債権者も、回収姿勢を最初から放棄することがあるのです。
会社が債権者で、ご高齢の会長と後継者の社長が保証人である債務が、期限の利益の喪失をして信用保証協会に代位弁済をされました。
会社事業は既に廃業状況になっており、目ぼしい資産も残っていない状況で、今後の弁済について信用保証協会の担当者から会長と社長が呼び出されました。
本来は、会長と社長とで訪問をすべきでしたが、会長はご高齢で若干の認知も入っておられ、足も弱っている状況ですので、社長お一人で信用保証協会を訪問されたのです。
会長の状況について理解をした信用保証協会の担当者は、今後は社長が対応されることで承諾し、その後、会長に対して弁済を要求されることは一切ありませんでした。
ご高齢で、対応能力が落ちているということで、最初から債務者としての弁済の対象から外されたのです。
この事例では、保証人が会長と社長の二人で、社長に弁済を要求することができましたが、もしも保証人が会長お1人の場合だったら、対応はどうなっていたのでしょうか。
小売業を営んでいる経営者は、不況により借入金が返済できなくなって、期限の利益の喪失をしました。
地元の信用金庫からプロパーでの借入で、会社が債務者,経営者お一人だけが保証人という状況でしたが、期限の利益の喪失前後から経営者は体調が悪くなりました。
病院で検査をすると、経営者は胃癌だったのです。
経営者は、直ぐに入院をされ、今も抗癌治療を続けておられますが、信用金庫からの弁済についての連絡はありません。
期限の利益の喪失の直後というタイミングでしたが、経営者はご自身が胃癌である事実を信用金庫に告げられました。
その事実を受け、信用金庫は、債権回収の手続きを全て停止し、その後も弁済についての追及は一切ありません。
保証人は経営者だけであり、債権回収の交渉相手は胃癌の経営者だけということなのですが、無条件に、信用金庫は債権回収を全面的に停止したのです。
ご高齢者や身障者の方が債務者や保証人の場合、債権者の追及姿勢は激変します。
既に、期限の利益の喪失をした債権であろうとも、具体的な債権回収を実施してくることはほとんどありません。
ご高齢であることや、身障者であることを確認した時点で、ほぼ債権回収は停止するのですが、これは、銀行などの金融機関だけではなく、日本政策金融公庫や信用保証協会にも共通する傾向だといえます。
サービサーの場合は、弁済について全てを諦める訳ではありませんが、それでも姿勢は極端に緩くなるとお考えください。
当たり前といえば、当たり前のことなのですが、債権者である金融機関にも、人としての理性は残されているのでしょう。
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