言われてみれば、たしかにその通りかもしれない。
いったい、何のための保証料だったのか。
損害保険でも、保険料を支払うことにより、対人対物や車両の保証をしてくれるのです。
それなのに、信用保証協会は、保証料を払っていたのにも関わらず、代位弁済をすると、債権者となって弁済を迫るのですから意味が解りません。
ご相談者は、『なぜ、信用保証協会に弁済しなければならいのですか?』と、真面目な顔で尋ねられます。
私は、この言葉に驚きながらも、代位弁済についてご説明をします。
『 信用保証協会の保証があったから、可能となった借入金が、利払いさえもできなくなって金融事故になりました。
金融事故になると、融資をしてくれていた金融機関は、信用保証協会が保証をしていたので弁済をするように請求をします。
すると、信用保証協会は、債務者になり替わって、債権者である金融機関に弁済をするのですが、これを代位弁済といいます。』
この様に、ご相談者にご説明をしたのですが、更に、首を傾げられたのです。
『それは解っていますが、だからといって、信用保証協会に弁済しなければならない意味が解りません・・・。』
この様に、納得をしていただけませんので、求償権についてもご説明をします。
『信用保証協会が、債務者になり替わって代位弁済をすると、求償権を持った債権者となって、債務者に弁済を請求できるのですよ。』
至極当たり前のことだと、ご相談者にご説明をしましたが、ますます首を傾げられました。
『損害保険に加入して、ちゃんと保険料を払っていれば、いざという時は保険金がでますよね。
そして、その支払ってくれた保険金を、加入者に請求しますか?
そんな請求をする保険会社など存在しないと思いますよ、だって、保険料を払っているのだから。』
たしかにその通りです・・・。
『信用保証協会にも、保証料を払ってますよね・・・?
保証料を払っているのだから、いざという時の対応として、信用保証協会が支払いをするのは当たり前のことでしょう。
それなのに、信用保証協会が支払った金額を、何故に、請求されなければいけないのですか・・・?』
最初は、いったい、何を言っておられるのかと思いました。
しかし、よくよく考えてみると、言われる通りなのです。
今まで、何の疑問も持っていませんでしたが、たしかに不思議です。
保証料を取っていないのであれば、代位弁済をすれば、その金額を請求するのは理屈が通ります。
しかし、保証料を取っているのだから、代位弁済をするのは当然であり、それで終わって当たり前ではないでしょうか。
代位弁済をした額を請求するのであれば、いったい保証料は何だったのかということになってしまいます。
しかも、民間の営利企業ではなく、信用保証協会は公的な組織なのですから、儲けに走っては困ります。
まさしく、このご相談者の疑問は、もたれて当然の疑問だと思います。
しかし、長年この業界で仕事をしていますが、この様な話は初めて伺いました。
私など、何の疑問も抱かずに、当たり前のことだと思い込んでいましたから、恥ずかしい限りです。
固定観念を捨て、もっとクリアーな目で、日常を見直す必要があるのかもしれません。
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