かっとばせ借金 打ち勝て倒産!!

資金繰りが悪化した中小零細企業の、経営危機打開や事業再生へ向けてのお手伝いをさせていただいています。 経営危機場面での知識や情報をご提供し、従業員や家族のために命がけで闘う経営者が、諦めずに闘う現場を善戦苦闘日記としてご報告いたします。

中小企業

今後の、重要キーワード・・・


今、中小事業者にとっては、想像を超える様な厳しい経営環境になりつつあるようです。

急激に資金繰りを悪化させて、倒産に至る事業者が増加しています。

ひよっとすると、リーマンショックを超える様な、歴史に残るような不況期に突入しているのかもしれません。

しかし、この不況を何と呼べばいいのでしょうか。

なぜなら、不況の概念を覆すような、経験したことのない変わった不況だからです。

今までの不況と比較すると、明らかに幾つかの点において異なります。

まずは、不況が世論において、具体的に認識されていません。

これほどの不況であれば、危機感を煽るかのように、まずマスコミが報道をするものです。

ところが、マスコミは不況と捉えていないのか、それに関する報道がありません。

行動制限解除によりコロナ危機が終息し、経済が回復に向かっているという様な報道は、頻繁に目にします。

中には、輸出製造業やサービス業,商社などの好調を伝え、さも好景気であるような報道も珍しくありません。

中小事業者が資金繰りを悪化させて、倒産が驚くほどに増加しているという様な現実がほとんど報道されないのです。

政府も、現状の経済危機を喧伝したり積極的に施策を発表したりしていませんから、この厳しい現実が正確に国民に伝わるのは困難でしょう。

これでは、まるで景気が悪くないという様な誤解を与えかねない状況なのですが、この点が、今回の不況の大きな特徴だといえます。

また、バブル崩壊やリーマンショックなどの大不況は、全業種全事業者、総じて不況でした。

僅かな例外はあったでしょうが、業種や事業ポジションに関わらず、ほぼ全ての事業者が業績を悪化させていました。

大きな不況では、全体的に業績が低下し、総論的に景気が悪化するものなのですが、今回は、この点が随分と違います。

特定の業種や、一定以上の企業規模では、業績を確保できている事業者が珍しくなく、彼らにとっては好景気だといえる環境なのかもしれません。

それに反して、飲食業や小売業,製造業,建設業などの多くの中小事業者は、資金繰りを極端に悪化させて、いつ破綻しても不思議できない状況に追い込まれつつあるのではないでしょうか。

今回は、好況事業者も存在する、両極化した珍しい不況だといえるのかもしれません。

またもう一つ、過去の不況と異なる点として、その不況の原因が挙げられます。

我々が経験してきた過去の不況では、物価の下落が不況の根幹としての原因だったといえます。

最近は、スタグフレーションといったイレギュラーな不況も見受けられるようになっていますが、基本は物価下落・デフレが不況の引き金になっていたといえるでしょう。

物価下落により、将来の展開が不確実になり、その結果、需給のバランスが狂い本格的な不況へと展開していくものだったでしょう。

その過程において、消費は減退し、失業率なども上昇し、ますます環境が悪化するというのが、当たり前の不況のパターンだと思います。

ところが、現状は、物価は上昇を続け、失業率も悪くないのです。

これだけなら、好景気と勘違いする様な状況なのに、中小事業者の現実として深刻な不況になろうとしています。

何故、こんな不思議な状況になっているのかは、現在の売上と利益の関係にあるのではないかと思います。

本来、不況では、物価の下落とともに、売上の減少も発生し、その原因となります。

ところが、今回は、コロナ終息において確実に売上が回復に向かい、確保されつつある環境だといえます。

しかし、それに反して、利益の確保ができない状況に追い込まれてしまっているのです。

利益が確保できないどころか、原材料費の高騰などにより、日々、利益率が悪化を続ける状況になっているのではないでしょうか。

当然、中小事業者も、利益を確保するために対応し努力をされていますが、原価を抑えるのが極端に困難な環境になっています。

では、値上げをして利益を確保しようとしても、大手やメーカーとは違い、中小事業者には簡単な作業ではありません。

結局、利益の減少は、自ら被らざるを得なくなって、それにより資金繰りを悪化させて、経営破綻も覚悟しなければならない状況に追い込まれてしまっているのです。

これが、現在の不況の実態ではないでしょうか。

この不況は、中小事業者不況といえるのかもしれません・・・。



よく、不況を脱するには売上の回復だといいますが、今回の不況は全く異質のものだといえるのかもしれません。

その問題点は、単純に物価や売上で表現できるものではなく、色々な点に留意しなければならない複雑な意味が含まれているのです。

この様な難しい不況の危機も、自らの力で中小事業者は乗り越えていかなければなりません。

そんな時、頭に入れていただきたい不可欠な重要キーワードがあります。

それは、『適正価格確保』と『受注機会確保』の2つになります。

この不況の原因を把握し、対応していくために不可欠なキーワードとなりますので、次回のブログで具体的にご説明をしていきたいと思います。




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コロナの出口戦略

行動制限が解除されて以降、経営環境はますます悪化しているように思われます。

原材料高などで物価は上がるけど、景気は悪化をし続けるという、まさしく最悪のスタグフレーションに陥ってしまっているようです。

中小企業にとっては、全く先が見通せずに、日々、経営が厳しくなって不安な状況が続いているのではないでしょうか。

しかし、政府は、しっかりと施策を用意して、ゼロゼロ融資の出口戦略を組み立てていました・・・。



何度も繰り返しますが、コロナウイルス禍で実施された政府の施策は、今でも信じられない様な異常な内容でした。

無利子無担保のゼロゼロ融資や元本棚上げ前提融資や給付金など、今まで構築されてきた金融常識を覆すほどの施策が、当たり前の様に実施されたのです。

これらの施策があったからこそ、中小事業者は資金繰りの確保が可能になり、倒産を回避できたのだと思います。

また、金融不安の予防についても、大きな影響があったことは間違いありません。

この未曽有のタイミングで、これでもかという程に効果的であった施策でしたが、誰もが判っていながら口にしない大きな問題もありました。

それが、ゼロゼロ融資などの出口をどうするのかという問題になります。

平成21年のリーマンショック時に施行されたモラトリアム法(中小企業金融円滑化法)は、リスケジュールを法制化することで、中小事業者の資金繰りを確保して大量倒産を回避しました。

その効果は絶大でしたが、大量のゾンビ企業を発生させ、その後の日本経済を停滞させる一因であったことは記憶に新しいところです。

その経験からして、ゼロゼロ融資などについても、しっかりとした出口戦略を用意しなければ、大変なことになってしまうのではないでしょうか。

既に、ゾンビ企業が大量に存在する状況なのですから、このままでは、中小事業者の倒産が大量発生しかねません。

そんな難しい環境なのに、中小事業者は資金繰り施策を喪失しようとしているのです。

コロナ融資は既に形骸化し、雇用調整助成金なども終了し、中小事業者の有効な支援策が無くなりましたから、いったい政府は何を考えているのかと思っていました。

しかし、政府も現実を見据えていたようで、今後、期待できる施策を、しっかりと用意していた様なのです。

友人の政治家から教えていただいた情報になりますが、3月28日の国会の予算委員会の締めくくり総括質疑において、政府がゼロゼロ融資の出口戦略について明確に回答をしました。

その内容は・・・
  『債務免除』
  『返済の先送り』
  『事業再生の支援』
  『営業・経営の底上げ』

といった、4つのキーワードで組み立てられています。

『債務免除』については、コロナ後に向けての自民党の公約にもなっています。

具体的には、『中小企業の事業再生等に関するガイドライン』,『私的整理円滑化法』などを準備し、債務免除・債権放棄を容易にしようとしているようです。

中小事業者を絶対に見捨てないと、最終的には債権放棄をするという考えだというのでしょう。

『返済の先送り』についても、様々な具体策を用意し、返済の長期化を図ろうとしています。

公庫などの資本性劣後ローンを活用し、借金ではなく資本として扱い、返済負担を軽減し長期化を図ります。

また、信用保証協会の借換保証制度を活用して、リスケ債務ではなく正常債務として、破綻を回避したいようです。

制度見直しなどで、債務者区分を健全に維持し、融資の可能な状況を確保しようともしています。

この様に、返済を長期化して資金繰りを確保し、その間に『事業再生の支援』を実施して、経営の健全化を目指そうともしているのです。

具体的には、認定支援機関を活用して『経営再建計画』(経営改善計画)の策定を支援します。

計画策定により、中小企業活性化協議会と連携し、返済の長期先送りを現実化させるということになります。

そして、経営の改善によって、『営業・経営の底上げ』が可能となり、健全化に向かうということになるのでしょう。

経営が健全化に近づけば、新たな投資が可能になったり、新たな事業を立ち上げたりして、事業は活性化することになります。

その結果、当然に売り上げも向上し、正常な返済も可能となり、経済も回復するだろうというスキームを政府は描いているようです。


政府は、コロナウイルス禍による過剰債務の発生は、政府の責任だと考えているといいます。

人の流れを止める行動制限が、中小事業者の業績を悪化させて、資金繰り確保のためにゼロゼロ融資などを必要とさせたという捉え方になるのでしょう。

その責任として、債務免除などを含めた可能な限りの支援をして、責任のない事業者を見殺しにしないとまで言っています。

これらの事実を、中小事業者はしっかりと認識それるべきだと思います。

そして、今後、発令されるだろう施策や制度を理解し、適切に対応する様にしてください。


ただ、気にかかるのは、この政府の思いが、公庫や信用保証協会などの関係機関に伝わっているとは到底思えないこと。

そして、政府の描くプランにおいてのメインキーワードである『返済の先送り』は、ゾンビ企業を発生させる原因になるということです。



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政府は再生支援を諦めた・・・


政府は、中小企業の事業再生についての支援を、ついに諦めてしまったのでしょうか。

コロナ終息後に向けて、新たな施策が発表をされていますが、中小企業を直接的に支援するための施策とは思えません。

今までの施策は『事業再生』のためでしたが、最近の施策は『整理』を視野の真ん中に入れたものになっているのではないでしょうか。

まるで、中小企業の多くは、倒産しても仕方がないと考えているかの様なのです。



政府は、これから中小事業者の支援について、どの様に考えているのでしょうか・・・。

今まで通り、最善の支援策を様と実施して、経営維持や再生を図ろうとしていると考えたいところです。

ところが、最近の政府の施策を見ていると、どうも違う方向に動いている様にしか見えてきません。

このままでは、中小事業者の経営は更に厳しくなり、多くの事業者が倒産に至るだろうと考えている節があります。

何よりも、今までの様に、経営の維持を図る支援策を実施する気配が感じられません。

まるで、倒産を容認するかのような姿勢が見受けられ、その先に向けての施策を準備しようとしている様なのです。

具体的には、ある程度の中小事業者が倒産したり整理したりするのは仕方がないが、事業だけは維持できるようにしようという様な施策が続いています。

そう、コロナ禍においては経営維持や事業再生の施策が続いていましたが、行動制限を止めて経済優先の姿勢を明確にして以降、整理や事業維持を視野に入れた施策に転換しているのです。

ちょっと信じられない様な話ですが、これが現実だということを確認してみたいと思います。


まず、今まで政府の施策は、どの様に実施をされていたのでしょうか。

  1. コロナ流行初期…中小事業者の経営維持を最優先に、あらゆる政策を断行
  2. コロナ長期化で…中小事業者支援の政策が弱体化・形骸化する
  3. 行動制限撤廃で…金融面での支援策を中心に効果的な政策が終了
  4. 経済優先に転換…直接的な金融支援策を喪失し、経営維持から事業維持に

コロナウイルス発生後から今迄において、政府の中小事業者支援は、この様に転換をしてきました

そして、政府の支援施策の転換を顕著に感じるのが、最近の中小事業者向け主要施策になります。

中小企業の事業再生等に関するガイドラインが、昨年3月に運用開始されました。

債権放棄・債務減免が現実になるということで期待していましたが、メインテーマは事業再生ではなく、第3者への事業譲渡により事業の維持を図る内容になります。

現在の会社などは整理をすることになり、中小事業者にとっては嬉しい選択ではないでしょう。

私的整理円滑化法が準備されています。

今まで、債権放棄は全債権者の同意を前提としていましたが、過半数の同意で認められるように準備されています。

上記,離イドラインが、より効果的に活用できるための補填的制度だといえるでしょう。

経営者保証改革プログラムが実施されます。

融資時に経営者の個人保証が不要になり、創業や投資が活性化することなどを目的にしています。

欧米化した制度であり、倒産するなどしても再生が図りやすくなり、事業の新陳代謝が旺盛になると考えられます。


これらの施策から、今後の中小事業者の経営環境に関しての、政府の思いが透けて見えるのではないでしょうか。

   今後、経営環境は回復するのか・・・
     事業者の自立再生は可能か・・・

         ⇒ 極めて困難だと考えられる

   このままでは倒産が増加するが・・・

         ⇒ 倒産防止の効果的な対策はない

   せめて事業だけでも維持し、社会への影響を最小限に・・・

         ⇒債権放棄を活用し、事業譲渡などにより維持を図る

この様に捉えて理解すると、最近の政府の施策と整合性が取れるようになります。

政府は、この様に状況を認識し、最善と思われる方向で施策を実施しているのではないでしょうか。


たしかに、それほどに厳しい経営環境になってきているのは間違いありません。

事業再生という意味合いで、事業を譲渡してでも、雇用などを維持しろというのも理解できないことはありません。

しかし、中小事業者にとって、自らの会社は命であり、最優先で維持を図りたいものだといえます。

何とか、自らの力で、会社を、そして事業を守りたいというのが中小事業者なのです。

事業を譲渡して第3者に委ねるよりも、自ら苦労して育てた事業は、自らの力で守りたいと思う者ではないでしょうか。

より厳しくなる経営環境において、政府が最善と考えて用意した施策を、果たして、中小事業者は受け入れることができるのでしょうか・・・。


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経営者保証不要の融資・・・


融資時の経営者保証の常識が、根底から覆りそうです。

長年、金融機関から融資を受けるときなどに、経営者の責任として保証するのが当たり前だと思っていました。

しかし、20数年前から、連帯保証が社会問題化をし、2度にわたる民法改正の手続きや様々な場面で見直しをされ、『保証人』としての債務者の人権は強化をされてきた。

そして、遂に、経営者さえも連帯保証人にならずに、融資を受けられるようになりそうなのです。



遂に、ここまで来たのか・・・というのが、本音です。

連帯保証人は日本固有の制度であり、その非人道性から社会問題となっていました。

ただ、社会問題化していたのは、第3者の連帯保証人への就任であり、経営者が連帯保証人になることについては問題視されていませんでした。

経営者が個人保証をするのは当たり前だと捉え、その制度に疑問さえ持たれない経営者も少なくなかったでしょう。

経営者保証に関するガイドラインも用意されていますが、本当に融資が必要な中小事業者には無意味な制度であり、経営者が個人保証することに違和感はなかったといえるでしょう。

現実的に、令和2年の民法改正において保証制度が大きく見直された中でも、経営者の連帯保証は対象となりませんでした。

ところが、中小事業者には信じられないというか、我々さえも驚いてしまうことに、経営者の個人保証を不要にするという『経営者保証改革プログラム』を、政府が正式に打ち出したのです。

これは、中小事業者の金融環境を大きく変革する画期的な制度であり、中小事業者にとっては凄くプラスになる制度ですから、その概要だけでも知っておく必要があるでしょう。

全てに目を通すのは大変なので、知っておくべきポイントをまとめてみたいと思います。


  名称は、『経営者保証改革プログラム』
   〜経営者保証に依存しない融資慣行の確立加速〜

  目的は・・・
経営者保証に依存しない融資慣行の確立を加速させて、経営者保証の課題を解消し

    ・スタートアップの創業
    ・思い切った事業展開
    ・円滑な事業展開
    ・早期の事業再生
・・・これらを図るために、4分野で、『経営者保証改革プログラム』を策定し重点的に取り組むこと。

1. スタートアップ・創業
 〜経営者保証を徴求しないスタートアップ・創業融資の促進〜

経営者保証が創業の阻害要因とならないために、経営者保証を徴求しないスタートアップ・創業融資を促進。

創業から5年以内の融資に、経営者保証を徴求しない信用保証制度の創設
     保証上限額3500万円 無担保 23年3月開始

日本公庫は創業5年以内の融資に対し、経営者保証を求めないよう要件緩和
     23年2月開始

商工中金はスタートアップ向け融資における経営者保証を原則廃止
     22年10月開始

民間金融機関に経営者保証を徴求しないスタートアップ融資の促進を要請
     22年中要請


2. 民間金融機関による融資
 〜保証徴求手続きの厳格化,意識改革〜

監督指針を改正し、経営者保証を徴求する手続きを厳格化し、個人保証を抑制し債務者の納得感を向上させる。また、経営者保証に依存しない融資慣行確立に向け意識改革を進める。

金融機関が個人保証を徴求する場合、その必要性について、債務者に具体的に説明することを求め、結果を記録する。その結果の件数を金融庁に報告させるとともに、金融庁は経営者保証専用窓口を設置して、状況に応じ、金融機関に特別ヒアリングを実施。

金融機関に対し、監督指針改正にともなう新しい運用や経営者保証依存しない融資慣行の確立に向け、金融機関トップは取組方針を作成し公表するとともに、営業現場の担当者に徹底させる。

経営者保証に依存しない新たな融資手法を目指し、事業全体を担保に資金調達できる制度の実現に向け議論を進める。


3. 信用保証付融資
 〜経営者保証の提供を選択できる環境の整備(希望しない経営者保証の縮小)〜

経営者保証のガイドラインを前提に、経営者保証の解除の取組を徹底するとともに、要件を満たしていない場合は経営者保証を代替する手法を用いて、経営者保証の解除を事業者が選択できる制度を創設。

要件を充足すれば、保証料の上乗せ負担により経営者保証の解除が選択できたり、流動資産担保(ABL)により経営者保証の徴求を廃止。また、プロパー融資の一部に限り、経営者保証の解除にむけ借換の保証制度を時限的に創設。  24年4月開始

要件を充足する場合は、経営者保証の解除を徹底するよう、金融機関に徹底するとともに、誤解が生じないない広報を展開。;


4. 中小企業のガバナンス
 〜ガバナンス体制の整備を通じた持続的な企業価値向上の実現〜

経営者保証の解除を前提としたガバナンスを確保し、官民による支援体制を構築する。

経営者と支援機関の、ガバナンスを確保するために目線合わせのチェックシートを作成。

収益力改善や体制整備支援等に関する実務指針の策定や、支援策における支援機関の遵守。

中小企業活性化協議会の体制を拡充。


5. コロナ資金繰り支援

ゼロゼロ融資の借換,事業再構築の新資金需要に対応する借換保証制度などのコロナ借換保証を創設。  23年1月10日開始

日本公庫のスーパー低利融資について、要件を満たしてなくても、債務負担の重い事業者は融資対象。  23年2月1日開始


以上が『経営者保証改革プログラム』の概要であり、ポイントを分かり易くまとめました。


 詳しい内容は、以下のサイトからご覧ください
          ↓
   経営者保証改革プログラム


中小事業者の金融の常識が、根本的に変わったといえるほどの制度変更だといえます。

この事実を知っているかどうかで、資金繰りは当然のこと、経営自体にも大きな影響を与える可能性があります。

それほどに、重要な制度になりますので、概要程度はご理解されてください。



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平成4年、お世話になりました・・・


30年前のバブル崩壊は、日本経済を根底から覆してしまいました。

当たり前だった右肩上がりの経済を、過去の栄光にしてしまったのです。

リーマンショックは、多くの中小事業者をゾンビ企業化して、実質的に経済の成長を止めたといえるでしょう。

体力を喪失した日本経済に、コロナウイルスは未曽有の打撃を与えました。

多くの中小事業者は土俵際まで追い込まれ、過去に例を見ない様な施策が断行をされます。

協力金や支援金,雇用調整助成金の特例,無担保無利子のゼロゼロ融資など、金融秩序を無視し、モラルハザードなどお構いなしの施策が続々と実施されます。

それほど、経営環境が酷かったといえるのですが、中小事業者の経営維持対策としては絶大な効果のある劇薬だったといえます。

しかし、劇薬ともいえる無茶な施策が、いつまでも継続できるわけではありません。

そして、劇薬には副作用がつきものだといえ、効果が薄れると困難が発生するのは当たり前で、中小事業者は難しい状況に追いやられることになります。

このままでは、中小事業者は対策を喪失してしまい、破綻するしかない状況になろうとするタイミングで、政府は取組みの方向性を大きく転換したのです。

コロナ感染初期、無秩序なまでに金融支援を展開した政府も、財政的根拠から施策を転換するしかなくなったのでしょうが、経営維持というキーワードを削除して方針を180度転換します。

新たに用意されたキーワードは、『事業譲渡』,『債権放棄』,『経営者責任』の3つになります。

このままでは、多くの中小事業者が破綻してしまうので、破綻する前に、債権放棄を前提に事業を譲渡させで社会的影響を最小に抑え、経営者の責任を追及するというものです。

既に、この方向で、具体的に動き出していますが、このスキームは完全に既存の金融モラルの崩壊であり、同時に、仕組みを転換させて新たな金融システムに転換させるということになります。

今、この環境は、それほどの施策が必要な状況であり、起承転結に転換する渦中だということになるのでしょう。

起としては、コロナウイルスの影響による、未曽有の環境変化のタイミングになります。

承としては、政府などが実施した、秩序と常識を無視した様々な施策になるのでしょうか。

転としては、既存秩序を否定し、新たな常識を構築しようする、『今』だといえます。

そして、結は、新たな金融システムを完成させるはずの、『新年』ということになるのでしょう。

この様に、今、我々、中小事業者は、新たな産業革命の渦中で翻弄されているのかもしれません。

この金融の激動が、どの様な結果に結びつくのか、この機会に直面する我々は、心して見つめる必要があると思います。

将来、振り返ってみると、令和4年は、金融転換の始まる歴史的な1年だった可能性があるのです。




令和4年も、残りわずかとなりましたが、今年も1年間、お世話になりありがとうございました。

コロナウイルス禍も3年目になりましたが、現実経営としては、最も厳しい環境だったのではないでしょうか。

そして、生き残りをかけた、難しい新年を迎えることになるでしょう。

事業者として、色々と悩みは尽きないとは思いますが、年末年始のお休みぐらいは、仕事のこと忘れて、のんびりと時間を過ごされてはいかがでしょうか。

十分に心身のリフレッシュをされ、事業者としての逞しさを取り戻して、新年を納得できる年にしてください。

どうか来年も宜しくお願いいたします。

良い年を、お迎えください。


           株式会社 トップ経営研究所
             主任研究員 菊岡 正博



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経営者保証が不要になる意味・・・


難病を治す特効薬には、厳しい副作用があるといいます。

当初は効果的な政策だと思えても、その先に大きな弊害が発生する可能性があるかもしれません。

その政策が、弊害の可能性を承知の上で策定されたものだとは思いたくありませんが、コロナウイルス禍以降の政策には、後々に大きな副作用を発生させるものが少なくないでしょう。

政府も、先の展開を見込んだうえで政策を策定するべきですが、我々も、目先の効果やメリットだけに惑わされず、政策の意義をしっかり認識し、副作用について備える必要があるのかもしれません。



コロナウイルスが発生して以降、政府は多くの政策を連発してきました。

協力金や補助金など多岐に亘り、簡単な条件で支給可能となり、経営を維持することができた中小事業者は少なくありません。

雇用調整助成金の特例は、直接的に中小事業者の雇用を安定させ、失業を防ぐ面で大きな効果があったといえます。

さらに、実質無利子・無担保のゼロゼロ融資は、中小事業者の経営を具体的に支援し、資金繰りを確保させた実績は凄いものだといえます。

これらの政策が、コロナウイルス禍の中小事業者の経営維持において、絶大な効果を発揮し、経営の破綻を防ぎ、経済の混乱を回避させたことは間違いありません。

それほど、タイムリーで効果的な政策であり、特効薬ともいえる政策だったと思います。

しかし、同時に、特効薬につきものの副作用の存在についても否定はでせきません。

現状において、協力金や補助金などの直接支援は収縮し、雇用調整助成金の特例も終了が決定し、コロナウイルス禍における中小事業者への直接支援は、ほぼ打ち切られたといえるでしょう。

売上が回復しない厳しい環境は何も変わっていないのに、これまで協力金などで生き延びてきた中小事業者は、事業の維持がより困難になっています。

何とか雇用を守ろうと、雇用調整助成金の特例を活用してきた中小事業者も、もはや雇用の継続について考え直すしかない状況に追い込まれているのではないでしょうか。

あれほど容易に、考えられないような条件で過剰ともいえる借入が可能であったゼロゼロ融資も、今は多くの中小事業者で元本返済が始まり、資金繰りに大きな悪影響を与えだしました。

180度の方針転換ともいえる変化は、政府の経済活動優先という大方針が根拠ですから、仕方がないのかもしれません。

しかし、輸出に関わらない中小事業者の経営環境は、むしろ悪化し続けていますから、この方針転換は悲惨な結果につながるのかもしれません。

既に倒産は急増し、経営継続を諦める事業者が、一気に増加する可能性があります。

雇用の維持が難しくなり、従業員の解雇を実施する中小事業者が増加するでしょうし、その結果、失業者があふれる可能性も否定できません。

効果的な支援策を喪失してしまい、過剰債務で資金繰りを悪化させ、経営が破綻する中小事業は間違いなく増加していくでしょう。

バブル崩壊やリーマンショックを凌ぐほどの不況となり、大倒産時代を迎えるという専門も少なくありません。

そんな厳しい環境になっていますから、経済の再生に向けて、中小事業者を直接的に支援する効果的な政策が求められる場面だと思います。

しかし、ちょっと、違う様なのです。

今年になってからの政府の施策は、中小事業者支援とは、違う方向に向かっているとしか思えません。

今年になってからの、政府の政策の方向性は2つに集約されます。

1つは、冒頭にご紹介したように、コロナウイルス禍における中小事業者支援策の終了になります。

そして、もう1つは、3月に発表された『中小企業の事業再生等に関するガイドライン』に始まり、先月に発表された『私的整理円滑化法』につながる流れです。


さらに、降って湧いたように、経営者の保証債務を制限する話が出てきました。

来年の令和5年4月から、金融機関が中小事業者に融資をする際、経営者個人に保証債務を背負わせることを制限して、実質的に経営者保証が不要になるように金融庁が見直しを進めているとのことなのです。

金融機関への監督指針を改正し、経営者保証を背負わせる場合は、金融機関が具体的な理由を説明し、それを記録して報告することを義務付けるなど、かなり厳しいルールが制定されるようです。

これが本当に実現すれば、金融における永年の懸案であった経営者保証が極端に減少するようになるかもしれません。

しかし、金融機関の常で、自分に都合の悪い制度は直ぐに形骸化させ、有名無実な制度としてしまう可能性も少なくありませんから、しっかりとチェックする必要があるでしょう。

また、逆に副作用として、これを理由に融資を断り易くなり、本当に融資が必要な事業者が、融資を受けられなくなってしまう可能性も高くなるでしょう。


最近の政府の動きが急なことを、この経営者保証の制限も含めて考えてみると、面白いストーリーが浮かび上がってきます。

   コロナウイルスという未曽有の環境において、中小事業者が経営破綻に追い込まれないよう   
に、政府は最善の対策を実行してきました。

   経営環境は、まだまだ中小事業者支援を強力に推し進めるべき状況ですが、国の財政は当然
のこと、金融機関や特に信用保証協会の体力が消耗してしまっています。

このまま、各種協力金・補助金・助成金やコロナ支援融資などを継続すれば、金融関係機関
も含め財政破綻を引き起こしてしまうでしょう。

   中小事業者は、今後、政府や金融の支援を期待せず、自助努力で再生に取り組むように転換
をしてください。

   自力再生できない中小事業者に対して、政府や金融が、今後新たな支援をすることはありま
せん。

   事業を守るために、事業譲渡などを実施する場合は、債権放棄・債務減免にも前向きに取組
み、事業維持の手続きがスムーズに進むようにします。

   債権放棄・債務減免をする場合は、経営者や株主の責任を追及することになります。


一つ一つの政策などを見れば判りませんが、連動させて全体を俯瞰すると、この様な政府の思惑が浮かび上がってくるのではないでしょうか。

政府は、新たな政策などで、中小事業者を直接的に支援する考えはないでしょう。

自力再生できない中小事業者を救う気はなく、切り捨てようとしている様にさえ見えてしまいます。

ただ、コロナ終息後の経済的混乱を、回避することだけを考えているのではないでしょうか・・・。



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債権回収が冬眠空け・・・


政府の方針転換は、経営感覚の麻痺しかけた中小事業者を窮地に追い込むかもしれません。

コロナウイルス禍で政府は、護送船団の如く、全ての中小事業者の経営維持を支援してきました。

しかし、この手厚過ぎるともいえる支援を、いつまでも継続できるわけではなく、コロナウイルス第7波の流行に合わせ、政府は経済の活性化を優先した方向に転換をしたのです。

この施策の転換により、財務的体力を喪失させた中小事業者が、未だ回復しない環境におい、経営を維持するのは、極めて困難になるのではないでしょうか・・・。



コロナウイルス禍は、厳しいことばかりではなく、中小事業者にとっての恩恵も存在をしました。

その一つが、債権回収が緩和をされたことだといえます。

『経営を維持させる・・・』という目標の下、中小事業者の資金繰り確保をするために、政府は万全の施策を実施してきました。

その様な環境の中で、債権者である金融関係機関の、債権回収の姿勢も随分と緩和をされていました。

中には、債権回収が棚上げされた感のある事例も珍しくありません。

政府が要請をした結果なのか、それとも金融関係機関が自主的に債権回収姿勢を緩和させたのかは判りません。

しかし、債権者であるほぼ全ての金融関係機関は、債権回収に関して、過剰ともいえる配慮を見せてくれたのです。

期限の利益の喪失をして金融事故になったのに、債権者である金融関係機関から、支払の督促さえも無い事例など珍しくありません。

今まで、厳しい姿勢で取り立てを続けてきたサービサーが、債務者の経営状況を心配し、自ら弁済額を減少させた事例もあります。

コロナウイルスという特殊な環境下での、普通ではあり得ない様な配慮により、助けられた中小事業者は少なくなかったでしょう。

しかし、いつまでも。このような対応が続くわけがありません。

金融関係機関の至上命題は、『債権回収』なのです。

いつ、債務者に配慮することを止めて、具体的な債権回収を再開させるか、タイミングを探っていたのも間違いありません。

そして、そのタイミングは既に訪れ、金融関係機関が動きを再開させ、具体的な対応を見せ始めました。

コロナウイルス第7波において、政府は行動制限を発令せずに、経済活動を優先させました。

その経済抑制を解除する流れに合わせ 債権回収の配慮も解除させたのではないでしょうか。

この変化を裏付ける事例には事欠きません。

まず、期限の利益の喪失をしているのに、コロナウイルス禍以降、債権者からほとんど連絡も無いという中小事業者がおられます。

ところが、この秋以降、債権者から連絡が入るようになり、支払いの督促を受ける様になりました。

未だ、再開したばかりの雰囲気で、それほど厳しい督促ではありませんが、この様な事例が随分と増加しています。


ある経営者は、5年ほど前に不動産絡みの投資に失敗し、期限の利益の喪失をして金融事故になりました。

複数のプロパー融資が、2つの異なるサービサー(独立系と外資系)に債権譲渡をされ、厳しい追及を受けることになりました。

担保不動産は当然に処分され、支払いに関する訴訟もされて負けました。

脅迫まがいの差押予告などもされ、下位サービサーらしい嫌らしい追及が続きます。

ところが、コロナウイルスが流行するにつれ、追及は緩くなり、債権回収自体が停止に近い状態となったのです。

それから2年半が経過する今年の9月、突然、債権回収が動き出しました。

独立系サービサーは、法的続きをチラつかせた厳しい督促を再開し、外資系サービサーは預金口座の差押をしてきたのです。

コロナ禍の2年半はいったい何だったのか思うほどに、一気に変貌して、厳しい債権回収姿勢になりましたが、コロナウイルス前の、当たり前の姿に戻っただけということになるのでしょうか。


債務者としては、有難くて嬉しい、変わった事例もあります。

12年ほど前に期限の利益の喪失をした中小事業者は、主債務者である会社は廃業して放置状況で、ご高齢の社長が全ての債務の連帯保証人でした。

5年前に、社長が亡くなり、ご長男だけが相続をして保証債務を承継され、毎月僅かな弁済を続けてこられました。

コロナ感染が始まって以降、今まで弁済を続けていたからか、督促に関する連絡も無くなっていたのですが、突然に連絡が入りました。

その連絡内容は、僅かな金額を支払うことで一括和解しませんかというものです。

一定の条件はあるのですが、価値のある和解になりうる低金額なので、前向きに考えようとされています。

最近、この様に、突然に和解を提案してくる事例が増えており、コロナウイルス禍において、債権者金融関係機関が水面下で準備を進めていたということになるのでしょう。



政府の経済抑制の解除とともに、債権回収も2年半の冬眠から目覚めました。

これで、コロナ以前のように動き出すのかもしれませんが、大きく変わってしまったことがあります。

コロナ禍で翻弄され続けた中小事業者が、生き残る代償として、大きな負債を背負ってしまったということです。

この負債の処理は簡単なことではなく、多くの中小事業者は、まだまだ知恵をふり絞って頑張らなければなりません。

経営危機の打開は、これからが本番なのかもしれません・・・。



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ついに雇用調整助成金が・・・


ついに、危惧すべき状況を迎えることになってしまいました。

コロナウイルスの異常環境下において、中小事業者の雇用や資金繰りを守ってくれていた『雇用調整助成金の特例措置』が見直されることになったのです。

中小事業者の経営環境が、ますます厳しくなるタイミングにおいて、この見直しが実施されるということは、今後、厳しい対応を迫られることになります。

この特例措置は、中小事業者経営に非常に高い効果を発揮しましたから、見直しによる反動の悪影響は極めて大きなものになるでしょう。



最近、ご相談者の決算書を拝見していると、興味深い共通点が見受けられます。

損益計算書において、営業損益では大幅な赤字に陥っているのに、最終利益では黒字となっているのです。

その原因を具体的に確認してくと、営業外収益の大きな金額に行きつきます。

それは、雇用調整助成金や協力金など公的支援金であり、営業赤字をひっくり返すほどに支給され、中小事業者の最終利益を黒字にしている事例が珍しくありません。

それほどに、雇用調整助成金などの支援金は、中小事業者の経営や雇用維持に大きな効果を与えているといえるのです。

けっしてオーバーな表現ではなく、雇用調整助成金の特例措置などは、コロナ禍における中小事業者の生命線だといえるのかもしれません。

ところが、過去最高の感染者数を記録する第7波のコロナ禍において、この生命線の見直しがされるのです。


雇用調整助成金の特例措置である、日額15,000円の支給上限が9月末で見直され、11月末までの予定で12,000円に引き下げられることになります。

その後の12月以降も、本来の上限である8,355円まで、感染状況に留意しながら段階的に特例措置は縮小されていくようです。

この見直しの決定は、雇用情勢が回復基調にあると政府が判断したためのことですが、何か、大きな勘違いをされているのではないでしょうか・・・。

過去においてこの特例措置は、経済状況を留意しながら幾度か延期をされ、この3月末までであった期限も、6月末まで延期されることが早い段階で決まりました。

しかし、次の6月末までの期限については、なかなか延期が発表されず、6月末の期限の間際になってようやく発表されたという経緯があります。

この時、政府が、雇用調整助成金の特例措置の終了もしくは縮小を検討したことは間違いありません。

既に、財政的原資が枯渇しており、特例措置を見直すべき状況に陥っていたということなのですが、コロナ禍の影響や景気の回復がそれを許さなかったようなのです。

ところが、この9月末においては、中小事業者の経営環境に忖度する余裕など喪失し、特例措置を見直すという結論しかなかったということなのでしょう。

当然、政府が主張するような雇用情勢が回復基調にあるという理由ではなく、財政的問題により見直しということになります。

コロナウイルス禍の悪影響を受けてから2年半、無尽蔵に支援金を支給して、中小事業者対策を実施してきたのですから、財政問題が発生して当然だと思います。

その支援により、資金繰りが維持できて倒産回避ができて、中小事業者は救われたという結果がありますから、この財政問題を批判するわけにはいきません。

ただ、中小事業者が本当に厳しい状況に追い込まれている、今、このタイミングでの見直しは厳しいと思います。

今年の春先から、中小事業者の経営状況の悪化が顕著になっていましたが、この年末にかけて、コロナウイルス以外の原因も重なり、更に厳しい状況に陥る可能性が高くなってきています。

今まで、雇用調整助成金の特例措置により、中小事業者の財務は最低限で確保され、雇用も何とか維持できていたのに、その生命線といえる特例措置を、このタイミングで見直して経済は維持できるのでしょうか。

景気は、悪化したままの状況なのです。

この特例措置の見直しが、中小事業者に与える影響は、中途半端なものではないでしょう。

たしかに、11月末までは、上限12,000円として特例措置が維持されるということですが、既に中小事業者は財務内容を劣化させていますから、雇用の維持に影響を与えるだろうことが予想されます。

その後、更に特例措置の上限が引き下げられたり、特例措置自体が停止されたりするとどうなるのでしょうか。

景気回復が進んでいない状況であれば、中小事業者は雇用を維持する理由を喪失してしまいます。

その結果、仕方なく解雇を選択するしかなくなるでしょう。

コロナウイルスの影響により、業績を悪化させた中小事業者が、一気に解雇を実施するだろうことが予想され、景気の悪化したままの市中には失業者が溢れることになるのです。

人員不足に苦労されている業種などは、このタイミングを求人のチャンスだと喜ばれるかもしれません。

しかし、そんな甘い考えを許容してくれないほどに、ネガティブに経営環境は変化していくのではないでしょうか。

失業者の増加は、低迷する消費をさらに悪化させますから、中小事業者に残されたわずかな余裕さえも蝕んでいくのではないでしょうか。

この様な流れについて、政府も十分に認識をしていたはずなのです。

だからこそ、雇用調整助成金の特例措置という制度を用意し、厳しい財政の中でも維持してきたのだと思います。

しかし、政府は考え方を切り替え、その影響を理解しながらも、雇用調整助成金の見直しを決断しました。

コロナウイルス初期の頃のように、中小事業者をあらゆる手段を講じて守ろうという姿勢を改め、自力再生できない事業者は、市場から退場することも仕方なしという姿勢に転じたといえます。

この意味を、中小事業者は、しっかりと認識しなければなりません。

もはや、自らの力で取組んでいくしかないということなのです。



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選挙終了、これから激変・・・


波乱に満ちた参議院選挙が終了しました。

これで、一気に政府の施策が激変していく可能性が高いと思います。

選挙応援の街頭演説で、安倍元総理が元自衛隊員の凶弾に倒れ、世界中が注視する悲しい事件が発生しました。

そして、暗殺を伝える海外ニュースで、安倍元総理やその施策であるアベノミクスが、世界的に高い評価を得ていたことを改めて思い知らされました。

しかし、国内的には、経済活性の足かせになっている現実があり、アベノミクスを根本的に見直す方向で動き出すのではないでしょうか・・・。



政府の施策は、国政選挙までは、国民(有権者)受けの良いものが中心となります。

しかし、国政選挙が終わると、施策の方向は大きく転換するというのが今までの常でした。

しばらくは、国民の顔色を窺って票を気にする必要が無くなり、実態に即した施策の実行が可能になるからです。

これから、施策は大転換するということになるのですが、国民にとって嬉しくない方向に振れるだろうことは、現在の経済環境と過去の事例を見れば明らかだといえます。

特に、中小事業者向けの施策が根本的に見直され、中小事業者にとってネガティブな方向に向かうだろうことも容易に予想されます。

そして、この9月には、その答えが明確になると思います。

それは、コロナ融資における実質無金利と雇用調整助成金の特例給付、この2点が9月末期限から更に延長されるかどうかで、政府の考え方が明らかになるからです。

本来、この2点の施策は、もっと早い段階で終了する予定でした。

しかし、コロナ禍が芳しくならない中で更新が3か月ごとになり、6月末で終了するはずだったものが、期限間際に9月まで延長をされたのです。

これが、政府・自民党の参議院選挙対策であることは間違いありません。

そして、この2点が、9月末で延長されるのか、それとも終了してしまうのかで、政府の中小事業者向け施策の方向性がはっきりするといえます。

ご存じのように、実質無金利のコロナ融資は、コロナ禍に苦しむ中小事業者の資金繰りを確保したという実績があります。

そして、2年を超える異常経済に疲弊した中小事業者にとって、今、本当に渇望する施策だという現実があります。

雇用調整助成金の特例給付は、中小事業者が雇用を維持させるために不可欠な施策になっています。

雇用だけではなく、経営自体を維持させている有効な施策であり、この特例給付を終了させれば、多くの中小事業者が経営破綻するといえるでしょう。

この2点の施策は、中小事業者の延命装置なのです。

しかし、政府が、その効果的な延命装置を外す可能性も否定はできません。



中小事業者の経営環境は、コロナウイルス発生以降で、今、もっとも悪化してきているといえます。

様々なコロナ施策は、延長されて当然であり、更にバージョンアップをされてしかるべき環境だともいえます。

しかし、中小事業者向けのコロナ施策はいつのまにか異なった性格となり、ターゲットとなる落し処も変化してしまっているのではないでしょうか。

コロナ施策における融資は、コロナウイルス発生直後、あれほどフレキシブルに対応し、中小事業者の資金繰り確保に寄与しました。

ところが、現在でもコロナ融資は存在ますが、制度して存在しているだけになってしまっているといえます。

本当に融資の必要な中小事業者に、『返済できないでしょ・・・』という担当者の一声で、融資が断られているのです。

最後の命綱であるべき日本政策金融公庫にして、この様な対応が常態化しているのですから、融資はほぼ不可能といえるでしょう。

そういえば、資金供給の伴う施策は、総体的に随分と厳しくなってしまいました。

持続化給付金の失敗から、事業復活支援金など補助金の審査は、なかなか通過しないほど難しくなってしまいました。

コロナ融資もそうですが、新たに資金供給する場合、安直な対応をするのではなく、政府は随分とハードルを上げたということになります。

半面、事業再構築補助金の様に、驚くほど高額の補助金も現実になっています。

公的な機関を通じて、具体性と根拠のある前向きな計画に対しては積極的な支援姿勢を見せているのです。

この違いや、変化は何を意味しているのでしょうか。

そういえば、3月に発表された『中小企業の事業再生等に関するガイドライン』には、《債務の減免》や《経営者責任》と単語が、何度も重要な場面で使われていました。

事業再生についてのガイドラインであるはずなのに、自ら再生できない中小事業者は債務の減免もするので、経営者は全責任を取りなさいという内容になっています。

本来の事業再生とは、現在の経営形態や経営者のままで、事業の再生を実現するということであるはずなのです。

この3月に、このガイドラインが発表された意味は大きいと思います。

さらに、最近の政府の動きや、中小事業者向けのコロナ施策の変化を加味して考えると、1つの方向性が浮かび上がってきます。

それは、『自助努力』で、コロナ過を切り抜けなさいということです。

政府は、自らの力で、コロナ過を切り抜けて再生を果たそうとする中小事業者には、積極的に支援をしようとしています。

逆に、自らの力で対応できず、再生を果たせない経営者には、退場を求めようとしているのではないでしょうか。

延命のためだけの施策は、切り上げようとしているということになります。



既に、中小事業者向けのコロナ施策は、資金供給から猶予を中心とした施策に変化をしています。

参議院選挙を終えて、選挙対策に気を使う必要のなくなった政府・自民党は、さらにメリハリのある施策を実施してくる可能性が高いでしょう。

その方向性が、自助努力による再生ということになるのではないでしょうか。

もはや、政府の施策に期待するのではなく、知恵を振り絞って、自らの力で切り抜けることを考えるべき環境だということです。



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今年もお世話になりました

清水寺で発表された今年の漢字は『金』でした。

アスリートたちが大活躍した東京オリンピックのメダル獲得から、この漢字が選ばれるだろうと、多くの方が予想されていた様です。

このコロナウイルス禍における活躍でしたから、本当に価値のある結果だったと思います。

しかし、経済人の中には、この『金』という文字に、違いう思いを抱いた方も少なくはないでしょう。

金は、キンと読みますが、カネとも読みます。

経済の根拠はカネであり、日本は、経済大国であったはずなのです。

ところが、長期に亘る安倍政権下において、中国に抜かれ、いつのまにか大きく離されてしまっていました。

安倍総理と黒田日銀総裁の二人が、アベノミクスで空前の長期景気を誇ったはずなのに、現実は、経済力をすり減らし国力を弱体化させていました。

そして、韓国や台湾といった国にも肩を並べようとされ、アジアのリーダーシップを喪失しようとしています。

そろそろ本気で取り組まないと、日本という国は、大変なことになってしまうのではないでしょうか。

今年の漢字『金』は、それを我々に教えてくれている様に思えます。



令和3年も、残りわずかとなりました。

1年間、お世話になりありがとうございました。

コロナウイルス過の中、多くの経営者は心身をすり減らしながら、事業を守ってこられた厳しい1年だったと思います。

そんな経営者も、この年末年始のお休みぐらいは、難しいことは忘れて、ゆっくり静養されてはいかがでしょうか。

コロナの第6波も叫ばれ、波乱の新年になりそうですから、たっぷりと鋭気を養ってください。

そして、新年は、笑顔で過ごせる1年にしたいものです。

来年もよろしくお願いいたします。

良い年をお迎えください。


           株式会社 トップ経営研究所
             主任研究員 菊岡 正博



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