『法的手続きに着手します』
・・・この様に通達されれば、債務者として、どうすればいいのでしようか。
何の後ろめたいこともない健全な方でも、この様に表現をされれば不安を覚えるでしょう。
それが、経営の最前線で、金融事故になりながらも事業の維持に頑張っておられる方が、そんな通知を受けたらどうなるのでしょうか。
そんな方にとって、この『法的手続きに着手します』という表現は、債権者の宣戦布告ともいえる強烈な意味が込められているといえます。
ある日突然、一通の封書が届きました。
発送人をみると、返済を滞らせているあの債権者金融機関・・・。
少し震える手で開封すると、『法的手続きに着手します・・・』という、強調された一行の文字が目に飛び込んできます。
その瞬間、心臓は高鳴り、大きな不安に襲われてしまいました。
法的手続きに着手・・・いったい、これからどうなってしまうのでしょうか・・・。
金融事故に陥った多くの債務者が、この様な経験をされているのではないでしょうか。
債権回収をしようという債権者は、『法的手続きに着手します』という表現を、当たり前の様に活用して、債務者にプレッシャーをかけてきます。
知識のない債務者にとって、この言葉は、悪魔の脅しの様に心に突き刺さってしまいます。
今後の債権者金融機関との対応を考えれば、この法的手続きという意味を、債務者としてしっかりと理解しておく必要があるあるでしょう。
この『法的手続きに着手します』というのは、金融事故になり債権を回収できない債務者に対して、債権者が使う常套句になります。
基本は文書で、ときには口頭で、債権者金融機関は『法的手続きに着手します・・・』を債務者に伝えます。
この様に伝えられた債務者は、これから大変なことになってしまうのではと、凄いプレッシャーを感じることになるでしょう。
この様に伝えられるタイミングは、口頭であれば、利払いが遅れ出してから始まり、期限の利益の喪失をする頃まで続きます。
口頭ですから、あくまでも債権者金融機関などの担当者レベルでの対応になります。
文書での通知は、期限の利益の喪失をして、債権者が債権回収を具体化させたタイミングで始まり、債権が回収ができるまで続くということになるでしょう。
時には、内容証明郵便が使われていることもあり、債権者の正式な通知ということになります。
そして、『法的手続きに着手します』を活用する場合においては、期限を決めて督促をしてくるのが一般的です。
その期限までに支払わなければ、『法的手続きに着手します』ということになります。
ただ、本気で強制執行などの法的手続きをしようとすれば、この様な事前予告は意味がないと思いますが・・・。
当然、債務者からの自主的な弁済を図ることが目的であり、法的手続きは督促を促進するための手段ということになるのでしょう。
過剰に反応される債務者は少なくありませんから。自主的弁済をさせるには効果的ということになります。
しかし、『法的手続きに着手します』という通知の後に、様々な『法的手続き』の手段が、債権回収のために用意されていることは間違いありません。
債権回収における法的手続きを、期限の利益の喪失後から時系列にまとめると・・・
初期・・・担保権の実行,仮差押 (代位弁済・)
中期・・・訴訟関係・財産開示手続きなど (債権譲渡)
終期・・・差押
ということになり、主要な法的手続きが、実際にどのように活用されているかは以下のようになります。
◆ 担保権の実行・ (代位弁済)・・・
代位返済は法的手続きではありませんが、この二つの手続きは、期限の利益の喪失後は、ほぼ全てが無条件で実施されると捉えてください。
◆ 訴訟関係・・・
代表的な法的手続きといえるのでしょうが、通常訴訟,支払督促,少額訴訟などがあります。
必ず着手されるものではなく、その着手件数は、イメージよりも少ないのではないでしょうか。
◆ 強制執行・・・
差押は、最も有効な、最後の債権回収手段であり、安定的に実施されているようです。
仮差押は、それほど多用される手続きではないように思います。
◆ 財産開示手続・第三者からの情報取得手続き・・・
令和2年の民事執行法改正以降、その活用は確実に増加を続けている様です。
差押のための事前手続きとして、今後も活用は広がると思われます。
では、この様な法的手続きに、債務者として、どの様に対応をすればいいのでしょうか。
期限の利益の喪失後の、債権者の債権回収手続きは一定のパターンで実施をされるといえます。
したがって、法的手続きについても、ほぼ具体的に予測できるのが現実でしょう、
債権者の種類や債務者の状況により、若干は変動しますが、予測から展開をシミュレーションすることは容易で、その後の対応も可能なると思います。
予測をして、事前の準備を徹底して対応する・・・これが『法的手続きに着手します』に対応するポイントだといえるでしょう。
あまり悲観的に捉えず、現実の中で対応することが必要でしょう。
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