中小企業は、どの様な金融機関とお付き合いすべきなのでしょうか。
これからの中小企業は、金融機関に対して主体的な関係を維持しなければなりません。
そうなると、複数の金融機関とお付き合いをすることが必要であり、メガバンク1行,地方銀行1行,信用金庫もしくは信用組合1行の、計3行とお付き合いすることが理想だと思います。
同じ金融機関でも、目的や考え方、そして債務者への対応姿勢が違いますから、長短所や性格を知ったうえ比較対象をしながら、上手くお付き合いをすることができれば、都合の良い結果を得ることが可能になるでしょう。
金融機関といっても、様々な種類があります。
一般的に認識をされている金融機関は、ノンバンクとは違い預金業務を行っている法律で規定をされた金融組織ということになります。
具体的には、銀行や信用金庫・信用組合・労働金庫などが金融機関として認識をされているのでしょうか。
しかし、同じ金融機関といっても、銀行と信用金庫・信用組合・労働金庫では、根本的な組成が全く違うといえるのです。
銀行は、株式会社であり、株主の利益を優先する営利企業になります。
ところが、信用金庫・信用組合・労働金庫は、協同組織の金融機関で、地域や地域・業界の繁栄を図る相互扶助を目的としており、会員や地域・業界の利益が優先されます。
銀行は営利を目的とした株式会社であり、信用金庫・信用組合・労働金庫は営利を目的としない協同組織という事になるのです。
したがって、信用金庫などは営利を目的としていないので商法上の商人には当たらず、商人ではない個人への貸付に関しての消滅時効は、商事債権としての5年ではなく、10年という事になります。
この消滅時効の話は余談でしたが、銀行と信用金庫・信用組合・労働金庫とは、組成も目的も法的な扱いも、全く違うというのが事実なのですが、消費者にはなかなか理解できません。
債権回収を全てに優先するという顕著な共通点もありますから、難しく考えずに、同じ金融機関として捉えても問題はないのでしょう。
我々の業務に関してでは、期限の利益の喪失後の対応が、銀行と信用金庫などで大きく違うように思います。
期限の利益の喪失をして、不良債権化した貸付金について、銀行は早い段階で直接的な回収を諦めて、サービサーに債権譲渡などをして損金処理をする傾向があります。
不良債権化後、一度も債務者に直接交渉せずに、損金処理する事例さえ珍しくないといえます。
この不良債権化後の債権回収の姿勢については、同じ銀行でもその規模により期間的な対応は変化するのが現実です。
三菱UFJや三井住友・みずほなどのメガバンクは、極めて速い段階で直接的な債権回収を諦めますが、銀行の規模が小さくなるにつれ、諦めるまでの期間は長くなり、不良債権化後1年半から2年ほど時間かけることも珍しくありません。
それでも、2年間保持したからといって、その間に分割弁済を厳しく請求する事例などは稀だといえるでしょう。
反して、信用金庫などは、不良債権化後も、しばらくは直接的な債権回収を続けようという傾向があるのです。
不良債権化して2年から3年程度は、当たり前のように、債務者と交渉し督促をして分割弁済をさせようとします。
いつまでも諦めずに債権回収をする訳ではありませんが、分割弁済を執拗に要求する傾向があるのです。
融資を受けている債務者にすれば、期限の利益の喪失をしたという事実も意味も理解しにくいでしょうから、信用金庫などに言われる通りに弁済をされるのかもしれません。
信用金庫等は、事業規模が比較的小さいから、不良債権の価値としての負担は大きく、債権回収に必死で簡単に諦めようとしないのです。
しかし、期限の利益の喪失をした債権ですから、債務者にとって弁済できるような状況にないことがほとんどでしょう。
それでも、当たり前のことですが、信用金庫などは分割弁済等による債権回収姿勢を弱めるそぶりは見せません。
ところが、ある日突然に、何の前触れもなく、サービサーに債権譲渡をしてしまいます。
ある程度は債権回収をして、引当金も積んで、タイミングがあった頃を見計らい、自己の都合だけでの債権譲渡です。
これでは、何のために、期限の利益の喪失後も分割弁済を続けてきたのか、債務者としては意味が解らないでしょう。
たしかに、借りたお金は返さなければなりません。
しかし、返すべき原資が不足する場合は、無理に返すことは考えるべきだと思います。
返済をするために、無茶な借り入れをしたり、僅かに残った生活費を充当したりすれば、環境を著しく悪化させてしまうでしょう。
こんな時は、返すことを待ってもらうという選択もあり、その選択が正解だという事がほとんどなのです。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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