債権回収は、債務者の人権までも無視していいのでしょうか・・・。
債権者は、債務者の状況等には頓着せず、ただ、権利として債権回収を仕掛けてきます。
収入がなかろうと、病気であろうと、そんな債務者の事情など関係なく、債権者の権利を実行してくるのです。
そして、それを防ぐ施策などなく、債務者を守ろうとする政策も存在しない、それが現実でいいのでしょうか・・・
日本国において、基本的人権と債権回収、どちらが優先するのでしょうか。
これは、私が30年ほど抱き続け、解決できずにいる疑問になります。
特に、最近は、性差別やジェンダー,身体能力,ハラスメントなど、社会的弱者に対して優しい対応が当たり前になっており、そんな世の中を見て、その疑問は増幅しています。
なぜか、経済的弱者に対しては優しい配慮などなく、特に債権回収をされる債務者に対しては厳しいままになっています。
債務者は、返済しなければと思っていても、返済できる状況ではありません。
金融事故にしたいわけではなく、結果として金融事故になるしかなかったということなのです。
そんな苦しい状況に追い込まれているのに、経済的な社会的弱者は誰も守ってくれません。
多くの債務者は、成す術もなく、生活を失ってしまうのかもしれません。
生残るためには、自らの知恵と努力で、立ち向かっていくしかないのです。
そんな理不尽で厳しい環境において、何かと打開しようと頑張っておられる方からご相談をいただきましたのでご紹介したいと思います。
Aさんは、体調を崩して、今は生活保護を受けておられます。
脳梗塞になって働けなくなり、その後も3回ほど脳梗塞が再発するほどに大変な状況で、生活保護を受けるしかありませんでした。
生活のために、2社からカードローンで40万円弱の借入をしていましたが、今も、遅れずに毎月返済をされています。
しかし、生活保護費の中からの返済で、生活はかなり厳しい状況になっています。
このまま返済を続ければ、生活が破綻しても不思議ではない状況です。
Aさんは、あまりの不安で、法テラスに相談に行かれました。
相談した弁護士は、対応するとすぐに破産宣告をしなさいと言います。
しかし、破産はしたくないので、他に方法がないのかというのがAさんのご相談になります。
本当に、酷く、辛い状況ですが、何とかしようと頑張っておられるのです。
ところが、債権者であるカード会社は、そんな状況などお構いなしに、当然の権利を実行しているだけなのです。
こんな状況でも、債務者を守る制度は、破産をするしかないのが現実なのです。
弁護士が、破産を勧めて当然な状況なのでしょう。
債務者Aさんには、資産といえるのは多少の書籍しかなく、無い袖は振れぬ状況ですから、破産をしても生活に影響はありません。
しかし、Aさんは破産をしたくないというご要望ですから、他の方法を探さなければなりません。
その方法としては、『無い袖は振れない』という状況を前提に考えるしかありません。
まず、生活保護の受給者は、その生活保護費から、借金を返済することが認められていません。
生活保護費は、差押えも禁止されているのです。
そんなことは判っていても、返済を止めると大変なことになってしまうと考え、Aさんは無理して返済をされているのでしょう。
しかし、生活保護の受給者であり、無い袖は振れないという状況であれば、債権者の債権回収は困難だというのが現実なのです。
返済を止めれば、厳しい督促をされると思ってしまうでしょう。
しかし、生活保護受給者で脳梗塞を患っており、生活保護費からしか返済方法がないことをカード会社に伝えれば、強い対応はとれなくなると思います。
裁判をされて、当然の結果として負けることになるかもしれませんが、現実的に弁済する方法が無いのですから、大きな影響はないでしょう。
財産開示手続きなどをされる可能性もありますが、実際の財産を全て正直に開示しても、無い袖は振れない状況で債権回収の対象が存在しませんから効果がありません。
また、債務残高から考えても、手続きを申し立てられる可能性高くないように思います。
資産をすぐに差押されてしまうと考えがちですが、唯一の資産といえる生活保護費は差押ができません。
ただ、銀行の口座に入金になれば差押も可能となりますから注意が必要です。
それ以外には、差押えされる資産が存在しませんから、債権者が差押えをしようとしても恐れる必要はないでしょう。
債務者の多くは、一度でも約束通りに返済できなくなれば大変なことになると思っておられますが、その結果は、上記にご紹介したような内容でしかありません。
返済できない場合の結果を恐れて、無理して返済を続ければ、生活さえも破綻してしまう可能性があります。
何よりも優先すべきは、間違いなくご自身の生活や人生だと思います。
何とか返済をしようというお気持ちは大事ですが、ここは状況を冷静に捉え、まずご自身を優先して守られてはいかがでしょうか。
返済できる状況に無いのですから、リスクを理解したうえで、返済を待ってもらうしかないのが現実なのです。
その間に体調を戻し、その結果として経済的な自立を取り戻されるべきだと思います。
そして、ご自身の生活と人生に影響が出ないほどに復活できれば、返済を再開されてはいかがでしょう。
生活保護費については、入金用の預金口座の保全対策をするか、手渡しで受け取るように変更するなどして、最低限の対策は必要になります。
そのうえで、最低限の知識をもって、前向きに向き合うことができれば、将来に絶望することなどありません。
経済的弱者は、誰も債権回収から守ってくれませんから、自ら立ち向かうしかないのです。
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