破産というものは、随分と勘違いをされているのかもしれません。
特に、以下の2つの点においては、大きな誤解をされているように思います。
1つ目は、破産をすれば、公民権までも停止され、人としての人格までも喪失するという事。
2つ目は、借入金の返済や、仕入代金の支払が出来なくなれば、破産しか選択方法がないという事です。
この2つは、至極ごもっともな様に思いますが、実は大きな勘違いなのです。
破産がこのように捉えられているから、『夜逃げ』や『自殺』等という悲惨な末路を選択される方が後を絶たないのではないでしょうか。
本来、事業を経営する立場であれば、破産とは常に背中合わせなのかもしれません。
事業が上手くいけば、利益が出て事業は発展し経営者も良い暮らしができるでしょう。
しかし、事業を失敗すれば、資金繰り確保のため個人資産をつぎ込み、最終的には経営者までも破産しなければならないのです。
中小零細企業の経営者は、事業の成功と失敗という分岐の流れで、いつ破産と向き合わなければならないかもしれないのですから、この破産についてもっと知っておく必要があるのではないでしょうか。
最初の誤解についてですが、破産をしても公民権(選挙に関わる権利や公務員に成る権利等)が停止することはありません。
また、自動車の免許が無くなったり、破産したことが戸籍や住民票などにのるというのも間違った情報なのです。
たしかに、破産をすると免責されるまで喪失する弁護士や税理士等の士業の資格があり、金融関係の資格や不動産・旅行等に関わる資格も喪失をしますし、後見人や会社役員についても就任を制限されたりはしますので、この様に勘違いされているのかもしれません。
士業の資格の喪失などは、第3者を保護するための措置であり、運転免許等の第3者に影響を及ぼさない資格については、破産により喪失することはありません。
破産をしたという事実についてですが、法人が破産した場合は、リサーチ会社の情報などで世間に知られる可能性は高いでしょう。
しかし、個人においては、その破産の事実を官報で公告をされますが、日常で官報など読んでおられる方などほとんどおられないと思います。
また、市町村にある破産者名簿に掲載はされますが、免責までの間ですし、第3者が確認することもできませんから、現実的には、破産をした事実は知られないものなのです。
2つ目の誤解で、返済や支払が出来なくなれば、最終的に破産しか方法がないという事についてですが、専門家でもその様に思っておられ方が多いので驚きます。
資金繰りの確保や返済猶予等において相談するコンサルタントにおいても、更に状況が悪化してしまうと、破産しか選択肢を持たない方がほとんどなのです。
これは、債権者の立場や目線で考えてしまうからで、特に立場の強い金融機関という債権者からすると、破産という選択肢がもっとも経済的合理性が高いからなのです。
現実には、破産は、最悪の状況における最後の手段であり、そこに至るまでには様々な選択肢が存在します。
法的手続きとしては特別清算や民事再生,特定調停等があり、さらにはADRや私的な任意整理などが代表的な選択肢でしょうし、そのまま事業を継続するというパターンも残っているでしょう。
債務者として、其々に長所・短所があり、どれを選択するかは、状況と目的と何を優先するかで決まってきます。
そして、どの選択肢も適合しない場合に、初めて、破産が選択肢として浮上すべきではないでしょうか。
破産は、他に選択肢が見いだせないという最悪の環境において、破産しか方法がないという最後の決断で選択されるものなのです。
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