最近、倒産が減少しているという報道が目に付きます。

あるリサーチ会社の発表によりますと、2011年度の4月〜9月上期の負債総額1000万円以上の倒産件数が、前年同期比2%減と3年連続で減少しているということです。

東日本大震災直後の混乱した時期での数字ですから、ちょっと驚くべき結果ではないでしょうか。

目を通しただけでは、景気が回復しているようにさえ錯覚してしまいます。


しかし、この発表は鵜呑みにできません。

倒産件数の減少 = 景気の回復 という単純な図式にはならないでしょう。

まあ、実感する景気が、全く回復を感じさせませんから、鵜呑みにするような経営者もおられないとは思います。

実体は、もっと複雑で、不安要素がいっぱいなのです。


そのリサーチ会社は、中小企業金融円滑化法による返済猶予や、被災地域での手形不渡り猶予などの特別措置が倒産抑制に寄与したとも発表しております。

実は、倒産件数の減少と返済猶予の関係に、驚くべき実体が隠されているようなのです。


中小企業金融円滑化法による返済猶予については、金利減免など貸し出し条件を大幅に緩和した債権を除き、基本として正常債権として扱うとなっています。

本来であれば、不良債権として扱うべき債権なのでしょうが、再生の見込みが高い債権として、本来は要注意先債権となるべきなのに正常債権として扱われています。

債務者と債権者の環境を考慮して、金融庁の検査指針を緩和し、見かけ上不良債権が増えないという措置になっています。

この、実体は不良債権だが、正常債権として扱われている債権(その他要注意先債権)が急増しているのが問題なのです。


公式に発表されている全国の銀行の不良債権比率は2%台半ということです。

ところが、日銀の最近の集計によると、実体は不良債権だが正常債権として扱われている債権が、貸出金全体の9.7%になり、金額で44兆3000億円になるということす。

単純に、2%に9.7%を加えると、なんと11.7%という凄い不良債権比率になってしまいます。

もし、これだけの隠れ不良債権が顕在化してしまえば、大手銀行でも経営悪化は避けられず、日本経済は間違いなく大混乱に陥るでしょう。


この9.7%という、隠れた不良債権が、倒産を抑制させている原因なのです。

もし、中小企業金融円滑化法による返済猶予がなければ、膨大に倒産が発生した状況になっていたでしょう。

中小企業金融円滑化法は、それだけ倒産抑制に効力があったということですが、同時に、問題の先送りという副作用もありました。

景気が回復してれば問題なかったでしょうが、ますます悪化する状況ですから副作用の処理をさらに複雑にしています。


返済猶予だけでは資金繰りが確保できない企業が激増しており、今後、一気に拡大する可能性がありますから、そろそろ、落とし所を用意しなければならないでしょう。

が、一向に景気が回復しない状況ですから、今後の舵取りは本当に難しいものになっており、軟着陸は簡単ではありません。

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