中小企業の経営者である債務者と、債権回収を図る債権者の間には、様々なドラマが存在します。
通常の取引の場面でもそうですが、債権債務処理に関わる場面ではなおさらです。
債務者がご高齢であったり、お身体が悪かった場合などは、信じられないような展開のドラマになったりもします。
あの強面の債権者が、ご高齢者や身障者に対して、思いがけない様な人間味を持った対応を見せることがあるのです。
この様な、ご高齢の債務者と、自宅を担保に取っている信用保証協会との対応方法について、興味深いお問い合わせをいただきましたのでご紹介したいと思います。
お父様は事業を失敗されて多額の不良債務を抱え、自宅が信用保証協会の担保になっています。
信用保証協会は、半年間は処分の猶予により月々5000円の支払いでしたが、猶予期間も終わり、先日、手紙が届いて、任意売却の方向で動いているという話と共に、毎月3万円の支払いを要求してきました。
当事者の父親は85歳の高齢であり、母親は介護が必要な状態です。
収入は、年金の2カ月に一度入る15万円ほどしかなく、息子である私が毎月援助しなければ生活できないような状況です。
父親は、高齢のために信用保証協会と直接交渉できる能力もありませんので、手紙を書いて返信しようかと思っております。
高齢であり、介護が必要であり、年金しか収入源がなく、どんなに頑張っても月2万程度しか支払えませんが、年老いた両親にとって思い入れのある家なので、どうしても住んでいたいという思いを書いて送ろうとおもいます。
信用保証協会は、こんな理由だけで納得するほど甘くないとおもうのですが、どうでしょうか?
なにかよいアドバイスがあれば教えてください。
以上の様なお問い合わせをいただきましたので、以下の内容で返信をさせていただきました。
信用保証協会は、不動産による債権回収にこだわる組織ですので、お問い合わせの様な対応をされても仕方がないと思います。
ただ、任意売却は、担保権者の同意の下に、所有者(債務者)が実施するべきもので、所有者の同意なしに担保権者が実行できるものではありません。
担保権者が、強制的に不動産を処分して債権回収をするには、競売という手続きになると思います。
今後の対応として、ご自宅の実勢評価額と担保残債額の関係が問題になります。
もしも、担保残債よりも自宅評価が高ければ、最終的には、不動産処分により完済できることになりますので、様々な対応が可能になり、信用保証協会の対応もフレキシブルになることが多い様です。
担保残債よりも自宅評価が低ければ、毎月の弁済額を上げることを要求されるでしょうし、それが駄目なら不動産処分を迫られる流れになってしまう可能性が高いでしょう。
お問い合わせについては、詳細まで把握出来ておりませんが、多分、オーバーローンの状況だと考えられます。
また、信用保証協会の立場として、ご高齢者や身障者の方に対して、債権回収の姿勢は緩いという傾向があります。
したがって、一般的な対応方法として、手紙にて状況を説明するのは有効だと思われます。
そして、その手紙の内容として・・・
1. 所有者であり、債務者であるご両親が、ご高齢であり介護が必要な状況である事実。
2. ご両親の収入が、年金だけであり弁済に限度があること。
3. ご両親が、もしも自宅を追い出されたら、路頭に迷うしかないこと。
これらの内容について、手紙にて、ご説明をされるべきだと思います。
もしも、これでも効果がなければ、県会議員に相談をしてみてください。
信用保証協会を所轄しているのは県議会などの行政であり、当然に信用保証協会も配慮を示す傾向があります。
ご両親の年齢や介護が必要な状況は、行政として当然に留意すべきことですから、県会議員も動きやすいですし、当然に動くべき内容だろうと思います。
以上の様に、ご返答しましたが、1つ検討すべき問題があります。
手紙の差出を、お父様本人にするか、息子さんにするかということです。
本来は、息子さんは第3者ですから、この債権債務処理に直接に関わることはできません。
しかし、当事者であるお父様がご高齢で対応が難しいのですから、実の子供であり法定相続人になりうる立場として、関わることは了承のもとに可能です。
この場合、息子さんに保証を求められるという不安はありますが、この段階においては人格が違い相続人でもありませんから、恐れることはないでしょう。
また、息子さんとして、生活の面倒などについて追及される恐れもありますが、信用保証協会には関係のない話ということになります。
したがって、手紙などの対応については、ご高齢のお父様に成り代わって、息子さんが対応されるのが適切ではないかと思います。
それでも、交渉が難航する様であれば、ご両親が亡くなった後には、息子として限定承認などで自宅を相続し、任意売却で出来るだけ多くの弁済を実施する等の説明を加えれば、効果的な交渉になるのかもしれません・・・。
◆ 会社再生・経営危機打開・事業承継のためのオンラインセミナー
↓
YouTubeチャンネル
◆ 詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
↓
トップ経営研究所 ホームページ
↓ランキングです クリックして応援してください
人気ブログランキングへ
ランキングです クリックして応援してください
↓