後日、その話を聞いて、背中に冷や汗が流れました。
まさか、あの時に、そんな準備をしていたなんて想像すらしていなかったのです。
双方が納得できる答えを出そうと、笑顔で前向きな交渉を進めていた時に、相手の債権回収のプロは、最悪の場面を想定した準備を着々と進めていたのです。
しかも、会社の債務なのに、保証もしていない経営者個人の資産を差押えして、完全に息の根を止めようとする方法で、普通なら考えられない回収手段だったのです。
それは、個人的な思惑や人としての情などは一切斟酌されず、ただ、クライアントのために効果的な債権回収をするという、プロとして割り切った手段でした。
その債権回収のプロは、わたしのご相談者の取引上の債権者側の人間として目の前に現れました。
企業間の債権債務の処理に絡む話で、私のご相談者は、特殊な特許を持つ零細企業の経営者で債務者です。
相手の債権者側は上場企業の子会社で、その債権回収のプロが管理担当者の立場で役員を補佐し、主体的に債権回収について交渉に臨んでおられます。
口調は柔らかで、いつも笑顔を崩されませんから交渉もしやすく、緊張感も若干薄れてしまいます。
ある意味、なめてしまった所もあったのですが、対応するにつれて、その凄さに気付かされるのです。
笑顔の向こうには、シビアなプロとしての思考しかなく、全てが債権を回収するための流れだったのです。
法的手続きに関する知識を中心に、債権回収に関する知識が生半可ではなく、その知識をベースに、真綿で首を絞めるように最悪のラインを攻めてきます。
債務者の弱みや行動パターンを認識し、こちらの対応も読み尽くされているようですから大変でした。
その対応は、双方が納得できる和解的な処理で終わりましたので、結果として経営者の資産を差押される事態は避けられ、引き分けということになりました。
対応を終え、その債権回収のプロと仕事を離れてゆっくりお話をする機会を得て、背中に冷や汗が滴り落ちたのですが、やはり、なるほどと唸るだけの債権回収のプロだったのです。
平成11年2月のサービサー法が施行されて以来、長年に亘り債権回収専門会社であるサービサーで勤務され、債権回収担当の役員までされています。
債権回収について従業員の教育まで担当されていますから、その知識や対応が生半可でなくて当然だったのです。
本来は、この程度の債権債務の処理に関わる立場ではないのだと思うのですが、やはりそれなりの理由がありました。
長年、サービサーとして債権回収に関わってきて、充実感や遣り甲斐を失い、最近は寂寥感を感じておられるとのこと。
まぁ死人に鞭打つのが一般的なサービサーですから、そのお話には納得します。
今後は、その知識を債務者のために活かし、弱者に喜ばれる債権回収を考えているとのことなのです。
やはり一芸に秀でる人は、考え方が違いますね。
ゆっくりお話をすると、人間的にとても良い人で、私とも凄く気が合い、これからは、債権債務の両極のプロとして、お互いに協力していきましょうということになりました。
瓢箪から駒のような結果になりましたが、最悪の事態が避けられ、これからは色んな知識が得られ、この債権回収のプロとの出会いは非常にラッキーなものになりました。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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