かっとばせ借金 打ち勝て倒産!!

資金繰りが悪化した中小零細企業の、経営危機打開や事業再生へ向けてのお手伝いをさせていただいています。 経営危機場面での知識や情報をご提供し、従業員や家族のために命がけで闘う経営者が、諦めずに闘う現場を善戦苦闘日記としてご報告いたします。

仕入先

取引先に支払えない・・・


借入をしている金融機関も、税金や社会保険,保険やリース,そして取引先や従業員なども、中小事業者にとっては債権者ということになります。

債権者とは、債務者に対して、一定の給付をなすべきことを請求しうる者のことになりから、事業を展開するにおいて様々な債務者が存在して当然だといえるでしょう。

これらの債権者に対して、債務者である中小事業者は、公正かつ誠実に給付(支払いなど)をしなければなりませんが、経営状況により、支払いが困難になることもあります。

そんな時、中小事業者は、債権者への支払いをどの様に捉えるべきなのでしょうか。



資金繰り悪化で、支払い資金が不足した時、創業経営者やご高齢の経営者には一つの傾向が見受けられます。

それは、借入をしている銀行などの金融機関に対してだけは、最後まで約束通りに借り入れを弁済しようとされることです。

金融機関とさえ、健全な関係を維持できれば、経営は維持できるというお考えがあるからです。

しかし、仕入先や外注先などといった取引先に対しては、支払いの見直しをされることなどに躊躇はありません。
支払を延ばしたり、減額したり・・・と、取引先の資金繰りなどお構いなしに、自社の都合で無理を要求されます。

簡単に考えて取り組まれるのでしょうが、これは順序が全く逆であり、根本的に考え方が間違っているのではないでしょうか。

経営を維持したいなら、まず金融機関に元本返済の棚上げをお願いすべきであり、経営を維持するためには、取引先との対応が重要であり、健全な関係を維持することを優先しなければなりません。

しかし、本当に資金繰りが厳しくなり、取引先にも無理をお願いしなければならない、そんなこともあるのが中小事業者経営だといえます。

そんな時に、取引先との健全な取引を維持しながら、できるだけスムーズに対応する方法について考えてみたいと思います。

まず理解すべきことは、取引先にも色々とあり、対応を変える必要があるということです。

お取引の歴史や企業の規模、さらに経営健全性などにより、一括に捉えて取り組むのではなく、取引先との関係や状況に配慮して対応することが必要となります。

金融機関だけ無理を言ったり、取引先を区別して支払いをしたりすれば、偏波弁済だと追及されるのではと心配される方もおられるかもしれませんが、それは法的手続きの場合の話です。
(偏頗弁済とは、債務者が特定の債権者だけに返済したり、担保を提供したりすることで、特定の債権者を優遇する詐害行為のこと。)

今は、任意での再生手続きになりますから、資金繰り確保の対策の中で、そんなことを心配する必要はありません。

無理をお願いした悪影響を、出来るだけ抑えるために、様々なことに配慮し、無理をお願いする対象を絞る必要があるのです。

中には、支払い時期を少し遅らせただけで、資金繰りを困窮させる取引先がないとも限りません。

そんな取引先は避けて、経営に悪影響など与えないだろうと想定される取引先に限定して、お願いをする様にすべきでしょう。

さらに、取引先に支払の変更を依頼する場合に留意するもう一つの目的は、信用不安を流出させないことになります。

だからこそ、依頼すべき対象を限定すべきなのです。

その時には、できるだけ対象となる取引先数を減らすことも重要になります。

対象を選定する基準は、取引先の経営状況を中心に、お取引の歴史や企業の規模で判断することになります。

取引の依存度の高い小さな事業者にばかり、無茶を言う事例も少なくありませんが、これは間違った対応であり、結果が跳ね返ってくる可能性が高いので回避すべきだと思います。

支払いの遅延をお願いする時には、何故、この様な依頼をするかや支払時期について具体的にご説明して、取引先の経営に影響を与えないことと、信用不安の流出回避に留意しての対応をお願いいたします。

また、支払いの遅延をお願いするタイミングは、支払日よりも少し前で、取引先が対応できる余裕を持ってください。

特に、支払手形を切っている場合は、ジャンプの依頼をすることになりますが、割引きに回っていたり、裏書で支払いに回されているとジャンプも難しくなります。

したがって、できるだけ早いタイミングでの依頼が有効になりますし、次の対応が可能になります。


取引先への依頼が、1度で終わる場合はこれで何とかなると思います。

しかし、何度も繰り返される場合はどうすればいいのでしょうか。

取引先の、信用面での不安は随分と大きくなっているはずなのです。

この信用不安に対応するために、もう一度、今後の展開について考えてみる必要があります。

まず、本当に、無理をして資金繰りを確保する必要があるのかと考えてみてください。

今後の展開が見えてこないのであれば、事業の継続を諦めて、整理を選択すべき道も見えてくるでしょう。

それでも、再生の可能性があり、事業の維持を目指すという判断になれば、意味ある資金繰り対策にするべく、取引先に丁寧な説明が必要になります。

現在の経営状況や資金繰りについては当然のこと、今この展開予測などについても 根拠を持って説明しなければなりません。

中には、保証金の要求や、担保もしくは経営者保証の提供を求めてくる取引先もあると思います。

この様な要求があった場合も、懇切丁寧に対応することが前提になりますし、場合によれば、経営説明会議的な場を用意して、さらに踏み込んだお願いをした方が、良い結果につながるのかもしれません。

当然、倒産の報告ではなく、お願いの内容は支払いの遅延であり、場合によれば、経営状況を理解していただいたうえで、債権の一部カットにまでなるのかもしれません。

この様な経営説明会議を開催するのであれば、金融機関などは対象から除外し、対象となる取引先も少ない方が取り組みやすくなるのは当然です。

取引先が20社程度以下であるのならば、1社ずつ回った方が、良い結果を得られるのかもしれません。



どう考えても、取引先に支払いの遅延をお願いするのは、経営面でのリスクが大き過ぎるといえます。

本来は、回避すべき取組みなのですが、どうしても取り組む必要のある場合は、短期に限定するべきです。

長期もしくは複数回の支払い遅延になるようであれば、取引停止や信用不安につながる可能性が高くなり、経営を維持すること自体が困難になってくるでしょう。

お取引先に、支払いについて無理をお願いするのは、取り返しのつかない結果につながる可能性がありますので、慎重に対応しなければなりません。





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得意先より、債務者に・・・・



お得意先にはペコペコしているくせに、下請けさんには偉そうにしている経営者がおられます。

日本の全ての企業において、今でもよく見かける光景であり、お客様は神様ですという言葉もありますから、日本という土壌においては当たり前なのかもしれません。

しかし、この様な得意先や取引先との対応については、実は大きな理解が抜けている様に思います。

得意先や取引先とのお金の流れを考えれば、ペコペコしなければならないのは取引先なのかもしれないのです。



初歩的な話になるかもしれませんが、債権者と債務者の意味について、再確認をしてみたいと思います。

債権とは、一定の給付を要求する権利のことで、債務とは、一定の給付を要求される義務ということになります。

したがって、債権者とは、債権を持っている者で、他の人格に対して、何らかの履行を求める権利を持った者です。

そして、債務者とは、債務を負っている者で、他の人格に対して、何らかの履行を負担する義務を負ったものということになります。

商売におけるお金の動きで考えれば、お金を請求する権利者が債権者であり、お金を請求される義務者が債務者となるのです。

すると、商品を提供してその代金を請求する相手である得意先は債務者であり、商材を提供してもらい代金を支払う相手である取引先は債権者であるということになります。

債権者と債務者のイメージからすれば、得意先と取引先のポジションが逆のようにも思えますが、これが事実なのです。

得意先が実は債務者であったといっても、仕事をいただけるお客様ですから配慮するというのは当たり前でしょうが、仕入先や外注先といった取引先に、偉そうな対応をするというのは問題であるということが判ります。

取引先が、履行を求める権利を持った債権者であるというのは、今後のお付き合いにおいて大きな意味があり、最善の誠意と配慮をもって対応すべき相手であるということなのです。

そして、多くの中小企業の経営者は、この点において、考え違いをされているように思います。



健全な経営時においては、昔ながらに、仕事を発注しているという意識をもって、仕入先や外注先といった取引先に上から目線の対応も、ある程度は許されるのかもしれません。

しかし、いつまでも健全経営が続くという保証はどこにもありません。

万が一に、資金繰りが厳しい経営状況に陥った時に、日頃の取引先との対応が大きな影響を与えることになります。

仕入先や外注先といった取引先と、好意的で良好な関係を築くことができていれば、資金繰りにも協力をしてくれるかもしれません。

しかし、日頃の高飛車な対応に嫌悪感や抵抗を抱きながらも、あくまでもビジネスと割り切って取引をしていた業者は、債権者としての牙をむいてくるかもしれないのです。

資金繰りに協力をするどころか、売上債権の保全を優先させ、取引停止や保証人・保証金の要求,担保提供を要求するなどしてくる可能性があります。

中には、直接に債権回収に走る取引先もあるかもしれませんが、債権者である取引先としては、非難される行為とはいえません。

人と人としての関係が上手く確保できていれば、この様な対応には繋がる可能性は高くないと思います。

発注元としての優位な地位が揺らぐと、過去の取引先との姿勢やポジションが、露骨に影響をしてくることになるようです。


債権者集会などにおいても、この関係は明確に表現されることになります。

厳しい対応が予想されるのが債権者集会ですが、好意的で良好な関係を築くことができていれば、債権者としての取引先が驚くような好意を示すこともあります。

大きな不良債務を抱えることになったのに、『社長、頑張って、早く復帰しください・・・』と、背中を軽くたたいて励まされる取引先債権者がおられます。

『今まで、ありがとうございました・・・』と、過去の取引について感謝される取引債権者もおられるのです。

これらは、経営者が取引先に対して、健全な頃から配慮し誠意のある対応をされてこられたことを、如実に物語っていると思います。



経営危機を考えると、常日頃からの債権者への対応が、いかに重要なのかが判ります。

たとえ、仕入先や取引先であろうとも、対等の立場で誠意のある対応をしておくことが、債権者への対応として必要なのです。

そして、借入をしている金融機関はもちろんのこと、従業員さん等の多くの債権者に囲まれて、事業を維持していることを忘れないでください。



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経営危機で見る、取引先の人情・・・


仕入業者や外注業者などの取引先とは、利害関係で結ばれています。

彼らは、商品を提供することにより、収益を確保しようとする関係ですから、得意先が経営危機に陥ると、真っ先に対応を変化させるように思われます。

金の切れ目が縁の切れ目という、そんな感じの関係のように思われるのですが、現実は、そんな手の平を返す様な事例は多くないようです。


商売において、『得』か『損』か、というのは重要な判断基準であり、金融機関などは如実にこの価値観で判断をしてきます。

一般の取引先業者も、当然にこの基準は重要な要素なのですが、金融機関とは違い、人としての感情が優先するところがあるようです。

日頃から、得意先への感謝の気持ちがあれば、損得よりも優先する対応をとることが少なくありません。

  得意先とのお付き合いが、何十年に亘るものであったり・・・

  今まで、ずっと健全なお取引をしていたり・・・

  経営者からも、いつも誠意ある対応をしてもらっていたり・・・

この様な、良好な関係が存在すれば、経営危機に陥ったからと言って、即座に手の平を返す様な対応はなかなかとらないものなのです。

今までの、取引先への姿勢が、結果として如実に表れてくるのです。


資金不足で、取引先に支払条件の変更をお願いする場合、そんな簡単に了解してくれるとは思えません。

たしかに、取引先にも資金繰りがありますから、無条件で了解してくれるものではないでしょう。

しかし、今までの関係が健全であれば、想像以上に前向きに対応してくれることが多いものなのです。

倒産されるよりは、支払を猶予した方がましだという、損得勘定も働くのかもしれませんが、人としての感謝の気持ちがもっと大きく作用しているのだろうと思います。

債権者集会なと、倒産に絡む場面においても、損得よりも優先した人の情を取引先に見ることは少なくありません。

倒産をすると、得意先への売掛債権は、ほとんど配当も実施されず、大きな損失を被ることになりますから、本来であれば、恨みつらみの表現して当然だろうとも思います。

実際、得意先の経営者に対して、罵詈雑言を投げつける得意先も散見しますが、けっして多くないのです。

逆に、経営者のその後の生活を心配したり、今までの感謝を述べられる取引先は少なくありません。

ある債権者集会が終わり、参加者を見送るために頭を下げ続けておられる得意先の経営者に、下請と思われる初老の職人さんが歩み寄り、

『 社長、本当に長い間お世話になりありがとうございました。また、必ず、戻ってきてくださいよ。 』

涙を流しながら、頭を下げてお礼と励ましの言葉を述べられたのです。

私は、この光景を傍で見ていたのですが、思わず貰い泣きをしたことを忘れられません。

弁護士さん抜きの、任意の債権者湯集会で、紛糾することも予想されたのですが、何ら揉めることもなく僅か30分程で終了したのは、経営者のお人柄だったのでしょう。



当然、逆の作用が見られる事例も存在します。

  取引期間が短かった場合や・・・

  常日頃から、無理な要求をしてきた場合・・・・

  高圧的で、約束を守らないことが多かった場合など・・・

こんな、人として批判を受ける様な対応をしてきた場合は、損得を最優先した対応をとられることになります。

ここぞとばかり、今までの恨みを晴らすかのように、厳しい対応をとられることになるのです。

金融機関と違い、素人は取り立てが厳しくなります。

整理をするときなどは、こんな取引先は、債権者一覧から消しておきたいものです。



経営危機に陥っても、取引先が即座に手の平を返した対応をしてくるとは限りません。

会社としてのそれまでの対応が、結果として表れる場面であり、経営者が経営者としての資質を実感させられる場面でもあるのです。

経営者は、このことを念頭において、人として常に謙虚な経営を心掛けるべきなのでしょう。



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資金繰りのテクニック 支払の分割


返済猶予と違い、支払猶予が簡単ではないことは前回のブログでご紹介しました。

専門家の立場からいえば、本来であれば考えたくもない、絶対に取り組みたくない資金繰り確保の方法だと思います。

しかし、この場面の資金繰りさえ確保できれば、将来の目途が立って展開が開けている場合などに、どうしても取り組まなければならない時もあるのです。

そういう時に、仕入先等の取引先へ支払猶予をお願いする場合にやいて、交渉を進めるうえでの注意点を事前に十分に理解しておく必要があります。

支払猶予は、返済猶予よりも、はるかに複雑で難しいと考えて取り組むべきなのです。


支払猶予をお願いする場合の、具体的な留意点をご紹介していきます。

まず、もっとも大事なことは、支払猶予をお願いする取引先に安心を与えることです。

突然に支払猶予をお願いされた債権者は、いったい何があったのかと驚き、倒産して回収出来なくなると思って当然でしょうから、「大丈夫」だということを根拠をもって説明して安心させなくてはなりません。

現状の経営状況を説明し、今後の経営改善を中心とした再生までの流れや、資金繰り計画を提示し具体的に納得してもらうのです。

今は資金繰りが大変厳しいが、ここを乗り切れば、経営も資金繰りも改善し、猶予してもらった支払は問題ないことを理解してもらいましょう。

支払猶予をしてもらえなければ資金不足に陥り倒産してしまい、全く支払い出来なくなるかもしれませんが、支払猶予をしてもらえれば経営は正常化し、支払の不安はなくなるということなのです。

返済猶予と同じように、支払いも猶予してもらった方が、取引先も最終的には得になることを判ってもらうのです。


次には、猶予してもらった支払を、今後、どのように返済させてもらうか説明します。

当然に、その後は約束通りに返済しなければなりませんから、事前に数字を精査して可能な支払条件を策定してください。

その支払方法は、一時払いと分割払いの組み合わせになることが多いようです。

支払全額を均等に分割で返済するのも方法かもしれませんが、債権者の立場としては一時払いか無ければ資金繰りが厳しいでしょうし、誠意を見る意味でも不安になるでしょうからできるだけ避けたほうがよいでしょう。

一時払いの割合としては、20%〜50%ぐらいになるでしょうが、当然に多い方が取引先は喜ぶでしょうし、少なければ支払は楽になりますので、収支計画や資金繰り表からバランスのとれた無理のない数字を計算してください。

分割については、支払額から一時払い分を引いた残額を分割することになります。

分割払いの期間は3カ月から12カ月が一般的でしょうが、半年の6回払いぐらいにするのが、取引先の同意は取り易いようです。

また、1年(12か月)を超える分割は、取引先の同意が取りにくくなりますのでの、出来る限り避けたいものです。

支払猶予において、これらの配慮は重要ですが、一時払い額も、分割期間も、資金繰りが成り立つことが前提になりますので、当然に資金繰りを優先して決定してください。

ただ、収支計画や資金繰り表により数字を精査したときに、絶対に留意していただきたいのは、支払猶予による分割でも支払うことが難しいと判れば、再度、支払猶予を依頼するかどう検討し直すということです。

支払猶予をすると、企業の信頼は損なわれますし、取引先に大きな負担を強いることになります。

それなのに、資金繰りが破綻し、会社が倒産すれば、取引先を裏切ることになります。

支払猶予によっても資金繰り確保出来ないのであれば、取引先にお願いするべきではなく、違う方向性を選択する段階にきていると認識すべきではないでしょうか。

この段階での無茶な資金繰りは、間違いなく今後の展開を悪くさせます。


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資金繰りのテクニック 取引先への支払猶予


金融機関への返済猶予と、仕入先等の取引先業者への支払猶予では全く意味が違います。

支出を猶予してもらうのは同じなのですが、関係者に与える影響の大きさや、今後の経営に与えるダメージが根本的に違った結果になるのです。

そういう認識も持たずに、支払い猶予に取り組むのは、経営の維持を放棄したような自殺行為でしかないでしょう。

仕入先等の取引先業者へ支払猶予を依頼する場合は、そのリスクを十分に認識し、交渉方法を具体的に理解してから着手することが大事です。


銀行などの金融機関には、厳しい守秘義務が課せられています。

中小企業金融円滑化法における債権者間の情報共有は、債務者の同意を前提とした特殊な事例であり、それ以外においては、金融機関から債務者の情報が流れ出ることなどは有り得ないのです。

しかし、取引先には、そんな意識はありません。

取引開始時に、守秘義務契約を結んでいたとしても、どこかから漏れて当たり前だと認識しておかなければなりません。

経営危機で一番怖いのは、根拠のない信用不安情報の流出ですから、この点において大きなリスクを抱えることになってしまいます。


金融機関は、以前から、状況を考慮して返済猶予には前向きに取り組んできました。

中小企業金融円滑化法が施行されてからは、正常な経済活動と考えて積極的な姿勢を見せるようになりました。

結果を考えれば、不良債権にして法的手続き等の手段を用いるよりも、はるかに効率的で効果的だからなのです。

しかし、仕入先等の取引先は、支払猶予について結果を考慮するような知識や、その他の対応すべき方法等の知識を持っていません。

何よりも、予定していた入金が遅れるということで、その場の感情を優先させて動いてしまうのが普通なのです。

取引先は、スキルがないから、支払猶予の依頼を破綻と直結させて捉えてしまうのです。


さらに、金融機関は様々な金融において様々な経験を積み高いスキルを持ったプロです。

したがって、最後には、得か損かの判断で金融機関は取り組んでくれますから、返済猶予が成功する可能性は高いのです。

しかし、仕入先等の取引先は、経験や知識が乏しいうえに、財政的な体力がありません。

支払猶予に協力したくても、財政的に資金不足になってしまうのなら協力できませんし、最悪、経営危機に陥ったり、倒産してしまう可能性もありますから、簡単に支払猶予に応じられないのです。


金融機関への返済猶予と、仕入先等の取引先業者への支払猶予についての、これらの違いをまず認識してから、支払猶予に取り組んでください。

取り組むリスクが余りにも大きすぎて、本来なら回避したいのです。

しかし、資金繰りを確保するために、他に手段がなければ取り組むしかないのですから、その場合には十分に注意して取り組みましょう。


また、仕入先等の取引先に支払猶予するというのは、資金繰りの悪化が著しく、極めて追い込まれた経営危機状況であることが多いものです。

そんな状況で、再生の見込みがないのに、今だけの資金繰りを確保するために支払猶予をするというのは問題です。

今後の展開を考えれば、その支払猶予が足を引っ張ることになりますから、冷静に状況判断をされることは絶対に必要です。


具体的な支払猶予の取り組み方法や、取引先の支払猶予の典型である手形のジャンプについては、次回のブログで、さらに深く掘り下げてみたいと思います。

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仕入先へ、支払の猶予を依頼・・・


金融機関に返済猶予はしてもらったが、それでも資金が回らない・・・

次に考えるのは、仕入業者や下請業者への支払猶予しかないのでしょうか。


しかし、仕入先等の取引先への支払猶予は、金融機関への返済猶予とは全く意味が違い、本来はお勧めできるものではありません。

資金繰りを確保するために、金融機関への返済猶予は積極的に実行すべきものですが、外注や仕入先等の取引先への支払いの猶予は、その後の展開を考えれば簡単に手をつけることはできないと思います。

たしかに、取引先も金融機関と同じ債権者ではありますが、担保や連帯保証人も取っていませんし、なによりも支払猶予を依頼することで信用不安が一気に広がってしまう可能性がありますから、よほどの事が無い限り支払猶予はお願いすべきではありません。

経営の維持・継続を考えるなら、取引先への支払は従業員の給与と並んで優先すべき債権として扱うべきなのです。


しかし、将来の展開の可能性があり、一時的に取引先の支払を猶予してもらえれば資金繰りが確保できる時など、どうしてもの場合に、一時的に資金繰りを確保するために取引先へ支払い猶予をお願いする場合もあるでしょう。

このような場合には、分割支払等により取引先に大きな負担が掛からない内容での支払猶予を心がける必要があります。

無理をお願いできる取引先に限定するのか、すべての取引先に横並びの条件でお願いするのかは状況によるでしょうし、その他にも支払猶予をお願いする色々なパターンがあると思いますが、大事なことは出来るだけ不安を与えないということです。

また、支払猶予を依頼した取引先から、担保として手形もしくは小切手を要求されたり、社長の個人保証や担保の提供を要求される可能性もありますので、事前に対応を検討しておく必要もあります。


取引先の支払猶予についての事例がありますのでご紹介したいと思います。

広告業界は、リーマンショックの影響をもっとも受けた業界かもしれません。

クライアントの発注量は減り続け、それに伴い発注単価も削減が続き、業界自体が沈没の危機にあるといえます。

Aさんの広告会社も、ご他聞にもれず資金繰りが厳しくなり、リストラも事業面・業務面・財務面において徹底的に断行しましたし、金融機関の借入金についても元金の返済猶予をしてもらいました。

それでも、資金繰りは厳しく、Aさん自身はまともに報酬を取れない状況になっています。

そんな時に、ポジティブに考え積極的に動いていた営業において、約1年間に亘って定期的に売り上げが確保できる仕事が入ったのです。

しかし、資金繰りは厳しく、今月末の取引先への支払いが大きく不足しています。

せっかく大きな仕事が確保できて、将来の目途が掴めそうなのに、ここで諦めて倒産するわけにはいきませんから、取引先に支払いを猶予してもらって資金繰りを確保するしか方法は残っていません。

色々と調べたり、専門家に相談したりして、今月は支払いを半額にしてもらい、残りを6ヶ月間の分割でお願いすることにしました。

取引先に集まってもらって1度にお願いしようかとも思いましたが、取引先数が20件弱と少ないため、支払額の大きい取引先から1件ずつお願いに上がりました。

細かい対応は分かれますが、長年のお付き合いが健全であったことや、今回のお願いが事前の対応で誠意が感じられ、最終的には満額が支払われるということで、最終的には全取引先に承諾を得ることできました。

一度で承諾が取れた取引先があれば、何度も足を運ばされた取引先もあります。

保証に、社長の個人保証を要求した取引先や、手形を要求した取引先もありますが、誠意を持って根拠を説明し横並びの条件で支払猶予をお願いすることにより、最終的には承諾を取ることができました。

これで、最低でも半年間の資金繰りを確保することができたのです。

大きな仕事が決まったことにより、取引先の協力を仰ぐという社長の判断と、スムーズな協力を取り付けた社長の行動力が、会社を倒産から救ったといえるのです。

もし、あの時に諦めていれば、当然に会社は倒産し、取引先も連鎖倒産する可能性があったのですから、この社長の判断は間違っていなかったといえます。


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