最近は、返済猶予をする方法についてご相談が随分と少なくなりました

中小企業金融円滑化法の終了が近づいたことや、返済猶予の一般的になったこと、そして、それほど難しい取り組みではないとうことだからだと思います。

しかし、逆に増加しているのが、返済猶予をしているが、金利さえも支払えなくなったというご相談です。

以前から、再生を目指して返済猶予をし、時間的猶予ができた環境で再生に向けて取り組んでおられたが、なかなか経営改善が上手くいかずに、ついに金利が払えなくなって、このままでは金融事故になってしまうというような事例が増えているのです。

これはこれで、様々に対応方法はあり、別に難しく考えることはないのですが、金融事故なると、経営環境が変わってしまうのは事実ですから、できれば回避したいのが本音であることは間違いありません。


アベノミクスで、景気は回復傾向にあるといいますが、中小零細企業の経営環境はそんなに生易しいものではありません。

この景気回復は、大企業を中心とした輸出に関連する企業が対象であり、しかも財務的にはという限定されたものだと思います。

円安をフル活用し、海外の安い労働力を屈指し、財務諸表上において売上を伸ばし、利益を拡大しているという景気回復なのです。

日本国内だけで経営を展開する中小零細企業にとって、その恩恵が回ってくる可能性は極めて低く、好影響があるとしてもしばらく先の話になるでしょう。

それどころか、政策や円安によるインフレの影響により原価が高騰し、現状においては、逆に経営環境が悪化していると言っても過言ではないと思います。



中小零細企業にとって、借入を返済するのはただでさえ簡単なことではないのに、一度、返済猶予をした企業が正常返済に戻すのは極めて困難なのです。

高度成長期の右肩上がり経済なら可能でも、バブル崩壊以降の右肩下がり経済においては、黒字を確保するのが精一杯であり、正常返済が出来るほどの財務的余裕を取り戻すのは至難の業です。

こんな厳しい経営環境が20年以上も続く中で、中小零細企業対策として様々な対応策もとられてきました。

しかし、全てが中途半端なのです。

金融機関優先の政策であったり、先送りでしかない政策であったり、所轄官庁の責任逃れのためだけの政策であったりと、僅かな効果しか望めない政策しかとられてきませんでした。

あれほど物議をかもし、超法規的といわれた返済猶予の中小企業金融円滑法も、確かに効果はありましたが、時限立法であり、一時的な倒産回避の先延ばし政策でしかなかったということになります。


今、必要なのは、根本的に解決する様な対策でしょう。

一時的ではなく、バブル崩壊以降の負の遺産をぬぐい去り、長期的に中小零細企業の経営を安定させるような政策が必要なのだと思います。


しかし、そんな方法があるのでしょうか?

見方を変えれば、「ある」と言えます。

簡単に表現すれば、『返済期間の延長』ということになります。

うん?

中小企業金融円滑化法の返済猶予と同じではと思われる方もおられるでしょうが、意味合いは似ていても全く違う政策だといえます。

中小企業金融円滑化法は、法的な根拠の下で、債権者である金融機関と、債務者である中小零細事業者が個別に交渉して返済条件を緩和するものでした。

これだと、いずれは大きな返済負担が圧し掛かって来るのは間違いなく、一時的に伸ばせただけの効果しかなかったのです。

ところが、政策としての『返済期間の延長』は、たしかに、有利子負債の返済負担の軽減という面では、返済猶予の発展型ともいえますが、現契約の分割期間を大幅に延長し固定するというもので、債権者と債務者双方にメリットが大きく、問題を根本的に解決できる可能性が高いと言えます。


たとえば、3年返済を9年返済にしたり、5年返済を20年返済にしたりと、債務者の現経営状況を前提に、実現可能な返済期間を債権者合意のもとで契約を巻き直して延長するのです。

元本100%棚上げの返済猶予ほどではありませんが、単純に考えて返済期間を5倍に延長すれば、元本返済を80%棚上げしたと同じ効果があり、資金繰り的にはかなり大きな効果が見込めます。

毎月の元本返済額が3/1とか4/1になれば、当然に資金繰りは楽になり、しかも、長期的に固定するわけですから、資金繰り計画は立てやすくなり経営も安定するでしょう。


これは、金融機関にとってもお得な政策だともいえます。

金融機関の商品である元本返済期間は延びますが、儲けである金利がそれだけ長く確保でき、結果として大きな利益を確保することになります。

政府が、信用保証協会等を活用し、返済期間の延長を何らかの方法で保証をすれば、さらに効果的な政策になると思われます。

これを中小零細企業対策の、根本的な政策として制度化すれば、中小零細企業にとって画期的な救済策となるのではないでしょうか。


小手先の、その場逃れの政策ではなく、そろそろ、根本的な解決策が欲しいものです。

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