かっとばせ借金 打ち勝て倒産!!

資金繰りが悪化した中小零細企業の、経営危機打開や事業再生へ向けてのお手伝いをさせていただいています。 経営危機場面での知識や情報をご提供し、従業員や家族のために命がけで闘う経営者が、諦めずに闘う現場を善戦苦闘日記としてご報告いたします。

2017年06月

債権回収を放棄した信用保証協会・・・



公的な金融関係機関である日本政策金融公庫と信用保証協会の、債権放棄・債務免除の実態についてご紹介をしてきました。

出来ない筈の債権放棄が、現実には実施されているという事実について、ご理解はいただけたと思います。

ただ、今までご紹介してきた事例は、今後も債権回収の見込みは無いという前提での債権放棄であったと思います。

ところが、債権回収の可能性が十分に有ったにも関わらず債権放棄をした珍しい事例を、最後にご紹介したいと思います。



もっと早くに、ご説明すべきでしたが、『債権放棄』と『債務免除』とは、同じ意味になります。

請求する権利を持つ債権者が、その請求する権利を放棄することを『債権放棄』と呼びます。

対して、請求される義務を持つ債務者が、その請求される義務を免除されることを『債務免除』と呼びますから、裏表の関係ということになるのでしょうか。

債権放棄というのは債権者側の行為で、その行為が発生することにより、債務者側に債務免除が発生するということになり、結果、同じ意味ということになります。

債務者としては、是非、債務免除をしてもらいたいでしょうが、債権者としては、簡単に債権放棄など出来るはずはありません。

血税を原資とする、公的な金融関係機関としては、可能性が有る限り、とことん債権回収に取り組まなければなりません。

この段階で、債権放棄などありえない・・・・・はずだったのです。

ところが、債権回収を出来る可能性が高いのに、ある段階で、債権回収を諦めて和解する事例もあるのです。

そんな、ちょっと信じられない事例をご紹介いたします。



地方都市で、製造業を営んでおられるA社は、先代の時に再生を前提とした法的手続きをして、その後も事業を継続されてきました。

経営者を先頭に努力し、その後、事業は随分と改善をしてきました。

しかし、法的手続きをしたときの、信用保証協会に代位弁済された負債は、ほとんど減っておらず、財務内容としては改善をしていません。

財務諸表に目を凝らしていた経営者は、ふと、あることに気付きます。

そう、信用保証協会に、弁済をした記憶が無いのです。

法的手続き以降、忙しさにかまけて気に掛ける余裕もなかったのですが、信用保証協会からは定期的な葉書の請求が有るだけで、それに対しての弁済をしていません。

しかも、法的手続き以降ですから、約12年は経過しています。

既に、時効期間が完成していると判断した経営者は、時効の援用に踏み切られたのです。

ところが、信用保証協会は、時効期間は完成していないと主張してきます。

双方の弁護士同士での交渉になりましたが、時効について譲る気配はありません。

このままでは、法廷で決着をつけるしかないかと思われた頃、突然に、信用保証協会がある提案をしてきました。

和解です。

債権元本額の20%を支払えば、残債は放棄するという内容になります

信用保証協会は、時効については自信満々であり、時効期間が完成していないのなら、和解する必要などありません。

こちらとしても、絶対に時効期間が完成しているという根拠もなく、どうしようかと思っていた矢先に和解の提案ですから、渡りに船といえるのかもしれません。

弁護士と相談し、信用保証協会の和解の提案を受け入れることにしました。

信用保証協会としては、今まで弁済されなかった債権について、一気に20%も回収出来たのですから、納得出来る結果だったのかもしれません。

こちらとしても、債権元本額の80%を免除してもらえるのですから、こんな有難い話はありません。

双方、納得の債権放棄であり、債務免除だといえるでしょう。



製造業として、工場は必要不可欠な資産です。

工場を失えば、事業の継続など不可能であり、経営は途端に破綻するしかありません。

そんな貴重な工場が、日本政策金融公庫(旧中小企業政策金融公庫)からの借入についての担保に入っています。

そして、その借入は、十数年前に期限の利益の喪失をして不良債権となり、担保である工場を守るために、その後も弁済を続けています。

その弁済額は、毎月40万円程であり、中途半端な金額ではありません。

地域では有力な企業で、最近は業績も向上しており、完全復活も視野に入る状況になってきたといえますが、公庫への弁済が負担で、資金繰りは厳しい状況が続き、新たな設備投資など出来る状況にはありません。

経営者は、この状況を何とか打開しようと、1年ほど前から日本政策金融公庫と交渉を開始されました。

債務免除の交渉です。

このままでは、製造業であるにも拘らず設備投資ができなくて、新たな展開が開けない。

その延長線上で、売上が確保できなければ、資金繰りが破綻して倒産するしかなくなる。

そうなると、地域経済に大きな悪影響を与えてしまう・・・。

この様な根拠で、債務免除の交渉をされたのです。

当然、簡単な交渉だとは考えていませんが、藁にもすがる思いで取組まれました。

そうすると、日本政策金融公庫も、完全に否定をしないどころか、ある意味、前向きな姿勢も見せてくれました。

結果、交渉には1年ほど掛かりましたが、元本残債件の40%を支払うことで、残りの60%は放棄してくれる和解条件で合意できたのです。

しかも、担保を残すことができたのです。

工場を新たな担保として、民間の金融機関から資金を借り入れで、和解金は支払うことができました。

これで、資金繰りは極端に楽になり、事業も守ることかできました。



事業継続をしており、弁済が可能な状況の債務者が、和解により債権放棄をしてもらえるのは希有な事例たといえます。

この2つの事例に共通するのは、

  期限の利益の喪失後、長時間が経過している・・・

  期限の利益の喪失後も、誠意ある姿勢を見せてきた・・・

  現状の負債のままでは、事業継続に不安が有る・・・

  倒産した場合、地域への社会的影響が大きい・・・

こういう共通点が有り、それに対して債権者も配慮を示してくれたのでしょう。

回収しようとすれば、まだまた回収が可能であった筈なのに、一時金の回収だけで和解したのです。

この事実は、極めて大きな意味を持つと思います。



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公庫と協会と和解・・・



債務者が、ご高齢や身障者の場合の、日本政策金融公庫や信用保証協会などといった公的な金融関係機関の対応についてはご理解いただけたと思います。

債務者の環境に配慮し、無茶な対応はしないというのが前提であり、状況により債権放棄や正式な和解もあり得るということなのです。

しかし、公的な金融関係機関が債権者ですから、債権放棄や和解などは、そんな特殊な事情に依る場合だけだと、考えられる方も多いと思います。

しかし、現実は、様々な状況において成立しているようですので、そんな事例をまとめてご紹介したいと思います。



まずは、日本政策金融公庫の、保証人としての追及についての事例です。

Aさんは、2代目として製造業を営んでおられましたが、メーカーの発注単価の圧縮で業績が悪化し、日本政策金融公庫からの借入金について期限の利益の喪失をしてしまいました。

事業は破綻した訳ではありませんが、従業員は全員解雇して、Aさんご夫婦だけで事業を切り盛りしておられ、売上はほとんど無いという状況です。

期限の利益の喪失後、日本政策金融公庫とは何度も交渉を重ね、厳しく弁済も迫られましたが、弁済すれば生活もままならない状況ですから、1円も弁済できていないのが現実です。

過去の交渉において、破産も勧められましたが、破産すれば収入も全く無くなりますし、破産する費用さえ不足していますから、このまま事業を続けるしかありません。

ある日、日本政策金融公庫の担当者は、面白ことを口にしました。

『現実的には、とっくに事業は破綻しているのですから、破産出来ないならば休眠されたらどうですか?
休眠されたら、僅かな一時金を支払うことで、Aさんを保証人から外しますよ・・・。』

具体的には、会社の休眠手続きをして、10万円を一括で支払えば、それで債務は棚上げするということなのです。

この頃には、僅かに続いていた仕事も途絶えていましたので、Aさんは担当者の提案を受け入れられました。

その後、定期的に、形式的な督促が会社に届きますが、保証人としてのAさんへの督促は一切ありません。

これも、一種の債権放棄といえるでしょう。


これとよく似た事例は、けっして少なくありません。

これも日本政策金融公庫の事例になりますが、期限の利益の喪失後、既に6年が経過しています。

3代目として、小売業を経営されていたBさんは、バブルの崩壊の影響を受けて業績を悪化させ、暫くは頑張り持ちこたえましたが、実施的に経営を破綻させてしまいました。

しかし、Bさんの昔からのネットワークは健在で、細々ではありますが、何とか事業は継続しています。

日本政策金融公庫は、誠意は見せるが、ほとんど弁済はできないBさんに困っていました。

事業は継続しているが、請求しても弁済できず、差押する資産も無いという状況に、日本政策金融公庫は打つ手がありません。

そんな状況で、『廃業されたら、もう請求は停止します・・・』と担当者が言ったのです。

Bさんは、その言葉を受けて現事業を停止されると、たしかに請求は停止しました。

その後も、ネットワークを活用して、個人経営として今まで通りに事業を維持されています。


福井のCさんも、よく似た流れで、将来的な債務の消滅を示唆されたのです。

Cさんは、8年ほど前に期限の利益の喪失をして、信用保証協会に代位弁済をされました。

その後、事業は廃業したという形態において、債務者である旧事業者名で僅かな弁済を続けておられます。

ある日、信用保証協会から連絡があって訪問すると、担当者から、『今後は、保証人であるCさんの個人名で弁済してください・・・』と、言われたのです。

Cさんは、言われるままに、Cさんの個人名で弁済をすることに変更しました。

これは、5年先という将来的に、時効期間を完成させるということになります。

主債務者ではなく、保証債務者名で弁済する訳ですから、5年後には主債務者の時効期間が完成するのです。

それにより、実質的に債権放棄をするということになるのですが、信用保証協会が自ら、長期的な債権放棄計画を示した珍しいケースだといえるでしょう。



この様に、日本政策金融公庫や信用保証協会等といった公的な金融関係機関の、実質的な債権放棄は存在しています。

形態は少し変わっているのかもしれませんが、実質的な債権放棄であるのは間違いありません。

ひょっとすれば、我々も債権放棄が可能になるのかもしれませんから、情報として大事に持っておいてください。

次回は、特殊な債権放棄の事例をご紹介いたします。



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信用保証協会の和解・・・



日本政策金融公庫や信用保証協会の担当者といえども、人の子です。

以前より、債務者の状況については、一定の配慮を示していました。

債務者が置かれている環境や、健康状況等について、全く無視して対応をするということは少ないといえるでしょう。

非人道的な対応を取り、社会的批判を浴びないように、最低限の配慮はしていたということになります。



全ての銀行や信金信組等の金融機関は、ご高齢の債務者に対しては、十分な配慮をもって対応する傾向があります。

それが、たとえ期限の利益の喪失後で、債権回収を本格化させる状況であろうとも、壮年の債務者への対応とは異なります。

それは、日本政策金融公庫や信用保証協会といった公的な金融関係機関でも同じです。

むしろ、その傾向は顕著だといえるのかもしれません。


信用保証協会が代位弁済をして、求償権を持った債権者となると、必ず債務者と面談して、今後の弁済について話し合うことになります。

代位弁済後の最初の交渉では、ご高齢の債務者といえども、さすがに初回は面談することを前提に来所を要求します。

しかし、初回の面談において、債務者がご高齢で、交渉に堪える様な状況にないということが判れば、それ以降の対応は、健常者の場合とは全く違ったものになります。

もしも、ご高齢者以外に、息子さん等の他の債務者(保証債務者)がおられれば、ご高齢者は棚上げ状況となり、息子さんだけが債権回収のターゲットにされるといった状況です。

他に債務者がおられない場合でも、債務者がご高齢者であり交渉に耐えられない様な状況であれば、無理な交渉を続けようとはしない傾向があります。

債権回収の対象となる資産なども存在しない場合は、交渉は中断し、債権回収についても放置状況になることが珍しくありません。

ただ、不動産などの資産があれば、債権回収を仕掛けられますし、ご高齢といえども、交渉に耐えうるお元気な債務者であれば、壮年の債務者と同じ様な厳しい対応をとられますので注意してください。



この様に、ご高齢で交渉に耐えられない様な債務者だけであれば、厳しい回収姿勢は影を潜めますが、それは、放置されているというだけで、債権回収を諦めたという訳ではありません。

もしも、相続などにより、元気な債務者が発生すれば厳しい回収をしようと狙っているでしょうから、和解等により、現実的な債権放棄をする訳でもなかったのです。

彼らは、債権放棄も債権譲渡も基本的には対応をしない公的な金融関係機関ですから、当たり前のことといえます。

ところが、一定の環境においては、債権放棄も存在します。

債権放棄というよりも、和解と言った方がいいのでしょうが、一部残債を弁済することにより、残債件を放棄してくれることがあるのです。

私が、この仕事を始めて3年程の頃に、顧問契約を結んでくださったご高齢のお客様が、最近、信用保証協会と正式に文書を交わした和解を成立されました。

元々は建設関係会社を経営されておられたのですが、実質倒産状況となり、信用保証協会が代位弁済したのが12年程前のことです。

主債務者は会社で、連帯保証債務者は経営者ご夫婦でしたが、お二人とも倒産当時には既に70歳を少し過ぎておられました。

その後、収入は年金だけで、生活するのも厳しい状況ですから、分割での弁済は1円もできていませんが、誠意ある姿勢だけは示してきました。

経営者夫婦は、ご高齢とはいえ、認知症などはなくしっかりされています。

しかし、担保不動産を処分して一部債権を回収後は、信用保証協会は厳しい債権回収姿勢は見せませんでした。

ところが、担保不動産を処分してから4年半が経過した頃に、信用保証協会は時効を中断させるために裁判を起こしてきました。

結果は、当然に負けて、時効期間は10年というになりました。

まだまだ、信用保証協会は債権回収を諦めていなかったということなのかもしれませんが、それ以降、数年間は、具体的な動きは何もありませんだした。

ところが、突然に、『今後の事について、相談をしたい。』と、信用保証協会から老夫婦に連絡が入ったのです。

それまでは、ほぼ放置している状況でしたから、老夫婦は不安を抱いて信用保証協会を訪ねました。

ところが、面談をした担当者は、想像もしていなかった内容を話し始めました。

現在の状況を形式的に確認後、なんと和解の話を提案してきたのです。

元本残債は約8000万円で、1人200万円,老夫婦2人で計400万円を支払えば、残りは請求しないという条件になります。

しかも、和解書として、文書にするということですから、破格の提案だといえるでしょう。

老夫婦が、400万円の和解金を用意し、正式に和解をされたのは言うまでもありません。

知人名の抵当権を設定したままになっている、老夫婦名義の自宅を、どうしようかと悩んでいたところだったのです。

保証債務が消えて、これで、堂々と、子供達も相続することができます。



信用保証協会が、この様に和解をするというのは、珍しいことだといえます。

今回の場合、高齢の債務者しか存在しなかったということ。

そして、弁済できる原資も、見当たらなかったということから、僅かな金額でも、和解をした方が得策であるということだったのでしょう。

そして、この様な事例は、政策的な支援もあり、今後は増加していくだろうと思われます。



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ご高齢者の代位弁済・・・


  『敵を知り、己を知れば、百戦して危うからず』、といいます。

孫子の兵法において有名な言葉で、敵の事と味方の事について、事前にしっかりと熟知しておけば、戦において負けることはないという意味なります。

孫子の兵法は、現在のビジネスにおいても参考にされていますが、特にこの言葉の持つ意味は、中小零細事業者においても理解しておく必要があると思います。

金融機関の対応において、新規の融資をお願いする場面、返済条件の変更を依頼する局面など様々な状況において、肝に銘じておくべきことわざではないでしょうか。



このことわざ、元々の原文では以下の様になります。

  『彼を知り己を知れば百戦殆からず。
     彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。
       彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し。』

敵の事と味方の事について熟知しておけば、戦において負けることはないに始まり、敵の事を知らずに味方の事だけ知っている状況ならば、勝つこともあれば負けることもあると表現し、敵の事も味方の事も知らなければ、戦えば必ず負けるという意味になります。

まさしく、中小零細事業者が参考にしなければならない、言い得て妙の表現だと感心します。

中小零細事業者の場合の敵は、ライバル事業者や得意先,取引先など様々に存在するのでしょうが、『 戦い = 交渉 』において、このことわざを常に頭に入れて臨むべきでしょう。

特に、金融機関との交渉においては、欠かすことができません。

金融機関の性格や考え方、それを十分に理解したうえで、自らを求められる状況に適合させるぐらいの覚悟が、金融機関との戦いには求められます。



それでは、まずは『敵を知り』の敵を、信用保証協会と日本政策金融公庫としてみましょう。

そして、今回のブログでは、対象を債権放棄に絞り、期限の利益の喪失後の具体的な変化について、実例をご紹介したいと思います。


最近は、信用保証協会と日本政策金融公庫ともに、債権放棄の姿勢が緩くなったとご紹介しましたが、その典型が『返済できる状況にないと、そのまま放置・・・』ということになるのでしょうか。

期限の利益の喪失をし、代位弁済などを経て、金融事故債権となると、債権者金融機関は本気で債権回収に取り組むことになります。

そうなると、債務者の状況など関係なく、少しでも早く、多く、逃がさずに回収するというのが、以前では当たり前の姿勢でした。

ところが、平成26年2月を境に、債権回収の姿勢は大きく転換をしました。

日本の、中小零細事業者向けの金融政策が、それまでの破綻をさせないという護送船団方式から、いつまでも再生出来ない事業者については、守るのではなく新陳代謝を図った方が、日本経済のためになるという判断で選択淘汰を始めたのです。

当然、淘汰するだけならば、日本経済は大混乱に陥りますから、淘汰される事業者に対して、それなりの救護策を事前に整備したうえで姿勢を転換させました。

その結果が、破産件数の激減であり、金融事故債務者に対する対応の変化ということになります。

債務者の状況など考慮せずに、強圧的に債権回収を進めるという過去の姿勢を改め、債務者の状況を加味した対応をするようになりました。

それが、想像を超えるほどの人情的な対応になり、現実的には、ほぼ放置といっていいほどなのです。

信用保証協会の、『これでは返済は難しいですねぇ、6ヶ月程、このまま様子を見ましょうか・・・。』という対応は、頻繁に見受けられるようになりました。

日本政策金融公庫の、『この状況ならば、こちらから請求はしませんので、返済できるようになったら連絡をください・・・。』といった対応も、今や珍しくなくなりました。

当然、全ての不良債務者に対しての対応ではなく、本当に返済できる資力や能力がないという債務者に対してということになります。

厳しく請求しても、債権回収はできない債務者が対象ですから、当たり前といえば当たり前の対応なのかもしれません。

しかし、その当たり前が、今までは実行されていなかったのです。

この、本来のメインテーマである債権回収を、最初から放棄した様な傾向については、今後は常態化していくようにさえ思えます。



東海地方にお住まいのお客様が、期限の利益の喪失にタイミングを合わせた様に『癌』を患われました。

これから、日本政策金融公庫や信用保証協会等の債権者金融機関との対応が始まるという場面だったのですが、彼ら債権者は動きませんでした。

債務者が『癌』を患われたことを知った段階で、完全に債権回収を止めたのです。

この様な事例は、以前より、珍しいことではありません。

お身体の悪い債務者や、ご高齢の債務者に対して、銀行系や政府系の金融関係機関は、十分な配慮をもって対応をしていたといえます。

そして、この傾向が、『本当に、債務弁済のための原資を持たない債務者』に対しても、広がったといえるのかもしれません。

この変化、しっかりと認識し確認していく必要があるでしょう。



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公庫と保証協会が、債権を放棄・・・



公的な金融関係機関は、債権譲渡も債権放棄も出来ないといいます。

日本政策金融公庫や信用保証協会等の公的機関は、その原資として国民の税金が使われていますから、簡単に債権放棄や債権譲渡をさせる訳にはいかないのでしょう。

ただ、絶対にしないというものでもなく、昔から、例外的に債権放棄などをした事例は散見されました。

しかし、ここにきて姿勢を大きく変化させ、公的な金融関係機関も、債権放棄を活発化させているとさえ感じるようになってきました。



中小零細事業者にとっての公的な金融関係機関といえば、一昔前であれば、中小企業金融公庫,国民生活金融公庫,商工中金,信用保証協会など複数の機関が存在しました。

しかし、中小企業金融公庫と国民生活金融公庫と農林漁業金融公庫が、平成20年に合併して日本政策金融公庫になりました。

当然、国民の利便性と合理化を目指して合併をしたのですが、今でも中身は昔のままで窓口も違いますから、何のために合併したのか不思議な経営者も多いと思います。

昔ならば、7,000万円までの融資は国民生活金融公庫で、7,000万円超えて7億円迄の融資は中小企業金融公庫と、重複して借りることも可能でしたから、中小零細事業者にとっては合併により不便になったといえるのかもしれません。

そして、今、不正融資で話題の商工中金ですが、平成20年に株式会社となりました。

しかし、政府が今でも過半の出資をしており、政府系金融機関として位置づけられることが多い様ですが、債権放棄や債権譲渡への対応は民間の金融機関と全く同じです。

特に、債権譲渡などは平気の平左で、他の金融機関よりも早く動く傾向が見受けられます。

債権放棄へのスタンスも、民間の金融機関と同じと考えて間違いないのではないでしょうか。


その結果、現在において、中小零細事業者が活用できる公的な金融関係機関といえば、日本政策金融公庫と信用保証協会の2機関だけになったということです。

ただ、同じ公的な金融関係機関といっても、日本政策金融公庫は融資を実行する機関であり、信用保証協会は民間金融機関の融資についての保証を実行する機関であり、その位置づけは異なります。

ジャンルが全く違うといえるのかもしれませんが、この2つの公的な金融関係機関がなければ、多くの中小零細事業者の資金繰りは成り立たたないと断言できるほど、緊密に関与し、日本経済を支える土台となっているのです。



公的な金融関係機関として、債権放棄と債権譲渡については、どのような姿勢をとっているのでしょうか。

まず債権譲渡についてですが、日本政策金融公庫と資金用保証協会共に、今でも債権譲渡はしません。

よく、信用保証協会の債権が保証協会サービサーに譲渡されたと言われる方がおられますが、これは債権回収を委託をしただけのことになります。

信用保証協会の子会社である保証協会債権回収株式会社(保証協会サービサー)が、信用保証協会の委託を受けて、代わりに債権回収の窓口になるということであり、債権が譲渡されたというものではありません。

昔と変わらず、両機関とも、ずっと不良債権は抱えたままで譲渡はしないということなのです。


ところが、債権放棄については、両機関共に、昔とは大きくスタンスを変更してきています。

保証人については、経営者保証に関するガイドラインの運用開始により、3年ほど前から厳しい追及は少なくなったということを、本ブログでも何度かご報告をいたしました。

弁済などできる環境にないのに、無茶な追及をして、保証人でもある経営者の人生そのものまで、破綻に追い込むことはしないという方向になってきたのです。

基本的人権や、最低限の生活を保障された日本において、本来は当たり前のことなのですが、今まででは考えられない嬉しい変化を遂げたといえます。

そして、この傾向が、主債務者である事業者に対しても、様々な環境で見られるようになってきました。

代表的な事例を、簡単にご紹介しますと、

  返済できる状況にないと、そのまま放置・・・

  ご高齢の債務者に対して、僅かな一括払いで債権放棄・・・

  事業継続中の事業者と、裁判で揉めたすえに、債権の80%を放棄・・・

  事業継続中の事業者に、今後は保証人名での弁済を要求・・・

  事業継続中の事業者が、担保を守れたうえで、債権の40%を免除・・・

  事業継続中の事業者に、廃業したら請求は止めると担当者が・・・

  事業継続中の事業者に、休眠したら、僅かな一括支払いで保証人を外す・・・

債務者の状況や債権放棄の内容は違いますが、公的な金融関係機関が債権放棄に取り組んだ代表的な事例になります。

もはや、公的な関係機関も、前向きに債権放棄に取り組む時代になったといえるのかもしれません。


次回のブログでは、公的関係機関の債権放棄に関するこれらの事例について、内容を具体的にご紹介をしていきたいと思います。



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決算書、サービサーが要求・・・



決算書で、経営状況がどこまで把握できるかは、色んな意味において疑問です。

しかし、金融機関などの債権者は、債務者に決算書を提出するように求めます。

決算書が、債務者企業の財務内容を把握できる、唯一の資料ともいえるからでしょう。

そんな決算書ですが、金融事故になるような状況においても、債権者金融機関への提出はすべきなのでしょうか。



債権者金融機関と、債務者である中小零細事業者が健全な関係にある時は、決算書を提出するのは当たり前だといえます。

新たな借入をするときに必要な資料となりますし、借入後も定期的に提出を求められます。

中小零細事業者にとって、欠くことの出来ないパートナーである金融機関と、健全な関係を維持するためには、決算書の提出は必要不可欠だといえるでしょう。

しかし、健全な関係が崩壊した状況においては、決算書の提出はどうすればいいのでしょうか。

たとえば、金融機関からの借入が期限の利益の喪失をして金融事故となり、債権者である金融機関などが、既に債権回収の手続きに入っている様な状況においても、今まで通り決算書を提出するべきなのでしょうか。

決算書の内容を考えれば、難しい問題になります。

ちょうど、期限の利益の喪失後の、決算書の提出の可否について、メールでのお問い合わせをいただきましたので、ご紹介をしながら決算書の扱いについて考えていきたいと思います。



お問い合わせは、以下の内容になります。

メガバンクからのプロパー融資が、期限の利益の喪失後、サービサーに債権譲渡をされました。
サービサーとは交渉を続けましたが、支払の督促について裁判をされて負けてしまいました。
その後も、サービサーとは分割返済で話し合いをしており、毎月5.000円までしか支払いは無理と主張を続けています。
そして、サービサーから、決算書を提出するように要求をされましたが、提出する必要はあるのでしょうか?
上記以外に、信用保証協会の代位弁済5,000万円に対して毎月1万円を弁済し、日本政策金融公庫は1.200万円に対し分割弁済で交渉中です。


この様なお問い合わせ内容になります。

期限の利益の喪失をして不良債権となったとはいえ、普通に考えれば、債権者の要求である決算書の提出は、当たり前のことの様に思えます。

しかし、現在の環境や、決算書に記載されている内容を考えると、提出により大きなリスクを背負う可能性があるのです。

したがって、決算書を提出するかどうかについて、まずは、サービサーが何の目的のために決算書を要求したのか考えてみましょう。

まず考えられるのは、債権者と債務者の関係において、当たり前のルールとして決算書を要求したということになりますが、提出させた目的はこの先にあります。

次に考えられるのは、債務者が主張されている毎月5,000円の弁済について、経済的合理性があるのか確認するためだと思います。

続いて、もっとも大きな目的として、不良債権を回収する対象が、決算書において確認できないかということになるでしょう。

判り易くまとめれば、サービサーが決算書を提出させようとする理由は、上記の様になります。

したがって、その理由に沿って、こちらが決算書を提出すべきかどうか検討すべき内容は、以下の4点になるでしょう。

  1. 毎月5,000円の弁済が、適正といえる決算内容か?

  2.  債権者に把握されたくない資産が、決算書に記載されていないか?

  3.  期限の利益の喪失後の、債権者対応の方向性が明確になっているか?

  4.  資産の予防的保全対策は完了し、強制執行されても問題ないか?

簡単に説明をすると、決算書の損益計算書において、税引後の利益が60,000円 (5000円 × 12カ月)以下もしくは赤字であれば、物理的に5,000円/月 以上の弁済は不可能ということになります。

また、貸借対照表の資産の部において、債権回収の対象となる様な資産が記載されていれば、強制執行をされるかもしれません。

そして、できるだけ債権者の意向に沿って完済を目指すのであれば、決算書は提出して揉めない様にすべきでしょうし、『無い袖は振れない』を基本とした対応をとるのであれば、決算書の提出は控えるべきなのかもしれません。

また、残存する主債務者及び保証債務者の資産が、予防的に保全されているのであれば、強制執行をされても恐れることはありません。

この4点に集約して、検討をしてみてください。


支払の督促についての裁判をしてきたようなサービサーですから、決算書の提出を拒否すれば、間違いなく揉めるでしょうし、強制執行をされる可能性は高いと思います。

しかし、揉めたとしても、サービサーが取れる手段は強制執行だけですから、準備が終わっていれば、不安になる必要などありません。



事前に、しっかりと準備をしているのならば、決算書提出の可否について、悩むことはありません。

しかし、このお問い合わせの内容からでは、資産の予防的保全対策が完了していない可能性があること (お問い合わせメールからは確認できません。) と、裁判において債務名義をとられて差押が可能な状況であるということが、検討のポイントとなります。

サービサーによっては、驚く様な強制執行をしてくることもありますので、理屈を把握し、リスクを理解して検討をしてください。



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借入額は、返済能力次第・・・



高額を提示し、『いくらまで、お貸しできますよ・・・』という様な情報は、世の中に溢れています。

しかし、『いくらまでなら、借りても大丈夫・・・』という情報は、ほとんど目にしないのではないでしょうか。

事業資金等を借りるとき、経営者として、少しでも多く借りたいと思うものですが、大事なのは、『いくらまでなら、返済が可能なのか・・・』ということなのです。

返済できる余裕もないのに、高額の借入をすれば、その先では、金融事故などの厳しい現実に直面することになってしまいます。



『いくらまでなら、借入しても大丈夫なのか・・・?』という答えは簡単です。

借入金の元本を、契約通りに返済できる限度までということになります。

そして、元本の返済原資は、利益などの手残り資金が対象となりますから、その範囲内であれば大丈夫ということになります。

借入額は、返済可能額で決まるという簡単な図式なのですが、理解されていない事業者も少なからずおられる様です。

理解されていないというよりも、目先の資金繰りを優先し、理屈など無視して、少しでも多く借りようとされているのかもしれません。



多くの中小零細事業者は、日々、資金繰りと対面し、その手段として、金融関係機関からの借入をされているのではないでしょうか。

中小零細事業者にとって、金融関係機関からの借入は資金繰りを確保するための命綱であり、お互いに利害を一致させる貴重な関係になっていると思います。

少しでも多く借りたい借り手側の事業者と、少しでも多く貸したい貸し手側の金融関係機関の利害は、この段階では一致しています。

たしかに、多く借りれば当座の資金繰りは楽になるでしょうし、多く貸せば利息という利益は増えて儲かり、借り手も貸し手も、お互いが得をするということになるのです。

ところが、この段階では、『返済』というキーワードが考慮されていません。

したがって、『いくらまで借り入れが可能・・・』というのは、この段階での、客寄せのキャッチコピーでしかないということになります。

そして、借り手側である事業者が借入を申し込み、実際に融資に動きだすと、貸し手側の金融関係機関は、今までとは逆の本音での対応をとってくることになります。

いくら多くの利息が得られたとしても、元本が戻って来なければ損をしますから、『いくらまでなら貸せるのか・・・』という、抑性の掛かった見方で、返済能力を見極めようとします。

事業の本業としての返済能力に始まり、不動産などの担保余力や、保証人の資力などを審査して、『いくらまでしか貸せない・・・』という貸付の限界を導く出すことになります。

そして、導き出された金額が、借り手側である事業者にとって納得出来るものであれば、そのまま融資の実行ということになるのでしょう。

事業者にとっては、これで資金繰りを確保できて、安心して事業に取り組めることになるのです。



しかし、何か、大きなチェックが抜けていませんか・・・

『いくらまでなら返済できるのか・・・』ということについて、借り手側の事業者がチェックをされてないのです。

多くの事業者は、貸し手側の金融機関が厳正な審査をして導き出した金額だから、借入をして問題はないと考えられるようですが、大きな勘違をされていませんでしょうか。

彼らの審査には、借り手側の事業者が計算に入れてはいけない『担保』や『保証人』が入っており、その分だけ借入額は増えています。

万が一に返済ができなくなったら、保証人である個人に対して請求をしたり、担保である自宅を処分して回収すればいいというのが、貸し手側の金融関係機関審査の考え方なのです。

しかし、借り手側の事業者にとっては、保証人個人に直接請求されたり、経営者の自宅を処分されたりというのは絶対に避けたいでしょう。

したがって、借り手側の事業者自らで、『いくらまでなら返済できるのか・・・』についてチェックをするべきでしょう。



借り手側の事業者が自らチェックする場合、純粋に本業だけでの返済能力で導き出すようにしてください。

借入可能額を導き出す計算方法としては、以下の様になります。


    借入元本返済能力 = 利益 − 納税額


専門家によっては、減価償却費は現金で残るのだから、返済原資として計算に入れるべきという方がおられます。

    借入元本返済能力 = 利益 − 納税額 + 減価償却費

そうすると、この様な計算式になるのですが、私は、この考え方は危険だと思います。

減価償却費は、事業に必要な機材等の資産について、劣化しても更新により維持するために用意しておく費用であり、健全な事業を継続しようとする場合、手を付けてはいけない資金であるはずなのです。

もしも、減価償却費も計算に入れて、いくらまでなら返済できるかを計算して、目いっぱいの借入をしたとします。

当然、借入についての元本返済は、手残り資金全てを充当することになりますから、事業に必要な機材が劣化して買い換えをする場合、充当すべき手元資金は残っておらず、新たな借入が必要ということになります。

その結果、借入金の返済額は増えるが、借入元本返済能力は減少するという、悪循環に陥ることになるでしょう。

特に、製造業などの減価償却費の多い業種は、この様なパターンに陥り易いといえます。

本当に資金繰り厳しい状況であるならば、ある程度は仕方がないのかもしれませんが、将来的に健全な経営を維持しようとされるならば、減価償却費は除外し、

    借入元本返済能力 = 利益 − 納税額

この計算式をベースに、借入の限度を決められるべきではないでしょうか。



『いくらまでなら返済できるのか・・・』という確認を、事前に自らでされず、金融関係機関の言われるままに借入をされている事業者は少なくないと思います。

その結果、限界を超えた高額の借入をされ、財務内容を悪化させているのかもしれません。

その先に、返済猶予(リスケジュール)に頼って慢性的な資金繰り悪化に陥ったり、担保を処分したりということにならないために、借り手側である事業者が自らチェックされることをお勧めいたします。

簡単な計算ですので、既に借入をされている方も、『いくらまでなら返済できるのか・・・』について、チェックされては如何でしょうか。

もし、返済可能額以上に借入をしてしまっていたら、何らかの対応も必要になると思います。

担保に入っている自宅や、保証人としての自らの人生は、今と変わらず守り続けたいものです。


今回のブログは、非常に、初歩的な話になって申し訳ありませんでした。
しかし、判っているようで判っていない大事な内容だと思いますので、お許しください。



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その元本、返済できますか・・・?



返済猶予は、中小零細事業者にとって、色んな意味において劇薬だといえます。

それまで苦労を重ねた資金繰りから、一気に解放をされるでしょう。

同時に、経営者の感覚をも、大きく狂わせてしまい、まるで、突然に経営改善が実現し健全化したとでも勘違いをしてしまいます。

とても返済できない様な、大きな借入負債の存在は何ら変わらないのに、経営者は、何故か、危機意識を喪失させ気を緩めてしまうのです。



それだけの大きな借入を、完済できる可能性はあるのでしょうか。

年間売り上げの、半分程度の借入金があります。

日々、収益の向上する、30年ほど前の右肩上がりの高度成長期であれば、別段に問題はないと思われる程度の借入だったかもしれません。

しかし、今は、明日の経営がどうなるかさえ判らない経営環境で、僅かな利益を確保するのにも苦労する様な状況です。

利息は何とか支払えても、とても借入元本を返済できる様な利益は確保できていません。

元本の返済猶予をしてもらうことにより、資金繰りを確保できているに過ぎず、借入元本を返済により減少させることなど、とても無理な状況が続いています。

もしも、返済猶予が出来なければ、途端に資金繰りは破綻してしまいますから、返済猶予の継続がいつまで可能なのか、その不安は計り知れません。

この状況を、根本的に打開するために、返済猶予で資金繰りが確保できている今、具体的に取組む必要があるのは判っているでしょう。

しかし、日々の作業に追われて忙しく、そんな余裕はないということですが、本当に、そんな悠長なことでいいのでしょうか・・・。



日本経済は、安定的に景気を維持しているようで、中小企業の破産件数も低水準を維持しています。

しかし、それは政策や制度に守られているからに過ぎないからだと思います。

実態はそんなに甘いものではなく、生きるか死ぬかのギリギリのラインで踏ん張っている中小零細事業者は、決して少なくありません。

健全な経営を纏いながらも、大きな借り入れ負担に喘いでいたり、債務超過に追い込まれている中小零細事業者など、珍しくもないのです。

返済猶予を代表とする、制度的な対策により、事業が維持できて生かされているといっても、現実的には間違っていないでしょう。

リーマンショック以降、中小企業金融円滑化法が終了後も、そして、まだまだ将来的にも、返済猶予は、中小零細事業者にとって不可欠な制度なのです。



返済猶予は、結果的に、時間的な猶予をもらうことになります。

そして、確保した時間的な猶予期間に、何ができるかが大事なのです。

完済を目指して、根本的に経営改善により再生を目指すのが理想でしょう。

従業員等の社会的弱者のために、事業譲渡などを検討するのもいいのかもしれません。

現実を理解し、第二会社方式に取り組むのも方法だと思います。

場合によれば、任意での整理も選択肢になるのかもしれません。

様々な方法がありますが、取組むことが大事なのです。

現状のまま、何も対策を講じずに放置するというのは、大きな問題になります。

返済猶予をしたことで、資金繰りが楽になったからといって、そのまま具体的な対策を実施しなければ、いずれ状況をさらに悪化させることになってしまうでしょう。

その時には、もはや手の施しようのない、厳しい状況に追い込まれている可能性は高いでしょう。

普通に考えれば、現在の収益性では絶対に完済できない借入金を抱えているのですから・・・。

気を引き締めて、何とかするという、前向きな努力が必要ではないでしょうか。

今、明日のために・・・。



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Xデーを前にして・・・



もうすぐ、Xデーを迎えられるご相談者がおられます。

Xデーといっても、倒産をするわけではなく、今の会社を新設分割により2つに分けて、健全な事業だけをスポンサー企業に譲渡し、残した旧会社は特別清算をするという方法です。

最初の取り組みから、既に5年が経過し、事業譲渡に取り掛かってからでも1年弱が経過しており、この間、経営者は艱難辛苦、壮絶な体験をされてきました。

スポンサー企業に事業譲渡することにより、そんな精神的苦痛から解放されるはずなのですが、経営者の心のモヤモヤは、何故かより深くなっている様なのです。



私自身も、15年前に、Xテーを迎えました。

事業譲渡よりも、もっと厳しい落し処である任意整理を選択したのです。

当時の環境やスキルでは、それが最善だといえる選択でしたが、会社は当然のごとく倒産扱いをされ、私も倒産させた経営者としての烙印を押され、それまで築いてきた信用は全て失うという結果になりました。

私にとっては、屈辱でした。

任意整理が、そういうものだとは理解していましたが、Xデーを境とした周りの変化は、それほど大きなものだったといえます。

多分、自分の事だけを考えれば、破産をさせた方が楽だったのかもしれませんが、経営者の意地として、任意整理を選択したのは間違いではなかったと思います。

屈辱に耐えた見返りは、経営者としての自己満足と誇りを十分に満たすものでした。

本来であれば、債権者に主導されたり、法的に粛々と処理される事業の整理が、全て債務者である経営者の意思で処理できたのです。

そして、その結果として、従業員は誰一人として路頭に迷うことはなく、仕入先や外注先なども連鎖的に経営を悪化させるところもありませんでした。


経営破たんに直面した崖っぷちの状況で、債務者として、能動的な対応をとるのはとても難しいことです。

本来は、当たり前のように破産して、債権者金融機関だけが満足な結果を得て、仕入先や従業員などの社会的弱者は貧乏くじを引くだけの結果になっていたでしょう。

そう考えると、経営者として、十分に納得しなければならない結果なのだと思います。



それから15年が経ち、何とか事業を続けてこられました。

同時期に、同じように事業を始めたられたライバルも、今は、ほとんど残っておられない様な難しい業界で、凄い経験も積ませていただきました。

多くの任意整理に関与し、沢山の経営者の心の葛藤も、コンサルタントとして共有をさせていただきました。

その経験から、Xデーを前にした、経営者の心の叫びは、十分に理解しているつもりです。

そして、その最も大きな叫びが、経営者としてのプライドの喪失になるのだと思います。

今まで、経営者としてのプライドを維持しようと、従業員などの社会的弱者を守るために、最善の方法を選択し全力で取り組んできました。

そして、得られた最善の結果の先にあるのが、経営者としてのプライドの喪失ということになるのです。

判っていたとはいえ、経営者としては、なかなか納得できることではないでしょう。



経営者の気持ちは分かりますが、経営者は、ちょっと目的をはき違えているのかもしれません。

このスポンサー企業への事業譲渡が失敗すれは、この会社は間違いなく破綻をしていたでしょう。

そうなると、経営者やその家族が路頭に迷うのは当然のごとく、従業員も生活を喪失したり、仕入先が連鎖倒産をしたかもしれません。

そんな事態を回避し、会社の看板を守り、社会的弱者を守るために、経営者は自分を犠牲にして事業譲渡に取り組もうとされたのです。

その結果として、従業員の雇用を今までと変わりなく守られました。

仕入先についても、売掛債権を全て支払い、今後の取引継続も可能にされたのです。

債権者金融機関に対しても、経営破綻すれば配当はほぼゼロだったのに、瓢箪から駒の様な配当を可能にされました。

事業の看板も守られ、今後の生活の糧も確保されて、ご家族の不安もなくなったことでしょう。

これ以上、望むべくもない、最良の結果だといえるのではないでしょうか。

たしかに、経営者として、今までの様な対応されることはないでしょうが、それは当たり前のことなのです。

そんなことよりも、経営者としての目標を、完全に達成されたのですから、胸を張って自慢をされるべき結果ではないでしょうか。

全てを失って、当たり前の状況で、全てを守ったという事実に、誇りを持たれるべきだと思います。



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