今まで以上の勢いと強さで、コロナウイルスの第5波が押し寄せています。
ワクチン接種が随分と進んだはずなのに、この第5波は、どうも合点がいきません。
そして、ワクチン接種の進捗と共に、感染は縮小し、経済も回復するだろうということでしたが、これも不確かな話にしか思えなくなってきました。
それなのに、まだまだ不透明感の続く経済環境において、株式などの投資が元気なのも不思議です・・・。
この環境で、積極的に投資をされている方の話を、耳にすることが多いようです。
たしかに、景気の底打ち期が、投資の格好のチャンスであることは間違いありません。
そして、ワクチン接種が随分と進み、これで感染は縮小し、経済も回復するだろうということですから、絶好の機会だといえるのかもしれません。
しかし、経済の実態は、そんな生易しい環境ではなく、まだまだ景気は低迷を続ける状況ではないでしょうか。
大きな勘違いをしようとしているのかもしれません。
経済のルールが適用しない、コロナウイルスという異常環境下において、正しい答えなど簡単に見つかるはずがないということに、これだけ翻弄されても気づいていないのでしょう。
世界的に経済が低迷する環境において、人々は投資の手を緩めようとはしない。
本来、下落しなければならない株価のはずが、一進一退はあるものの、投資の勢いが衰えようとはしていません。
不動産においても、頃合いを見図る動きを前提に、投資対象として市場は動いているのです。
経済が低迷すれば、金融関連投資も低迷し、株価も不動産も下落するというのが経済の原則であり常識であったように思います。
あのバブル崩壊やリーマンショックによる大不況も、その経済原則に則った動きを明確に示し、踏み外すことはありませんでした。
しかし、このコロナウイルス感染による経済低迷は、景気と投資が全く連動していないという、信じられないような状況になっています。
今、それほど、異常な経済環境になろうとしているのかもしれません。
それでも、ワクチン接種が順調に進めば、コロナウイルス危機は収束するのでしょう。
予防や治療法のないコロナウイルスだから、これほどの大混乱になっているわけであり、ワクチン接種が進めば終息に向かうのは当然だといえます。
ただ、ここで大事なのは、コロナ騒動の終息と、景気回復は一体ではないということです。
コロナウイルスが、世界景気を悪化させた原因であることは、厳然たる事実だと思います。
しかし、昨年初頭からの景気悪化についての原因はそれだけではなく、様々な要因が存在する中で、タイミングが合ったせいでコロナウイルスが全ての原因だとされてしまっています。
日本国内に限定すれば、一昨年の消費税増税直前から景気は低迷をはじめていました。
それが、年を越えて悪化が顕著になる直前に、コロナウイルス感染が拡大し、景気が一気に悪化したというのが現実です。
世界的にも、アメリカや中国という経済大国の景気が低迷期に差し掛かっており、何よりもドイツを中心とするEU圏は、金融を根本から揺るがすほどに経営環境は変化していました。
まさしく、これから景気が本格的に悪化するというタイミングで、コロナウイルス感染が拡大したといえます。
そして、コロナウイルスの感染拡大が、都合よく、この景気悪化の原因とされたのです。
それだけではありません。
実は、景気に悪影響を与えるかもしれない、もっと大きな問題が発生するかもしれないのです。
2008年9月15日に発生した、リーマンショックを覚えておられる方は少なくないと思います。
米国の大手投資銀行であるリーマン・ブラザーズの倒産が引き金となり、世界を巻き込む大不況が発生したものですが、その原因はサブプライムローンの破綻・不良債権化にあります。
サブプライムローンとは、アメリカの信用力の低いサブプライム層を対象として、彼らの住宅購入用途向けのローンのことになります。
信用力の低い融資を可能にしたのは、担保として購入する住宅に抵当権を設定し、抵当権の付いた住宅ローンをCDO(債務担保証券)という証券化商品として、市場から資金を集めることができたからです。
抵当権があるとはいえ、信用力の低い融資の証券化商品ですから、当然に高いリスクがあることが分かっていたはずなのですが、リーマンショック前には100兆円を超えるほどのサブプライムローン残高になっていました。
そして、予想されていたように、当たり前の如くサブプライムローンの債務不履行が発生し、リーマンショックが発生したのです。
現在、同じ様なことが、同じアメリカで発生するかもしれない状況になっています。
サブプライムローンのCDO(債務担保証券)は住宅を購入した個人が融資対象ですが、法人を融資対象としたCLO(ローン担保証券)という証券化商品があります。
どちらも多くはアメリカで作られた商品であり、高リスクという共通点があるといえます。
このコロナウイルス感染の経済環境では、一部の優良企業を除き、ほとんどの法人は業績を悪化させておりますから、CLO(ローン担保証券)が不良債権化しても何ら不思議ではない状況だといえるのではないでしょうか。
そして、CLO(ローン担保証券)は、今、80兆円を超える残高になっています。
さらに、そのうちの18%は、なんと日本のメガバンクなどが投資しており、農林中金は5兆3000億円以上も投資しているというのです。
低金利の続く日本ですから、金融機関がハイリターンの投資をするのは仕方がないのかもしれませんが、ハイリスクでもある投資だといえます。
いやいや、CLOは法人が対象の融資だから、サブプライムローンとは違い、連鎖的に破綻が発生する可能性は低く、それほど心配する必要ないという専門家も少なくありません。
しかし、彼らは、大きなことを忘れているのではないでしょうか。
誰も経験したことのない、コロナウイルスによる展開の予想できない環境であり、比較の仕様のないほどの不況に陥っているという事実を・・・。
コロナウイルス感染という異常事態は、経済を狂わせ、景気を勘違いさせているのかもしれません。
構造的に景気が低迷しているという現実を、コロナウイルスが覆い隠してしまっているといえます。
したがって、コロナウイルスが終息したからといって、景気が回復するわけではありません。
むしろ、コロナ終息後、本格的な経済停滞が始まるといえるのではないでしょうか。
けっして、ローリスクでハイリターンの投資が存在するような環境ではないといえるでしょう。
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