経営の厳しい状況において、もっとも簡単な資金繰り対策は『入出金の流れの整理』になるかもしれません。
そもそも資金繰り対策というのは、極めて簡単で単純なものであり、理屈を理解しておけば難しいものではないと思います。
しかし、『資金の確保』や『支出の抑制』といった資金繰り対策の基本手段は、債権者や債務者の意向が大きく影響し、その処理には個々での対応が必要となって手間暇も掛かり、こちらの思惑だけでは前に進まないところがあります。
ところが、入出金の流れの整理は、原理原則に基づいた総論的な対応になるために、手続きは簡単であり、その効果も大きなものとなります。
『入出金の流れの整理』は、入金後に出金をするという原則で、資金繰りを整理するということになります。
これは、経営危機状況に限らず、健全経営時においても留意すべきポイントであり、資金繰りの基本ともいうべき考え方なのです。
たとえば、1000万円の仕事を受注したとします。
その原価は、300万円の材料費と、150万円の労務費、250万円の外注費,100万円の経費が掛かったとして、200万円の粗利益が確保できます。
この仕事の資金繰りとして、多くの場合は、1000万円の入金の前に、材料費や外注費が支払われているのではないでしょうか。
労務費や経費について、ある程度は先払いが発生しても仕方がないと思いますが、材料費や外注費まで先払いになれば、資金繰りが厳しくなって当然だと思います。
入出金の流れの整理とは、1000万円の入金の後に、材料費や外注費を支払うという流れを構築するということになります。
簡単な作業ではありませんが、材料費や外注費の発注段階から対応することにより、十分に可能性のある資金繰り対策となるのです。
事前の対策であり、長期的にも効果のある方法なので、健全な経営時における予防策ともなります。
入出金の流れを整理するだけで、資金繰りは大きく改善する可能性が高く、資金繰り確保のためには効果的な対策だといえます。
ところが、現実的には、効果的に実施されている事例は多くはなく、その理由は経営者に起因します。
中小零細企業の経営者は総じてプライドが高く、いくら厳しい経営状況であろうとも、仕入先や外注先等の関係者に資金繰りが厳しいとは絶対に思われたくないと考えています。
経営危機においては、信用棄損を回避しようというのは当然の考え方でしょうが、未だ余裕のある段階においても、経営者のプライドが邪魔をして、先手を打った資金繰り対策として入出金の流れの整理をすることが出来ないのです。
対策なのですから、タイムリーに一気に実行してこそ、効果的な結果を得ることかできるのだと思います。
しかも、体力のない中小零細企業が、経営者のブライドで見栄を張っていては、せっかくの資金繰り確保や経営改善のチャンスを逃してしまいます。
まだ余裕がある段階での実施こそ、この『入出金の流れの整理』という資金繰り対策は、より効果的になるのです。
『入出金の流れの整理』対策について、具体的に考えてみます。
まずは、得意先には、入金の条件を良くしてもらうように働きかけます。
確実な入金予定の確認に始まり、入金サイトの短縮や、手形決済を現金決済に変更してもらうなど、入金の流れを明確に早くする努力から始めます。
また、何らかの理由で未収になっている売掛金があれば、全力で回収しなければなりません。
もしも回収できないのであれば、なんらかの保証や担保をとる必要もあります。
入金と同時に支出の調整もしてみましょう。
基本は、入金後の支出という流れです。
入金が月末に多いのならば、定時支払いを入金後にして翌月の頭にするだけで、約一ヶ月分の資金繰りの余裕ができることになります。
また、契約段階において、支払い条件を入金後になるように設定しておくことも有効です。
建設業において目にすることが多いのですが、入金前の先払いが当たり前のようにおこなわれており、人件費に関わる支払いなどは給料と同じような扱いで先払いが当然のように実施されています。
景気が良くて利益率の高い時代なら対応できても、この厳しい経営環境の中で、こんな支払いをしていては資金繰りが確保できるはずがないと思います。
資金繰り負担は、入金前の支出という行為により発生するものだと捉えてください。
この行為の結果として、借入金が発生し増加してしまい、業績の低下と共に資金繰りが悪化し、経営危機に繋がってしまうのではないでしょうか。
ご紹介したのは、あくまで基本ですが、入出金の流れの整理は極めて効果的な資金具の確保の対策です。
今後の経営を考えて、出来るだけ早く、余裕のあるうちに断固実行してください。
ただし、信用の毀損には十分な注意が必要です。
入出金の流れの整理は、根拠を持って一気に実施すべきものです。
度々、支払い条件を悪化させて、信用を失うようなことは絶対に避ける様にしてください。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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