読めば読むほど、モラトリアム法(中小企業金融円滑化法)が解らなくなってきました。
当初の打ち上げ花火的な内容から大きく変化し、何のための法律なのか判らないのです。
内容を理解するほどに、ほとんど機能しないとさえ思えてしまいます。
モラトリアム法が、資金繰りに苦しむ中小零細事業者にとって有難いのは、以下の内容になると思います。
1.借入金の返済を猶予してもらうことにより、資金繰りが楽になる。
2.本業は赤字だが、金利を減免してもらうことにより、資金繰りが確保できる。
3.返済猶予中でも、新たな融資が可能であり、前向きな営業が可能になる。
4.信用保証協会の条件変更対応保証により、返済猶予の可能性が広がる。
たしかに、資金繰りに苦しむ中小零細事業者にとって有難い内容ばかりです。
しかし、現実的にはどうでしょうか?
モラトリアムにより、借入金の返済猶予が容易になるのは間違いないでしょう。
ただ、返済猶予という行為をご存知なかった中小零細事業者に対してだけのことです。
ここ1年間、金融庁の指導もあり、債権者である金融機関がリスケジュール(返済条件の変更)による返済猶予に前向きに対応し、驚くほど簡単になっていたのです。
モラトリアムが法制化されるまでもなく、既に返済猶予は、中小零細企業にとって必要な対応として一般化されていたのです。
モラトリアムによる金利の減免については疑問です。
以前にも書きましたが、金融機関の性格を考えると、利益になる金利の減免に応じるとは考えにくいのです。
モラトリアムによる金利の減免を、社会的問題なのでフレキシブルに対応すると金融機関は表明をしています。
しかし、これは建て前であって、金利の減免には応じたくないのが本音だろうと思います。
既に、元利とも返済できない状況にある場合等の、特殊な状況でなければ金利の減免は難しいでしょう。
返済猶予中の新たな融資については、ほとんど可能性はないと思います。
信用保証協会等の公的な機関が保証等で補填するならともかく、理屈から言って、返済が正常に出来ない債務者に、まともな金融機関が融資をするはずないのです。
金融機関も、これについては具体的な可能性を示唆していませんから、基本的に対応する考えはないのでしょう。
ある金融機関の担当者の話では、自行どころか他行におけるモラトリアムの実施でも、新規の融資はしない方針だというのですから、現実的には不可能に近いと思います。
モラトリアム法の目玉の一つに、信用保証協会の保証付きや政府系金融機関からの借り入れがない債務者に限り、プロパーの貸付を信用保証協会の条件変更対応保証が付いた貸付に変更することができます。
金融機関にとっては、プロパーによる債権回収リスクが大幅に軽減されるわけですから、返済猶予の可能性は大きくなります。
ところが、条件変更対応保証において保証されるのは、債権額の40%であり、残りの60%はプロパーのままであり、金融機関が負担しなければなりません。
しかも、条件変更対応保証を受けることにより、債務者は保証料を支払わなければなりませんが、金融機関は金利を引き下げて保証料へ充当することまで求められるかのうせいがあるのです。
金利が利益である金融機関にとって、保証が40%しかないのに利益が減るのでは割が合いません。
しかも、条件変更対応保証の保証期間は3年しかないのです。
保証後、3年を経過すれば、保証がはずれプロパー貸付に戻るのですから、直ぐにでも倒産しそうな企業は別として、長期的に考えて慎重にならざるをえないでしょう。
信用保証協会の保証付きや政府系金融機関からの借り入れがない中小零細事業者も、割合にすればごく小さくなりますから、現実的に条件変更対応保証の対象となる企業は極めて少ないでしょう。
こう考えてくると、モラトリアム法の有効性はほとんど消えてしまうでのす。
リスケジュールと内容があまり変わらなくなってしまい、債権者における債務者情報の共有化や、モラトリアム終了後のことを考えると、その必要性に疑問さえ感じてしまいます。
モラトリアム法は、債権者である金融機関に大きな負担をかけるといわれてきました。
しかし、金融機関の一律義務化が努力義務に変更されたことで、債務者としてのメリットも大きく減少したようです。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください
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