経営者は、大きな袋から、様々な郵便物を取り出しました。

多くは、金融機関からの通知書ですが、中には内容証明郵便や裁判所からの送達まで含まれています。

開封されていない郵便物も多く、整理された形跡など全くありません。

金融事故となった債務を、根本的に処理したいというご要望なのですが、この様な取り組み方では難しいでしょう・・・。



経営者は、債権者からの通知書などを見るのは、怖かったのでしょうか。

それとも、単に面倒くさかっただけだとも考えられます。

金融事故になって以降、債権者である金融機関からの郵便物など、整理するどころか目も通しておられません。

放置すれば、何とかなると考えておられたようなのです。

ところが、突然に銀行の預金口座が使えなくなってしまいました。

驚いて窓口で確認すると、どうやら債権者である信販会社から『差押』をされたようなのです。

そういえば、つい最近、裁判所から郵便が届いていたのを思い出し、開封してみると差押の通知書でした。

他にも、5行の預金口座が差押えされた内容になっています。

これでは、事業の継続どころか、生活さえもできなくなると不安になり、弊社にご相談に来られたのです。



ご相談にあたって、決算書や試算表,資金繰り表,借入一覧,資産一覧などの資料と共に、債権者からの郵便物などもご持参くださるようにお願いしました。

その債権者からの郵便物が、冒頭でご紹介したように、大きな袋に入れられて、今まで放置状況だったのです。

全ての郵便物を、大きな机の上で開封し、一緒になって整理を始めます。

借入をしていた金融機関からの通知は当然の事、その他のリース会社や個人のクレジット関係など、雑多な債権者からの通知が溢れかえっています。

延滞が2回になって、信用保証協会から連帯保証人へ、債務者に督促する様にとの通知書があります。

全ての債権者金融機関からの期限の利益の喪失に関しての内容証明郵便も確認できました。

信用保証協会や保証会社の代位弁済に絡む資料も、当然のごとく存在します。

ここまでは期限の利益の喪失後、当たり前といえる資料ですが、これで終わりません。

まだ住宅ローンの残っている自宅が、第2順位の担保権を持つ金融機関から、代位弁済により債権者となった信用保証会社に差押えされたという裁判所からの通知が出てきます。

クレジット会社が、支払督促という裁判上の手続きをしてきたという通知もあります。

ご紹介をした、預金口座の差押えに絡む訴訟関係の資料もありました。

普通人であれば、その内容に慌てふためくべき通知が、完全に放置されていたのですから驚きます。



郵便物などの具体的な整理だけで、小一時間掛かってしまいました。

金融機関などの各債権者毎に、クリアーファイルを用意し、送付された資料を時系列でまとめ、関係する裁判所の書類も、同じファイルに整理します。

これで、ようやく、債権債務の現状を、具体的に把握できるようになりました。

クリアーファイルは、6行の金融機関,日本政策金融公庫,信用保証協会,民間保証会社,クレジット会社3社,信販会社3社,リース会社4社,の合計19冊になります。

今後、サービサーに債権譲渡もされますから、最終的に20冊を超えることになるでしょう。

しかし、これで、具体的な債務処理が可能となり、全てのクリアーファイルを見直すと、大変な状況になっていたことが容易に理解できます。

あのまま放置していたら、事業の継続など不可能であり、自宅も失いかねない状況だったのです。

最初から、債権債務をしっかりと整理しておけば、こんな状況にはなっていなかったでしょう。



金融事故になると、現実から目を背けようとされる経営者は少なくありません。

これは絶対に回避すべき対応であり、債権債務についてしっかりと管理整理をして、前向きに取り組むことが、経営危機に陥って以降は大事なのです。

ご紹介したように、クリアーファイルで各債権者毎に管理整理をするようにしてください。

金融事故後は、クリアーファイルの最初のページで、最後の時効の中断に関する日時や理由を残すようにすればベストです。

期限の利益の喪失後は、何とかなるものではなく、力ずくでも『何とかする』ものなのだと思います。



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