もう、終わってしまいます。
今月末の3月31日で、3年半の間、中小零細企業の資金繰り確保に大きく寄与した中小企業金融円滑化法が終り、返済猶予が難しくなるかもしれないのです。
いまさら言うまでもありませんが、リーマンショック以降の大不況において、この法律があったからこそ中小零細企業の経営は守れたと言っても過言ではありません。
そして、生命維持装置でもあったその法律が終わるのですから、中小零細企業の資金繰り与える影響は、限りなく大きいと言えるでしょう。
担当官庁である金融庁は、法律があるのと同じ対応をするように金融機関に要請し、金融機関も前向きに取り組むという姿勢を表明していますので、それならば今までと変わらないのだから一安心だとも思えます。
また、政府は、他にも様々な施策を用意していますし、何よりもアベノミクスで景気回復の著しい環境ですから、何の問題もないということになります。
しかし、現実はそんなに甘くはないでしょう。
アベノミクスが、中小零細企業の経営に、景気回復の影響を与えるのは随分と先でしょうし、その効果は体感できるかどうかの僅かなものだと考えられます。
何よりも、インフレが先行する環境になっていますから、逆に悪影響を与える可能性の方がはるかに高いというのが現実でしょう。
様々な施策を政府が実施するにしても、根本的な対策は皆無で、極めて限定的な効果しか期待できないものばかりですから、どう考えても、中小零細企業の経営はますます厳しくなるという環境になっているのです。
でも、金融庁の強い指導で、金融機関が返済猶予をしてくれるのが唯一の救いなのかもしれません。
しかし、実は、これもそんなに簡単な話ではないでしょう。
いくら所轄官庁である金融庁の要請だといっても、それに真面目に従うような素直な金融機関は見たことがありません。
面従腹背が金融機関の常ですから、表面上は笑顔で従う振りをしていても、本音の部分では『損』をしないことを最優先に考えて対応してくることは間違いないと思います。
再生が十分に可能な企業には、笑顔で支援を続けてくれるでしょうが、可能性の低い企業に対しては厳しい対応をしてくるかもしれません。
特に、経営改善が進まない企業にとっては、返済猶予への取り組みどころか、これを契機に切り捨てられる可能性さえ十分にあるのではないでしょうか。
静岡の○水銀行の事例をご紹介すれば判りやすいと思います。
今年になって、静岡県内で事業をされている3人の経営者からご相談をいただいたのですが、静岡県だけで3件という多さよりも、全てが○水銀行の返済猶予が絡んでいるということに驚かされました。
1つは、初めて返済猶予を申し込んだのですが、○水銀行が色々な理由をつけて、前向きに取り組んでくれないという単純なもので、他行でもよく見られる事例です。
もう一つは、盆と暮れに定期的に借入と返済を繰り返し健全な関係を維持していたはずなのに、返済をした直後に突然に新たな借入を止められ、返済猶予さえも拒否されたというものです。
最後の一つは、2年前に返済猶予を始め、その後に経営改善も随分と進んだのですが、今回の返済猶予の更新を突然に拒絶されたうえ、生命線である手形割引の枠さえも廃止されたという事例です。
最初の事例は、別に珍しくもない事例ですが、残りの2つの事例は、バブル崩壊後の債権回収手法で、今では見られなくなった強引な手法です。
こんな対応をされれば、企業は経営を諦めるしかなくなってしまいます。
これらの○水銀行の対応には、金融庁の意向などには全く考慮せず、自行の損得のみを優先した対応が前提になっているのは当然のこと、顧客の資金繰りや経営の維持などは忖度せず、金融事故にしようという悪意さえ感じられてしまいます。
何らかの理由で、経営改善が出来ないだろうという判断をし、金融庁の通達にある経営改善の可能性や達成率を逆手にとって、切り捨てて債権回収を優先させた典型的な事例なのです。
ここまで酷い事例は珍しいでしょうが、他の金融機関でも似たような事例は少なくありません。
中小企業金融円滑化法という法律の裏付けが無くなり、したたかな金融機関が持つ独特の二面性という本性を見せ始めただけのことなのです。
経営改善ができる企業には笑顔で、再生が不可能と判断すれば悪魔になるということでしょう。
もし、経営する会社が、金融機関に再生できないと判断され、返済猶予を拒否されて債権回収にかかられたどうすればいいのでしょうか。
答えは簡単、昔のリスケジュールをするような対応をすればいいのです。
中小企業金融円滑化法が施行される前の、法律の裏付けのない返済猶予がリスケ(リスケジュール)であり、当時は、金融機関と丁々発止の高度な交渉をして、返済猶予を勝ち取っていたものでした。
今のように、返済猶予をしてくれなければどうしようという考えではなく、資金繰りを確保するために、どんなことがあっても返済猶予を勝ち取るという交渉だったのです。
諦めずにしたたかに交渉し、場合によれば強行的な返済猶予の実施をしたこともありました。
金融機関のご機嫌よりも、資金繰り確保をすることが最優先であり、その為に何をすべきかということが大事になり、返済猶予がダメならダメでも返済を止めて資金流出を抑えるという手段をとったのです。
当然、それにより資金繰りを確保し、経営改善を図って再生を目指すという作業のためにです
そうしなければ、経営が破たんしてしまい、関係者に大きな迷惑を掛けることになるからでした。
どんな状況でも、事業を維持する方法は沢山あります。
中小零細企業の経営者は、その事実を十分に認識し、どんな経営環境になろうとも、したたかに諦めず取り組むことが大事なのです。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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