かっとばせ借金 打ち勝て倒産!!

資金繰りが悪化した中小零細企業の、経営危機打開や事業再生へ向けてのお手伝いをさせていただいています。 経営危機場面での知識や情報をご提供し、従業員や家族のために命がけで闘う経営者が、諦めずに闘う現場を善戦苦闘日記としてご報告いたします。

2015年08月

諦めることも大事・・・


経営危機では、諦めないことが大事だと、このブログで何度もお願いをしてきました。

強い意志を持って、諦めずに取り組めば、必ず経営危機は打開出来るとご紹介をしてきたのです。

ところが、もしも、中途半端な対応しか取れないのなら、諦めことの方が大事なのかもしれません。



経営危機という局面は、未体験の環境ですから、これからどうなっていくのか経営者は不安になります。

耳にする情報は悲惨な内容ばかりであり、事業を諦めて破産するしかないと思って当たり前なのかもしれません。

しかし、現実は、そんなことはありません。

正しい知識と情報を持って、目的を明確にして、諦めいな強い気持ちで取り組めば、経営危機は打開出来るものなのです。

経営者が、何とかしようと努力すれば、何とかなるのが経営危機だと言えます。

ところが、ただ闇雲に、諦めずに取組むだけならば、早く諦めた方が良い結果を得られるのも経営危機なのです。



強い気持ちで諦めずに取組んでくださいというのは、現状をしっかりと把握して、取得した知識から目的を設定して具体的な取組みをした場合の話なのです。

再生を目指して経営改善に取組むのか、万が一にでも事業を維持するように対応をとるのか、別会社に事業を移管するのかなど、様々な目的があるでしょう。

何らかの形で、事業を維持して、経営者のこれからの人生も確保するという、明確な優先目標を設定し、それに向けて具体的な取組みをするのならば、何も諦める必要はありません。

しかし、必要な知識や情報も得ず、具体的な方向性さえも設定しないで、事業の維持・継続だけを図ろうとするのならば、早い段階で事業を諦めた方が、経営者や従業員などの関係者の将来にとって良い結果になることが多いのです。


『今月の資金繰りさえ凌げれば・・・・』

この様に考えられる経営者は極めて多いでしょう。

だから、家族の貴重な資金を会社に入れたり、親族や知人に借り廻ったり、高利等から借入をして、資金繰りを確保しようとされるのです。

たしかに、それで今月の資金繰りは確保できたでしょう。

しかし、来月はどうなりますか?

これから先のことを、しっかりと把握したうえでの資金繰りなのでしょうか?

多くの経営者は、『来月は大丈夫・・・』と表現をされます。

中には、具体的に根拠を挙げて説明をされる経営者もおられますが、今まで、納得できる根拠をお聞きした経験がありません。

根拠は、全て経営者の夢の様な想像でしかなく、具体性は何ら存在しないのです。

来月の資金繰りが確保できても、数カ月先には資金破綻するしかないという、実質は破綻状況なのに、『今』しか見えないために、無理をして資金繰りをしようとされるのです。

これは、諦めずに取組んでいる行為ではありません。

不安から逃れるための、単なる無謀な行為であり、結果として状況を悪化させることにつながります。


経営者には、諦めるという勇気も必要なのだと思います。

諦めた後のことを考えれば、不安で押し潰されるようになるかもしれません。

しかし、結果を恐れ、諦めることが出来なければ、はるかに厳しい現実に追い込まれてしまうでしょう。

経営者として、目途が立たないと判断できるのなら、次の人生のために、早い段階で諦めることが大事なのだと思います。




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遅延損害金、返済しても負債は増え続ける


今も、返済を続けておられます。

経営は、相変わらず厳しい状況だが、借りたお金は返済しなければと頑張っておられるのです。

しかし、この無理な返済に、果たして意味があるのでしょうか。

これだけ頑張って返済しても、負債としては増え続けているのです・・・。


既に、信用保証協会の代位弁済が実行されている債務です。

3年前に、都市銀行からの信用保証協会の保証付き融資が期限の利益の喪失をしました。

その後すく、保証していた信用保証協会に代位弁済され、求償権として請求されるようになったのです。

交渉により、毎月、信用保証協会に20万円の返済をするようになりました。

経営している事業は規模を縮小して、現在も何とか継続していますが、本来ならば、毎月20万円も支払えるような楽な状況ではありません。

それでも、経営者は、自分の取り分を抑えるなど様々に頑張って、優先的に支払い続けておられるのですから立派だと思います。



代位弁済された時の負債額は約7800万円にのぼりました。

それから3年間、毎月20万円の弁済を続けてこられたのですが、現在の負債額は、なんと1億円を超えているのです・・・・?

毎月、無理して弁済を続けているのに、負債額は大幅に増えてしまっています。

いったい、どういうことなのでしょうか。

負債が増えた理由は、遅延損害金になります。

遅延損害金とは、借りた条件通りに返済できなかった場合に発生する利息のことで、一般的な利息よりも高利になるのが一般的です。

消費者金融等では、20%になるのも珍しくなく、銀行などの金融機関でも14%程度の高利が多いようです。

信用保証協会の場合でも、元本に対して、年間14%の利息が付くということになり、年間で、遅延損害金以上の弁済をしないと、負債額は増えるということになってしまうのです。


たとえば、7800万円の元本の場合であれば、1年間で1092万円の遅延損害金になるので、これ以上の弁済をしないと負債総額は増えるということになります。

ということは、毎月20万円で、年間240万円の弁済が、いったいどういう意味があるのかということになるのです。

たしかに、借りたお金を返済するという道義的責任について、少しでも果たすことになるでしょうが、結果として負債は増え続けているということなのです。

厳しい経営環境の中で、無理して弁済を続けていることがどういう意味を持つのか私は疑問です。


遅延損害金について、信用保証協会に明確な処理方針があれば考えることもできるかもしれません。

たとえば、前向きに元本を弁済する姿勢があれば、遅延損害金は免除するなどの規定があれば、前向きに弁済に取り組めるかもしれません。

しかし、信用保証協会は、遅延損害金の処理については、曖昧な表現をすることが多いのです。

元本の返済を優先する最中には、さも遅延損害金は免除する様な表現を使うことがあります。

しかし、元本を返済すれば、平気で遅延損害金を請求したりもするのです。

この点を改善すれば、債権者である信用保証協会も、債務者である我々も、対応は前向きになり良い結果が得られるようになるのではないでしょうか・・・。

債権債務処理の場面で、通り一遍な杓子定規な話は意味がありません。



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経営破綻しても、自宅を守る・・・【3】


たとえ、債務者である経営者が住んでいる家といえども、その所有権が経営者になければ、債権者は手を出すことはできません。

物上保証という形で担保権を設定することは物理的に可能でしょうが、自宅を守ることを前提に考えれば検討の余地はないでしょう。

債権者にとって、強制執行だけが唯一の債権回収手段となるのですが、強制執行は、債務者の所有する資産に対して執行できるもので、所有権が違えば執行できないのです。

自宅などの不動産を守るにおいて、『資産の名義が違う』という方法は、資産を守る3原則の中で最も効果的な方法なのかもしれません。



『資産の名義が違う』という方法には、大きな問題が存在します。

『資産に価値がない』にも可能性はあるのですが、詐害行為として疑われる可能性が、『資産の名義が違う』を活用して対策した場合が特に高いといえます。

たしかに、自宅を執られてしまうのでは・・・という不安を感じた状況で、自宅の所有権を変更するという行為は、詐害行為と疑われても仕方がないともいえるでしょう。

したがって、詐害行為の理屈をしっかりと把握したうえで、詐害行為として疑われないために、債務超過ではない状況で、正々堂々と自宅の所有権変更を実施することが肝要だと思います。

同時に、詐害行為ではないということについてのエビデンスをしっかりと確保して、いざという時にでも慌てないようにしてください。

詐害行為を恐れるよりも、自宅を守ることに優先して取り組むことが大事なのでしょう。


『資産の名義が違う』を活用して、自宅などの不動産を守る方法は、大きく3つに分類することが出来ます。

1.家族等に譲渡する
2.第3者に譲渡する
3.譲渡担保により所有権移転する

これら上記の分類ごとに、具体的にご紹介していきましょう。

まず、1の家族等に譲渡するについては、もっとも詐害行為の追及を受け易い方法かもしれませんが、もっとも信頼できるであろう家族に贈与する訳ですから、確実に自宅を保全できる可能性が高い方法でもあります。

ただ、家族等に譲渡するといっても、必ず税金の問題が絡み、それを考慮せずに実施すれば大きな納税義務を発生させてしまいますので、生前贈与を活用するのが効果的で゜しょう。

生前贈与を活用して、配偶者や子供たちに所有権を移転し、実際に相続が発生した時には保証債務の相続を回避するために相続放棄をするという流れになります。

活用できる生前贈与としては、以下の方法が挙げられますが、必ず税理士さん等の専門家と相談しながら進めるようにしてください。

  [馭贈与

毎年、1人の相続人に対して、110万円までの贈与は非課税になります。

自宅を守るために活用するとすれば、暦年贈与契約を配偶者や子供たちと交わし、何年かをかけて少しずつ所有権を移転することになります。

時間がかかりますので、早い段階から計画的に実施する必要があります。


 ◆’朸者贈与

婚姻後20年を経過した夫婦は、居住する2000万円までの不動産について、無税で贈与することかできます。

2000万円を超える部分については贈与税がかかりますし、不動産の取得税も発生をします。

最も詐害行為を疑われる行為だといえますが、火急の状況においても可能な方法であり、他に手段が見つからない場合に検討すべきでしょう。


  相続時精算課税

今年から制度が拡充され、60歳以上の被相続人となるべきものが、成人の子や孫へ、2500万円までの資産を贈与することが出来ます。

税金が直接的に免除される制度ではありませんが、事前に所有権を移転出来る点において有効に活用できる制度です。

差し迫った段階においての活用も不可能ではなく、活用の幅が広いといえます。


次に、2の第3者に譲渡するという制度をご紹介します。

これは、関係のない第3者に譲渡してしまうことになりますが、その後も住み続けることが可能であったり、最終的に買い戻すことにより、自宅を守ったということになる方法です。

とりあえずは強制執行を回避するための緊急避難を実施し、落ち着いたら自宅を取り戻すという流れでご理解をください。

この代表的な方法がセール&リースバックです。

第3者に自宅を売却し、賃料を払って住み続けるという方法になります。

第3者が、状況を理解した知人であったり、何も状況を知らない善意の第3者であったり様々ですが、所有権が移転するという事実により、強制執行は回避することができます。

その後、そのまま賃貸で済み続けるのか、落ち着いてから買戻しをするのかは考え方次第でしょう。

他に、任意売却により、親族や信頼できる友人に譲渡する方法があります。

担保権を持っている債権者の同意が前提になりますから、詐害行為の可能性は無くなり、その後に家族名で買い戻すことも可能です。

また、状況を何も知らない第3者に売却して、ある程度の資金を確保する方法もあります。

これは、自宅を守ることはできませんが、最後に自宅を有効に活用したという事になるでしょう。

他に、自宅を守る選択肢がない、最終の選択肢として検討する方法です。


3つ目の、譲渡担保については、『資産に価値がない』と『資産の名義が違う』の中間の方法になります。

譲渡担保とは、債務者が完済するまで担保権者に所有権を移転し、その間も担保物の使用が認められる方法です。

あくまでも担保権の発生なのですが、所有権が移転することで強制執行はできないようになります。

10数年前に、資産の保全において多用され、社会的にも問題になった方法ですが、エビデンスを確保できれば、まだまだ活用できる効果的な方法だとも思います。



数回に亘って、詐害行為と自宅の保全についてご紹介してきました。

もっと具体的にご紹介しようとしたのですが、文章として容認される範囲は限られており、表面的な内容に終始してしまったようで申し訳ありません。

また、実際に全てをご紹介しようとすれば、1冊の専門書ぐらいの内容になることも間違いありません。

何の制約も受けない機会があれば、徹底的にご紹介しますので、今回は、この内容でお許しいただきたいと思います。



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経営破綻しても、自宅を守る・・・【2】


どうすれば、自宅を守れるのか。

どんなに厳しい環境に追い込まれようとも、自宅を守ることの出来る、具体的な方法を考えてみたいと思います。

自宅を代表とする不動産を対象に検討することになりますが、考え方は極めてシンプルです。

資産の予防的保全の3原則に沿って、具体的な対応をするだけのことです。


自宅の場合は、金融機関等の債権者が、その存在を知らないということはないでしょうから、3原則の中で、『資産の存在を知られない』という原則の活用は難しいでしょう。

しかし、相続した不動産などで、債権者が存在を知らないと予想される不動産は存在するかもしれません。

そんな時は、債務者住所地の市町村にある固定資産税用の名寄せ帳に載っているかがキーワードになります。

住所地と同じ市町村に存在する不動産ならば、債権者が名寄せ帳を調べることにより簡単に判ってしまいますが、住所地以外の市町村にある不動産は調べにくいという現実があります。

したがって、過去に債権者金融機関で取引等されておらず、しかも遠方にある不動産などであれば、そのまま放置することにより保全できることもあるのです。


具体的に自宅を守る対策は、『資産に価値がない』と『資産の名義が違う』という2つの原則を活用した対応が基本になります。

まず、『資産に価値がない』原則を活用する対策は、自宅を価値がない『無剰余』という状況により守るという事です。

無剰余とは、自宅などの資産について、その資産価値よりも資産に担保されている負債が上回る状況のことを言います。

たとえば、自宅の実勢価格が2000万円としても、その自宅を購入した時の住宅ローンの残債が3000万円残っていれば、自宅を売却しても無担保の残債が1000万円残ることになります。

この様な、資産価値を担保残債が上回る様な状況が、『無剰余』であるという事になるのです。

無剰余であれば、他の債権者が自宅を差押えして債権を回収しようとしても、先に設定されている住宅ローンなどの優先順位の高い担保があるために、せっかく差押えしても効力が発揮できず意味がありません。

したがって、優先順位の高い住宅ローンを健全に維持すれば、そのあとに差押されようとも、自宅は守れるという事になるのです。


ここで注意しなければならないことが2点あります。

1つは、実勢価格と住宅ローンなどの残債のどちらが多いかという事です。

実勢価格よりも、住宅ローンの残債が多ければ、完全に無剰余ですから問題はありません。

住宅ローンの弁済を約定通りにして、健全に維持することにより、後順位の担保権者や差押債権者の影響を受ける可能性はほとんど無くなります。
(ほとんどというのは、民事執行法63条2項の適用により、強引に競売を実行できる可能性があるからです。しかし、この条項は、脅しでは活用されても、現実に活用されていないのが現実でしょう。)

ところが、住宅ローンの残債が、実勢価格よりも少なければ問題です。

無剰余ではありませんから、何らかの対策をしなければ、自宅を守れなくなるかもしれません。

担保残債が、実勢価格を大きく下回っている場合などは、担保としての余剰が多くなり、そこに差押をされると競売をされる可能性も発生します。

したがって、余剰が多い場合は、信頼できる知人などからの借入について担保を設定し、余剰を無くして無剰余にするなどの対策が必要になるでしょう。

競売における不動産の評価については、難しいルールがありますので次の機会でご説明をしますが、実勢価格の56%程度を競売における評価として仮定し、無剰余かどうか判断されることをお勧めします。


もう1つの注意点は、経営者の会社が借入をされている金融機関と、住宅ローンの金融機関が同じかどうかです。

会社の借入金融機関と、住宅ローンの金融機関が違えば、万が一に会社の借入が金融事故になっても、住宅ローを健全に維持できる可能性高くなります。

経営者が連帯保証人だとしても、あくまでも会社借入の連帯保証人であり、経営者が個人として組んでいる住宅ローンとは直接に連動しませんから、約定通りに弁済することにより住宅ローンは健全に維持できるということになるのです。

ところが、会社の借入金融機関と、住宅ローンの金融機関が同じであれば難しくなります。

会社借入が事故になれば、債権者である金融機関は、連帯保証人である経営者が個人で組んでいる住宅ローンについても事故にするというのが一般的な流れなのです。

特に、会社借入が信用保証協会の保証付き融資の場合などは、建前的に連帯保証人の住宅ローンについても事故にするしかないというところがあります。

そうなると、住宅は守れなくなるということになりますが、これはあくまでも建て前的な考えであると捉えるべきでしょう。

現実として、この様な場合においても、住宅ローンが維持できて、自宅を守れている事例は沢山存在します。

今後も、住宅ローンを払い続けることが間違いなく可能であり、必ず完済できるという根拠を持って説明すれば、住宅ローンは維持出来るというのが現実だといえます。

そして、会社借入が信用保証協会付きの場合でも、一度事故にして、代位弁済をした後に、再度、住宅ローンを継続するなども可能なのです。

損か得かの判断基準を持つ金融機関の特徴をしっかりと認識し、そのための根拠を明確にして諦めずに交渉することが大事になります。



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経営破綻でも、自宅は守る・・・【1】


難しいことを言わずに、自宅を守ることを最優先に考えてみましょう。

金融機関などの債権者のことを考えたり、偏波弁済や詐害行為がどうのこうのとか、そういう難しいことを考慮すると、厳しい制約を掛けられてしまいます。

たとえ、経営が破たんしても、経営者が自宅を守り、住み続けられる方法がないのかについて、目的を絞り込んで考えてみたいと思います。

そのように割り切って考えると、案外と方法は存在し、自宅を守れることに気づくものなのです。


まず確認すべきことは、自宅の様々な権利関係です。

自宅の所有権は当然のことですが、所有権以外の担保権などの様々な権利関係を、不動産登記簿謄本で確認する必要があります。

自宅の不動産登記簿謄本には、権利部甲区に所有権が記載されており、権利部乙区に所有権以外の『抵当権』,『根抵当権』,『質権』などの担保権や、『地上権』や『賃借権』などの用益権についての権利が記載されています。

自宅の権利関係を確認する作業において、特に注目していただきたいのが権利部乙区の担保権に関する登記です。

担保権とは、担保権者の債権が返済できない場合には、その不動産を競売や任意により売却して、その代金から返済を受けることのできる権利のことです。

したがって、この担保権の登記の内容次第で、自宅を守る今後の対策の方向性が決まってくると言えます。


以下の、7項目の内容について、現状と照らし合わせて確認してみてください。

今後の対策についての大きな方向性が、確認した結果により明確になります。


  1.自宅に、担保権が設定されているか

自宅に、住宅ローンの担保さえもなく、所有権以外の権利が何ら設定されていない場合は、徹底して有効な保全対策を講じることが必要になります。

対策についての制約が少ないため、所有権の移転も無剰余対策も有効になります。

ただし、債権者に、債権回収の手段として目を付けられやすいので、出来るだけ早い対策の実施が必要です。


  2.自宅に、住宅ローンの担保権が設定されているか

住宅ローンが設定されているときは、ほとんどの場合、第1順位の担保権として設定されています。

実勢価格よりも、住宅ローンの残債が多い場合は、無剰余として自宅を守ってくれる可能性が高くなりますが、残債が実勢価格の6割を下回るような場合は、上記項目1の様な何らかの対策が必要になります。

住宅ローンが自宅を守ってくれることがせ多いので、まずは、事故にしないことが大事です。


  3.自宅に、会社の借入についての担保権が設定されているか

会社の借入についての担保が、第1順位の担保権者として設定されている場合は、極めて自宅を守ることが難しくなります。

全てが、会社借入の債権者次第で動いていくために、競売にもなり易いといえるのですが、まだ諦める必要はありません。

不動産価格と残債の関係にもよりますが、自宅の買戻しやセール&リースバックなど、自宅の保全から最後の自宅の活用までを視野に入れる必要があるといえるでしょう。


  4.住宅ローンと会社借入の担保権が設定されている場合、その担保権者は同じか

この様な場合でも、ほとんどは住宅ローンが優先担保でしょうから、住宅ローンを事故にしなければ自宅を守れる可能性は高くなります。

住宅ローンと会社借入の債権者が違えば、住宅ローンを事故にしないのは難しくありませんが、同じ債権者であれば連帯保証人の所有する不動産として、債権者金融機関は事故にしようとしてきます。

しかし、このような場合でも、様々な根拠を明確にし住宅ローンについて弁済する熱意を伝えれば、多くの場合は事故になりませんし、会社借入の一部について信用保証会が代位弁済した場合でも、代位弁済後に債権者金融機関が何らかの対応をとってくれることも珍しくありません。

住宅ローンの残債が実勢価格の6割を下回っている場合は、上記項目3と同じ様な視点が必要になります。


  5.その他の債権者による担保権が設定されていないか

金融機関以外の、商取引債権者や個人の債権者が担保を設定していることも少なくないでしょうが、対応は金融機関の担保と基本は同じです。

ただし、金融機関と違い、損得抜きで無駄な対応をしてくることが珍しくありませんから、その対応には注意しなければなりません。

自宅を守る視点から考えれば、優先して対応すべき担保権者だといえるでしょう。


  6.権利部甲区に、差押え等がなされていないか

税金や社会保険関係などの滞納により、権利部甲区に差押などの登記がなされている場合は、当然に自宅を守るのは難しくなり、乙区に担保権の設定などがない場合は、滞納額を納付しない限り守りにくいと考えるべきでしょう。

ただし、滞納者が納付に前向きな姿勢があれば、税務署などの債権者も自宅の維持に配慮してくるようにはなります。

税金などは発生主義ですから、住宅ローンなどの担保が設定されている場合は、滞納の発生時期と住宅ローン担保の設定時期を比較して、対応を考慮することも大事です。


  7.自宅の所有権者が、経営者本人か

経営者が住んでいる自宅といえども、所有者が経営者であるとは限りません。

権利部甲区の所有権者を調べ、その所有が経営者ではなく、会社借入の連帯保証人でもない配偶者などの第3者であれば、当然に守れる可能性は高くなります。

ただし、経営者以外の所有でも、会社借入の物上保証として担保になっている場合も多いので、その様であれば上記項目3を参考にして対策を講じてください。

所有者が連帯保証人でもない第3者で、物上保証としての担保にもなっていなければ、基本、自宅は何も対策を講じなくても守れます。


以上が、自宅の権利関係を前提とした、守るための大きな方向性になります。

自宅を守れる可能性が高いことを、この確認内容でご理解いただけるのではないかと思います。

そして、権利関係がどんなに厳しい状況であろうとも、自宅を最後まで活用する方法が存在するということも再確認してください。

自宅は、簡単に諦めるものではないのです。

次回は、自宅を守るための、個別の対策方法についてご紹介いたします。



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