リスケジュールよりも、期限の利益の喪失を勧められたそうです・・・
ブログをお読みいただいている方から、以下のようなコメントをいただきました。
『大手4行(プロパー)は、期限の利益の喪失をしても、売掛金の差し押さえ、個人資産の差し押さえは、しないみたいです。今年になり数件 サービサーに行き 数百万で処理出来た様です。
あるコンサルタントさんは、リスケせずに、サービサー行きを進めておられます。一円も払うなと・・・私も、言われている、その1人なのですが。リスケしても金利が払えない状況なので、『私があなたの立場なら、一円も払いません』と。 プロパーをサービサー行きにしても、保証協会は、会社の状態が良くなると、又貸してくれますからと。
産業廃棄物処理の方は、金利が払えないのでしょう。先行き6ヶ月も、売り上げアップの兆しが無い。それでも、リスケするんでしょうか?
私も同じ立場で悩んでます。リスケ依頼してますが、まだ契約してません。1年先まで、売り上げUP所か、ダウン予定です。それでも、リスケでしょうか?』
たしかに、考えさせられる事例です・・・。
大手銀行からのプロパーでの借入があり、リスケジュールを申し込んでいるが金利さえ払えない状況で、今後も売上が減少すると予測して、今後どうしようかと悩んでおられる内容です。
借入内容や業種や業態,そして担保や連帯保証人の関係が不明ですので、具体的にはお答えしにくいですが、判る範囲で考えてみたいと思います。
元利共に止めることについては、金利さえ払えない状況なのですから仕方がないと思います。
ただ、元金の返済と金利の支払いを停止する手続きは考えた方がよいと思います。
事業を維持する前提で考えた場合、通告無しに返済等を停止すると金融機関に不信感を持たれ、その不信感が原因で、期限の利益の喪失後に厳しい対応をされる可能性があります。
大手銀行が仮差押え等の法的手続きをすることは現実的にはあまり無いでしょうが、地方銀行はすることがありますし、信金信組などは平気で仮差押え等をします。
特に預金口座などの資産を仮差押えしてきますから、運転資金を仮差押えされれば事業の継続が難しくなってしまいます。
逆に、事前に状況について誠意を持って説明し、金利も含めたリスケジュール依頼等を実施すれば、金融機関の対応が軟化する可能性があります。
金利を含めたリスケジュールが成功するかもしれませんし、リスケジュールが失敗しても期限の利益の喪失をなかなかさせない事例も多く、事業を維持する可能性が高くなることに繋がります。
この傾向は、金融機関の規模が小さいほど顕著で、大手銀行などは該当しにくいことも事実ですが、事業の維持を最優先で考えているなら、元利とも止める場合でも、事前に説明しお願いすることは必要だと思います。
サービサーについては、ご指摘の通りでしょう。
大手銀行ほど、マニュアル通りに期限の利益を喪失させ、サービサーに債権譲渡する手続きを進めます。
ある意味、債権譲渡まで何ら感情を関与させずに、機械的に処理されるといっていいでしょう。
そして、サービサーが債権を譲り受けて債権者となってから、この事例の場合は問題があるのではないでしょうか。
今回のように事業を継続している場合は、債権回収の可能性があると判断され、債権譲渡額が安くない金額になっている可能性が高いということです。
私共の事例では、サービサーとの和解目標を、債権額の3%に設定していますが、これは事業も停止し債権回収の可能性が低く、ある程度の債権額がある場合が対象となります。
事業を継続していると債権回収できる可能性が高くなり、債権譲渡額も高く、当然に和解可能額も高くなる傾向なのです。
また、サービサーにも様々な種類があり、中にはとんでもない手段で債権回収を図るところがあります。
とんでもなく高い和解額を主張して低額の和解に応じず、債務者が売却の契約を済ませ来週早々に決済するマンションを仮差押したり、連帯保証人が所有する不動産を仮差押えしたりするサービサーも現実にあるのです。
サービサーに債権譲渡してもらって、驚くような安い金額で和解しようと考えているのなら、このようなリスクについても検討しておく必要があります。
また、現状で金利さえ払えない状況で、サービサーとの交渉時までに和解金を確保しておくことが可能なのでしょうか。
和解できなければ、債権回収のプロであるサービサーと対峙することになってしまうのです。
期限の利益が喪失しサービサーに債権譲渡されてしまうと、このように様々な対応をとられる可能性があり、それを充分に理解して対応をとっておかないとリスクも極めて高くなると思います。
それでも、金利さえ支払える余力が無ければ、金利の支払いを止めるしかありません。
ただ、金利の支払いも止めるリスケジュール交渉に、一度はチャレンジする必要はあることをご理解ください。
ブログでは、一般的な傾向のお話をしているので、当然に各事例にそのまま該当するわけではありません。
今回の事例が全てに当てはまるわけではなく、事例ごとの状況や環境により様々な対応をとる必要があるのです。
もし、具体的なご質問があれば、いつでも直接にお問合せください。
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