私どものご相談者で、電子商取引であるネット通販を主体的に事業展開されている経営者は少なくありません。

このIT社会において、ネット通販は、時代の真ん中で栄華を誇り、しっかりと儲けておられる様なイメージがあります。

しかし、電子商取引はそんな生易しい簡単なものではなく、成功よりも失敗することの多い事業形態の様なのです。

ご相談者は、異口同音に『儲からない・・・』と言われます。



この時代に、ネット通販が厳しいというのが納得できずに、電子商取引の市場について調べて見ました。

電子商取引市場をEC市場といい、取引が電子商取引化されることをEC化と呼んでいます。

このEC市場とEC化率の、ここ数年の変遷が以下の通りになります。

                  2008年     2012年      2015年
    EC市場規模     6.1兆円    8.4兆円    13.8兆円
    EC化率        1.8%      3.4%       4.7%

この様になり、数字的には、安定的に成長をしているようです。

しかし、私には、想像していた数字よりも随分と低いと思えたので、小売業を中心とした物販系に限定して調べ直してみました。

もっとも事業者数が多く、我々ユーザーとの接点も多いのが物販系なのですが、2015年度において、EC市場全体における物販系の占有率は52.6%にもなっています。

そして、物販系のEC市場規模は7.2兆円、EC化率は4.75%なのです。

この数字を、多いと捉えるのか少ないと捉えるのかは個人によって違うのでしょうが、私は少なすぎると捉えてしまいました。

パソコンやスマホが、当たり前の様に活用する時代なのですから、EC化率は最低でも20%は超えている様に思えます。

この時代で、これほど注目をされ、誰もが簡単に参入の出来る環境なのに、EC化率が4.7%というのはあまりにも低すぎるのではないでしょうか。



納得できずに、更に調べて見て、EC化率が伸びない理由を、私なりに2つ見つけました。

1つは、利益率の低さです。

ご相談に来られたネット通販の経営者が揃って言われることですが、ネット通販に参入し、売上を伸ばそうとすれば、大きな投資と経費が必要となります。

広告費であったり、販売促進費であったり、コンサルタント費用であったり、色んな項目で運営サイトが費用を要求してくるのです。

これらの費用を払わなければ、上位ページに表示をされませんし、売上の確保も難しくなりますから、ネット通販においては必要経費だといえるのかもしれません。

その結果、売り上げは伸びたが、営業利益段階で赤字ということになってしまうのでしょう。

典型的な『経費倒れ』というパターンですが、特に楽天での商売においてはその傾向が強い様です。


また、ネット通販の特徴として、同製品間の比較が容易ということが挙げられます。

したがって、最終的に単価勝負となってしまう傾向があり、商品単体粗利益が低くなってしまうのです。

『増収減益』・・・売上は伸びても、利益は減るというのが、ネット通販の特徴であり問題でもあるのでしょう。



EC化率が伸びない、もう1つの理由は、環境の停滞が挙げられるのではないでしょうか。

これほど、IT化が進化を続ける環境においても、電子商取引における商品情報の提供手段は、大きな進化を遂げていないといえます。

電子商取引における最大の問題である『信用』について、何ら答えを出せていないのです。

典型的なBtoB(直接取引)である電子商取引において、売主と買主の実体が確認できないのは、大きな不安を抱きます。

現実的に、様々な詐欺的問題を引き起こしている電子商取引なのですから、その不安を取り除くことが重要なのです。

そのために、商品情報、より正確で具体的に提供できるようにすべきなのですが、ほとんどの商品情報の提供は旧態依然のままであり、大きな進化を遂げていないのです。

その結果、電子商取引おいて、未だに取引の基本である不安を払拭できていないのです。

この商品情報の提供スキルの停滞は異常だとさえ思えます。



EC化が、それほど進んでいない理由は、この『利益』と『不安』にあるのではないでしょうか。

初期投資を抑え容易に参入できるはずの電子商取引が、驚くほどの必要経費が掛かり、利益確保が難しいという事実。

電子商取引が拡大を続けながらも、信用を確保できるだけの環境が整えられずに、取引に不安を抱かざるをえないという事実。

この2つを解決できれば、ネット通販は更なる飛躍を遂げるのではないでしょうか。



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