リスケジュールの環境が、随分と良くなってきたといっても、これには驚きました。
元金の返済と金利の支払いを止めてから6ヶ月、それからのリスケジュールが成功したのです。
真野さん(仮名)は、廃棄物をリサイクルする会社を経営されていて、その業界では高い技術や特許を誇っています。
元々は、大手企業のベンチャー制度で社内起業として始められたのですが、大手企業の都合で真野さんが経営権を取得して独立されたのです。
しかし、真野さんは技術者であり、経営に関しては素人です。
今後の経営や販売に関して知人に相談すると、代理店制度を進められたので早速取り組まれました。
環境問題,エコ,温暖化問題,資源の再利用・・・・最近のキーワードに適合しますから、代理店は直ぐに集まり、販売は代理店に任せて大丈夫と考えられた真野さんは、リサイクルの精製に特化されました。
ところが上手くいきません。
代理店は本業が別にあり、副業としてリサイクルの代理店となられた方が大半です。
しかも、販売が伸びないのは利幅が少ないからだと言い出し、代理店への納品単価を大幅に減額させられたのです。
しかし、片手間に営業を展開する代理店ですから販売は大きく伸びません。
その結果、ついに真野さんは資金繰り難に陥ってしまったのです。
経営権を取得して独立した時に、国民金融公庫(現日本政策金融公庫)から借入をしましたが、返済資金が足りません。
元金どころか金利も支払えない状況になり、国民金融公庫の担当者に電話を入れて事情を説明し、リスケジュールという言葉も知らない真野さんは、単純に返済を少し待って欲しいと依頼されたのです。
しかし、業績は回復せず、返済が出来るはずもなく、返済の遅延がつづきます。
その間、国民金融公庫の担当者には頻繁に連絡をいれ、誠意をもって状況を説明し返済を待ってもらうように頼みました。
徐々に、国民金融公庫の担当者の対応は厳しくなります。
元利止めて6ヶ月、万策尽きて、真野さんは知人に紹介されたコンサルタントに相談に行かれたのです。
相談を受けたコンサルタントは驚きました。
リスケジュールをするでもなく、6ヶ月に亘り元利とも止めれば、本来なら期限の利益が喪失して当たり前なのに喪失していないのです。
常に状況を連絡し、誠意をもって国民金融公庫と対応されていた結果なのでしょうか・・・
国民金融公庫の現在までの対応を考慮し、今からでもリスケジュールが出来るのではと考えたコンサルタントは、駄目元でのリスケジュールを勧めたのです。
代理店制度を見直し、まだ事業を諦めていない真野さんは、経営改善計画書を用意しリスケジュール交渉に臨まれたのです。
最初は、期限の利益の喪失や法的手続きへの着手を臭わせた国民金融公庫の担当者も、真野さんの熱意に押され、なんとリスケジュールを承諾したのです。
リスケジュールの条件は、滞納してから10ヶ月分の利息を支払い、リスケジュール期間を滞納が始まってから10ヶ月間にするという内容です。
金利を精算するのは痛いですが、まだ4ヶ月間のリスケジュール期間が残ることになります。
4ヶ月間あれば、充分に会社再生へ向けてチャレンジできると真野さんは考えています。
このリスケジュール交渉の結果には、コンサルタントも驚いたようです。
滞納しても、誠意を持って債権者と対応した結果なのでしょうか。
国民金融公庫といえども、担当者はやはり人間ということなのでしょう。
やはり、この環境下では、リスケジュールに諦めずにチャレンジすべきということでもあります。
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