資金繰りが悪化する理由には、外因・内因など様々にあります。

実際に、何が原因で資金繰りが悪化したかは複雑で、資金繰りの専門家でもはっきりと原因を特定するのは難しいものなのです。

売上減少や利益率の悪化、さらには借入過多など、多くの場合は、複数の要因が絡んで資金繰りが悪化したというのが実態でしょう。


しかし、原因が簡単に特定できる場合があります。

それは、売掛金の未収です。

しかも、この売掛金の未収は、自分の責任が及ぶ内因性のものではなく、外因になりますから、突然に経営者を資金繰り難に陥れます。

そして、多くの場合は、この原因については、経営者も対応に苦慮して、積極的に解決しようとされない事例が多いのです。

中には、最初から諦められている事例さえも珍しくないのです。


たしかに、得意先の未払いは対応が難しいものなのですが、絶対に諦めては駄目でしょう。

よく考えてください。

例えば、100万円の売掛金が未収だとします。

それは、現段階においては、売上の100万円であって、利益の100万円ではありませんが、回収できなくて貸倒れになった場合は100万円の損失になってしまいます。

表現を具体化すれば、100万円の損失になるということは、100万円の利益が飛んだことなのです。

利益率から逆算してみると判り易いと思います。

税引前利益率が5%の企業で考えてみると、100万円÷5%で2000万円になり、2000万円の売り上げを喪失させることになります。

この経営環境ですから、多くの中小零細企業の税引前利益率は2%を確保するのも難しいと思いますので、100万円の売掛金の回収を諦めるというのは、100万円÷2%で5000万円程度の売り上げを喪失させたことになってしまうのです。

このように考えると、たとえ10万円の未収でも諦めてはならないことが判ると思います。


しかし、今後の取引のことを考えると、得意先に対して厳しい督促など出来ないのかもしれません。

たしかに、得意先との健全な関係を前提にすれば難しいでしょうが、多くの場合は、すでに健全な関係は崩れていることが多いと思います。

支払いが遅れているということは、得意先の経営が悪化して資金繰りが厳しい状況になっているのでしょう。

現実として、あなたの会社に対して、得意先は約束を守れないか、守る気が無い状況になっており、健全な商取引が維持できない可能性があるのです。

それなのに、正当な権利を主張せずに遠慮していては、共倒れというよりも、あなたの会社が先に破綻してしまいます。

ここは、冷静に状況を判断して、ビジネスライクに割り切って、当然の権利として、未収になっている売掛債権の回収を優先すべきだと思いますし、回収する方法も色々と存在するのです。



債権者集会などにおいて、よく目にするのですが、破綻企業の経営者が頭を下げて謝罪されている姿を見て、長年お取引をされてきた仕入れ業者が『もう、十分に商売をさせていただいた。』と話され、債権者集会が終わってから『社長ありがとう。頑張って復活してくださいよ。』と励まされる光景があります。

これなどは、売掛債権の回収は諦めて、逆に経営者を励まされているのですから、前段の論法から考えれば論外に捉えられそうですが、けっしてそういうことではありません。

その破綻企業は、経営者が債権者に頭を下げてお詫びをしたうえで、正式に経営の破綻を表明しており、回収できる資産も残っていないのです。

そして、これが大事なのですが、この経営者は、今まで熱心で誠実な経営を続けてこられ、仕入れ業者等の取引先とも誠意を持って取引をされてきたのでしょう。

その様な取引関係があったからこそ、仕入れ業者も貸倒れになっても恨みなど言わず、励ましの言葉をかけられたのです。

そこには、理想とする取引があったのだと思います。

単純に、自らのことだけを考えて、支払いをしない得意先とは全く意味が違うのです。


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