かっとばせ借金 打ち勝て倒産!!

資金繰りが悪化した中小零細企業の、経営危機打開や事業再生へ向けてのお手伝いをさせていただいています。 経営危機場面での知識や情報をご提供し、従業員や家族のために命がけで闘う経営者が、諦めずに闘う現場を善戦苦闘日記としてご報告いたします。

2020年11月

資産の存在がバレる・・・


銀行は、貸付先の資産については、全て把握している様に思われています。

特に、期限の利益の喪失をするなど、貸付金が返済されないかもしれない状況になると、どんな資産がどこにあるのかについて、簡単に判ってしまうのだろうと思えてしまいます。

全ての資産の存在が債権者である金融機関にバレてしまい、差押えをされることにより無一文になるしかないという、そんなイメージがあるのですが現実は違いました、

この4月の民法改正までは、たとえ金融機関という債権者が手続きを踏んでも、簡単に債務者の資産を調べることは難しかったのです。



今回の民法の改正が、債権回収のスキームを大きく変えてしまう可能性があることは、以前のブログでもご紹介をいたしました。

債権者に知られるはずのなかった債務者の資産が、法的な手続きを踏むことにより、把握が可能になってしまったのです。

債権者が、債権回収を有効に実施する方法として、債務者資産への『差押』が挙げられます。

差押は、債権回収において、もっとも有効な手段であると共に、最終的な手段だともいえます。

債務者にとっては、驚異ともいえる手続きなのですが、差押の対象となる『資産』が把握できていないと、その効果を得ることかできないという大きな弱点があります。

債務者が、この事実を知っており、無い袖は振れないなどといった資産の保全を実施しておれば、差押はその効力を発揮できなくなってしまうのです。

現実に、資産の把握ができていないために、債権回収が出来ないという債権は、限りなく存在をしていました。

そうならないために、債権者は資産の存在を把握しようと、あらゆる手段を実施してきます。

代表的なのは、弁護士が弁護会経由で実施する『文書送達嘱託』という手続きで、裁判所に申立てをして銀行や保険会社に債務者の財産状況の開示を求めます。

効果的な方法に思えますが、申立てに手間がかかったり、銀行などが守秘義務を盾に開示しなかったりと、結果を残しにくかったのが現実ではなかったでしょうか。

そこで用意されたのが、平成15年の民事執行法改正により設立された財産開示手続になります。

財産開示手続とは、差押の対象となる債務者の資産を把握するために、債権者の申し立てにより、債務者を裁判所に呼び出し、裁判官の前で、どの様な資産を持っているか具体的に陳述させるものです。

この制度が施行された頃は、資産の存在が全て債権者に知られてしまうと大騒ぎになりましたが、実際には、ほとんど影響はありませんでした。

何故なら、裁判所に出頭をしなかったり、虚偽の陳述をした場合の罰則が僅か30万円だったからです。

多くの債務者にとって、財産開示手続によって債権者に知られてしまう資産の価値より、30万円の罰金の方が低いでしょうから、この罰則を払った方が得だということになりました。

したがって、効果的だと思われた財産開示手続は、存在はするが役に立たない手続きとして17年程放置されていました。

ところが、今年4月1日の民法改正により、財産開示手続をされたのに、虚偽の報告をしたり裁判所に出頭しなかったりすると、刑事罰となり、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金ということになってしまいました。

これだと、裁判に出頭しないわけにはいきません。

そして、財産開示手続に出頭し、正確な報告を述べることにより、不動産や預金口座の所在が債権者に知られてしまうことになりますから、債務者にとって生半可な影響ではないといえます。



民法が改正されてから半年以上経過し、財産開示手続は活用をされているのでしょうか。

調べてみると、財産開示手続の裁判所の呼び出しに出頭しなかった男性が、書類送検されたというニュースがありました。

これは10月のニュースで、初めての事例ということでしたが、それ以前も以降も、
他に財産開示手続に関するニュースは見当たりませんから、事件化されたのはこれだけということになるのでしょう。

私の関与しているご相談者でも、財産開示手続をされた事例が2件あります。

2件とも、金融機関からの借入が返済できなくなり、期限の利益の喪失をして、債権譲渡されたサービサーが申し立てしてきたものです。

私のご相談者は、時間をかけ根拠を明確にして、『無い袖は振れない』状況を確保されていますから、本来は慌てる必要などないのですが、初めてのことですから不安でした。

全てを再チェックし、万全な準備をして、全てを正直に目録として提出して、どんな質問をされるのかと想定をして臨みました。

ところが、内容を確認されただけで、ほぼ具体的な質問も無いまま、簡単に閉廷したのです。

ご相談者曰く『拍子抜け・・・』と、感じるほどあっけないものだったそうです。



財産開示手続は、まだ有効に活用されている状況にないのかもしれません。

しかし、この4月の民法改正により、極めて効果的な手続きになったことは間違いありません。

現実的に、今まで活用されていなかった財産開示手続が、この3ヶ月ほどの間に、私のご相談者だけで2件も発生しているのですから、債権者は債権回収手段として興味を持っているのだと思います。

今は、効果的な活用方法が判っていなくても、経験を積み重ねてくると、債務者にとって恐ろしい手続きになってくるでしょう。

我々も、よりレベルアップした、資産の保全対策が必要になります。



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サービサー対応の肝・・・


借入の返済できなくなり、期限の利益の喪失をしてしまいました・・・。

金融事故になったわけですが、銀行などの金融機関や信用保証協会、果てはサービサーまで、頻繁に取り立ての連絡をしてきます。

対応の仕方も判らないし、何よりも怖くて仕方がないので専門家に相談をすると、放置する様にアドバイスをされました。

しかし、言われたままに放置をすると、ひっきりなしに連絡が来るようになってしまいました・・・。




キャッチボールをしようとしてボールを投げました。

しかし、投げたボールが返ってきません。

ボールが返ってこなければ、当然に、どうなっているのかとボールを探しに行くのではないでしょうか。

もしも、投げたボールが、投げ返されてきたのなら、わざわざ探しに行く必要はありません。

たとえ、悪返球だったとしてでも、キャッチボールは継続しボールを探しに行くことはありません。

これが、金融事故になった場合の、金融機関などといった債権者との対応の基本だといえるでしょう。

健全な経営をされている方には、なかなかご理解いただけないかもしれませんが、金融事故になって債権者から追及されている債務者にとっては、人生と生活と家族を守るためには欠くことのできない基本的な対応方法になります。

金融事故になると、債権者からの連絡は当然に増えてきます。

内容は、債権回収・・・弁済についてですから、債務者である経営者にすれば気の重い話です。

電話に出たくないというのが本音なのは判りますが、ここは、しっかりと対応をしておく必要があるでしょう。

債権回収の厳しい追及を避けたいのは判りますが、経営者の今後の人生を考えれば、対応が必要不可欠だといえます。

なぜなら、本当の今の生活や新しい人生など、そして今後の第2会社などにおける事業の展開などといった、債権者に知られたくないこともあるからです。



債権者も人間なのですから、こちらも人間としてしっかりと対応をし、誠意を見せておくことで、深追いされることはなくなり、今後の対応は楽になります。

債権回収をしなければならない債権者として、債務者の状況を把握しておくのは当然ですから、電話をしても対応がなければ現状確認をするために現地調査が必要になってしまいます。

しかし、債権者のボールをしっかりと受け止めて、こちらの状況を投げ返すことで、債権者も無駄な対応をすることはなくなるでしょう。

債務者だとしても、生活を維持することは大事であり、新しい人生の現状を債権者に正確に把握されたくはありませんから、現地確認などされたくないのです。

だからこそ、債権者とのキャッチボールは重要なのだといえます。

債権者からの連絡は、絶好のチャンスだと考えてみてください。

こちらから連絡して伝えたかったのに、債権者からわざわざ連絡をいただき、現状を説明することが出来るのです。

生活を維持することさえ厳しいという現状を理解していただくことで、今後の債権者の対応も緩くなってくるでしょう。

だからこそ、債権者からの連絡を放置しては駄目だといえます。



特に、債権者の中でも、サービサーは異質であり、道義的責任や社会的信用などお構いなしに債権回収に臨んできます。

したがって、サービサーが債権者として連絡してきているならば、逃げたり放置するのではなく、前向きに活用をしていくべきではないでしょうか。

サービサーから連絡があれば、一通りの誠意を見せたうえで、現状を説明してください。

生きていくことさえ厳しい状況で、完済どころか僅かな弁済さえ不可能だという現実を、誠心誠意で伝えることが大事なのです。

弁済できないという現実を知ってもらい、債権回収を諦めてもらうことが、サービサー対応のポイントになります。

間違っても、完済の意志や、分割弁済の可能性を匂わすようなことはしないでください。

なぜなら、サービサーほど、債権回収の可否の判断が明確な債権者はいないからです。

金融機関等の債権者は、実際に貸し付けた債権額を請求し、回収する権利をもって、回収できなければ大きな損失を発生させることになります。

しかし、サービサーは、請求額よりも遥かに少額で債権を購入し、回収できなかったとしても損失は僅かであり、その結果も織り込み済みだといえます。

1億円の債権を、1万円程度で購入して、債務者に1億円を請求するのがサービサーですから、回収出来れば大儲けですが、回収できなくても問題はないという考え方になります。

サービサーの業務は、健全な投資ではなくて、博打的な投機だといえますから、債権回収の可否判断も明確であり、タイミングも早いということがいえます。

ただ、簡単に債権放棄をする訳ではなく、いつまでもダラダラと請求が続くことも有りますが、本気の回収ではなくて形だけといえるでしょう。

したがって、サービサーとの対応においては、弁済能力がないことを理解してもらうことが大事なのです。

その結果、回収を諦めさせることができればパーフェクトだといえます。



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リスケジュール中の借入・・・


たとえリスケジュールをしていても、新たな融資を受けられる可能性はあります。

資金繰りに苦慮されている経営者にすれば、何を頓珍漢なことを言ってるのかと馬鹿にされるかもしれませんが、これは事実なのです。

リスケジュールをしたら、融資をしてはいけないというルールなど存在しません。

現実的に、リスケジュール中なのに、融資を受けられた中小零細事業者も少なくありません。

リスケジュールを、どの様に捉えるか次第であり、捉え方で展開は大きく変化するのです。



リスケジュール(借入金返済条件の変更)をすると、金融機関との関係はどの様になって、新たな借入の可能性はどうなるのでしょうか。

昔 (平成21年の中小企業金融円滑化法の施行以前) は、リスケジュールをすると金融事故扱いをされて、金融機関との関係は悪くなると思われていました。

現実的に、リスケジュールに簡単に取り組んでくれるものでもなく、新規の融資など取り合ってもくれないのが一般的でしたし、金利も挙げられて当たり前だったのです。

前回のブログでご紹介しました様に、要管理先債権に分類をされ、債権回収に目を光らされるようになり、健全な債権として扱われなくなります。

したがって、リスケジュールをすると、新たな借入はできないというのが、債務者側の共通認識だろうと思います。

ところが、月末には資金破綻を引き起こすかもしれないほどに資金繰りの厳しい事業者が、このコロナウイルスの環境においては、リスケジュール中なのに新規の融資を受けている事例は珍しくありません。

弊社のご相談者の中では、コロナウイルス騒動になって以降、コロナ融資により、資金繰りが改善したという方がほとんどだという皮肉な現実さえあります。

これは、政策として、コロナ融資については、リスケジュール中でも新規融資が可能とされているからであり、イレギュラーな事例だといえるのでしょう。

では、通常な環境においては、リスケジュールをすると新規借入ができなくなるのかといえば、実はそうではありません。

制度やルールに則っても、リスケジュールをしたから新規融資ができないものではなく、一定の条件の下では新規融資の可能性があるのです。



前回のブログでご紹介したように、債務者は財務状況などにより債務者区分をされ、金融機関は応分の貸倒引当金を積まなければなりません。

債務者区分が下がると、債権に対する貸倒引当率が上がるために、金融機関も貸出先の債務者区分を下げたくないのが本音だといえます。

そして、債務者区分における要管理先の対象は、要注意先の債務者のうち、当該債務者の債権の全部または一部が3ヶ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権である債務者になります。

そして、要管理先以下に区分された会社は、金融機関から新規融資を受けることが困難になるという捉え方になっているのです。

ここで注意していただきたいのは、普段はあまり耳にしない『貸出条件緩和債権』という言葉であり、銀行法施行規則による定義づけは、まさしくリスケジュールに該当してしまっています。

ところが、金融庁の他の監督指針では、一定の条件により貸出条件緩和債権に該当しないというものがあります。

たとえば、債務者のリスクに見合った基準金利が確保されていれば、貸出条件緩和債権には該当しないとされています。

一般的に、リスケジュールを依頼すると、金利のアップを要求されるのはこのためであり、リスクに見合った金利さえ払えば貸出条件緩和債権にしないということになります。

たしかに、リスケジュールを依頼する債務者は、元本返済は当然のこと利子さえ支払うのが厳しい資金繰り状況ですから、信用リスクは大きくなり支払うべき基準金利もアップするという理屈なのです。

これを逆手に取ると、基準金利を確保すれば新規融資は可能になるし、信用リスクを下げて基準金利が下がれば、低い金利でも貸出条件緩和債権にはならないということになります。



具体的に貸出条件緩和債権にならないために、金融検査マニュアルにおいては、

  〕算饑茲凌用リスクが下がる
 ◆〕算饑茲ら実抜計画または合実計画が提出される

上記2点により、貸出条件緩和債権にしないことが認められています。

融資先の信用リスクが下がる要因として、金融検査マニュアルの例示は、

 A. 貸出金が、担保や代表者等あるいは信用保証協会の保証により、保全されていること

 B. Aに該当しない場合にあっても、代表者等が会社を支援する意思が確認できること

 C. 企業の技術力、販売力や成長性等を総合勘案した結果、今後の事業の継続性や収益性の向上に懸念がないと認められること  ・・・・等が規定されています。

◆ 慷算饑茲ら実抜計画または合実計画が提出される』について、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」では、

「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画に沿った金融支援の実施により経営再建が開始されている場合には、当該経営再建計画に基づく貸出金は貸出条件緩和債権には該当しないものと判断して差し支えない」等と規定されています。

実抜計画または合実計画があれば、リスケジュールをしても貸出緩和債権とならないために、金融機関は経営再建計画の提出を要求してくるのです。

ここにいう「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」(=実抜計画)とは、

  ヽ気唯廓以内に債務者区分が正常先となること
 ◆ヾ愀原箙圓瞭碓佞鯑世蕕譴襪海
  売上等の予想数値が厳しめに設定されていること

以上を充足させる計画をいいますが、中小零細企業でこの達成は難しいために、「精緻な経営改善計画等の作成や実現が困難なために、最長1年以内に経営再建計画を策定する見込みがあるときには、最長1年間は貸出条件緩和債権には該当しないものと判断して差し支えない」と、金融検査マニュアルで規定されています。

つまり、中小零細企業は、経営再建計画の策定までに、最長で1年の猶予が与えられるということになるのです。

さらに、中小企業にあっては、合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画が策定されている場合には、これを「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」とみなして差し支えないものとされています。

「合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画」(=合実計画)とは、

   計画期間が概ね5年以内(中小企業の場合、5年を超え概ね10年以内)であること
   計画期間終了後の債務者区分が正常先となること
  全ての取引先銀行において、支援を行うことについて文書その他により確認できること

以上を充足させる計画をいいますが、つまりは、中小零細企業は、要件の緩やかな合実計画に従って経営改善に取り組めばよいということになるのです。



結論として・・・・

   基準金利をクリアーしている
   実抜計画に則って経営再建に取り組んでいる
   1年以内に実抜計画を策定する見込みがある
 ぁ々膽揃弉茲紡Г辰瞳弍頂瞳に取り組んでいる

これらの対応により、リスケジュールに取り組んでいても、貸出条件緩和債権にはならず、要管理先に分類はされません。

そして、要注意先に留まることにより、新規融資も可能ということになるのです。



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融資とランク付け・・・


『何故、融資してくれないのか・・・』、その様に思われた経験のある経営者は少なくないでしょう。

融資に向けて準備万端、自信をもって銀行などの金融機関に融資を申し込んだのに、何故か融資を断られてしまうのです。

金融機関の担当者に確認しても、曖昧な事を言うだけで、納得できる様な回答を得ることはできません。

しかし、金融機関には、融資を実行するにおいての根拠、明確で具体的な基準が用意されているのですから、その根拠を知っておくのは極めて重要なのだといえます。



かの人気ドラマ『半沢直樹』を視聴されて、金融機関も大変だなと感じられた方も多いでしょう。

金融庁の、揚げ足を取るような厳しい検査に対して、問題点を追及されないように、本業もそっちのけで支店挙げて対応する銀行の姿は、立場の弱さを感じさせて哀れでもありました。

そして、その厳しい検査が、『金融検査マニュアル』に基づいて実施されていたことをご存じの方も少なくないと思います。

バブル崩壊後の平成11年に、各金融機関がリスクを考慮した経営を行うことで、経営の健全化を図り、金融機関が足を踏み外さないようにという考え方を基に、金融庁が制定したのが金融検査マニュアルになります。

したがって、我々が金融機関と円滑に取引するにおいて、この金融検査マニュアルは大きな影響を及ぼすのですが、その中でも特に、リスク考慮策として具体化されている『融資先の債務者区分』については理解しておく必要があります。



実は、この金融検査マニュアルは、昨年12月に廃止をされてしまいました。

金融庁が、停滞する金融機関経営を打破すべく、各金融機関の特性を踏まえた引当判断を尊重するために廃止をしたのですが、当然に簡単ではありません。

私も、どう変化するかと注目し、結果をご報告しようと思っていましたが、コロナウイルス騒動などもあり、約1年が経過しても大きな変化は見られません。

というよりも、長年に亘り金融検査マニュアルが定着したために、自力で創意工夫をして取組むという能力を、多くの金融機関は喪失してしまっている様に感じます。

たしかに、メガバンクなどは、金融検査マニュアルに代わる自らの制度で運用をしているようですが、多くの金融機関は、以前を踏襲したままであり、それは債務者区分においても継続が基本の様なのです。

若干の捉え方などの変更はあっても、引当の考え方などは同じなのですから、債務者区分については今まで通りだということになり、大不況を乗り切るために理解を深めていきたいと思います。

債務者区分とは、銀行や信用金庫などの金融機関が融資先企業ごとにつけている格付け(ランク・区分)のことになります。

収益力、返済能力などの財務状況により決められますが、中小企業は、財務状況のみならず、技術力・販売力・成長性や代表者などの役員に対する支払い状況、代表者の資産状況なども勘案し、経営の実態を踏まえて判断するとされ、経営者の資質も考慮される点がポイントになります。

債務者区分は、以下の様に、大きくは5ランク、具体的には6ランクに分けられています。
   ・正常先
   ・要注意先
     ・・・その他の要管理先以外
     ・・・要管理先
   ・破綻懸念先
   ・実質破綻先
   ・破綻先

破綻などといった単語が並びますから、経営者としては心中穏やかではなく、自社がどこに該当するのか興味深いところです。

それぞれの債務者区分の意味を理解すれば、自らはどこの区分になるのか、おおよそは掴めるのではないでしょうか。

それぞれの債務者区分の、定義や具体的な意味合いについてご説明します。



 1.正 常 先 ・・・《理想のポジション》
債務者区分というランキングにおいて、正常先は最上位のポジションであり、対象となる企業が求める理想的なポジションでもあります。
健全な経営であることは当然ですが、「黒字」であることが正常先の前提とされています。
また、金融機関ごとに、各ポジションの中でさらにいくつかに細分化されており、財務内容は当然のこと、従業員数や年商といった事業規模や、資産の総額などさまざまな観点で区分けされており、



 2.要注意先
 《その他の要管理先以外》・・・《まだ、大丈夫なポジション》

財務諸表などにおいて、不安な要素があったり、債務返済において不安がある場合にこのポジションになってしまい、上から2番目のポジションですが、経営において注意が必要であると判断をされています。
繰越欠損が残っていたり、「営業利益」「経常利益」「当期利益」のどれか一つでも赤字であれば、要注意先にされてしまい、簡単に表現をすれば、決算書のどこにも赤字がなければ正常先で、それ以外は要注意先以下ということです。
要注意先になれば、正常先の時よりも金融機関の対応は厳しくなりますが、まだまだ融資が可能な企業として扱われます。

   《要管理先》 ・・・《リスケジュールポジション》
要管理先とは、要注意先の中で細分化された、返済リスクの高くなった債務者が対象となります。
債権の全部又は一部が3カ月以上延滞、または貸し出し条件を緩和してリスケジュールを実施すると、原則的に要管理先債権として扱われるようになり、今後の借り入れが困難になってきます。
約束通りに返済が出来ないわけですから、実質は破綻に近い状況ということですが、まだ、金融機関の支援は期待できるという、微妙で難しいポジションだといえるでしょう。



 3.破綻懸念先 ・・・《事業維持の瀬戸際ポジション》
破綻はしていないが、困難な経営状況に陥っており、このままでは破綻が懸念されるということになります。
要管理先との大きな違いは、向かうべき今後の可能性が「経営改善」か「経営破綻」かということになり、まさしく事業を維持・継続することが出来るのかという瀬戸際だということです。
キーワードとしては、債務超過状況が継続していることと、経営改善が進捗しないということが挙げられ、金融機関の新規融資は当然に難しいでしょうし、前向きな支援も得られる可能性は低いといえます。
表現すると、金融機関が支援体制を諦めて、債権回収の保全準備にかかるタイミングということになるのでしょうか。



 4.実質破綻先 ・・・《整理のポジション》
法的や形式的には会社は残って継続しているが、実質的には破綻しているという状況になります。
多額の不良資産を内蔵していたり、過大な借入金が残存していることにより、相当期間に亘り大幅な債務超過状況に陥っている状況です。
再建の見通しが立たず、金融機関も支援を打ち切り債権回収に係るタイミングということになります。
金融機関の隠語では「瀕死」と呼ばれています。



 5.破綻先 ・・・《倒産ポジション》
実質的に事業の継続が不可能になり、「破産」や「倒産」など文字通りに破綻しているのが「破綻先」です。
金融機関の隠語では「死んでいる」と呼ばれており、債務者区分の作業では、事実を確認するくらいであり、債権者金融機関も債権回収面で対応するだけとなっています。



以上が、具体的な債務者区分の意味合いになります。

どの債務者区分なのかで、金融機関との取引が大きく変わってしまうということがご理解いただけたのではないでしょうか。

要管理先以下では、現実的に新規融資は困難だということなのです。

さらに、債務者区分ごとに、金融機関は貸し倒れの引当をしなければならず、これが輪をかけて金融支援を困難にしています。

一律ではありませんが、要注意先債権で5%程度,要管理先債権で15%程度,破綻懸念先になると75%程度となっています。

金融機関は、これだけの引き当てを積む必要があるのですから、破綻懸念先についての融資などは不可能で当たり前なのでしょう。

自社が、どの債務区分になるのか、じっくりと検討されては如何でしょうか。


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